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【小説】スナック眞緒物語【けやき坂応援】
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0001名無しって、書けない?(東京都)
垢版 |
2019/01/26(土) 22:18:19.64ID:xbJzQvgN0
宮田愛萌さんのブログや「ひらがな推し」やでネタにされている架空空間「スナック眞緒」を舞台とした小説のスレです。

なお、「ひらがな推し」や宮田ブログでの「スナック真緒」での井口真緒さんと宮田愛萌さんはひらがなメンバーとは別人格という設定ですが、
ここではひらがなメンバーであるのかないのかというのは曖昧にします。
タイトルと冒頭と末尾の文は、宮田愛萌さんがブログで書いているのをテンプレとして使いました。
原案や参照にしたものがある場合には、その小説が完了したとき必ず明記します。
0091名無しって、書けない?(東京都)
垢版 |
2019/02/11(月) 23:36:04.45ID:0yOsW2f30
スナック眞緒物語♯3(その1)
カランコロン。
「あら、いらっしゃい」
お店のドアのベルが鳴り、スナック眞緒の店内に眞緒ママの甲高い声が鳴り響く。
入って来たのは長濱ねるだ。
「ねるちゃん、お久しぶり。あら、どうしたの?涙ぐんで」
「シングルデビューおめでとう」
「ああ、よかったわ、うれし涙ね。泣いていたので心配しちゃった」
「漢字欅を専任することになって、ひらがなけやきを私が脱退する経緯については、運営さんに止められているから、口外できないんだけど。
結果的には、ひらがなのみんなを裏切った形になって、いつもうしろめたかった。
漢字のCD売り上げがひらがなを踏み台にしていたのは事実だったわけだし。
でも、今日、そんな思いからようやく解放されて、心の底から安心した」
「何を言ってるの。ねるちゃんがいたからこそひらがなは誕生できたんだし、
ひらがなのみんなは感謝に気持ちしかないわ」(続く)
0092名無しって、書けない?(東京都)
垢版 |
2019/02/11(月) 23:37:43.20ID:0yOsW2f30
スナック眞緒物語♯3(その2)
店内にいた客の一人が口を開く。
「アインシュタインの最後の宿題と言われた重力波の発見は一昨年かなったけれど、
長濱ねるさんの最後の宿題であったひらがなけやき坂の独立は今日かなったわけですね」
「あら、先生、ひらがなけやき坂ではなく、もう日向坂ですよ。
ねるちゃん、こちらのお客さん、天文学の先生なの。分からないことがあったら、何でも教えてくれるよ」と眞緒ママが言う。
愛萌がそばにやって来る。
「あまりお会いする機会がなかったので、ねるさんを目の当たりにすると不思議な感じがします。
私にとってねるさんは幻のような存在でしたので」
「え〜、そんな大げさなこと言わないで」
「民俗学者の折口信夫による造語で稀人信仰というのがあります。
此界、つまり、この世に異界から訪問する霊的な存在です。
ひらがなけやきを此界、漢字欅を異界と見なせば、ひらがなの創始者であるねるさんは今は異界にいて、
七夕イベントとかでたまに此界にいらっしゃることになるので」
「愛萌ちゃんが大げさなことばっかり言うから、恥ずかしくなって、私、顔、真っ赤。
でも、可笑しくて、楽しい気分にもなった」(続く)
0093名無しって、書けない?(東京都)
垢版 |
2019/02/11(月) 23:39:26.08ID:0yOsW2f30
スナック眞緒物語♯3(その3)
天文学者が口を開く。
「稀人信仰という考え方は面白いですね。実は私も、ねるさんと同じで島の育ちでした。
小学生の同級生たちはみんな浅黒く、気はいい奴らばかりだったんですが、ちょっと乱暴だった、男も女も。
そういう場所に、NTTとか電力会社とか警察とか教師とかの仕事で転勤してきた人の子女が転校してくるんですよ。
特に女の子だと、色が白くて、言葉使いが丁寧で、それだけで惚れてしましましたね。
ただ、二年くらいの期間しか居住せず、また転校するんですよ。
最後のお見送りで、桟橋にいるクラス全員の七色の紙テープを船上の転校生が一人で持って、
百花繚乱に咲き誇る花のように見える紙テープの中で幻のように去っていきましたね。
現実ではなく、追っても追っても届かない美しい夢のようでした。
今にして思えば、まさに異界からの来訪者のようでしたね」
「私は転校生の見送られる側のほうでしたけど、そういうふうに思ってもらえた人は羨ましいです」(続く)
0094名無しって、書けない?(東京都)
垢版 |
2019/02/11(月) 23:41:32.56ID:0yOsW2f30
スナック眞緒物語♯3(その4)
ねるは水割りを一気に飲み干す。
「さっき、『心の底から安心した』とは言ったけど、いろいろと紆余曲折があって、
シングルデビューさせるのに遠回りさせて、日向坂のみんなに迷惑かけたのは変わりないのかなあ」
眞緒ママがねるのグラスの水割りをつくる。
「なんで、そんなに自虐的になるの。いろんな紆余曲折はあったかもしれないけど、結果的には最善のルートをたどったと日向坂の皆だってきっと思ってる」
天文学者が口を挟む。
「水と油といったように異なる二つの媒質を光が通過するとき屈折が起こります。
