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【物語】欅坂46の小説 ★5【エロも可】 [無断転載禁止]©2ch.net
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0001名無しって、書けない?(庭) 転載ダメ©2ch.net(6級) (アウアウカー Sa8d-hZWA)
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2017/07/02(日) 18:43:16.04ID:VdBgmUcOa
素人レベルからでも投稿できる小説スレです
ただし投稿作品に対するすべての中傷は禁止です

投稿者は多大な時間と労力をかけて
作品を投稿していますのでご協力をよろしくお願いします

またこのスレの投稿される作品はすべてフィクションであり
実在する人物や団体や建物等との関係は一切ありません

★過去スレ★

【物語】欅坂46の小説 ★4【エロも可】
http://rio2016.2ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1496452705/


【物語】欅坂46の小説★3【エロも可】
http://rio2016.2ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1493391840/


【物語】欅坂46の小説★2【エロも可】
http://rio2016.2ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1489546278/


【物語】欅坂46の小説【エロも可】
http://rio2016.2ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1487327352/
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0113『りかねる』7(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
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2017/07/09(日) 21:52:31.54ID:OKmK/q210
「あははは! 相変わらず、あなの走り方は面白い! 超ウケる!」
岸田さんがお腹を抱えて笑っている。

私は子供の頃から走り方が変で、いつも笑われている。
“気持ち悪い走り方”とまで言われている。
まあ、みんなが楽しんでくれるならそれもいいか……。

「あははははは!」
私を見ていた蒼が急に笑い出した。
おい、蒼。キミが笑うのは許さん。私は心の中でツッコんだ。
「あはははははははははは!」
えっ、蒼……? 私は立ち止まった。
「あはははははははははは!」
蒼は笑い続けた。おかしい……ちょっと……普通じゃない……。
蒼は立ち上がると、校庭の端の方にすごい速さで走って行った。
笑い続ける蒼は、正面の樹に何度も激しく体当たりをすると、そのままへたり込んでしまった。
「蒼……」

私たちは蒼を保健室に運んだ。いくら蒼が小柄と言っても弛緩した人間を運ぶのは大変なのでシートを持って来て四人で運んだ。菅井さんもついて来た。
「両肩と両腕を相当強く打ったみたいね……しかも、何度も打ったんでしょう?」
保健室の先生、織田奈々未(おだななみ)先生が言った。

体操服を脱がされた蒼。肩と腕のところが青黒くなっているのが見える……。
「胸を打たないでよかった……女性にとっては急所だから……」
石ノ森さんが言った。
「……コドモ……」
岸田さんが心配そうに言った。蒼を運ぶのも手伝ってくれた。なんだかんだ言って、岸田さん……いい人だ。
「……奇妙な事が続くわね……」
菅井さんが言った。
「ねぇ……さっきのコドモの様子、変じゃない……?」
鈴本さんが言った。

−−− 神村さん −−−

そうだ。神村さんが笑っていた事を知らない岸田さん以外の人は同じ事を思い出したに違いない。
笑いながら自らを傷付ける……。

「えーとぉ……」
目を開けた蒼が言った。
「私、何してたの?」
「コドモ! さっきかなりおかしかったよ!?」
鈴本さんが言った。
私が蒼に状況を説明すると、蒼は言った。
「みんなが走ってるのを見てただけだよ?」
急に笑い出した後の事は覚えていないらしい。

「菅井さん、あなたのクラス、昨日も怪我した子が出たでしょう?」
織田先生が菅井さんに言った。
「……はい」
菅井さんが答えた。
「両方とも状況的に普通とは思えないんだけど……」
織田先生が言うまでもなく、ここにいるみんなが思ってる。
0114『りかねる』8(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
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2017/07/09(日) 21:53:35.41ID:OKmK/q210
昼休み。
「ちょっと、長崎さん……いいかしら?」
菅井さんが、席に座って牛乳を飲んでいる長崎さんに声をかけた。
「ここではないところで……」
菅井さんは長崎さんを教室の外に連れて行った。

おそらく、菅井さんも気付いてる……。
怪我をした二人が、直前に長崎さんと話していた事。
しかも、長崎さんが普段の様子と違っていた事……。

でも、その時の私は想像していなかった……。
菅井さんまであんな事になるなんて……。

午後の授業。
昼食後でちょっと眠くなる時間帯……。

ふと、窓際の席を見ると、菅井さんが机に伏している。
菅井さんが持っていた筆記用具は床に転がった……。
菅井さんが居眠りだなんて……。
私はちょっと違和感を抱いた。

すると、菅井さんの身体が椅子ごと倒れた。ゴツンと鈍い音がした。
「……今、頭打たなかった?」
教室がざわつき始めた。
床に倒れた菅井さんの身体が小刻みに揺れ始めた。
「……うふふふ……」
私の頭の中に嫌な考えがよぎった。
菅井さんは身体を起こすと、笑い始めた。
「うふふふふふ……」
クラスのみんなは何が起きたのか把握できない状態だ。
先生も唖然としている。
菅井さんは大声で笑いはじめた。
「あはははははははは!」
次の菅井さんの行動はみんなを驚かせた。
菅井さんは、自ら床に激しく頭を打ちつけたのだ。それは何度も繰り返された。
周囲の生徒があわてて近づき、菅井さんの身体を押さえて動きをやめさせた。

教室の中はまさに蜂の巣をつついたようになった。

近づいていった石ノ森さんが、菅井さんの呼吸などを調べている。菅井さんは意識を失っているようだ。
腕時計を見て時間を計っていた石ノ森さんが叫んだ!
「救急車を!」

その後は授業になどならなかった。
どう考えても異常な事態がこのクラスで3件起こったのだ。
特に菅井さんの件は“あの人が”という点でも衝撃が大きかった。

「菅井様が……」
「あれ……怖かった……」
みんな口々に語っている。

私は長崎さんを見た。
あなたは菅井さんと何を話したの……いえ、それはいい。菅井さんに何をしたの?
0115『りかねる』9(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
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2017/07/09(日) 21:55:25.15ID:OKmK/q210
放課後の教室。
みんな散り散りに教室を出ていってるけど、私は長崎さんを待っていた。
「音楽室に来て欲しいの」
私は言った。
無視されるかもしれないと思ったけど、長崎さんはやって来た。

「長崎さん、菅井さんと何の話をしたの?」
私は一応聞いてみた。
「……知らない……」
長崎さんが言った。
「知らないわけがないじゃない……」
私が声を押しころして言った。
「……わからない……」
長崎さんはしゃがんで泣き始めた……。
泣く彼女を見るのは初めてだ。

すると、長崎さんが急に立ち上がった。

立ち上がった長崎さんは満面の笑みだった。
そして、幼い口調で言った。
「ねぇ、ねぇ! ねると……遊ぼう♪」
「ひぃ!」
私は思わず声を上げてしまった。
長崎さんは笑顔で私の方に近づいてくる。その無邪気な笑顔が……怖い。

私が後ずさりすると、長崎さんは急に胸を押さえると、ビクンと動いた。跳ね上がったように……。
まただ……乱れた髪の向こうの恐ろしい表情……。
「これ以上、オレに人を近づけるな!」
「オレは“三人目”……」
「“二人目”に気をつけろ……」
長崎さんは気を失った。

倒れた長崎さんを見て、齋藤先生と織田先生が話している。
「本当に、この子、心臓や脳の病気はないんですか?」
と、織田先生。
「病院の検査では……」
ちょっと困ったような齋藤先生。
私が、長崎さんが倒れた経緯について、また同じような事しか言えなかったので混乱を招いている。

スッと長崎さんが起き上がった。
「帰ります……」

「待って! 長崎さん! 私の車で送ります。尾関さん、あなたもちょっといいかしら」
私は齋藤先生が運転する車で長崎さんの家に向かった。後部座席には長崎さんが何も言わずに座ってる。

長崎さんの家に着いた。
呼び鈴を押すと、長崎さんのお母さんが出てきた。
私と先生は挨拶をした。

私たちはリビングに通された。長崎さんは2階にある自分の部屋に行ってしまった。
0116『りかねる』10(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
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2017/07/09(日) 21:56:23.02ID:OKmK/q210
「ご心配をおかけしています……」
長崎さんのお母さんが言った。
「今日もねるさんは何かの発作を起こして倒れたのですが……」
齋藤先生が言った。
「検査結果では……原因が特定できなかったと……」
長崎さんのお母さんが困ったように言った。
長崎さんが最初に発作を起こして倒れて病院に連れて行かれた時、齋藤先生はお母さんを呼び、一緒に検査結果を聞いたようだ。
「あっ、この子……この生徒ですが、長崎さんが最初に倒れた時に知らせてくれた子です」
齋藤先生が私を紹介した。
私は長崎さんが倒れた状況の事を説明した。またしても、変貌の事は言えなかった……。
「以前から急に倒れる事はあったんですか?」
私が聞いた。
「いえ……転校してからです……」
長崎さんのお母さんが言った。

私には聞きたい事があった。
「学校以外でこうなった事はあるんですか?」
「……ありません……」
私にはある仮定があったので、発作の話に混ぜて聞いてみる事にした。
「長崎さんがすごく小さな頃に、胸を強く打ったり、頭を打ったりしませんでしたか?」
この質問自体はどうでもいい……別に知りたい事がある。
「ねるが小さな頃……ですか……」
長崎さんのお母さんは言葉を濁した……。
「私たちは、ある時期以降のあの子しか知りません……」
「実は……」
「……私たちは継親で……あの子の実の両親ではないんです……」
齋藤先生が遮った。
「長崎さん……その件は……」
「構いません。お友達にも聞いていただいて……」
齋藤先生が私に念を押した。
「尾関さん、これから極めてデリケートでプライベートな話を聞くかもしれない……あなたはそれを誰にも言わない自信はある?」
私は頷いた。

「ねるはかわいそうな子なんです……。児童養護施設のかたから、あの子が以前酷い虐待を受けていた事を聞きました。
 心の傷がひどかったのか、うちに来た時はほとんど口をきかず、ずっと本を読んでいました」
「でも……その後、少しづつ笑顔を取り戻して、話もするようになりました……。
 小学校、中学校、高校……友達もできて、学校の成績も良く、とても素直ないい子でした」
「ところが……そう、欅坂女学園に転校させる前の事です……」
長崎さんのお母さんは最近の事を語り始めた……。
「前の学校で、ねるの友達が怪我をしたんです……それが、ちょっと不思議な状況で……」
私は大体の状況が想像できた。
「それで、教室でその怪我の報告を受けていた時に……」
長崎さんのお母さんは下を向いて首を振った……。
「あの子……ありえない態度をとったらしいんです……」
「ありえない……」
私が言葉を繰り返した。
0117『りかねる』11(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
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2017/07/09(日) 21:57:35.77ID:OKmK/q210
「あの……」
「…………」
長崎さんのお母さんはすごく言いにくそうにしている。
「笑ったらしいんです……あの子……大きな声で……」
私は、それは長崎さんであって長崎さんでない“何か”の仕業のような気がした。
「その後、無視と嫌がらせ……いじめが始まって……」
「あの子は暗く、元気もなく……まるで、私たちが引き取ったばかりの頃のように……」
「いたたまれなくなった私たちはねるを転校させる事にしたんです……」

「尾関さん、どうして長崎さんの子供の頃の話を聞いたの?」
帰りの車の中で、齋藤先生が聞いた。
先生は何か勘づいたようだ。
「感心しないわね……ああいうやり方……」
「それと、私が言った事、忘れてないわよね?」
「はい。個人情報は守ります」

私は同時に、自分の犯した失敗を後悔していた。あまりにも奇妙な出来事なので伏せた事があだになった……。
最初のトイレでの出来事は“ありのまま”話すべきだったのだ。長崎さんが別人のように変貌した事を……。
長崎さんが受けるべきだったのは……精神科医の診察だったのだ。

翌々日。
私は、図書館にいた。
(「オレは“三人目”……」)
あの言葉と、長崎さんのお母さんが言っていた事、私の中でこのふたつが結びついていた。
私は精神に関する本を何冊か読んだ。
長崎さんの状態に類似すると思われるのは、人格の交代だ。同一人物であるのに、性格ががらりと変わることがある。
一例としては、幼児虐待を受けていた人が、つらさなどを分離するために、自分の中に別人格を形成する事があるという。

基本人格と交代人格……。この基本人格(本来の人格)であり主人格(最も意識を所有する人格)が、つまり、いつもの長崎さんだ。
仮に“一人目”とする。時々出現する交代人格が“二人目”“三人目”。
“一人目”は“二人目”と“三人目”が現れている時の事は覚えていない。

私の体験上“二人目”と“三人目”側は基本人格である長崎さんを“見ていて”、長崎さんの記憶を共有している。
本の解説と違って、三つの人格が別々の記憶を持っているわけではないのだ。
“一人目”が会った相手、例えば私の事を“二人目”と“三人目”は知っている。
さらには、“三人目”は“二人目”の行動を“見ていて”知っている。

ただ、まだはっきりとわからないのは、あの恐ろしい目の“三人目”が言っていた言葉。
「“二人目”に気をつけろ……」の意味だ。
あの奇妙な出来事3件に“二人目”、幼い口調の長崎さんが関わっているのは間違いなさそうだ。
でも、そこからがわからない……。

もうひとつの疑問点。
神村さん、蒼、菅井さんの時には“三人目”が現れていないのではないか? という点だ。
私の経験では、“二人目”が現れたあと、長崎さんは胸をおさえてビクンと跳ね上がり、“三人目”が現れる。そして、その後、長崎さんは失神する。
失神騒ぎは私の前でしか起こった事がない……。
0119『りかねる』12(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
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2017/07/09(日) 22:00:17.50ID:OKmK/q210
次に登校した時。
昼休み、私は屋上にいた。
一人で色々と考えたい事があったのだ。
神村さん……蒼……菅井さん……。
すると、金網のところに立っていた私に背後から誰かが声をかけた。
長崎さん? ふと、振り返り、顔を見ると……満面の笑顔だった……。
「ねぇ、お話ししましょ」
長崎さんじゃない……。
“二人目”だ……。
ついに、来た……!
「あのね……ねる……さみしかったの……」
「でもね、今は遊んでくれるおねえちゃんがいっぱいいるから楽しいの……」

私は叫んだ。
「“三人目”出てきて!」
長崎さんは胸を押さえると、ビクンと跳ね上がるように動いた。
「…………」
長崎さんがすごい目つきで私を見ている。
「今日は“がんばって耐えて”、私と話をしてちょうだい」
「オレがなんだか……わかる……のか?」
「ええ……初めて見た時は驚いたけど……」
私は続けた。
「教えてちょうだい。長崎さん……そして、“二人目”の事を……」
「…………」
“三人目”は話し始めた。
「“一人目”は……虐待されていた……。
 両親を早くに事故で亡くして、遠い親戚に引き取られたんだが、それが酷い連中だった……。
 殴る蹴るの暴行を受けた上、檻みたいなものに閉じ込められて……メシも与えられずに、牛乳だけ皿に入れられて……犬みたいに一日過ごした事もあった」
牛乳……だけ……。
私は学校の昼食風景を思い出した。
「……そんな事が繰り返されていた時、不審に思った近所の連中の通報で“一人目”は助け出された……。その時にもう“二人目”はいた……」
「“二人目”は長い間眠っていた……“二人目”が出てきたのは……前の学校で、身近な人間に怪我をさせた時だ……」
怪我を……させる? やっぱり“二人目”は何かができる……。
「“二人目”は何ができるの!?」
「……精神……を……が……」
時間の限界が来てしまった?
「あなたが、私の前でしか出てこないのはなぜ……!?」
私が慌てて聞いた。
「……オレ……は……」
と言ったきり、“三人目”は黙ってしまった。
長崎さんは失神した。

私は、人を呼ぼうとしたが、長崎さんは少しの時間で目を開けた。
……だけど!
「おねえちゃん……♪」
長崎さんではなく“二人目”が戻ってきたのだ。

私は“二人目”に言った。
「ねるちゃん……ケガをしたおねえちゃんたちに何をしたの?」
「???」
“二人目”は不思議そうな顔をしている。
「遊んでもらった♪」
0120『りかねる』13(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
垢版 |
2017/07/09(日) 22:01:34.46ID:OKmK/q210
……もう、だいたいわかった。“三人目”が言っていた断片的な言葉、「精神を……」。今までのみんなの行動と症状。
“二人目”は、任意の相手の精神に影響を与える能力を持っている。

