彼女はノートを閉じて、言った
「不幸せの対義語とは?」
と。
僕は続けて返す
「世間では不幸せじゃないかな」

「んーでも、不幸せは幸せがあるからこそ成り立ってるじゃん?」
彼女は持っていたペンをくるくる回しながらそう言った。
「あぁ。」
僕は頷いて腕を組み、そう答えた。
「分かんないね………。いくら考えても、」
彼女は言った。
「そうだね。」
僕はそう言ってまた、勉強を始めた。
勉強をしていると、ある言葉が浮かんだ。
"幸せの対義語は存在しない"
という言葉が。
僕は彼女に言った。
「ねぇ、ねる?もしかして、幸せの対義語ってないんじゃないかな」
ねるは、困惑していた。
だから僕は例えを使って説明した。
「だって、もし苦しいから遠ざかって楽になっても、楽しいってことにはならないでしょ?だから、もし不幸せと幸せが対義語だとしても、軸線上では同じ平行線を引いた時みたいな位置にはないと思うんだよ。」

「なるほど……」
彼女はやっと理解したのか、ペンを回すのをやめて、ノートを開き、勉強に戻っていった…。

END