そのとき、光は最短時間となるルートを取ることがフェルマーの原理から証明されます。
屈折しているので光は遠回りしているようですが、実際には最短となっています」
「波の屈折は高校物理で学習しましたが、そういうふうには教わらなかったです」とねるが言う。
「屈折でフェルマーの原理を用いるとき、二変数関数での全微分となるので、高校の範囲を少し超えますね。
だから、高校では素元波を用いた方法でやりますけど、最短時間になるのは確かです。
それと同じように、ねるさんも日向坂のみなさんも最短であり最善でもあるルートを結局はたどっていらっしゃるんですよ」(続く)
0095名無しって、書けない?(東京都)
垢版 |
2019/02/11(月) 23:43:25.24ID:0yOsW2f30
スナック眞緒物語♯3(その5)
ねるは水割りをまた一気に飲み干す。
「眞緒ママも、先生も、励ましや慰めのお言葉ありがとうございます。
もう一つもやもやしていること吐き出してもいい?」
「いいわよ、この際だから、思ってること全部ぶちまけなさいよ」
「あのとき漢字欅を選択したことは後悔していないし、漢字欅のメンバーと一緒に道を歩んでいるいま現在もとっても楽しいんだけど、
でも、ひらがなけやきを選択していて、今日、日向坂のメンバーとして、あの発表の場にいたかったとも思うのよね。
厚かましいと思われるけど」
「ホント、厚かましすぎるわ。でも、そう思ってくれているのが伝わるなら、日向坂のみんなも喜ぶと思う」
愛萌がねるのグラスの水割りをつくる。
「私も同じようなことはよく思いますね、様々な出来事がほんの少し違ったら人生が変わっていたといったように。
運命の分岐点に立って一方を選んだ後に、もう一つの可能性はどうだったのか?と。
この世界とは違う人生を生きる別バージョンの私がいるかもしれない、と。
先生、科学をやっている人に、パラレルワールドとか言ったら、やっぱり嘲笑されますよね」(続く)
0096名無しって、書けない?(東京都)
垢版 |
2019/02/11(月) 23:45:39.29ID:0yOsW2f30
スナック眞緒物語♯3(その6)
「いいえ、そんなことはないですよ、量子力学でもパラレルワールドという考えは出てきます。
観察していないときには、電子は、電子波として確率的に存在しています。
ところが、観察する場合には、光を当てなければならなりません。
不確定性原理から、位置と運動量とは相補的なので、光を当てた瞬間に電子は運動量が大きくなり、一点に収束します。
それをコペンハーゲン解釈と言います。
ところが、その確率的に存在するというのを嫌う科学者は多いのです。
因果関係を解き明かせばこの世を制御できると考える科学者なら、確率論だとそれができず、我慢ならないという理由からです。
そこで多世界解釈というのを好む人も多いのです。
コペンハーゲン解釈では、観測することで波の収縮が起こり、AかBかのいずれかの状態となります。
AかBかのいずれか一方の可能性だけが残りもう一方の可能性は消滅するということです。
これに対して多世界解釈では、いずれか一方だけが残りもう一方は消滅するとは考えません。
世界全体がAとBの2つに分岐すると解釈します。
その場合、観測者自身も分岐することとなるのです。
世界Aに分岐した観測者はAとなった結果を確認し、世界Bに分岐した観測者はBとなった結果を確認することになるのです。
まさにパラレルワールドです」(続く)
0097名無しって、書けない?(東京都)
垢版 |
2019/02/11(月) 23:47:54.81ID:0yOsW2f30
スナック眞緒物語♯3(その7)
「難しいお話ですが、とても興味深いです。でも、パラレルワールドの検証はできるのですか?」と愛萌が尋ねる。
「いいえ、それは不可能ですね。各々の世界がお互いに影響をおよぼすどころか、お互いを認識することさえできません」
「20世紀のヨーロッパを代表する知識人と言われたT.S.エリオットの詩『四つの四重奏曲』の中にこういう一節があります。
『そうなっていたかもしれないこともそうなっていることも所詮は同じことで、いつもそこにある』
また、こういう一節もあります。
『真実も度を超すと人間には耐えられないから』
先生のお話を聞いて、その詩を思い出しました」
眠そうな眞緒ママが目をこすりながら話す。
「叶わなかった夢、それを実現した分身がどこかにいるのではないか?とついそう考えたくなるよね。
でも、ここにいるねるちゃんはパラレルワールドのねるちゃんが諦めた夢をかなえているかもしれないよ。
ねえ、ねるちゃん」
ねるの姿はなく、空になったグラスだけが残っている。
「あれ、ねるさん、どこ行っちゃったんですかね?」と愛萌があたりを見渡す。
「きっと、今、消えてしまったねるちゃんは、日向坂のメンバーとなった世界のねるちゃんだったのよ」
「え!?そんなことあるんですか?」
「何でも起こるわよ、ここは『スナック真緒』だもの」
「え!?そうだったとしても、日向坂のメンバーとなった世界のねるさんが、
『日向坂のメンバーとして、あの発表の場にいたかった』なんて、どうして言うんですか?」
「何を言ってもいいのよ、ここは『スナック真緒』だもの」
今日もスナック眞緒は大繁盛♪(了)
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