前半は自然
陽炎のように向こうから近付いて来る黒い人影
本当に人工物がなんにもない乾いた大地
砂と埃にまみれた男たちの色気
この映画でしか観れない絶品の映像だらけ

後半は人間
神秘的な砂漠に汚れた日常を想起させる新聞記者と電車
武器と物資を得たことで凡人化していくロレンス
結局最後まで団結できない砂漠の民の議会
どんどんやるせない気分になって行く

「アラブに生まれたのは辛い思いをしろ、ということだ」っていう台詞が全てを物語ってるね
みんなで飲んでも枯れない水とすぐに作物が育つ土のある日本じゃ砂漠の民族の気持ちはわからんのだよきっと
今も中東で民族間で殺し合ってるのは共生が不可能だから
自分たちが生きる=自分たち以外が死ぬ
ってことなのかも知れんね

キャラもいいね
仲間思いだったのに一緒に苦労した子供まで殺してしまうくらい崩れていくロレンス
最初敵だと思ったのに最期まで味方でいてくれたアリ
お金第一だけどどこか憎めないアウダ
実は一番の野心家だった王子
女は出て来ない
みんな大好き

惜しむらくは俺がこの映画のオープニングを知っていたことだ
何にも知らなきゃもっとガツーン!っと衝撃が来たのになー
そしてアウダの人どこかで見たなーと思ってたら
『道』のザンパノだったのね

良い映画だよ
4時間映画なら風と共に去りぬよりもドクトルジバコよりも良い
でももう一回見るには相当の覚悟とそれなりの時間が必要だな・・・