「おねえちゃん……この世界には“愛”しかないんだよ。みんないい人なんだよ……みんな、ねるを愛してくれるんだよ……ねるをいじめないんだよ……」
「だから……おねえちゃん……ねるを愛して……」
風が……私の身体を吹き抜けていった……。
私……は……。

次の瞬間、長崎さんは胸をおさえて跳ね上がり、“三人目”が現れた。
「最後の手段……“四人目”を……呼んだ」
「“四人目”をどう使うかは……」
そこまで言って、“三人目”は沈黙した。
長崎さんは失神しなかった……。

すると、そこには……今までで最も恐ろしい姿の長崎さんがいた……。
四つん這いになり、髪を振り乱し、首を不規則に振っている。
「あああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
長崎さんが叫んだ。これが……“四人目”……? 人外(じんがい)人格……。

“四人目”は私に襲いかかると同時に右手をすごい勢いで振った。私の顔を爪がかすめ、痛みがはしる。
こんなの……どうすればいいの?
私、逆に大ピンチだと思う……。
その時、“三人目”が、言った事を思い出した。
「“四人目”をどう使うかは……」
使う?
……まさか……。
私の予想が正しければ……これから私がやる事は長崎さんの人生に多大な影響を及ぼす……。
どんなに小さく見積もっても、長崎さんはもうこの学校に二度と来る事はできないだろう……。
私は迷った。
しかし、“四人目”は激しく襲いかかってくる。
なんとか攻撃を避けながら考えた。
長崎さんの生い立ち、長崎さんの笑顔……。
おそらくは、“一人目”だったであろう、トイレで自分の名前“ねる”の由来を語ってくれた長崎さん。

「がああああああああ!!!」
“四人目”が私の周りを回っている。
ごめん、長崎さん……。
ごめんね、長崎さん……。

私がする事は、戦う事じゃない……。
ひたすら……逃げる事!
私は走り出した。
0121『りかねる』14(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
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2017/07/09(日) 22:03:08.29ID:OKmK/q210
“四人目”が追ってくる。
「ぎゃおわあああああああああ!!!!!!!」
“四人目”は両手を激しく振り回し、廊下の掲示物を裂いた。

すぐにみんなの悲鳴が上がった。
「きゃあああ!」
「何あれ!」
「誰? 誰?」

私は廊下を走り回った。階段を上り、階段を下りた。

石ノ森さんが何か叫んでる「……を呼んで!!!」
「今度は長崎が……!?」
「きゃあ! あれ、長崎!?」
「ウソでしょ! 化け物?」

私はひたすら走った。

「あな! 逃げてぇぇぇ!」
「……は、まだ来ないの!?」

“四人目”はますます暴れ、校内のいろいろなものを倒したり破壊したりした。
学校は大混乱だ。
私が、もう疲れて走れなくなりそうになった時……。

“四人目”は、駆けつけた大人の人に取り押さえられた。

それと同時に“四人目”は沈黙したらしく、長崎さんの顔つきが変わった。

本来の長崎さんだ……。
「長崎さん……」
「……りかさん……あなたと友達に……」
長崎さんが私に話しかけている途中……満面の笑みになり言った。
「おねえちゃん、バイバイ♪」
“二人目”だ。
次に、長崎さんが、胸を押さえてビクンと跳ね上がった。
「……オレは……お前を……守りたかっ……た……」
“三人目”が苦しそうに言った。

長崎さんはそのまま気を失い、運ばれていった。
0122『りかねる』15(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
垢版 |
2017/07/09(日) 22:04:45.84ID:OKmK/q210
……数時間が経った……。

夕日が沈み、もう夜になろうという時間……。
私は学校近くの歩道橋の上で、行き交う車のライトを見ていた。

私は、長崎さんの事を思い出して、とても悲しい気持ちになった……。

どうして?
こんなに楽しい事はないじゃない……!

えっ、何それ……?
私、何を考えてるの?

そう! 世界は愛に満ちてるんだよね! みんないい人!
みんな大好き! 私はねるちゃんが大好き!
うん! なんだか、どんどん楽しくなってきた!

えっ、私、何を考えてるの?

ねるちゃんと遊びたい!

えっ? えっ? どういう事?

楽しいだろうなぁ、早くねるちゃんと遊びたい!

えっ、私は私の事がわからない……。

笑い声がする……。
誰の?

私だ……私の声だ……。
私……笑ってるの……?

笑い声はどんどん大きくなっていく……。

次の瞬間、私の意識は途切れた……。


『りかねる』(完)

--------
注1・作中のDID(Dissociative Identity Disorder)の解説は実在のものと異なる部分があります。
注2・作中、MRIを含めた脳検査で異常が発見できないといった表現がありますが、設定上のフィクションです。
注3・(おまけ)『てくねる』と共通・類似したシチュエーションやセリフがありますので、読み比べすると楽しめます。
0123名無しって、書けない?(茸) (スフッ Sdbf-3CgV)
垢版 |
2017/07/09(日) 22:05:47.51ID:2z7oI2ZBd
SPEC的な…なんかこう…
ゾクゾクする怖さ希望。
0124名無しって、書けない?(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
垢版 |
2017/07/09(日) 22:10:30.96ID:dn8amZBRa
めっちゃダークw
0125名無しって、書けない?(広西チワン族自治区) (ガラプー KK4f-nkaJ)
垢版 |
2017/07/09(日) 22:13:36.27ID:49cjwYiCK
>>122
大作お疲れさまでした
思わず引き込まれてリアルタイムで追いながら読んだ(笑)

それにしても
四人目の姿を皆の前で現して捕らえられたねるがその後どういう措置をうけるか
そして歩道橋の上で精神の変容を来した主人公がなぜ意識を失ったのか
想像すると…(;_;)
0126名無しって、書けない?(東京都) (ワッチョイ ff6c-jTKI)
垢版 |
2017/07/09(日) 22:51:10.57ID:AvbvKgM/0
ブレーンワールド(その7)
「長濱ねるさんのお兄さんですか?」と寮の管理人のオバサンは興味なさそうに言った。
嘘がばれないかとひやひやして落ち着かず俺は周りを見渡した。
後ろを振り返ったとき、門の外にはサラリーマン風の男がこちらを怪訝そうに見ていた。
そりゃーそうだろうな女子寮の中に若い男がいる現場に遭遇したら。

あの日、メール交換してから二人とは池袋の駅で別れた。
がっついていると思われたくないため、1週間はあえてこちらから連絡するのはよそうと心掛けていた。
この日の朝、ねるからの表示でスマホが鳴った。
喜んで勇んで出ると、ねるではなくウザ女が名乗りもせずいきなり言った。
「ねるがストーカーに狙われてんの。あんたさ、今日、暇だったらうちらが住んでいるとこ来てくれない?」
え?またあの美人たちか?それとも別の?何にせよ可愛いコが必ず絡んでいるようだから、
ねるには思いが届かなくても、そういうコたちと何らかのつながりが持てるかもしれない。
俺に異存はなかったので二つ返事をした。
しかし、ねるとウザ女は二人とも長崎県人会が運営する女子寮に住んでいて、そこに来てくれという申し出を知って断ろうとした。
「大丈夫!目付のおばさんはいるけど、関係者であると名乗って、寮の中にいる本人がOKすればフリーパスだから。アンタ、今日からねるのお兄ちゃんね!」

受付にやって来たねるにオバサンが確認したら、すんなり通ることができた。
3階の東南の角部屋でねるとウザ女は同居しているとねるは教えてくれた
部屋に入ると、閉め切ったカーテンの隙間からウザ女が外を見ていた。
俺の姿を見ると、挨拶もなしにいきなり言った。
「いまストーカーがいたのよ、アンタ、見なかった?」(続く)
0127名無しって、書けない?(東京都) (ワッチョイ ff6c-jTKI)
垢版 |
2017/07/09(日) 23:04:11.54ID:AvbvKgM/0
ブレーンワールド(その8)
「いや、今日はこの間の二人も、それらしき女性も見ていない」
「はは〜ん、アンタ、あの時の二人に会えると踏んでここに来たというわけね」
なんでもストーカーというのは若い女性ではなく、中年のサラリーマン風の男だという。
「もしかしたら会ったかもしれない。受付にいるとき、振り返ったら、それらしき男と目が合った。だけど、ストーカーのようには見えなかったが」
「どういう感じの人でした?」とねるが訊いた。
さっき会ったばかりの男の顔を頭の中で描こうとしたができなかった。
「どこでも見かけるような平凡なスーツ姿で特徴のないような顔をしていたかな」
二人は目を見合わせて、ウザ女が口を開いた。
「ソイツよ、間違いない。しかもそういうのが何人もいるの!最初、それを聞いたときにはねるの勘違いだろうと思った。
でも、カーテンの隙間から見張っていたら、たしかにそうだとわかった。この部屋の方向に一瞬だけ怪しい男が目をやっていることを何度も確認したんだ。
特徴のない顔をしているけどよく見ると別人だというのがわかる。そういうのが3、4人でいつも見張っている」
「ねるちゃん、ピザ屋さんが来たわよ」と部屋内のインターホンから管理人のオバサンの声が聞こえた。
「もうお昼ですね、ゴハンにして、その話はあとでまたしません」
ねるはそう言って部屋を出て行って、ピザを持って戻ってきた。(続く)
0128『○○ねる』の人(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
垢版 |
2017/07/09(日) 23:17:47.61ID:OKmK/q210
>>123-125
お読みいただきありがとうございました。

【つぶやき】

・『てくねる』でサブヒロインだった神村莉菜を真っ先に酷い目にあわせる事で、この展開、このラストの覚悟をしました。

・志田さん(今回の名前は岸田さん)の扱いが相変わらずよくないですが、他意はありません。

・ねるさんって本当になんでもやらせられますね。ご本人には迷惑な話かもしれませんが。と、また同じ事を……。

>>125
最後、鈴本美由紀のセリフがあったのですが、フィクションとはいえ実在人物をベースにしている以上、それはないだろうという事でカットしました。最後に主人公がいた場所が関係します。

『○○ねる』の次があるとしたら、長崎ねるには明るくて元気な人の役を演じさせたいです。『てくねる』『りかねる』と二作、暗い人だったので……。
0129名無しって、書けない?(東京都) (ワッチョイ ff6c-jTKI)
垢版 |
2017/07/09(日) 23:21:41.97ID:AvbvKgM/0
ブレーンワールド(その9)
食事時にストーカーの話はまずいと思ったのか、ねるが別の話題を振った。
「この間の質問タイムの先生のお話はちょっとぶっきらぼうな感じがしました」
「ああ、あのセンセ、超常現象なんかは疑似科学であるといつも切り捨てている。パラレルワールドなんて論外」
「パラレルワールドの存在は信じていらっしゃいません?」
「俺がどうかってこと?個人的には信じていないな。あったほうが面白いだろうし、地下室民の尊厳のためにはあったほうがいいだろうけど」
「チカシツミンってなに?」とウザ女が訊いた。
「この間、ねるさんがアイドルオーディションを受けたと知ってちょっと興味が出て、2ちゃんのアイドルのスレッドを覗いてみた。
そしたら、あるアイドルのスレッドにすごい罵詈雑言が書かれていて、その原因となる行動の動画もそこに貼られていた。
何かよっぽどのことをやらかしたんだろうと思って見てみたが、仲のいいアイドルどうしが戯れているだけ。
たしかに『もう歳だよ』とか、相手が言ったことを受けて流すということもあったが、微笑ましい光景にしか思えなかった。
ところが、地下室民は狂ったように糾弾を繰り返している」
「だからチカシツミンって、何?」
「ドストエフスキーの『地下室の手記』の主人公と同じように、恨み言や繰り言を重ねる連中のことを言う。ある評論家がそう名付けたんだけどね」
「何も悪いことしていないアイドルさんがなぜそんな酷い目に遭わないといけないでしょうね?」とねるの目に悲しみの色が浮かんだ。
「いろんな要因があると思う。人は自分が発した言葉に影響を受ける、承認欲求、屑どうしの連帯感、屈折した達成感などなど。
おそらく切っ掛けは自分でもどうでもいいと思っているようなことだったんだけど、たまたま悪口を書き込んで、その自分の言葉に影響を受けてしまう。
そいつと同レベルの知能の追随者が現れると自分が承認されたかのような恍惚感が生まれる。
そういうのを何人か呼び込んで、増幅され、共鳴してうなりがつくられる。
一度集まって団結力が出ると、絶対に許さないとなって苦情ユニオンをつくってしまい、ブログで謝罪しろなどと身勝手な要求を貫き通こうとする」
「かわいそうに」とねるはいっそう悲観した。
「ああそういうキチガイクレーマー集団に狙われたアイドルはホントかわいそうだよね」
「そのアイドルさんもですが、苦情を言う人たちが哀れでなりません。もし私が狙われたなら、その人たちを救うため喜んで謝罪します」
「ねるさん、・・・。あえて言うけどそれは間違っていると思う。
理不尽な苦情に屈すれば、苦情を持ち込むことが趣味のクレーマー集団に達成感を与え、
その恨みがましい魂に膿が分泌され、また新しいターゲット叩きが始まる。
さらに悪いことにその苦情を勝ち取ったということを素晴らしいと錯覚した地上民の一部を地下室民に転落させることになるかもしれない」(続く)
0130名無しって、書けない?(東京都) (ワッチョイ ff6c-jTKI)
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2017/07/09(日) 23:35:03.81ID:AvbvKgM/0
ブレーンワールド(その10)
「そうですね、その通りだと思います。私が間違っていました。
でも、パラレルワールドの存在がそういう人たちに尊厳を与えるというのはどういうことですか?」
「ねるさん、こういうこと考えたことない?あの時の人生の分岐点で別の選択肢を取っていたらといったような。
大小さまざまな選択の繰り返しで、いつの間に思っていた方向と大きく食い違っている所に来てしまったというような」
ねるの唇がピクっとかすかに動いたが、話を続けた。
「もしパラレルワールドが存在し、たとえ行き来できなくても、その様子が見られるとする。
この世界では惨めである自分だが、その分身が別世界では成功している。
また、この世界ではエスタブリッシュメントである者が別世界では零落している。
そうすれば自分と成功者の差異なんてただの偶然にすぎないというように尊厳を保つことができる」
「でもさ、いくら分身が成功していても、現実はビンボー人の生活苦だよね、そんなんで本当に尊厳なんて保てる?」
ウザ女にしては鋭いな。
「今の日本で餓死することのほうが難しいと思う。
それに連中にとっちゃ、訳の分からない高級料理とカップ麺やコンビニのおにぎりの味の区別はつかないさ。
豪華客船の世界一周よりも部屋に閉じこもってプレステ4をやるほうを好むだろうし。
生活面の充足感は問題ないんだから、あとはパラレルワールドを見てオナ(絶句)」
ウザ女がはニヤリとしたが、ねるはどうしたのというようにきょとんとした。
「あとはパラレルワールドを見て自己満足していればいい」
調子に乗りすぎたな。ねるが顔を赤らめないで済む言葉を慎重に選ばないと。
それ以前に、攻撃的でダークなことを言い過ぎた。ねるに軽蔑されていなければいいが。(続く)
0131名無しって、書けない?(東京都) (ワッチョイ ff6c-jTKI)
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2017/07/09(日) 23:50:47.69ID:AvbvKgM/0
ブレーンワールド(その11)
荒んだ雰囲気を変えようとしたのか、ねるはテレビを点けた。画面には鳥居坂46が映し出された。
あわててウザ女がチャンネルを変えようとしたが、ねるは止めた。
「もう大丈夫。今はあのときの私を俯瞰で見ることができる。自分は入りたかったんだったけ?という感じで、あのときの私はもう他人」
人の心の微妙なあやを読むことができない無神経なウザ女は鳥居坂を話題にし始めた。
「このセンターのコ、そんなに可愛いって思う」
これだけ席巻している鳥居坂を話題にしなければならない場にねるが出くわす機会は今後も多いだろう。
その度いちいち落ち込んでいたら、生活にも支障が出てくる。慣れてもらったほうがいい。そう思って、その話題に乗った。
「一般人としてならかなり可愛い、でも、この美少女集団の中で目立つかというとクエスチョンマークかな」
「そうなんだよね、このセンターの原田まゆってコ、そんなに可愛くないんだよね。なんでもアツツの鶴の一声で急に決定したんだって」
「アツツ?」
「知らない?鳥居坂をはじめとしていくつものアイドルグループのフィクサーをしている安本敦。
親んでいるのか軽んじているのかヲタからはアツツって呼ばれている」
「ああそれなら知っている。『握手御殿』と揶揄されている総額10億以上にもなる大邸宅を建てたとかいうのを聞いたことがある。
そういえば、その安本敦が関係するアイドルグループは毎週のように週刊誌にスキャンダルが載っていたのに、最近は全くないなあ」
「それはよく話題になる。不思議なことにちょうど鳥居坂がデビューした前後でそうなったんだよ。
そうそう思い出した、当初は中学二年生の女の子がセンターに決定していたという噂もあった」
「そのコの今のポジションは?」
「辞めちゃった。なんでも不動のセンターという確約をそのコにもその親にもして、逃げないように囲い込みしたんだけど、
確約したほうが約束破れば、そりゃー怒って辞めるよ。逸材だったらしいけど」
「なぜ、そんな逸材を辞めさせるような事態を招いてまで、その原田まゆをセンターにしたんだ?」
「知らないの?有名な話だよ」
そのとき、黙ってやり取りを聞いていたねるは持っていたグラスを手から滑らせ、その破片とコーラが床に広がった。
あわてて二人は掃除することになったので、再び原田まゆを話題にすることはなかった。(続く)
0132名無しって、書けない?(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/10(月) 00:21:32.59ID:aB1CqM20a
>>131
乙でありますm(__)m
0133イタコの理佐ちゃん9 第57話(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/10(月) 00:25:03.79ID:aB1CqM20a
「そのダンボール箱って・・・もしかして?」
前を歩くWワタナベを見ながらもなちゃんが聞いてくる

