夜の街を歩きながら僕は考えた。
たしかに僕には彼女以外、
女性の知り合いが居なかった。
僕はLINEをひとつずつ見ていく。
侘しいものだった。
しかし、下までスクロールして
思い出した。

茜は僕が大学生のときに同じサークルで活動していたときに知り合った。
大学のころはよく話したが、卒業後は
疎遠になり、それから5年はたっていた。
「いまから会いたい。」
僕は何も考えなしにそんなメッセージを送っていた。
驚くことに数分後メッセージが返ってきた。僕は何故か脈拍数が増えているのを感じていた。

「どーしたの、久しぶりじゃん。」
新宿ルミネの地下にあるカフェ。
白磁器のカップを持ち上げて
嬉しそうに言う茜の唇は搖れた。
僕は事の経緯を茜に話した。
茜は興味深々と相槌をうちながら聞いている。