ストレス阻害物質「アストレシンB」に発毛効果を発見 実験中に偶然/UCLAなど

【2月17日 AFP】ストレス関連ホルモンを阻害するある化合物に、頭髪を再生してくれる可能性を期待
できる研究結果が、16日のオンライン科学誌「PLoS ONE」に発表された。

アストレシンBと呼ばれるこの物質が、脱毛治療で使用されるミノキシジルよりも発毛効果があることが、
マウス実験によってわかった。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California at Los Angeles、UCLA)と
米退役軍人省の研究チームは、アストレシンBの効果を発見できたのは「全くの偶然」だったという。 
研究チームは、ストレスホルモンの一種、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)を大量に生産するよう
遺伝子を組み換えたマウスを使って実験を行っていた。これらのマウスは慢性ストレス状態となり、
背中の毛が全部抜け落ちていた。

実験は、CRF阻害薬が消化器系の機能に及ぼす影響を調べるというもので、米カリフォルニア州の
ソーク研究所(Salk Institute)が開発したアストレシンBをこれらのマウスに注入した。
何ら効果は現れなかったので5日間、同じ実験を続けた時点で終了し、使用したマウスを毛の生えた
普通のマウスのいるケージに戻した。
3か月後、再び実験で使用するためマウスの元に戻った研究者らは、もはや遺伝子組み換えマウスを
識別することができなかった。どのマウスも毛が再生してふさふさしていたからだ。
そればかりか、毛は加齢とともに白くはならず、色素を保つ働きをしているようにも見えた。

研究チームは、毛のないマウスにミノキシジルだけを投与する実験を行ったが、毛の再生具合は
人間の場合同様、それほど劇的ではなかった。このことはアストレシンBに対する反応もマウスと
人間では同様で、人間でも劇的な発毛効果がありうることを示唆している。

なお、マウスで実験を重ねても、アストレシンBに毒性は確認されなかった。臨床試験を5年以内に
実施できる可能性があるという。(c)AFP/Jean-Louis Santini