「うん、軍人さんが許嫁に戦地から出してた手紙」
「持ってきたんすか?」
「なんとなく軍人さんに見せてやりたくてさ」

そんなこと話ながら軍人さんと初めて会った桜の木の下へ

ここで軍人さんと出会ったせいで理佐ちゃんが俺の記憶失っちゃったんだよな・・・

桜の木を見上げながら感慨に更ける俺

それから色々あってちょっとだけ俺の記憶が甦りそうになったけど・・・
結局未だに俺の記憶は失くしたままの理佐ちゃん

しかも、新聞やなんかで守護霊になる前の生前の俺の悪党人生を知っちまった理佐ちゃんが
ちょっと俺に距離を取り始めて冷たいのも切ない俺

「俺君!そっちじゃないよ」
理佐ちゃんが俺の見上げてる桜の木とは違う桜の木を指差してる

「みんな同じ桜だから分かんなくなっちゃうよ」って照れ笑いする俺

「俺君が観察力無いだけだよ」
ってやつぱり冷たい理佐ちゃんだけど好き
0134イタコの理佐ちゃん9 第58話(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/10(月) 00:29:00.29ID:aB1CqM20a
理佐ちゃんの指差す桜の木の陰から軍人さんがこっちを覗いてる

「軍人さんどうしたんだろ?」
なかなか近づいてこない軍人さんに理佐ちゃんが不振がる

「やっぱりババアになっちゃってるからガッカリしちゃってんのかな?」
って梨加ちゃんのひいおばあちゃんを指差す俺

「ババアとか言ってんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん

「俺君連れてきてよ」
って理佐ちゃんに言われて軍人さんの元へ

「なにやってんすか?」
桜の木の陰に隠れる軍人さんに声をかける俺

「連れてくるなんて思わなかっから心のの準備が・・・」なんてモジモジしてる軍人さん

「心の準備って・・・もう70年以上準備してたんじゃないんですか?」
「分からん、自分でも何がなんだか分からん」って首を振る軍人さん

なんやこいつ?てめぇが連れてこいって言うから連れてきてんのに・・・

「ちょっと冷静になりましょうよ」って軍人さんを落ち着かせる俺

「よく見てくださいよ、相手もうババアですよ?緊張するほどのもんじゃないですよ」
「貴様!めくらか?どっからどう見てもあの頃のままの許嫁じゃないか!」
怒声と共に軍刀を引き抜く軍人さん

え〜っ!?こいつまさか梨加ちゃんとひいおばあちゃんを勘違いしてんのか?

「ちょっ、ちょっと危ないからそんなもの振り回さないで〜」って逃げる俺

「帝国軍人の刀の切れ味思いしれ」なんて叫びながら軍刀をふり下ろす軍人さん

ヤバい!と思った瞬間

理佐ちゃんが俺の前に飛び込んできそうだから好き
0135イタコの理佐ちゃん9 第59話(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/10(月) 00:44:05.01ID:aB1CqM20a
「俺君!」
って叫びながら理佐ちゃんが俺を庇って軍人さんの前に立ち塞がる

「ねぇちゃんと見て!俺君の言う通りババアだよあんたの許嫁」
って梨加ちゃんの隣のひいおばあちゃんを指差す理佐ちゃん

「あのババアが私の許嫁?どう見ても隣の美人が許嫁に見えるんだが・・・」って呟く軍人さん

「図々しいこと言ってんじゃねーよ」って軍人さんにドス効かす理佐ちゃん

「軍人さん幽霊だから若いけど実際は凄いお爺ちゃんなの、そんなお爺ちゃんが若い女の子の方が許嫁に見えるとかキモいよ」

理佐ちゃんの飾らない言葉に冷静さを取り戻す軍人さん

「取り乱したようだ、すまない」
素直に理佐ちゃんに謝る軍人さん

「戦地で苦労したわりに短気が治っていませんね」
いつの間にかひいおばあちゃんが近づいて軍人の話しかける

「俺君に怪我させたら理佐ちゃんに何されるか分かりませんよ、聞いた話だと綺麗な顔してかなり乱暴なお嬢さんなんですから」
なんて笑いながら軍人さんと理佐ちゃんを見比べてる

「お久しぶりです」
改まって軍人さんに挨拶するひいおばあちゃん

いつの間にか姿が若い頃に戻ってる
軍人さんが間違うのも仕方ないかってぐらい梨加ちゃんそっくり

「約束を守れず申し訳ない」
そう言って頭を下げる軍人さん

涙を流しながらそんな軍人さんに首を横に振るひいおばあちゃん

「私の方こそ幸せな人生で貴方に申し訳ないって思ってたの」
「何を言ってるんだ、貴女が幸せな人生を歩んだのがせめてもの救いだったんだよ私には・・・」

俺のこと刀の錆にしようとしたくせしやがって浸ってんじゃねぇやって
軍人さんの手紙捨てちゃう俺

「捨ててんじゃねーよ」って止める理佐ちゃん

「ねぇ私が乱暴ってどういう意味」って俺を詰める理佐ちゃん

命がけで俺を庇ってくれた別人のように恐い理佐ちゃんに謝る俺

理佐ちゃんの機嫌が直る頃には軍人さんもひいおばあちゃんも姿が消えていた

「梨加ちゃんありがとう、お陰で軍人さん成仏出来たみたいだわ」
って梨加ちゃんお礼言う俺

理佐ちゃんから状況を説明されてもぽかーんとしている梨加ちゃん

「あっ、私ここで降ろして」
神保町の駅の前で車降りると言い出す理佐ちゃん

「えっ、一緒に梨加ちゃん送ってかないの?」
「ごめん、手紙さんと約束してたんだ」
って手紙男とデートの理佐ちゃんだけど好き
0136イタコの理佐ちゃん9 最終話(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/10(月) 00:51:29.41ID:aB1CqM20a
「理佐ちゃん・・・軍人さんの桜の木覚えてましたね」
梨加ちゃんを送り届けた帰り道
突然もなちゃんが呟く

「俺君関係の記憶みんな無くなってたのに・・・」不思議そうに呟くもなちゃん
「理佐ちゃんの記憶戻ったのかな?」
「うーん、どうだろ?戻ってたらまたイチャイチャするから戻ってないのかなw」
って結局笑い出すもなちゃん

「それより理佐ちゃんと手紙さんどうなってんですかね?」
「さぁ正直知りたくもないんで全然分かんない」って守護霊失格な俺

もなちゃんを送り届けてヤクザの幹部をサウナに置いてくる
いつものルーティンをこなして理佐ちゃんの部屋に戻ってきた俺

どうせ理佐ちゃんは手紙男が茨城の実家に送り届けるだろうから心配あるまい

本当なら俺も茨城の実家に瞬間移動したいとこだが今日は理佐ちゃんに会いたくない気分だからとぼけちゃう俺

「ねぇ帰り遅くない?」
って理佐ちゃんが部屋で待ち構えていた

「実家に帰ったんじゃないの?」
「ううん、明日から仕事復帰するから」
「そうなんだ」

「俺君大丈夫?」
唐突に聞いてくる理佐ちゃん

「なにが・・・?」
「なんか元気ないからさ」
「そんなことないよ」って強がる俺

「ねぇヤキモチ妬いてんでしょ?」
って俺をからかう理佐ちゃん

「今日手紙さんと会ったのはデートじゃないからね、誤解しないでよ」
「えっ、デートじゃないの?」ってちょっと嬉しい俺

「やっぱり誤解してた」って笑う理佐ちゃん

「俺君のこと色々調べてもらってたの手紙さんに」
「俺のこと?」
「うん、私の知ってる俺君と新聞やニュースの俺君のギャップが謎すぎるからさ、それに私も記憶の空白埋めたいし」

やっぱり俺の記憶戻ってないのか・・・

でも今はそんなことより理佐ちゃんの俺への思いやりに感動する俺

「あとさ、今日から俺君は寝室出禁ね」
って突然言い出す理佐ちゃん

やっぱり冷たくなってるけど好き
0137反省の弁(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/10(月) 01:01:34.39ID:aB1CqM20a
イタコの理佐ちゃん9は前スレの文字数制限の影響で意図してたのと全く違った話になってしまいました
1話1話刻んだ結果グダグダな展開になってしまい非常に不本意な終わり方に後悔です(泣)

もっと梨加ちゃんの場面あったはずなのに名前だけ使ったみたいになってしまって
梨加ちゃん推しの方に申し訳ない気持ちでいっぱいですm(__)m
0138名無しって、書けない?(広西チワン族自治区) (ガラプー KK4f-nkaJ)
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2017/07/10(月) 15:48:54.56ID:oyE/5g8dK
>>137
大丈夫やで。大丈夫やで。
また1から書き直してもええんやで。←悪魔の囁き
0139名無しって、書けない?(茸) (スフッ Sdbf-3CgV)
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2017/07/10(月) 16:02:26.98ID:zZaPM3gSd
>>137
>>138
そうですそうです。また一から書きはじめたっていいんです。

それか、アレやってくださいよ。
バッドエンド回避のために何回も時をループするやつ。
0140名無しって、書けない?(愛知県) (ワッチョイW f7d8-Wxq/)
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2017/07/10(月) 20:12:00.52ID:+A437lTQ0
>>139
題材的には僕だけがいない街みたいなやつですよね。
ああいうの、書いてくれたら面白そうですよね
0141名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ b757-zXdO)
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2017/07/10(月) 20:56:21.36ID:9XEnQ7VP0
>>139
俺もそういうの見たい
0142名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ b757-zXdO)
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2017/07/10(月) 21:05:47.43ID:9XEnQ7VP0
『べーかりーぺー』

ある日のこと、確かフランスパンの生地の発酵が終わって、これからその生地を伸ばそうとしていたときだったと思う。
ひとりの女の子が店に入ってきた。
その日は大雨のせいで、客足が遠のいていたから、パンがまだ売れ残っていた。
彼女は店に入るなり濡れた長い髪をタオルで拭い、横にあるトングに見向きもせず突っ立っていた。
キョロキョロと周りを見回し始めたので、何か目当てのパンでも探しているのかと思ったが、視線がちょうど私のところで止まった。

「いらっしゃいませ〜」
私は生地を片手に言った。その時は彼女がただのお客さんだと思っていたので、再び生地を捏ね始めた。
3回ほど生地をプレスしたところでまた顔を上げると、彼女はこっちを見ていた。
私と目が合うと、彼女は何か言いたげに口を少し開けた。
「あの‥何かお探しですか?」私は聞いた。
彼女は黙って首を振った。そしてギュッと両手を握って、ようやく口を開いた。
「あの、アルバイトの募集ってしてますか?」
「ああ、アルバイトですか。座って」

私の店は開店して半年の個人経営であるため、アルバイト制度はとっていないはずだった。
ところが、なぜか彼女を目の前にして、「今、立ち去ってほしくない」という衝動にかられたのだ。
彼女の動きには何か特別なものがあった。
上手く説明できないが、言動、仕草、雰囲気が何となく異様で、何かが特別だった。
そして、彼女と私の間に何かしらのシンパシーを感じた。

私は彼女を厨房の隅のテーブルに案内し、メロンパンとフランスパンを皿にのせて、紅茶と一緒に彼女に差し出した。
「実を言うとね、アルバイトは募集していなくてね。見ての通り、この規模でほそぼそとやっているから。」
「そうですか‥」
「でもせっかく来てくれたんだ、せめて志望動機だけでも知りたいな。何でまたこんな小さな店に?」
「このパンが好きだからです」
彼女は笑顔で目の前のパンを指差した。
私は嬉しかった。
フランスパンというのは、小麦粉、水、塩、イーストだけの単純なつくりだが、奥が深い。だからフランスパンを褒められれば、パン屋としてこれほど嬉しいことはない。

「なるほど。まあ、食べて」
「いただきます」
彼女は小さい声でそう言うと、メロンパンの方を手に取った。
どうやら、先ほど彼女が指差したのはフランスパンではなくメロンパンの方だったらしい。
「メロンパンが好きなの?」
「はい!」
これまでの小さな声は何だったんだというくらいの、大きな返事が帰ってきた。
そして、その輝いた瞳を見た時、彼女がとんでもない美人であることに気がついた。
途端に彼女の一挙手一投足が愛おしく見えた。メロンパンを食べる仕草はとてもかわいいし、紅茶を飲む所作はある程度の品格が伴っている。
やはり、私に似ている。
彼女はメロンパンを食べ終わると、財布から小銭を取り出し私に差し出した。

「いいよ。これはプレゼント」
「ホントですか!ありがとうございます。じゃ、そろそろ‥」
「待って。名前は?」
「みなみです」

これは、わたし「べーかりーぺー」店長渡辺梨加と、とある少女みなみちゃんとの、ちょっとした出会いのエピソード。
0143名無しって、書けない?(愛知県) (ワッチョイW f7d8-Wxq/)
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2017/07/10(月) 21:34:11.06ID:+A437lTQ0
尾関梨香×平手友梨奈
愛のないエロが含まれておりますので閲覧割とマジで注意です。



また、今日もだ。
今日も、てちこに呼ばれる。
『今から体育館倉庫に来て。』
私は今までなにか勘違いをしていた。
彼女は、てちこは、心の闇がないと思っていたんだ。
でも、彼女と深い奥底まで関わっていると、脆くて、すぐ壊れそうだけど、怖い、闇があったのだ。
そんなことを考えているうちに体育館についた。
「てちこ??」

「尾関、遅い。」

「ごめんね。ちょっと用事があって。」

「そっか。じゃあ__脱いで?」
毎回、この言葉に私はためらいを感じる。もう、慣れたはずなのに。


とりあえず寝るのでまた明日か金曜日に。
0144名無しって、書けない?(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/10(月) 21:58:22.03ID:MZZsrKtFa
>>138
確かに悪魔の囁きだ〜w

>>139
>>140
>>141
タイムリープ使えばイタコの理佐ちゃんをハッピーエンドに出来そうですねw

次で試してみます
0145名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ b757-zXdO)
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2017/07/10(月) 22:55:28.62ID:9XEnQ7VP0
『高2の軍曹』 第27話

紺色のワンピースが笑顔で迫ってきた。
不器用なスキップと髪をとめる大きなリボンがカンガルーを連想させた。
僕は身構えた。
万が一、前蹴りでもかまされて、後ろにある噴水にでも落とされたら、その時点で楽しいお買い物も終了だ。
ワンピースから伸びる足は次第に速度を上げ始め、今度は彼女自信が噴水に突っ込むのではないかと心配になった。

「買ってきたよー!どっちがいい?」
茜ちゃんは、噴水の向こう側の人が振り返るほどの大声でそう言った。
右手にいちごクレープ、左手にバナナクレープを持ち、目線はいちごを捉えている。
「どっちでもいいよ」
僕がそう言うと、茜ちゃんはバナナクレープを差し出した。
数時間、振り回された挙句、買ったのはこのクレープ二つだけ。
このままでは、電車賃のほうが高くつき、何のために遠出をしたのかわからない。

