日本の平均賃金は適正な水準か 経済好循環へ 絞られる論点
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 元証券アナリストのデービッド・アトキンソン氏も『日本人の勝算』(19年1月、東洋経済新報社)で、日本経済を立ち直らせ
るには継続的な賃上げが必要と訴える。日本企業は労働者の低賃金を背景に値下げ競争に走り、人口減少とも相まって
経済にデフレ圧力を加えていると分析したうえで、政府は最低賃金の引き上げを通じて企業を追い込み、労働生産性の向上
を促すべきだと強調する。
 経済学界には「最低賃金を引き上げると雇用が減る」という有力な仮説がある。『最低賃金改革』(13年7月、日本評論社)
の編著者の一人、鶴光太郎・慶応大学教授は「日本では最低賃金を引き上げると、その影響を受けやすい労働者の雇用
に負の効果を見いだせる」との実証分析を紹介し、最低賃金を引き上げるにしても「なるべく緩やかな引き上げにとどめ、
特定のグループが過度な負担を負うことがないようにする」よう求める。同書の編著者に名を連ねる川口大司・東京大学
教授も「その後も同様な実証分析が続き、同書の主張は現在も有効」と説明する。
 脇田氏は雇用者報酬の9割近くを占める正社員の賃金をまず引き上げ、最低賃金にも波及する形が望ましいと指摘する。
日本経済に好循環をもたらすには何が必要か、論点は絞られつつある。