思春期を迎えた果穂がかつてまだ子供だった頃に自分の内にあった
憧れのようで、しかしそれだけではない名も知らぬ感情がなんだったのかを自覚して
芽吹く前に終わってしまっていたその恋の残滓をちくりと胸を刺す微かな痛みごと
零すまいとするよう愛おしげに抱きながらしまいこんで
恋したあの人とその傍らに幸せそうに寄り添う大好きなお姉さんに向かって
秘めたものを悟らせぬあの頃と変わらないままの笑顔を見せてまた一つ「大人」になるのも美しいと思う