「こんなことして、楽しい?」
バナナクレープをじっと眺めて、僕は聞いた。
「私は楽しいよ」
お手本のように鼻先にクリームをつけた茜ちゃんが答えた。
「鼻についてるよ」
「とってよ」
僕は薬指で茜ちゃんの鼻先を軽くこすり、「ほら」と言って茜ちゃんの前に差し出した。
すると、茜ちゃんがその僕の指を舐めた。そして、僕に向かって照れ隠しのビンタをした。
理不尽にも程がある。

それだけのお話。
0146名無しって、書けない?(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/10(月) 23:12:34.02ID:MZZsrKtFa
>>145
理不尽過ぎるやろ〜w

>>143
ドキドキしてたらまさかの肩透かしワロタwww

>>142
最後までぺーちゃんがお客さんだと思ってました
0147欅学園の理佐ちゃん(パラレル編9)(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/10(月) 23:34:57.72ID:MZZsrKtFa
「入学した時からずっと好きだったから・・・俺君のこと」

そんなこと言う理佐ちゃんと手を繋いだままドキドキが止まらない俺

「クラスに男が俺しか居ないからかな?」
なんて訳の分かんないこと言っちゃうほど恋のドキドキに支配されてる俺

「違うよ、俺君だから好きになったんだよ」
俺の目を真っ直ぐ見て言う理佐ちゃんにますますドキドキが止まらない俺

胸の高鳴りが理佐ちゃんへの恋心を募らせて思わず繋いだ手に力が入る俺

「痛いんだけど・・・」
なんて困りながらも繋いだ手を振りほどこうとしない優しい理佐ちゃん

「ごめん」慌てて理佐ちゃんのその手を離そうとする俺

「離さないでよ」って唇を尖らせて拗ねる理佐ちゃん

「あっ、ごめん」って再び謝る俺に

「何回謝ってんのよ」
って苦笑いしながら俺の手を握り直す理佐ちゃん

理佐ちゃんの手から伝わってくる柔らかい温もり
ヤバいぐらいに理佐ちゃんを好きになってくのが分かる

手を繋いで歩くだけでこんなに幸せにしてくれる理佐ちゃんは
どうしようもない俺に降りてきた天使なのかもしんない

なんて思わず理佐ちゃんの手をギュッて握っちゃう俺に

「汗ばんでんじゃねーよ」
って可愛く笑いながら俺の手を握り返してくれそうだから好き
0148名無しって、書けない?(空) (ブーイモ MMfb-aO8v)
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2017/07/10(月) 23:57:28.89ID:X5/aIWOEM
『Step outside, summertime's in bloom』

海と部屋とを隔てる明障子が白み始めた。星辰が皓々と瞬く紺色の帳はいよいよ西の空に引き摺られつつあるようだ。
薄暗い室内に目をやると、幾人かの学友とともに齋藤が幸せそうな顔で眠っていた。
俺はその顔がよく見えるように、その障子戸を少し開けて早晨の柔らかい光を注ぎ込んだ。
陰影を得た彼女の生き生きとした寝顔が、磁器のように白い頬が、静かに聳やぐ鼻梁が、しかし、俺に予期せぬ悔恨の念を与えた。
ああ、どうして俺はこんな単純な思いをさえ伝えることができなかったんだろうか。

大学最後のこのゼミ合宿に俺は懸けてきた。海沿いの最高のロケーションは教授を説き伏せることで何とか実現した。
夜の浜辺での花火を企画したのも俺だ。ここでロマンティックな雰囲気を演出して一気に事を運ぶ手配も整えた。
準備は万端、シミュレーションは何度も、あらゆる場合に分けて綿密に行って完璧に仕上げた。
人事は尽くしたと思っていた。だが、最後の一手、ほんの少しの、大いなる勇敢さだけを持ち合わせていなかった。

その後の宿での自棄酒にも関わらず、絶望は俺を睡下に留めようとしなかった。
窪んだ眼窩の裡に不快な苦痛を覚えながらぼんやりと外の海を眺めた。
東の波に未だ沈んでいる旭光に赤らめた空では、明星が過ぎゆく時から逃げるように忙(せわ)しく輝いていた。
星の声が聞こえてくる。「日出までまだ時間はある!そのときまでは輝くことを許してくれ!」
何だか不意に夏の黎明を抱きしめたくなった俺は、ホテルから抜け出して海沿いを散歩した。

つづく
0149名無しって、書けない?(空) (ブーイモ MMfb-aO8v)
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2017/07/10(月) 23:58:07.96ID:X5/aIWOEM
つづき

浜辺は夏の予感に満ちていた。蒸しているのに涼しい。だが、その紗の向こう側では、ほどなくやって来るであろう喧騒の影が嬉しそうに小躍りしている。
かつては大好きだったこの感覚が、なんだか今は急に余所々々しく感じられた。
波が砂を撫でる音が静かに響いていた。その伴奏の上を走っているらしい足音が背後から近づいてきた。
振り向くと齋藤が、そこにいた。駆けてきたからか少し汗ばんだ額をハンドタオルで拭っていた。
「散歩?出て行くのが見えたから、、、。一緒に歩いていい?」
「もちろん。いいよ」
突然の僥倖に心ときめいたが、しかし、何故だかそれ以上言葉を発することができなかった。
いや、あるいは彼女が俺に自覚させる惨めさがそうさせたのかもしれない。

しばらく歩いた。日出はとうに過ぎた。朝焼けが凪の海にそのまま映っていた。横から射し込む光に彩られた齋藤は、いつにも増して魅力的だった。
そのとき、左手に何か温かいものが触れた。彼女の手らしかった。俺は黙ってその手を握った。

相当歩いた。凪の時間は終わって、波が再び砂を削り始めた。
俺たちは手をつないだまま無言でホテルとは反対側の浜まで歩いてきた。
「・・・そろそろ戻ろうか」
俺が切り出すと、それを言い終えるか終えないうちに齋藤はつないだ手を解いて二十歩程駆けた。
そして、少しむっとした顔でこちらを振り向いた。いや、ひょっとすると照れていたのかもしれない。
そんな顔で振り返らないでくれ!何かに急き立てられるように、俺は意を決して、昨日言えなかった言葉を叫んだ。
しかし、俺の小さな心臓は十分な声量を与えてくれなかった。
浜のすぐ背後まで迫った林からどよめす蝉の声がすべてをかき消した。
彼女は一緒きょとんとしたが、少しして笑い始めた。
これでよかったのかもしれない。
沖ではケープサイズのバルカーが黒い煙を吐きながら商港を目指して波を切っていた。

おわり
0150『るねねる』1(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
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2017/07/11(火) 01:43:34.51ID:cuzhWmju0
私は長崎ねる。今、就職面接に向かっている最中だ。
今日、私が受けるのは芸能関係の会社。

実は私は就職活動の序盤、本命だった大手商社の役員面接で落ちてしまったのだ……。
偉いおじさまたちの質問に緊張していたらダメになってしまったのだ。
大学まで勉強一筋で来たため、彼氏すらいた事がない。恥ずかしながら告白すると……男性がちょっと怖いのだ……。

その後、何十社も受けていいところまでいくも最終的にダメ。

結局、就職先が決まらないまま、大学卒業になってしまった。
完全に負けタヌキだ……どうしよう……。

『Zelkova』(ゼルコバ)
比較的新しい会社だが、モデルやアイドルのプロデュースを手掛ける会社だ。扱っているのは女性のみ。
私は、なんでもやるつもりでこの会社を受ける事にした。この会社はスタッフも全員女性だ。志望動機としてはそこも大きい。
大学の受講内容とは別に勉強をしたのでネットコンテンツ作成もある程度は大丈夫だ。

「すつれいします!」
私は緊張のあまり、失礼しますをかんでしまった……。
クスリとも笑わない20代後半くらいの女性二人に着席をうながされた。

「社長の菅井由香(すがいゆか)です……」
わぁ……美人……かぐや姫みたいな人だ……。
「副社長の森谷茜(もりたにあかね)です」
こっちも美人……モデルさんみたい……。

「長崎ねるです! よく、珍しい名前と言われます。ねるの“ねる”は眠るの“寝る”ではなく……」
「……それは、そこまでで結構」
森谷さんが私の言葉を遮った。
「ねるさん……いいお名前ですね……」
菅井さんが微笑んで言った。
「仕事と関係のある事を話してもらえるかな? まあ、あなたが珍名だという事で、営業トークのきっかけ程度にはなるかもしれないけど」
森谷さんが右手に持ったボールペンを振りながら言った。
一刀両断だ……。
「うちが、なぜ女性だけで構成されているかご存知?」
菅井さんのほうから質問してきた。
「あの……女性ならではの感性を活かして……」
私が答えていると、森谷さんがバインダーを置いて言った。
「男性の感性も取り入れた方がいいよね……当然……」
「…………」
私は黙ってしまった。
続けて森谷さんは私の履歴書に目を落とした……。
「長崎さん、高校・大学とすごいところに通ってたんだね。この履歴書をおでこに貼って面接に回ったら?」
うわぁ……これ、すごい圧迫面接……。
その後の私は、言う事答える事、ボロボロだった……。

帰りの足取りは重かった……。夜の電車の窓にしょぼくれたタヌキが映ってる……。
0151『るねねる』2(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
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2017/07/11(火) 01:45:03.52ID:cuzhWmju0
「お姉ちゃん、面接どうだった?」
妹の蒼(あおい)が言った。蒼は小学校4年生。私とはちょっと年齢が離れている。
「……蒼、今それ聞かないでくれる!?」
私がちょっとイラッとして言った。
「べぇー、落ちちゃえ!」
むぅーっ、生意気なやつ。
落ちちゃえじゃなくて、落ちるの確定なんだけどね……。

私はその晩、友人の渡辺里紗(わたなべりさ)に長いメールを送った。
返事が届いた。
「グチこぼしてんじゃねーよ」
むーっ、他に書く事ないのかこいつは!? 里紗のメールはいつも超短文だ。

一週間後……。
私が履歴書を書いていると、郵便が届いた。

『Zelkova』からだ……。
いいよ……もう、いいよ……。負けタヌキの私は封を開けた。
「選考結果のご連絡」
ああ……はいはい。

「……採用する事に決定いたしましたので……」
ええええーっ!?

私は別の友人の神村莉菜(かみむらりな)をファミレスに呼びだした。
「不思議なんだよ……面接は散々だったんだよ?」
「ネガティブさんキター」
莉菜は私を指さした。
「それは、きっとねるの未知の可能性が認められたんだよ」
莉菜はパスタを食べながら言った。
そうなのかなぁ……? あの面接の中に何か秘密でもあったんだろうか?

……………………
数日後。
私は駅を出て『Zelkova』に向かって歩いていた。

まず、試用期間は雑用からだな。がんばろう!
私はいろいろな事を考えた。鼻歌を歌いながら歩いていたら、変な歩き方になってしまった。

ウキウキ気分で出社すると、菅井さんが言った。
「長崎さん、あなたにお話があります……」
なんでしょう???

「実は、今度……新しいアイドルを売り出す事になりました。名前は“長崎ねる”」
えっ、言われてる事の意味がよくわからないんですけど……?

「“よんほんけやき”という4人組のメンバーでリーダー……」
どえええええええええええええええええええええええええええええ!?

「あたす、22歳なんすけど!」
思わず、変な言葉になってしまった。

「そのくらいの年齢のアイドルはいるよ。でも、まぁ……あなたじゃないんだけど……」
森谷さんがさらにわけのわからない事を言った。
「ああ、あなたが面接で言った事、再確認したいんだけど……」
森谷さんが聞いてきた。
「何の事デスカ?」
「『なんでもやる気でいます……いえ、なんでもやらせてください! がんばります!』ってやつ」
0153『るねねる』3(チベット自治区) (ワッチョイ 7f76-OACE)
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2017/07/11(火) 01:50:19.59ID:cuzhWmju0
ノックの音の後、一人の女の子が入ってきた。
16歳…17歳くらい……かな? セミロングヘアでたれ目っぽい顔立ち、おっ、タヌキ顔仲間!
「相沢ひめのです……」

えっ? そんな名前のアイドルいなかったっけ? たしか、桜沢ひめの……。

「この子、名前がかぶってるんだよね……」
森谷さんが髪の毛の先を指に巻きつけながら言った。

「だから、あなたの名前を借りる事にしたの……“長崎ねる”」
菅井さんは微笑んで言った。
「あなたは彼女たちのマネージャーを務めてください……見習いですけど……」

森谷さんが言葉の後を引き継いだ。
「だから、あなたのビジネスネーム、考えておいて」
げえええええええええええええええええええええええええええええ!?

森谷さんが私の顔のすぐ前に顔を寄せて言った。
「それと……マネージャーなんだから、いろんな人に会うし……」
はぁ……。
「男性恐怖症、治してね……」
うぇえええ! いつ見抜いた!


<今後の展開・ダイジェスト>

・平手友也という男性と出会い、土田広海(長崎ねる)、初めて恋をする。
・メンバー急病により、よんほんけやきのステージに支障が生じ、謝るためにステージに出ていた土田広海、何かする事になる。
・歌を歌い、その下手さがかえって受ける。

・視聴率がふるわず、この“漫画原作のドラマ”は8話に短縮され、実質打ち切りになる。


『るねねる』(完)
0155名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW b757-Yl52)
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2017/07/11(火) 08:14:33.99ID:xyaS6fr30
>>148
>>149
オアシスですね。解釈が凄い上手いです
サリーちゃんが待っていたように、ふーちゃんも待っていてくれたのかな
ノエルの詞は抽象的で情景が思い浮かばないはずなんですけど、
あのメロディーラインが人の心を動かすんでしょうね

全く余談ですが、アルバム曲がQUEEN、ジャミロクワイを意識していて、
私としては嬉しい限りです

>>146
また、下手な叙述トリックですw
0156名無しって、書けない?(愛知県) (ワッチョイW f7d8-Wxq/)
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2017/07/11(火) 17:28:21.20ID:eQ6x0XgC0
>>143
の続きです。
「尾関、遅い。」

「あ、えっと……ごめん」

「もういいよ。脱がすから。」

シュルル。プチ、プチ、パサリ
リボンを取られてボタンを外されて、スカートを脱がされた。
私はいま、下着だけの姿になったのだ。
「ねぇ、いい?」

「うん。」

「口、開けて。」

「あー。」

そうやって口を開けていると彼女は深いキスを落としてきた。
「ちゅる……ん……」

ギュッ…キュ…

「…っ!んぁ……や、…」

首を絞める。
限界になって肩を叩いても彼女はやめない。
「…っ!!」ドンッ…

苦しくて、思わず肩を弾いた。
彼女は黒い笑いを浮かべた。
0157名無しって、書けない?(愛知県) (ワッチョイW f7d8-Wxq/)
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2017/07/11(火) 17:29:02.42ID:eQ6x0XgC0
「…本当は、好きなんでしょ?尾関。」

「なわけっ……」

彼女は私の秘部に手を入れ、こう言った。
「じゃあ、なんで濡れてるの?」

「っ…。」

「ねぇ、痛くしていい?」

「…」
私は答えなかった。
NOと言っても、彼女は痛くするから。結果がわかっていたから。

「いいっていう事ね。じゃあ、いれるよ…♡」

ズプッ……グチュリ

「いだっ、…いだい。やめで……てちお……」

痛すぎて、呂律が回らなかった。
頭が、チカチカする。
こんなの、初めてだ。

「ふふっ……尾関、可愛いね。もっと虐めたくなっちゃうよ……?」
グチュリ、グチュリ。

痛いのに。痛いはずなのに、身体は、反応してしまう。

「てか、尾関、処女だったんだぁ……。ふふっ、捧げてくれて、ありがとう。尾関。」

「いやっ…やめてっやめで……なんか、くる…頭、カチカチするの…やめてよっ、てち……」

「イっていいよ?」グチュッ

「いやぁ……っ……」

「ふふ、イケたね。よく頑張りました。」チュ

私は、彼女が最後に落とすキスだけが、好きだった。いや、これからも好きなんだ。唯一、彼女は優しくなるのだから。
それだけのために、私はてちこに何もかもを捧げるんだ。
だって。てちこのことが___。

END


ごめんなさい適当でした。
0158名無しって、書けない?(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/11(火) 19:48:57.07ID:z6i9SkbMa
>>148
>>149
お久しぶりでありますm(__)m

