【日経新聞 2015年2月11日付けの不当な約款は無効】

「不当な約款は無効」明文化

最後まで調整が続いたのが企業が不特定多数の消費者との契約を効率的に処理するために定める約款の扱いだ。

要綱案は

    「約款を契約の内容とすることをあらかじめ示していれば、消費者が内容を理解していなくても有効とする」「消費者の利益を一方的に害する不当な条項は無効とする」

といった原則を明記した。昨年夏に経団連が「適用範囲が不明確だ」などと反発したことなどを受け、原案になかった「不特定多数」の消費者との取引が対象という内容を盛り込み、
事業者間の取引や雇用契約などは対象から除いた。契約締結後の一方的な変更は相手の利益に適合し、合理的である場合に限るなどとした。

約款は電車や飛行機の

                                            「運送約款」

電気・水道・ガスの「供給約款」、インターネットサービスの「利用規約」など消費者の生活の様々な場面に登場する。契約時に約款の内容の説明が十分にされなかったことで消費
者が不利益を被ったとして、全国の消費者団体などに相談を寄せる例が後を絶たない。

適格消費者団体「消費者支援機構関西」(大阪市)は約款で定める解約手数料の問題で

                       「企業などが解約によって被る損害よりも、はるかに高い解約料を設定していることが多い」

(西島秀向事務局長)と指摘する。婚礼衣装の予約を使用する1年以上前にキャンセルした際、費用の30%の解約料を求められた事例もあったという。

事業者側に過度に有利な免責・責任制限条項が入っていることもある。2012年にヤフー子会社のレンタルサーバー会社でデータ消失事故が起きた際も、損害賠償義務を月々の
利用料金の範囲内に限定することや、利用者がデータを保存していないことが原因となった損害には一切責任を負わないことなどが利用契約約款に書いてあり問題となった。

 民法改正後、こうした約款に基づく契約は「消費者の利益を一方的に害する」として無効になる可能性がある。

 西島事務局長は「企業にとって一方的に有利な約款が認められなくなれば、安心して消費者も契約ができる」と話す。