廊下の先に立つ彼女──平手友梨奈は僕のほうを振り替えって問いかけた。
「ねえ、なんで今日も生きてるの?

僕は答える。
「・・・なにか、いいことがあるかもしれないから」

そう答えた僕に、彼女はたいして表情を変えず、いつもの淡白な──それでいて真っ直ぐこちらを射抜く瞳を向けた顔で、また口を開いた。

「あしたも生きるの?」
「・・・うん」
僕は答える。
「どうして?」

「・・・なにか、いいとこがあるかもしれないから」