徴兵制の意味
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ところで、私が今回の廃止論争で特に興味を深く思ったのは、徴兵制廃止に反対する人々の論調である。
意外にも、国防上・安全保障上の理由から反対論を展開している人が見当たらないのである。
反対論の一つ。これはCDUやCSUといった保守派(国防大臣のグーテンベルクはCSUの所属である)からの議論で、
「徴兵制は保守政党のアイデンティティである」というもの。徴兵制は、1956年、CDUのアデナウアー首相により、
国民からの強い反対論や平和運動に抗して導入された。保守派の政治家から見れば、「自分たちが導入した」
という意識が強いのだろうか。
もう一つ、これが興味深いのだが、徴兵制はドイツの民主主義にとって肝要なものであるという議論である。
これはおそらく、戦後ドイツ特有の考え方かもしれない。軍隊を軍国主義に結びつけ、それを民主主義と対立させて
考えがちな、私のような日本人的な考え方とは全く異なっている。
なぜ、徴兵制は民主主義にとって肝要なのか。曰く、もし徴兵制がなかったら、軍隊は市民社会と民主主義から
遊離した専門家集団になってしまう。「制服を着た市民」が存在することで、軍隊は市民社会一般との繋がりを
維持できる、というのである。
「徴兵制は民主主義の正統な子供である」と、徴兵制廃止に反対する人々は主張する。
それは、保守政党だけでなく、徴兵制が導入された頃にはそれに反対していたSPDの政治家のあいだにも共有
された意見のようである。