>>154
乙ですm(__)m

>>155
ギャラガー兄弟のクズっぷりが好き

やっぱり叙述トリックに騙されてたのかぁ・・・

>>157
まだ夕方なのに何書いてんすかwww
0159名無しって、書けない?(茸) (スフッ Sdbf-3CgV)
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2017/07/11(火) 20:56:04.67ID:9SVLQ6h1d
>>142
ちょっと、夢のコラボなんですけど。
0160名無しって、書けない?(茸) (スフッ Sdbf-3CgV)
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2017/07/11(火) 21:07:13.30ID:9SVLQ6h1d
気づかぬうちにスレがすごく盛り上がってた。
各人の個性のぶつかり合い。
0161名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ b757-zXdO)
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2017/07/11(火) 21:12:20.15ID:xyaS6fr30
>>157
予告編から壮大な物語を想像していましたが、
ホント夕方から何書いてるんですかww

>>159
パン好き以外にも、色々似ていますからね
みなみちゃんもいつの間にか大人になったなぁ
0162欅学園の理佐ちゃん(パラレル編10)(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/11(火) 22:23:45.20ID:xtjYD1nMa
「ほら、早く行くよ」
握り返してきた理佐ちゃんの手のひらに感動する俺を引っ張り歩き出す理佐ちゃん

「早くしないと花火始まっちゃうじゃん」って焦る理佐ちゃん

「花火?」
「うん、七夕の次の日がうちの町内会の花火大会なんだよね」
俺の問いかけに答える理佐ちゃん

「それで理佐ん家に誘ってくれたんだ」
「うん、私の部屋からだと良く見えるから」

理佐ちゃんと花火を見れるなんて素晴らしい夏じゃないか!
って盛り上がる俺

「ねぇ、いちいち立ち止まらないで」
って盛り上がる俺に文句言う理佐ちゃん

「ごめん、理佐と花火見れるなんて嬉し過ぎて立ち尽くしちゃった」
なんて照れ隠しに大げさな俺

「ねぇ本当に嬉しい?」
目をキラキラさせて聞いてくる理佐ちゃん
「うん、嬉しいに決まってんじゃん」って即答の俺に

「勇気出して誘って良かった」
なんて健気なこと言ってくれる理佐ちゃん

「おっ、珍しく健気だね」って笑う俺に

「珍しくとか言ってんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん

「ごめんね、珍しく健気な理佐に戸惑っちゃった」って言い訳する俺

「健気になったぐらいで戸惑わないでよ」って苦笑いする理佐ちゃん

それでも戸惑ってる俺に

「私は凄く好きな人には健気になっちゃうんだから・・・早く慣れてよ」
なんて照れながら言いそうだから好き
0163欅学園の理佐ちゃん(パラレル編11)(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/11(火) 22:25:23.34ID:xtjYD1nMa
「照れさせてんじゃねーよ」
って自分で勝手に凄く好きな人とか言って照れてるくせにドス効かす理佐ちゃん

「あれ?誰も居ない・・・」
玄関の前で戸惑う理佐ちゃん

「どうした?」って理佐ちゃんに声かける俺

スマホを覗きこむ理佐ちゃん

「お母さんとお父さん町内会の手伝いだって」
ってスマホの画面を俺に見せる理佐ちゃん

俺とイチャイチャするのに夢中でお母さんからのLINEに気づかなかった理佐ちゃん

「理佐と二人で花火か・・・」思わず呟く俺

「ねぇ顔がえっちぃんだけど・・・」
理佐ちゃんが警戒心丸出しの視線を俺に向けてくる

「失礼だな、えっちぃってどんな顔だよ」って切り返す俺

「変なこと考えてない?」
ってそんな俺を無視して聞いてくる理佐ちゃん

聞いてくる時に小首傾げる仕草する理佐ちゃんに堪らなくなった俺

「理佐、好きだよ」って抱き締める俺

「親が留守だって知った途端に迫らないでよ」
って俺を突き飛ばす理佐ちゃん

「なんか怖いから家に入れない」
なんて殺生なこと言い出す理佐ちゃん

「ごめんなさい、絶対に変なことしません」って謝る俺

「ねぇ本当に変なことしない?」って聞いてくる理佐ちゃん

「しません、花火見たいだけ」って邪心が無いことをアピールする俺

「本当に?」ってちょっと安心したみたいな理佐ちゃん

「うん、でも花火見たらキスぐらいしたくなるかも・・・夏だから」
ってちょっとだけ可能性を残して置きたい俺に

また変なこと言ってる!って怒るかと思いきや

「まぁ・・・キスぐらいは・・・私も・・・」なんて真っ赤な顔でモジモジする理佐ちゃん

理佐ちゃんの言う変なこと・・・

まったく無しでもないみたいだから好き
0164欅学園の理佐ちゃん(パラレル編12)(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/11(火) 22:26:57.10ID:xtjYD1nMa
「理佐、隣の窓から子供がこっち見てる」
モジモジしてる理佐ちゃんに声かける俺

「えっ!?」ってやっと正気に戻る理佐ちゃん

慌てて玄関の鍵を開けて家の中に俺を招き入れる理佐ちゃん

「お邪魔しま〜す」ってついに理佐ちゃん家に初上陸の俺

「もう!俺君のせいで隣の子にモジモジしてるの見られちゃったじゃん」
って理不尽に怒る理佐ちゃん

「でも真っ赤な顔でモジモジする理佐可愛いかったから大丈夫だよ」
って適当なこと言って慰める俺

「適当なこと言ってんじゃねーよ」ってドス効かせながら
玄関に脱ぎ散らかした俺の靴をちゃんと揃えてくれる理佐ちゃん

「俺君にスイーツ作ったんだ」
って俺を自分の部屋に残してキッチンに消えてく理佐ちゃん

めちゃくちゃ理想の嫁だなぁ理佐ちゃんは・・・

そんなこと思いながら理佐ちゃんの部屋を物色する超健康的男子な俺

おっ!理佐ちゃん七夕だからって笹の葉に短冊なんて飾ってんのか?
見た目は大人っぽくて綺麗なお姉さんだけど中身はまだまだ高1だな
なんてちょっと安心する俺

「ねぇ何やってんの?」って手作りスイーツ持って戻ってくる理佐ちゃん

「あっ!?見ちゃダメだよ!」って叫ぶ理佐ちゃん

「えっ!?」って理佐ちゃんの叫びに反応しながら短冊見る俺

『2学期も俺君と席が隣になりますように』
なんて控え目な願い事を書いてる理佐ちゃん

「なに願ってんだよ理佐w」って笑っちゃう俺

「笑ってんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん

「ねぇ席替えで俺君と席が離れるの絶対に嫌なんだけど・・・」
なんて泣きそうな顔で言ってくれそうだから好き
0165名無しって、書けない?(東京都) (ワッチョイ b76c-jTKI)
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2017/07/11(火) 22:57:40.99ID:ytCv2CTp0
ブレーンワールド(その12) 
「明日、日曜か。朝食のための食材を買ってくる」と言って、ウザ女が出ていった。
ドアが閉まるのを確認して、ねるが口を開いた。
「大切なお話をしたいんですが」
二人切りになったときに大切な話?と俺の胸は期待で高鳴った。
「ブレーンワールドとパラレルワールドがの関係なんですが・・・」
ああ、なるほど、ウザ女が話しの輪に入れないことを気遣ってこの状況を見計らかって質問しようとしたのか。
「三次元空間の中に二次元空間が浮かんでいるという比喩的な見方で言えば、
上下に離れた二次元平面、つまり、ブレーンがお互いにパラレルワールドになるという理解でよろしいのですか?」
そういえばそういったことの説明はなかった。自分で考えて答えだしたんだな。やっぱりこのコは賢いな。
「うん、その通り。付け加えて言えば、その二次元平面上に二次元人が住んでいるとする。
その平面上にあるなら100億光年先でも望遠鏡を使えば、二次元人は見ることができる。
ところが、2つの平面間の上下の距離が1ミリメートルでも、行き来することはおろかその存在さえわからない。
なぜなら、上下方向の認識ができないから」
「それと同じように、第4、第5、・・・、の空間次元方向にたった1ミリメートル離れていても、三次元空間に住む私たちは別の三次元空間を認識できないというわけですね。不思議〜」
ねるの可愛らしさに押し倒したいという衝動が起こったが、悟られないように話した。
「実は重力だけがその壁を超えることができるかもしれないと言われている。もともと超弦理論が生まれたのは、他の3つの力に比べ、重力は極端に弱く、その理由付けするためだと言われている」
「他の3つの力というと、強い力、弱い力、電磁気力ですね」
「で、とても難しい話になるけど簡単に言うと、他の3つの力は一つのブレーン上で固定されているからそれなりに大きい。
ところが重力は一つの場所に固定されず動き回るから極端に小さくなってしまう」
ブレーンワールド(その
「なるほど、その動き回るというのがあるブレーンから別のブレーンへということなんですね。
あ!もしかして、重力はおよぼすが目に見えないというダークマターの正体は異次元のブレーンにある物体ですか?」
「そういう説を唱える一流の科学者がアメリカにはいるみたいだね。
でも、あくまで一つの説。それも有力ならざる説といったところかな」(続く)
0166名無しって、書けない?(東京都) (ワッチョイ b76c-jTKI)
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2017/07/11(火) 23:17:54.13ID:ytCv2CTp0
ブレーンワールド(その13)
ウザ女が戻ったら、自然とストーカーの件を話し合うことになった。
「本当にあの男の人たちには身に覚えがないんです」と心配そうにねるは語った。
「では、池袋での二人の女性とサッカー場で見た女の子というのは?」
「それも身に覚えがないんです、池袋のお二人は見てはいませんが、身の覚えがないというのはおそらく同じだと思います」
その後、「ただ・・・」と言って、急に黙り込んでしまった。
「ただ?」
「ある意味、あの男の人たちよりも怖いんです。なにか得体のしれない不安がおそってくるんです」
「耳を押さえていたけど、何か聞こえたの?」
「なにか人の声のような気がするんですが、うなるような感じで、はっきりとした音声にはなっていませんでした。
鼓膜を通して聞こえるというよりは、直接、頭の中で響くといった感じで・・・」
「なんの手がかりもなしか。もう一つ教えて。あなたが鳥居坂の最終オーディションを受けなかったのはなぜ?」
「そんなこと関係ないでしょ!」とウザ女が怒鳴った。
関係ないだろうなとは俺も思った。ねるが秘密を打ち明けてくれれば、俺との距離が縮まるだろうという打算からだった。
「聞いてみないと関係ないかあるかはわからない」と強弁した。
「あの日、お母さんから電話がかかってきました。羽田空港にいるから急いで来るようにと。
お父さんもお母さんも私は大好きですし、尊敬もしています。だから、お母さんが言うことには何の疑いも持たず従順に従ってきました。
どういう要件かは想像がついたので、空港に着くまでは針のむしろを歩くようでした。
逆らえないな、命令通りに長崎に帰ることになるんだろうなと諦めていました。
対面したら。優しくもきつい口調でオーディションを受けるのをやはり禁じられました。
ところが、私自身にも意外だったことに、激しく抵抗してしまいました。
『お母さん、今まで一度も逆らったことはないじゃない。今後もそうします。だけど、今回だけは一生に一度のわがままを聞いてください』と泣き叫びました。
アイドルになりたいという強い夢があったのは自覚していたけど、そう思っていた以上に果てしなく強い気持ちだと悟りました。
そんな私の態度に驚いて、お、お、お母さんは・・・」とねるは嗚咽した。
「ねるのお母さんはそれ以来、ときどき目覚めるけど昏睡状態が続いて・・・」とウザ女がささやいた。
「じゃあ、アイドルになるという夢は?」とウザ女に耳打ちしたが、ねるにも聞こえた。
「持てるわけないでしょ!」とねるは叫んだ。
出ていくようにとウザ女は視線をドアに向けた。俺は出ていった。
0167名無しって、書けない?(東京都) (ワッチョイ b76c-jTKI)
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2017/07/11(火) 23:52:44.18ID:ytCv2CTp0
ブレーンワールド(その14)
ねるとの仲は自然と深まっていった。この日も映画を観るという約束をした。
銀座のシネコンの前での待ち合わせ場所にねるはすでに到着していて、上空を眺めていた。
その視線の先を見ると、上昇気流を捕まえて鳶が空高く回っている。
俺の姿を見つけると、「映画より海行きません?」と言ってきた。

お台場の人口砂浜に二人で直に腰を下ろしてから聞いた。
「ねえ、突然、海を見たいと言い出したのは、トンビが関係しているのかな?」
「トンビは私にとって異界からの使者なんです。あの甲高くピーッヒョローと鳴く声も好き」
「異界からの使者?」
「私は長崎県の五島列島の中にある小さな島で生まれました。
それについては言えば、生まれたいと私が思う場所で私は生まれたという単純な感想があるだけです」
ねるは砂浜をキャンバスにし、上下に二つの島を描いた。
通常の地図通り、上が北で、下が南となっていた。 (続く)
0168名無しって、書けない?(東京都) (ワッチョイ b76c-jTKI)
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2017/07/11(火) 23:54:58.78ID:ytCv2CTp0
ブレーンワールド(その15)
「私の生家はこの南の島の北端にあり、流れの速い緑色の海流を挟んで北側の島が私の家からいつも見えていました」
「ああ緑色か。伊豆の城ヶ崎海岸のようにそういう色した海はあるな」
「二つの島の間は100メートルもないのに簡単には行けないんですよ。
南側の島の船着き場は南端にあり、北側の島の船着き場は北端にあり、直接便はなく、いったん九州本土に渡って乗り換えてからしか行けない。
しかも両方の島ともに不定期便しかなかった。だから、北の島は私にとって異世界でした」
「トンビはそこを自由に行き来することができる。だから、異界からの使者というわけか」
「ええ、島にあった天主堂で神父様から天使のお話をよく聞いたものですが、私のイメージの中では天使の羽は白ではなく、トンビの羽になっていました」
自分で描いた地図を見ながら、深い記憶に浸るようにねるは話を続けた。(続く)自分で描いた地図を見ながら、深い記憶に浸るようにねるは話を続けた。
0169名無しって、書けない?(東京都) (ワッチョイ 976c-jTKI)
垢版 |
2017/07/12(水) 07:12:08.11ID:87EHc0KU0
すいません、昨日、連続投稿したら、スレに異常が起こったようです。
一応、次スレ↓をつくってみました。
http://rio2016.2ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1499810853/l50
【物語】欅坂46の小説 ★6【エロも可】

当スレが機能するようであれば、新しくつくったスレは無視してください。
0170名無しって、書けない?(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
垢版 |
2017/07/12(水) 07:19:46.18ID:kcRRuOrna
>>169
乙ですm(__)m

長文を何本か連続投稿すると埋め立て規制が発動するみたいですよ

規制かかったら短文を挟むとまた長文を投稿出来るようになります
0171名無しって、書けない?(広西チワン族自治区) (ガラプー KK4f-nkaJ)
垢版 |
2017/07/12(水) 07:26:38.82ID:cPTrnBIJK
>>169
お疲れ様です

想像ですが、小説を投稿しようとすると「埋め立てですか?」的なメッセージが出て書き込めなかったんでしょうか?
これは長文投稿が4〜6個続くとよく出ます

だとすれば、そういう場合は短いレス(1〜数行程度)をひとつ挟めばまた投稿可能になります
“〇〇ねる”の方もそれを実践されていたようです

それ以外のケースであれば、今後の参考にまた教えてくださいm(_ _)m
0172名無しって、書けない?(東京都) (ワッチョイ 976c-jTKI)
垢版 |
2017/07/12(水) 07:31:10.14ID:87EHc0KU0
>>170
>>171
ご指摘の通りです。
>>169の新しいスレは無視して、当スレを使ってください。
0173名無しって、書けない?(広西チワン族自治区) (ガラプー KK4f-nkaJ)
垢版 |
2017/07/12(水) 07:34:00.66ID:cPTrnBIJK
庭先生とかぶっちゃったw

せっかくだから次スレも保守しとくのもアリ?

