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ヤクザ 単行本 - 1991/4/10
ディビット E.カプラン (著), アレック・デュプロ (著), 松井 道男 (翻訳)
https://www.ama▼zon.co.jp/dp/4807491032

日本語版への序文

 本書は1986年にアメリカで出版された。それ以降今日に至るまでの間に、日本には様々な変化が起きている。だがその中でも
日本が流星のごとく超経済大国として台頭したことほど大きな変化はない。自国をこのように表現されても、日本人にとっては
「また同じように見られたか」ぐらいにしか感じなくなってしまっているだろうが日本人以外の世界各国の人々にとってみると、
超経済大国という表現は現実的には耳ざわりなものである。
       …(略)…
 こういった歴史書は日本では歓迎されない。
       …(略)…
 しかしこのようなことをあれこれ思い巡らしながらも、今回の本書の出版にまつわる一件を冷静にながめるとき、今回のように
日本で冷たくあしらわれたのは本書だけではないということに気づくのである。検閲とおぼしきものに直面した、日本を題材にした
欧米ものには『MISHIMA』(作品中における日本の超国家主義の取扱いのゆえに)や『ラスト・エンペラー』(作品中における
南京大虐殺の際の婦女暴行の描写のゆえに)といった映画があるが、不幸にも、本書もその仲間入りをしてしまったわけである。
       …(略)…
 国際化の試みがささやかながら今日進行中である。しかし、将来のためには日本はもっとはるかに多くのことを行わなければ
ならない。今日、日本は自国の経済を世界に開放すると力説しているが、市場開放にまつわる討議は貿易の問題に留まっては
いけないと思う。市場開放には商品やサービスばかりでなく、思想も含まれなくてはならない。

     1990年1月9日
         カリフォルニア―サンフランシスコにて
                                  デイビッド・E.・カプラン