0030レモンハート ◆pZLaUoYPXc (千葉県)
2018/03/16(金) 20:18:47.34ID:j1d2JEa00わたしは失恋した。所詮わたしには、手の届かない存在だったのだ。
わたしがそんなことを考えているとふーちゃんが来た。
「ねる、なにしてんの?」
ふーちゃんは隣の席に座った。
「空見てたと。」
油断すると直ぐに方言が出る。
「なんかあった?」
まるで私のことなど何でも知ってるかのような目で見る。
わたしはゆっくりと記憶の糸を手繰り始めた。
昼休みの図書室。
窓側から3番目の席。そこがあの人の指定席だった。
うちの学校は図書室に人が来ることは少ない。だから指定席を取られることもない。
あの人はいつも難しそうな本を読んでいた。
あの人が不意に眼鏡を外す時。
わたしは堪らなくドキドキした。
「何の本を読んでると?」
わたしは勇気を出してその人に話しかけた。
あの人はわたしの方を見ず。黙って本を閉じ、図書室を出た。
わたしはただ、その場に立ち尽くした。
翌日。私はまた図書室に向かった。
私は図書室を見渡した。
あの席にはだれもいなかった。
ほぼ毎日来ていたのに。
私の恋は唐突に終わりを告げた。
「ん、それで終わり?」
「うん。」
「でもさー、たまたま休みってこともあるじゃん。」
「ねるは避けられてると。」
言葉にすれば悲しみが余計増した。
「うーん。それはいつのこと?」
「昨日。」
「昨日?」
大きな声でふーちゃんはいった。
クラスの視線がふーちゃんに刺さる。
「しーっ!」
わたしは唇の前に人差し指を立てる。
「まだわかんないじゃん。」
「そうかな。」
「そうだよ。ねるに話しかけられてびっくりしただけかもしれないし。」
今日、私はまた図書室に行くことにした。