ちなみに前の“りかねる”シリーズの>>112とか>>118とかが、意識して挟みこまれた短レスです
0174名無しって、書けない?(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
垢版 |
2017/07/12(水) 07:56:53.81ID:kcRRuOrna
>>172
>>173
せっかくだから保守しておきましょう
0175名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ bf8e-aO6B)
垢版 |
2017/07/12(水) 09:20:50.63ID:aTFo47vL0
「線香花火」

「最後に思い出、作ろうよ!」
僕はわざとらしく明るい声で言った。
ゆいちゃんが遠くへ行ってしまうのを知ったのは
夏休みが始まって、すぐのことだった。
「隅田川の花火大会に行きたいな」
ゆいちゃんは昔を懐かしむように言った……


「ねえ、なに読んでるの?」
甘い香りがした。顔を上げると、小林さんが僕の顔を覗き込んでいた。
「えっ、あの、これだけど」
「『愛と幻想のファシズム』……?」
僕が見せた本を、首をかしげて不思議そうに見つめている。
「うん。好きなんだ」
「そうなんだ。すごい難しそうな本だねー」
僕の手から本を取ると、興味深そうにページをめくる。

彼女はクラスの人気者だ。
男子だけじゃなく女子からも好かれる。僕とは正反対の人間だった。
「○○くんっていつも本、読んでるよね」
「うん」
「わたしも本読むのは、好きなんだ」
「そうなんだ」
「今度いろいろ教えてほしいな!」
八重歯を見せた笑顔で僕に本を手渡すと、走って友達のところへ行ってしまった。
夏服のセーラー服のスカートが揺れるのを、
僕は初めて感じる不思議な気持ちで見つめていた。
(つづく)
0176名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ bf8e-aO6B)
垢版 |
2017/07/12(水) 09:21:35.62ID:aTFo47vL0
「そういうの苦手で……」
「もう!大丈夫だから!」
小林さんは僕の右肩をぽんっとたたいて、『隅田川花火大会』のチラシを机においた。
「人混み苦手なんだ」
「花火とっても綺麗なんだよ!○○くんにも見てほしいんだ!」
「でも……」
「じゃあ……、すぐ帰ってもいいし!」
「それなら……」
「よかったあ!今度の土曜日だからね!約束だからね!」
本当はすごくうれしかった。ずっと本だけが友達だったから。
女の子と花火大会に行くなんて、考えられなかった。
しかも小林さんと一緒だなんて。
(つづく)
0177名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ bf8e-aO6B)
垢版 |
2017/07/12(水) 09:22:39.02ID:aTFo47vL0
「あっ、来てくれたんだね!!」
駅に着くと、小林さんは先に来ていた。
花柄模様の水色の浴衣にポニーテール。学校で見る小林さんとは別人のようだった。
「みんな〜 ○○くんがきたよ〜」
小林さんが手を振る先に5、6人の集団がいた。
僕が話したことのない同じクラスの女子や男子たちだ。
『なんでいるの?』
そう言いたげな顔で、みんなが僕の方を見ている。
「○○君って凄いんだよ!難しい本いつも読んでるんだから!」
小林さんの弾むような声にも、誰も反応しなかった。
(つづく)
0178名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ bf8e-aO6B)
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2017/07/12(水) 09:24:26.01ID:aTFo47vL0
カップル、親子連れ、会社帰りのサラリーマン。
隅田公園沿いには屋台が並び、たくさんの人で賑わっている。
僕たちは穴場スポットに向かって歩いていた。
「ゆいは、ほんと可愛いよなあ。可愛すぎる問題だよ!」
サッカー部の男子が小林さんに話しかける。
「もう、そんなことないよ〜」
小林さんは、男子の背中をかるく叩くと照れくさそうに笑った。
名前で呼び合うんだ……。付き合ってるんだろうか……。
僕は初めての嫉妬を覚えていた。
「おい、○○。ちょっとは喋れよ」
「そうだよ、さっきから黙って。気持ちわりーんだよお前。
せっかくの綺麗な花火が台無しになるだろ」
二人の男子が僕の目を見ないで言った。
「ちょっと!そんな言い方やめて!」
小林さんのその言葉を遮るように、今度はしっかりこっちを見て罵声をつづけた。
「大体、なんで来てんだよ?お前」
「ほんとに。学校でも本ばっか読んで、お前みんなと違っておかしいんだよ。
帰れよ。お前には、線香花火がお似合いだよ!」
みんなが化け物を見るような眼差しで僕を見ているように感じた。
居たたまれなくなって、その場から逃げるように駆けだした。
打ち上がる花火に、歓声を上げる人たちをかきわけて走る。
溢れてくる涙で、前が見えなくなっていた。
(つづく)
0179名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ bf8e-aO6B)
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2017/07/12(水) 09:25:27.98ID:aTFo47vL0
改札に入ろうとしたときだった。
「○○くん、待って!」
息を切らした小林さんだった。
「あっ、なんで……」
「ごめんね。わたしが無理に誘ったから……」
「ううん。小林さんは悪くないよ。僕がダメなんだ」
「そんなことないよ!」
「僕は普通じゃないから」
「そんなことないよ!○○くんは、○○くんでいいんだよ」
「小林さん……」
安心感と嬉しさの混じる感情がこみ上げてきて、何も喋れなくなってしまった。
「これ、買ってきたんだ!二人でやろうよ!」
小林さんはそう言うと、袋いっぱいに入った線香花火を見せた。
「こんなにいっぱい……全部できないよ」
僕が泣きながら笑うと、
「ほんとだね」
小林さんは袋に入ったたくさんの線香花火を見て、
片手で口を押さえながら笑った。
(つづく)
0180名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ bf8e-aO6B)
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2017/07/12(水) 09:33:21.14ID:aTFo47vL0
隅田川花火大会は2年前と変わらなかった。
屋台、人混み、空に上がる色とりどりの花火。ゆいちゃんの花柄模様の水色の浴衣。
違うのは二人が付き合っていることだけだ。

僕たちは帰り道、コンビニで花火を買うと、小さな公園に行った。
あの夜、二人で線香花火をしたのも、ここだった。
公園には誰もいなくて、コオロギの鳴き声だけが聞こえてきた。
「懐かしいね」
「うん」
僕たちは公園のベンチに座り、手持ち花火をしながら、
思い出話をした。

「これで、おしまいだね」
僕は最後に残った線香花火に火をつけた。
パチパチという小さな音とコオロギの鳴き声が混じり合う。
オレンジ色の火花が散るのを二人でじっと見つめていた。
「綺麗だね」
「うん」
頷くゆいちゃんの横顔が、線香花火の光に照らされると、
頬に涙がつたっているのが見えた。
線香花火は火花を散らすのをやめ、一瞬、強く輝くと火の玉を落とした。
あたりが暗くなり、コオロギの鳴き声に包まれる。
「○○と会えてよかったよ」
「ゆいちゃんのこと、忘れないよ」
僕はゆいちゃんを抱きしめると、最後のキスをした。
0181名無しって、書けない?(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/12(水) 12:32:26.55ID:cRgQ/oHpa
>>180
これは良い!
恋愛小説のスタンダードをきっちり描ききるストーリー
そして理佐ちゃん原理主義の俺までぽん民に戻って嬉しくなるラストシーン

なにもかもが素晴らしすぎる
0182名無しって、書けない?(空) (アークセー Sxcb-6IqB)
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2017/07/12(水) 17:42:28.88ID:2LOtqO2ox
>>181
庭さんご無沙汰しております。
ずっとみなさんの作品を見ていました。
雑誌のゆいぽんの浴衣姿があまりにも可愛く、
つい妄想しちゃいました笑
ぽんスレではスカートの中に入る人も居なくなり寂しい限りなので、たまにこちらで妄想さ
せていただきますね笑
0183名無しって、書けない?(愛知県) (ワッチョイW f7d8-Wxq/)
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2017/07/12(水) 17:43:09.90ID:UYLvC1w80
>>161 >>158
ただの時差ボケですw気にしないでくださいw
0184名無しって、書けない?(愛知県) (ワッチョイW f7d8-Wxq/)
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2017/07/12(水) 18:08:18.83ID:UYLvC1w80
ずーみんのグリカみてちょっとこれどうかなって思った短編物語です。
アレフガルドのやつがなかなか進まねぇ…。
ではどうぞ

私は、4月の半ばぐらいから欅坂を休業していた。
その理由は公では"体調不良"となっているが、実の所は精神がまいってしまったからだ。
もちろんファンの人たちと関わるのは楽しい。その反面、違う期待に応えなければならないという苦痛が私にはのしかかってきたのだ。
その結果がこのザマだ。
3ヶ月休んでやっとグリカを更新できたのだ。
ファンの方はどう思うのだろうか。
メンバー達はこんな私をまた、仲間に入れてくれるのか。
そんな不安に押し潰れそうになっていた。そんな時、メンバー達とやっているLINEでこんなメッセージがきたのだ。
『やっとずーみんと歌える。すごい楽しみにしてたんだよ。ゆいちゃんず、復活!!!✨』
『ちびーずとして、またやっていけるね。復帰してくれてありがとうずーみん。』
『みんな、待ってたよ。また、一緒に練習できるね。ありがとう。大好き。』

私は涙が思わず零れてきた。
1人で、欅のなかの友達は本当の友達でもないのに、欅のみんなは、待っててくれたんだ。
この時、私は誓ったんだ。
最後の最後まで私は欅坂46のメンバーと。そしてファンの方々に支えられて、みんなを支えて、坂を登っていくと。

〜END〜
0185※大阪ですが、文才ぽん民さんとは別人です(大阪府) (ワッチョイ b757-zXdO)
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2017/07/12(水) 20:29:09.57ID:V7g+lAr70
>>180
梅雨明けが待ち遠しい展開ですね
最近、ようやく私もゆいちゃんの良さに気づき始めました

>>184
温かく見守っていきたいものです
0186名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ b757-zXdO)
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2017/07/12(水) 22:27:34.88ID:V7g+lAr70
『The Third Pear』

多種多様な植物が乱立する我がクラスのなかで、特に目立つこともなくひっそりと立つ木がある。
それは別段背の高い木でなく、まだ3つしか果実をつけていない。
しかしながら、その3つの果実は美しい薄緑色の表皮を身に纏い、
恐らく純白であろうその中身はしっかりと内容のあるものでいて、どこか身軽さも感じさせるのだ。

「ねえ、何考えてるの?」
話しかけてきたのは『第一の梨』、尾関梨香だ。
良くも悪くも目立つ存在で、時に意味不明な言動も見受けられるが、根は真面目だ。
「何か考えているように見える?」
「うん。どうせ好きな人のことでも考えてたんでしょ」
「ああ、当たりかも」
「ごめん、何か悪いこと聞いちゃった?」

尾関はいつの間にか遠慮がちになった。少しさみしい。


その尾関が去った後、トントンと右肩を叩かれた。
振り返ると、絶世の美女が何やら財布の中を探っている。
『第二の梨』、渡辺梨加だ。
彼女の隣には、水墨画チックな花の絵を描く少女もいるが、これはまた別の木になる梨である。

「昨日ありがと」
梨加はそう言うと、財布から500円玉を取り出した。
「ああ、別に返さなくていいのに」

昨日のお昼休みのことだった。
お弁当を食べ終わって、この世で一番キライな科目である数学の課題に取り掛かろうとした時、斜め後ろの席で梨加のお腹がなった。
少し辛かってやろうと思い後ろを振り向いた。梨加は若干涙目になっていた。
「どうしたの?」
「お弁当忘れた…」
「お金も?」
「うん」
別に泣くほどのことではないだろうと思ったが、少し可哀想だったので、500円玉を机に置いた。

梨加はしばらく椅子に座ったままだったが、やがて教室を出て、購買でメロンパンを買ってきた。よく見ると2つ買ってあった。
梨加は横に座ると、「はい、あげる」と言ってひとつ差し出した。
どう考えても「あげる」という言葉はおかしいはずだが、メロンパンを頬張る笑顔を見たら、そんな矛盾も吹き飛んだ。
チャイムが鳴ると同時に、後ろの席で水墨画チックな花の絵が完成した。
下手くそだった。


「いいよ、返さなくて。メロンパン買ってきてくれたし」
そう言って前を向こうとすると、梨加に無理やり手首をつかまれ500円玉を手に押し込まれた。
「ありがとう」
いつもより少しだけ低い声、触れ合う肌、威嚇気味の笑顔、全てが計算された上に成り立った演技のようで怖かった。
「友梨奈ちゃん、優しいね」
梨加はまだ自分の方を見つめている。
嫌味なほどの美しい笑顔が挑戦状のように見え、これに応えねば負けを認めてしまうようで悔しかった。

「どういたしまして」
沈黙に溶け込むどこまでも深い声で『第三の梨』は答えた。
0187名無しって、書けない?(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/12(水) 23:14:03.93ID:ug3KMp1Ma
>>182
ゆいぽんのスカートの中の詩人たちは何処に立ち去ってしまったんでしょうね?
たまにはぽんスレに行ってみようかな

>>184
そろそろ戻って来てくれんのかな
ずーみん居ないと俺の好きな欅ちゃんにならんのよなぁ

>>186
まさかてち視点の物語だったとは・・・
0188欅学園の理佐ちゃん(パラレル編13)(庭) (アウアウカー Sa2b-5SoX)
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2017/07/12(水) 23:20:12.21ID:ug3KMp1Ma
「ねぇ早く帰って来て!」
電話でお母さんに早く帰って来てくれと懇願する理佐ちゃん

お母さんと電話しながら俺をチラ見する理佐ちゃん

家に男と二人だけで居ることに不安を感じてしまったのだろうか

「理佐!花火上がってるよ早くこっち来て見なよ」
理佐ちゃんを安心させようと花火に夢中な振りする優しい俺
伊達に女しか居ないクラスで揉まれてない俺の気づかいってやつだ

「うーん、ちょっと待ってて」
って理佐ちゃん俺のこと警戒してんのか?

「ただいま」ってお母さん帰って来た!

「初めまして」ってお母さんに挨拶しようとする俺

「俺君、お母さん忙しいから今日は挨拶いいよ」
って俺を廊下に待たせてお母さんを急かして部屋に籠る理佐ちゃん

なんだこれ?

やっぱり俺のこと警戒してたのか?

ちょっと覗いちゃおうかなってドアをそうっと開ける俺

「覗いてんじゃねーよ」って俺の行動を読んでた理佐ちゃんがドス効かせてくる

行動読まれて腰抜かしそうになってる俺の前に
 
「ねぇ似合う」
なんて聞きながら浴衣の理佐ちゃんが現れた!

浴衣の理佐ちゃんに言葉失う俺に
「見惚れてんじゃねーよ」って超笑顔の理佐ちゃん

「俺君に浴衣姿見せたいから早く帰って来てってうるさかったのよ」
って笑いながら理佐ちゃんをからかうお母さん

「なんで言っちゃうのよ!」
って照れ隠しに拗ねる理佐ちゃん

そんな理佐ちゃんに見惚れてる俺に

「本当はね花火じゃなくて浴衣姿見せたかったんだ」なんて言いそうだから好き
0191アナザー『りかねる』=『りなねる』1(チベット自治区) (ワッチョイ 4a76-I67b)
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2017/07/13(木) 05:23:18.96ID:T/nYyGdB0
「長崎……ねる……です……」
その転入生は元気なく言った。あいさつだけで、みんなに“暗い子”のイメージを与えてしまったみたい……。

(……ねる?)
(ちょっと変わった名前……)
(……いや、かなり変わってるでしょ……)

みんなこそこそと話している。

ここは、欅坂女子学園。

「はいはーい! 静かにする!」
齋藤冬美(さいとうふゆみ)先生がざわめきを止めた。

私は、長崎さんに興味を持った。内気そうな長崎さんが新しい環境に溶け込めるように手助けしてあげたいとも思った。

私の名前は、神村莉菜(かみむらりな)。高校2年生。アイドルグループ“外苑東46”の齋藤明日菜ちゃんに似てると時々言われるので嬉しい。
……でも、あだ名は“ヘタッピ”。
どうしてこんなあだ名が付いたかというと、私は吹奏楽部で、演奏がかなり下手なので“ヘタッピ”になってしまったのだ。
いくらなんでも、ヘタッピはないでしょ。私なりにトランペット頑張ってますよ。プンスカ!
それに、可愛く「りなちゃん♪」って呼ばれたいのが乙女心でしょ?

