シンガポールの街には3月に死去した初代首相リー・クアンユー氏の足跡が残る。経済と安全保障が密接に絡み合う国家モデルは
世界で類を見ない。「強権的」「過保護」と批判されたが、リー氏は世界有数の豊かな国を造り上げた。…
 
 マレーシアから独立した50年前。リー氏は現在まで続く成長モデルを打ち出した。…

 リー氏はことあるごとに「生き残り」という言葉を口にした。経済的な豊かさと並行して求めたのが、他国の侵略
を未然に防ぐ強固な防衛網の確立だ。
 柱の一つが軍事力の強化だ。男子皆兵の徴兵制度を導入し、近代的な軍隊も整えた。国家予算に占める軍事費の割合は
約2割を占める。さらに、日常生活の全てを自国防衛に関連づける「トータル・ディフェンス」を掲げ、国民に普段の
緊張を強いた。侵略の脅威を意識させて、国の求心力を高める狙いもあった。…

 日本経済新聞 2015.08.10 朝刊 <シンガポール50周年特集>


2015/8/10
建国の父、執念の成長 シンガポール50周年
編集委員 太田泰彦
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H2K_Y5A720C1970M00/