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深層断面/巨大加速器「リニアコライダー」建設、年内に可否判断 (日刊工業新聞 2018/4/10 05:00)

宇宙の謎、日本から解明
宇宙誕生直後のビッグバンの再現を目指す、全長20キロメートル以上の巨大加速器が日本に誕生するかもしれない。
政府は2018年中にも建設の可否を判断する。
このビッグプロジェクトに青信号が灯(とも)れば、候補地である東北は世界の素粒子物理学者が集う科学の一大拠点になる。
医療や材料、エネルギーなど新産業が生まれる波及効果も期待される。ただ数千億円と見込まれる巨額の建設費が大きなハードルだ。
実現には国民の理解が欠かせない。(藤木信穂)

ビッグバン再現―ヒッグス粒子精密測定

ILCの完成イメージ(高エネ機構提供、(C)Rey.Hori)
30年の運転開始を目指して構想中の超大型加速器「国際リニアコライダー」(ILC)は、
電子と陽電子を加速して衝突させる次世代の直線型加速器。岩手、宮城両県にまたがる北上山地が建設候補地だ。

12年にヒッグス粒子を発見したスイスにある欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)は、陽子と陽子をぶつける円形の加速器だ。
衝突エネルギーが高く、新粒子探索には適するが、精密測定には不向きだ。これに対し、ILCでは素粒子反応のすべてを直接観測できる。

研究者組織である国際将来加速器委員会(ICFA)は04年、世界にただ一つだけ建設する「ILC計画」として推進することを決定。
日本の高エネルギー物理学研究者会議はすぐに名乗りを上げ、13年に北上山地が事実上の「世界唯一の候補地」に決まった。

だが、国内の研究方針を定める日本学術会議は「素粒子物理学としての学術的意義は認める」としつつ、当初計画が約1兆円と見積もられた巨額の建設コストなどを理由に「誘致は時期尚早」と判断し、決定を先送りした経緯がある。だが、国内の研究方針を定める日本学術会議は
「素粒子物理学としての学術的意義は認める」としつつ、当初計画が約1兆円と見積もられた巨額の建設コストなどを理由に「誘致は時期尚早」と判断し、
決定を先送りした経緯がある。