でも、それもちょっと無理なのだ。なぜなら、同じクラスに平手梨奈(ひらてりな)という子がいて、りなりなでかぶってしまうのだ……。

「りな二人いてまぎらわしいから、神村はトランペット下手な“ヘタッピ”な!」
“もなか”……岸田愛佳(きしだまなか)が言ったのが始まりだ。

平手梨奈はヒラテリナから文字を抜いて“ラテ”というあだ名。……イタリア語だと牛乳って意味だけど、語感はラテアートを思わせてとてもいい……。
あだ名を付けているのが一人ではないのでこういう不公平が生じる。

それにしてもヘタッピとは……。しかし、私はすぐにヘタッピ呼びに慣れてしまった。可愛さすら感じられるようになってきた。
しかし、冷静に考えると、もう一人のりな……平手梨奈にラテってあだ名が付いたなら、私は「りな」でよくない?

休み時間……。
あなが長崎さんにしきりに話しかけている。……尾関理科(おぜきりか)……あだ名は“あな”。
私はそのあだ名の意味がわからなかったけど、理科の“科”が“あな”と読むらしいのだ。
そのあだ名考えた人、かなり頭がいいか変人じゃない? そのまま、りかでいいじゃないかとも思う。みんながあなあな呼ぶから私も使ってるけど。

「長崎さん! 私、尾関! 下の名前は理科! “国語・算数・理科・社会”の理科!
 父親がねぇ……」と名前の由来を説明している。
珍しい名前同士で気が合うといいんだけど……。
でも……長崎さんは全くのってくる様子もなく「……りかさん……」と言うだけだった。
0192アナザー『りかねる』=『りなねる』2(チベット自治区) (ワッチョイ 4a76-I67b)
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2017/07/13(木) 05:25:14.33ID:T/nYyGdB0
「長崎さん……」
菅井由香(すがいゆか)さんが長崎さんに近づいて言った。2年生ながら、なんと生徒会長だ。
生粋のお嬢様で、趣味は乗馬だとか……。みんなから“菅井様”と呼ばれてる。……少女漫画の世界みたい……。

「長崎さん、前の学校で成績学年トップだったんですって?」

この学校は、相応の成績をクリアしないと入学できない。私はギリギリセーフ組だ。それゆえ、入学後に苦しむ事になった。
「……はい」
やはり長崎さんは短く答えた。
「……そう……」
菅井さんも短く言って戻っていくと自分の席についた。
菅井さんはこの学年の成績トップ……これは火花バチバチかな? ……いや、長崎さんの側があれじゃあ……ないなそれ。

昼休み。
私は長崎さんの席に向かった。

私は意を決して長崎さんに話しかけてみる事にした。
……まずは……無難な話題から……。
「長崎さん、クラスの雰囲気に慣れた?」
「…………」
長崎さんは答えない。
「私の名前は神村莉菜! あだ名はヘタッピ!」
「……ヘタッピ……」
そっちに食いつくのか……。

私はふと、彼女の机の上を見た。
お弁当やパンといったものは見当たらず、パック牛乳がひとつあるだけだ。

思わず私は聞いてしまった。
「牛乳だけで大丈夫?」
聞いたあとで思ったけど……もしかして、彼女の健康状態に何か原因があるのかと思い、配慮に欠けた質問だったかなとちょっと後悔した。
「…………」
長崎さんは黙ってる。表情にも変化がない。

「無口さんキター!」
私は長崎さんを指さしながら言った。
私は人や物、あるいは単に空間を指さす癖があって、ついやってしまう。
「…………」
長崎さんは笑わない。……まったく……クスリとも……。
「……りなさんヘタッピ……」
むぅー。何か言ってくれたと思ったらそれか!

「ねぇ、ヘタッピ! 午後の授業だけど……」
私は教室の入口あたりから友達に呼ばれ、呼ばれた方に向かって歩いて行った。一度、長崎さんの方を振り向いてみた……彼女は同じ姿勢で前を見て座っている。

次の日……。
教室が騒ぎになっていた。

「長崎がトイレで倒れたって!」
私がどこのトイレか人に聞いて行ってみると、もう、壁のように人が集まっていた。
私は身長が152センチしかないので、ぴょんぴょん跳び上がっても何が起きているのか見えない……。
0193アナザー『りかねる』=『りなねる』3(チベット自治区) (ワッチョイ 4a76-I67b)
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2017/07/13(木) 05:26:40.03ID:T/nYyGdB0
あなが説明している声がする。
「私がトイレで手を洗っていたら、長崎さんが入って来て……二人で話をしていたら、長崎さんが急に胸を押さえて気を失ってしまって……」

(心臓発作?)
私はそう思った。

すると、みんなが安心したような声をあげた。長崎さんの意識が戻ったらしい。
私からはその様子は見えない……。

齋藤先生が心配そうに尋ねている。
「長崎さん……もしかして………心臓の持病…あるの?」
「……ありませ……」
長崎さんが答えている。よく聞こえない。

長崎さんの近くにいるであろう……“梨太郎”……鈴本美由紀(すずもとみゆき)の声がする。
「病院に行……ほうが……」
「…………」
長崎さんが何か言った。
「“いい”って!」
梨太郎が怒ったように声を上げた。

齋藤先生が聞いた。
「尾関さんと話を……事は覚えて……?」
「はい……でも……覚え……ません」
長崎さんの声は小さい。というか、周囲が騒ぎすぎて聞こえない。

齋藤先生が強い口調で言った。
「長崎さん、状態が落ち着き次第、私の車で病院に行きなさい」
長崎さんの声がした。
「……いいです……」
そのまま人をかき分けてトイレから出て行こうとした長崎さんを齋藤先生が止めた。
「いけません!」
手をひかれ、長崎さんは連れていかれてしまった。

翌日、長崎さんは休まず学校に来た。

私は真っ先に長崎さんの席に向かった。
「長崎さん大丈夫?」
私は長崎さんの体調が気になった。……でも、翌日普通に登校してくるなんて……。
「…………」
長崎さんは答えなかった。
「……りなさん……」
長崎さんが私の名前を呼んだ……。
「…………」
それきり、長崎さんは黙ってしまった。
私は少し悲しい気持ちになった……。
保健委員のボーが近づいて来た。石ノ森虹花(いしのもりにじか)。レインボー(虹)が転じてあだ名が“ボー”だ。
「長崎さん、みんなに心配をかけたんだから何か言ってもいいと思うけど」
ボーの表情はやや厳しかった。
「ボー……」
私は改めてボーの顔を見た。
0194アナザー『りかねる』=『りなねる』4(チベット自治区) (ワッチョイ 4a76-I67b)
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2017/07/13(木) 05:28:39.72ID:T/nYyGdB0
昼休み。
私は階段の踊り場にいた。長崎さんを呼び出したのだ。
彼女は意外とすんなりとこの場所に来てくれた。

「来てくれてありがとう」
私が言った。
「……りなさん……なに?」
「いきなり本題で悪いけど、私はあなたと仲良くなりたい! ビシッ!」
あ、また指さしちゃった……。
「りなさん……」
「最初に見た時から長崎さんが気になってたの」

……………………
長崎さんは顔を上げた。
「うれしい、りなちゃん♪」
「ねぇ……ねると遊ぼうよ♪」
長崎さんは満面の笑顔……。
???
……………………

あああ、今のは私の妄想だ……。

「それに、長崎さん……私って成績ビリのほうなんだ……長崎さんに教えてほしい」
……すると……。
長崎さんが恥ずかしそうに微笑んだのだ。なんて素敵な表情! もし、私が男なら惚れる……。
「……私で……いいの……!?」
「素敵な笑顔キター!!」
私は長崎さんを指さした。

私は笑いがこみあげてきた。
「うふふふふふ!」
何か、長崎さんがかわいくて、笑いながら壁をポカポカ殴った。

次の瞬間だった……。
長崎さんが急に胸を押さえてうずくまったのだ。

「えっ、えっ? 長崎さん……大丈夫!」
そのまま、長崎さんは気を失ってしまった。

----------------------------------
◆『りかねる』ストーリーから分岐
----------------------------------

私は人に知らせるために階段を慌てて駆け下りた。

階段の下にいた誰かに声をかけた……。
ラテ……平手梨奈?

「今はすぐ起きる……」
ラテは短く言った。
私が上……踊り場を見上げると、長崎さんはもう上体を起こしていた。

ラテは不思議な人だ。
中学生時代は天真爛漫な女の子だったらしい。
それが、高校生になってから、変わったとか……。
長かった髪をショートボブに切り、前髪から覗く眼光は鋭い。
話し方はちょっとぶっきらぼう。彼女のまなざし……何かかっこいい……惚れる……。
……って、惚れてばかりか私は!
0195アナザー『りかねる』=『りなねる』5(チベット自治区) (ワッチョイ 4a76-I67b)
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2017/07/13(木) 05:31:05.26ID:T/nYyGdB0
ラテは階段を上ると、長崎さんに声をかけた。
「苦しい?」
長崎さんはゆっくり首を振った。
「そうだろうね……」

階段を下りてきたラテに私は声をかけた。
「念のため、もう一度病院へ……」
「いや……この状態に病院は無意味……」
そう言うとラテは立ち去ってしまった。

放課後。

私は踊り場で起きた事が気になり、あなのところに行って聞いてみた。
「トイレで長崎さんが倒れた時の事なんだけど……」
あなが答えてくれたけど、私の知っている事と同じだった。

「それから、あな……トイレで長崎さんと何を話したの?」
あなは左上の方に視線を泳がせた。
「……んっー、二人だけの秘密……」

「その秘密、教えなさい!」
私はあなを指さした。それはもうビシッと。

「もう! わかりました! “ねる”っていう名前の由来を教えてくれたの!」
あなは右手のひらをひらひらさせて言った。
「その時の彼女の微笑み……とってもかわいかったよ……」
私は踊り場での微笑みを思い出した。
あなの前でもあの表情見せたんだ……私はちょっと嫉妬した……嫉妬? なんで?

次に私は廊下に立っているラテのところに行った。
「ねぇ、長崎さんの事何か知ってるの? 何かわかるの?」
「…………」
ラテは黙っている。

「答えなさい!」
私はラテを指さした。それはもうビシッと。

「……あの子は気の毒な状態なんだ……」
ラテは目線を下に落として言った。
「仲良くしてあげてほしい……」
ラテはやっぱり何かを知ってる……。でも、それを言いたがらない。
ラテは去って行った。

翌日の朝。
私は性懲りもなく、長崎さんにつきまとっていた。
話している途中で長崎さんが倒れてしまったけど、長崎さんが少しだけ私に歩み寄ってくれた気がしたからだ。

「体調がいい時にでも勉強を教えてもらえれば……」
と、私が話している時だった。あなが長崎さんの席に向かって来た。
「尾関もよろしくお願いします! なにとぞ! あなたの尾関です!」
選挙カーかい……。

「おーい! 理科ちゃーん!」
離れたところからコドモ……といっても、本当の子供ではなく“コドモ”というあだ名の原口蒼(はらぐちあおい)さんの声がした。
あなは戻って行った。
0197アナザー『りかねる』=『りなねる』6(チベット自治区) (ワッチョイ 4a76-I67b)
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2017/07/13(木) 05:33:53.31ID:T/nYyGdB0
「……りなさん……」
長崎さんのほうから私に話しかけてきた。
「私に……近づかないほうがいい……」
「尾関さんにも……言って……」
えっ、それはどういう事?

それきり、長崎さんは黙ってしまった。

休み時間。
私はあなのところに行った。
「話があるんだけど……」
「何? トイレ行きたいんだけど……」
あながあせって言った。
「では、お供しよう!」
私はあなを指さした。
「本気!?」
あながびっくりして言った。

“音姫様”の音の後、水が流れる音が響いた。

「神村さん、おしっこくらいゆっくりさせてほしいんだけど……」
あながハンカチで手を拭きながら不満そうに言った。
「あな……長崎さんが変な事を言ってたんだ……『私に近づかないほうがいい』って」
「何それ? 『近づいてほしくない』じゃなくて?」
「あなにもその事を伝えてほしいって……」
私は、よくわからないまま長崎さんの言葉を伝えた。

その言葉をすごくシンプルに考えてみた。
孤立しがちな雰囲気を持つ長崎さんと親しくする事で、長崎さんと仲良くする人もまた学校の人間関係から外れる。
はたして、そんなシンプルな答えなのかな?

「私たちが一緒に仲間外れにされるのを心配してるのかな?」
あなが同じ事を言った。
「もしかして……前の学校でいじめにでもあったのかな……? それで臆病になってるとか?」
私はシンプルな考えのまま疑問を口にした。
「でも、転校して人間関係も一新されてるし、まだいじめなんて起きてないし……」
あなが言ったあと、二人で同じ事を言った。
「転校……?」
「転校……!」

放課後。
「長崎さんが転入……というか、前の学校を転出した理由が知りたいんです」
私が聞いた。
「ちょっと! ……そういうの教えられないのよ!」
齋藤先生は即断った。

それなら本人だ。
私たちコンビは暴走していた。プライバシーへの配慮や長崎さんの気持ちへの思いやりがなかった。
「長崎さん……『私に近づかないほうがいい』ってどういう事?」
あなが言った。
「もしかして、私たちが長崎さんと一緒に仲間外れになるのを心配してるの? この学校でそんな事起きてないよね?」
「嫌な気分になったらごめん。前の学校で何かあったの?」
私が言った。

「…………」
長崎さんは黙ってる。
「……知りたいなら調べて……」
長崎さんはポツリと言った。
「きっと……すぐわかる……四本木高等学校……」
0198アナザー『りかねる』=『りなねる』7(チベット自治区) (ワッチョイ 4a76-I67b)
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2017/07/13(木) 05:36:06.42ID:T/nYyGdB0
翌々日。
「あな、長崎さんの事を調べに行こう!」
「うん! 神村さん!」
「欅坂!」
「探・偵・団!」
はたから見たら、アホな子が二人いるようだろう。
悪ノリしてごめん。長崎さん……。

私たちは、長崎さんが前にいた学校……四本木高等学校に向かった。
校内には入れないので、校門からちょっと離れたところの歩道で人を待った。

「あのーっ、ちょっとお話しよろしいですか?」
あなが制服の襟の色(学年)を確認した上で、帰りがけの生徒二人組に声をかけた。
一人の子が振り向いた。ちょっとあなの事を見ていたけど、にっこり笑って言った。
「ああ、大丈夫やでぇ」
関西出身の子かな? 米谷菜々子(よねたにななこ)さんと名乗った。
その横の女子……米谷さんと話していた口調からして、この子も関西の子だ。
南恵子(みなみけいこ)さんだそうだ。

「尾関理科と申します。実は私たち、欅坂女学園の新聞部なんですけど……」
えっ!? あな、何言ってんの?

「(関西弁) 制服を見たらわかったよ。独特のデザインだものね。かわいい制服」
と南さんがちょっとうらやましそうな口調で言った。

男の人が話しかけるのと違って、女子高校生同士だとあまり警戒しないようだ。
「私は神村莉菜です。特集記事のために、取材してまわってるんです」
私も乗っかってみた。いかにもな感じで鞄からノートを取り出した。

「この学校は、関西の人が多いんですか?」
と、あなが聞いた。

「(関西弁) ううん、違うよ。私たちは気が合うから一緒にいるだけ」
米谷さんが答えた。

「(関西弁) この学校には強い部活があるから、遠くからも転入してくる人がいるの」
と、南さん。

「ああ、よく野球部とかでありますよね。そういうの」
と私が言った。

「(関西弁) そーれそれそれ。私たちもそういう感じ」
「“そーれそれそれ”って……「お祭りマンボ」か!?」
うわぁ、ツッコミだ……。

「実は、今回の特集は『話題のあの人』という記事なんです……」
あなが何か切り出した。

「先日、そちらから転入してきた、長崎ねるさんの記事なんですが……」
「今、うちの学校で、たいへん話題になっていて、すっかり人気者なんですよ」
あな……何をしようとしてるの?
長崎さんが人気者だなんて……。
あなの目つきが変わった。ここは流れに従っておこう……。

「私たち二人も、長崎さんとは初日からお友達になって……」
と、私は言った。

米谷さんと南さんの表情があきらかに変わった。
0199アナザー『りかねる』=『りなねる』8(チベット自治区) (ワッチョイ 4a76-I67b)
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2017/07/13(木) 05:37:30.99ID:T/nYyGdB0
「(関西弁) ありえないでしょ……あの暗い子が……」
「(関西弁) あなたたち、人違いしてない?」
「(関西弁) ……でも、ねるなんて名前、他にいない……」
「(関西弁) それに、あの子……」

「えっ、長崎さん……こちらの学校で何かあったんですか?」
あなが驚いたように言った。……こいつ……!
「うちの学校では、“成績バツグンで笑顔がかわいい転入生”と……」

「(関西弁) あなた、冗談もそのくらいにして! あの子が笑顔?」
米谷さんがあなの言葉を遮った。
「(関西弁) 確かに成績は学年トップだったけどね……」
南さんはため息交じりに言った。

「(関西弁) あんな……化け物……あっ!」
米谷さんが自分の言葉に驚いた。
「(関西弁) ……だめよ、その呼び方! ……それに、それ……」
南さんが何か言いかけてやめた。

「あの……ここからは新聞部の立場を離れて言いますけど……」
「長崎さんは私たちの友達なんです……前の学校で悪く言われてるなんて残念です……」
あなの言葉は、多分……全て計算ずく。

「(関西弁) 私……こんな事、言うつもりじゃなかった……」
「(関西弁) ここの生徒ならほとんど知ってる事で……」

「気になるので、ハンバーガー屋さんあたりでもう少しお話を……おごります」
あな、あんたすごいよ……。
……ああ、それから、作戦は事前に私に教えておきなさい。

夕方。
私とあなはハンバーガー屋で、四本木高等学校の生徒から聞いた事をまとめた。
長崎さんは“化け物”として恐れられていた。もちろん、スポーツ界などで用いる“怪物”みたいな驚愕や称賛の意味ではなく、そのままの意味だ。

なぜ、長崎さんが化け物扱いされていたかというと、長崎さんの周囲で起こる怪現象が原因だった。
ガラスが急に割れた、廊下中の掲示物が突然真っ二つに切れた、誰も触っていない椅子が窓から放り投げたように落下した……目撃例に事欠かない。

最初は無関係と思われていたものも、あまりに連続すると意味を持つ。現場に必ず長崎さんがいるのだから。
噂が噂を呼び「あいつは超能力者で、その能力で悪さをしている」という珍説まで出た。
南さんが言った「……それに、それ……」の続きだけど「それ……うちの生徒だけの秘密でしょ」だった。

教師……学校側は、長崎ねるという生徒が“必ず”怪現象に関わってるという事は把握できていなかったようだ。
0200アナザー『りかねる』=『りなねる』9(チベット自治区) (ワッチョイ 4a76-I67b)
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2017/07/13(木) 05:39:39.39ID:T/nYyGdB0
駅までの帰り道、繁華街をあなと歩いていると、男の人が声をかけてきた。
「あのーっ、“外苑東46”の齋藤明日菜ちゃんと生田絵理子ちゃんですか?」
えっえっ? それ、私たち?
あなと互いの顔を見た。
「明日菜ちゃんがセンターだったシングル『二人で裸足の夏の季節』買いましたよ!」
ふふふ、明日菜ちゃんに見えるかねキミは。
「これからちょっと遊びに行きませんか?」
あああ! そんな事だろうと思った!

翌日の昼休み。
私とあなは音楽室にいた。他には誰もいない。

「いじめどころか……さらにすごい話が出てきちゃったね」
と、あなが言った。
「私、化け物呼ばわりされたら学校いられない……」
私はちょっと震えた。
「原因を長崎さんとは別に考えるとしても……聞いた怪現象だけで十数件……」
あなが指で空中に何か書くような仕草で言った。
「全て生徒たちの作り話って事もないよね?」
私はそう言ったものの、実際に見ていないのでなんとも判断できなかった。

すると、声がした。
「……それはたぶん事実だよ」
ラテが立っていた。
えっ、いつの間に入ってきたの?
それに、なぜ断言できるの……?
「もし、彼女に異変が起こったら……」
異変?
「私に知らせてほしい……」
ラテが言った。
「異変って……失神?」
あなが言った。
「違う……」
ラテがすぐに否定した。
「もっと怖くて……たぶん、信じられない状態……」
ラテが意味深な事を言った。
「……もし何が起こっても……」
ラテはうつむいた。
「彼女を大切に考えてあげてほしい……」
ラテは出ていってしまった。

私たちも音楽室を出た。

……………………

教室に戻ろうとしたら、ちょっとした騒ぎが起きていた。
大勢の生徒たちが廊下で何かを拾ってた。
廊下の壁に貼ってあった掲示物だ……。

「風で飛んだのかな?」
と私が言ったら、あなが掲示物を指さした。
「あれ、剥がれたんじゃないよ……切れてる……」
通りながら見ると、廊下の壁の掲示物が全て真っ二つになっていた……。
「ひどい悪戯だね……」
と、みんなが口々に言っていたけど、私とあなは目の前で起きてる事の意味がわかっていた。

そして、見つけてしまった。
廊下の一番奥に立ってる長崎さんの姿を……。
0203アナザー『りかねる』=『りなねる』10(チベット自治区) (ワッチョイ 6e76-I67b)
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2017/07/13(木) 06:02:39.35ID:LXBz3hzI0
放課後。
私は大急ぎでラテを探した。
ラテは下駄箱のところにいた。
「ラテ! 廊下の掲示物が真っ二つに切れて……」
「知ってる……」
ラテはすぐ答えた。
「あれは、私の言う“彼女の異変”じゃない……」
「もう今日は何も起こらない……」
ラテは帰ってしまった。

次に登校した時。
昼休み、私は屋上にいた。
一人で色々と考えたい事があったのだ。
長崎さんに付きまとう怪現象……明らかに何かを知ってるラテ……。

すると、金網のところに立っていた私に背後から誰かが声をかけた。
長崎さん? ふと、振り返り、顔を見ると……涙がこぼれていた……。

「神村さん……どうしよう……私……どうしよう……」
「せっかく新しい学校に来たのに……もう……どうしたらいいの?」
「神村さんや尾関さんとも……仲良くなれる気がしたのに……」
「また同じ事の繰り返し……もう……私、自分が……」

長崎さんがたくさんしゃべってる!
……いや、そうじゃなくて……。

「……掲示物が切れた件?」
私は聞いてみた。
「あれは始まり……」
始まり?
「これからまた……」
長崎さんは泣きだした。まさに、号泣だった。

私が長崎さんの背中に手をやろうと近づくと、長崎さんが急に胸を押さえてうずくまった。
ふわっと長崎さんの身体から力が抜け、長崎さんは気を失った。

「長崎さん!」
と私は声をかけた……。

長崎さんはすぐに起き上がった……。

そこには……恐ろしい姿となった長崎さんがいた……。
四つん這いになり、髪を振り乱し、首を不規則に振っている。
「あああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
長崎さんが叫んだ。
あわわわ! こ、これが“異変”!

ラテに知らせなきゃ!
でも、どうやって?

そこに、あながやってきた。
「神村さん、さっき長崎さんがここに……あああああっーーーーーー!!!」
あなが叫んだ。

「あな! ラテを探して呼んできて!」
あなはうなずき、大急ぎで下りていった。
0204アナザー『りかねる』=『りなねる』11(チベット自治区) (ワッチョイ 6e76-I67b)
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2017/07/13(木) 06:05:30.10ID:LXBz3hzI0
どうしよう……私。
すると、長崎さんは跳躍して、同時に右手をすごい勢いで振った。
私の顔を爪がかすめ、痛みがはしる。
私は襲いかかってくる長崎さんを避けながら、ずっと屋上を走り回っていた。
……疲れた……もう、捕まりそう……。

その時……。
「静止せよ!!!」と声がした。

ラテだ!

長崎さんは固まったように動かなくなっている。
ラテのあとを追いかけて、あなが屋上に上がってきた。
「尾関さん! 扉を閉めて!」
「今の彼女の姿を他の人に見せちゃだめだ!」
ラテは叫んだ。
あなは扉を閉めると、扉の前にベンチをふたつ移動した。

「離すのは今……」
ラテがつぶやくと、左手首に巻いていた白い布をほどき始めた。
「包帯?」
私が聞くと、ラテが答えた。
「ちょっと違うかな……」
「これから、彼女に憑りついているものを離す……」
憑りついてる……?
「長崎さんに何かが憑りついてるっていうの?」
ラテは答えた。
「たぬき……」
はぇ? それは彼女の顔立ちそのままで言ってませんか?
「冗談……」
ラテは全く表情を変えずに冗談を言った。
「怪奇……」
私はそれも意味がわからずラテに聞いた。
「かいき? 怪奇現象の怪奇?」
「簡単に言えば妖怪のようなもの……」
ラテは布をほどき終わって答えた。
「妖怪……?」
あながつぶやいた。

ラテは白い布を持ち、何か唱え始めた。
すると、白い布が波のような動きをして、長崎さんに巻き付いた。

「離れろ!!!」
ラテが叫んだ。

長崎さんの身体がぱたりと倒れた。
呼吸は激しく、目はうつろだけど、いつもの長崎さんの顔だ。

その代わり……。
何だかすごいのが現れてしまいました。

赤くて半透明のブヨブヨグニョグニョが浮かんでる。3メートル四方くらい。
「すごいのキター!」
私はグニョグニョを指さした。
次の瞬間、シュッと風が吹いた。
私の制服の袖が切れ、髪の毛がはらりと落ちた……。

これ……知識として知ってはいたけど……見るのなんて当然初めて……。
「鎌鼬(かまいたち)……」
私は震える声でつぶやいた。
0205アナザー『りかねる』=『りなねる』12(チベット自治区) (ワッチョイ 6e76-I67b)
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2017/07/13(木) 06:09:03.65ID:LXBz3hzI0
掲示物真っ二つはこれね……。
おそらく、他の怪現象もこのグニョグニョの仕業……。

「ゲームで言えばラスボス登場ってところ?」
あなが怖がりもせずに言った。
「いや……」
ラテが否定した。
「こんなものはラスボスじゃない……」

ラテがまた何か唱えると、白い布は芯が入ったように真っすぐになった。刀のようだ……。
「怪奇斬!」
ラテが布を振り下ろすと白い布はグニョグニョの真ん中に食いこんだ。
「斬りきれないか……」
ラテが悔しそうに言った。

「神村さん、尾関さん……」
「……協力……してくれないか?」
えっ? ナニ?
「この布を一緒に持って……」
「念じてほしい……」
ナンデスカ? 私たちに? 何が? 何を?
「愛と……勇気かな……」
ええっ!?
「冗談……」
またこのヒト、冗談言ったよ……。
「とにかく、握って!」
私とあなは、ラテの言った通りにした。
「長崎さんの……笑顔を思い出してほしい……」
ラテは言った。

私は思い出していた。

……………………
「……私って成績ビリのほうなんだ……長崎さんに教えてほしい」
恥ずかしそうに微笑んだ長崎さん……。なんて素敵な表情! もし、私が男なら惚れる……。
「……私で……いいの……!?」
「素敵な笑顔キター!!」
……………………

あなの思いも流れ込んできた。

……………………
恥ずかしそうに微笑んだ長崎さん……。
「……りかさん……私の名前の“ねる”はね……」
長崎さんは名前の由来を教えてくれた。
「へぇ! そうなんだ!」
嬉しい! これから色々な事を話して長崎さんと友達に……。
……………………

「斬!!!」
ラテが叫ぶと、白い布が輝き、グニョグニョは真っ二つになった。
同時に……霧のように消えてしまった。

私たち四人は、しばらく屋上の床に座り込んでいた。

「長崎さん……」
ラテが言った。
「……はい……」
ようやく起き上がれるようになった長崎さんが返事をした。
「どこか……例えば、山の中で変わった石を拾わなかったかい?」
0206アナザー『りかねる』=『りなねる』13(チベット自治区) (ワッチョイ 6e76-I67b)
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2017/07/13(木) 06:11:18.34ID:LXBz3hzI0
「???」
長崎さんが考えている。
「あっ!」
何かに気がついたようだ。
「家族で山登りした時に……珍しい形の赤い石を見つけた……」
「……じゃあ、それを手に取った時だな……」
ラテが空を見上げて言った。
「それが、怪奇の門だよ……」

あの……私、話についていけてないんですけど。

「長崎さんが石を手に取った時、あの……怪奇が憑りついたという事?」
あなが聞いた。
「そう……」
ラテが答えた。

「あのぉ、ラテ……そもそもあなたはナニ?」
私が尋ねた。バタバタしてたので色々な事を無条件に受け入れてた……。
「私の家系は“ああいうもの”を滅する力を持っていてね……」
「私も高校に上がった頃に、見え始めた……」
ラテが変わった頃だ……。
「長崎さん……キミの怪奇も見えてたんだけど……」
「……はい」
長崎さんが言った。
「……キミから離す機会を待っていた……」
「…………」
長崎さんが少し安心したように息を吐いた。

私はラテに話しかけた。
「ねぇ、ラテ……」
「なんだい……?」
「前の学校で、長崎さんのあの姿……見られちゃってるかな?」
私は四つん這いになって髪を振り乱して吠える長崎さんの姿を思い出した。あれを見られたら本当に“化け物”として見られてしまう。
ラテが言った。
「それは、たぶん大丈夫……」
「怪奇があんな風に表に出てくるのには……」
ラテが二回セキをした。
「きっかけがあるんだ……」
「心を許した相手の前で、彼女の心が激しく揺れた時……」

私は、号泣した長崎さんの事を思い出した。

「あの状態になった時……同時に、怪奇を分離する機会でもある……」
0207アナザー『りかねる』=『りなねる』14(チベット自治区) (ワッチョイ 6e76-I67b)
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2017/07/13(木) 06:14:13.96ID:LXBz3hzI0
再び時間が経った……。

私はラテの言葉を思い出していた。
(「心を許した相手の前で、彼女の心が激しく揺れた時……」)
心を……許した……相手……。

私はゆっくり立ち上がった。
「長崎さん、改めてだけど、私はあなたと仲良くなりたい!」
私は長崎さんを指さした。

「尾関! 尾関もよろしく! あなたの尾関です!」
あなが高く手をあげた。

「あとぉ……」
私は横目で彼女を見た。

「ん? ……私?」
ラテが顔を向けた。

「うれしい……新しい学校で、いっぺんに友達が三人も……」
長崎さんが泣いている……笑顔で……。

「友達……か……」
ラテ……梨奈が照れたような顔をしている。

「これからもっとできるよ! たくさんの友達!」
あなが笑顔で長崎さん……ねるに言った。

「いい言葉キター!」
私は、あな……理科を指さした。

屋上をさわやかな風が吹き抜けていった……。


アナザー『りかねる』=『りなねる』(完)
0208『○○ねる』の人(チベット自治区) (ワッチョイ 6e76-I67b)
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2017/07/13(木) 06:50:54.01ID:LXBz3hzI0
お読みいただきありがとうございました。

【つぶやき】

・『りかねる』があまりにバッドエンドだったので、ハッピーエンドのストーリールートを作りました。序盤は神村莉菜の視点の『りかねる』シーンになっていますので、見比べると楽しめます。

・『りなねる』は、もっと短かったのですが、神村莉菜と尾関理科のコンビを書くのが面白くて『りかねる』と同程度に長くなりました。

・ストーリーに分岐がかかった関係上、菅井さんをはじめ『りかねる』ルートのキャラクターは顔見せ程度になりました。

・無理矢理ですが、ようやく小池美波さん(南恵子)を出しました。(関西弁)についてはお察しください。あと、キャラクターとして出ていない漢字欅メンバーは今泉さんと小林さんです。
0209名無しって、書けない?(庭) (アウアウカー Sa11-egh9)
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2017/07/13(木) 06:59:55.17ID:jIb0C1eKa
>>208
埋め立て規制と戦いながらの連続投稿乙でありますw
0210名無しって、書けない?(広西チワン族自治区) (ガラプー KK12-AeJY)
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2017/07/13(木) 09:57:54.71ID:cyAYLh4cK
何か残客が最終回迎えたのに評判がさんざんなようですね

マジでこのスレや関連スレの作品を映像化したほうが絶対に評判になりそう
0211名無しって、書けない?(SB-iPhone) (ササクッテロラ Spd7-wb3X)
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2017/07/13(木) 13:44:33.83ID:WnPr8xNup
>>185
お久しぶりです。いつも作品楽しみにして
います。
大阪府さんの創作力で ゆいぽんを主人公に
したミステリーものを見てみたいですね笑
0212名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW 8b57-WLQd)
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2017/07/13(木) 16:24:43.63ID:9mPlkirJ0
>>187
>>189
ありがとうございます

>>211
お久しぶりです
残念ながら、ミステリー大嫌いなんすよw
必ずと言っていいほど人が死にますからね
それに、ゆいぽんの良さを引き出すことに関しては、
ぽん民さんに永遠に敵いません

>>210
もっと普通の物語で欅ちゃんを見たいですね
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