清和会は典型的な親米タカ派路線だが、元来代議士一家や土着の資産家が多いので
疑獄系の醜聞は比較的少ないように思える。
こういった意味では、15年以上続いてきた清和会内閣で「政治とカネ」の問題は
徐々にだがクリーンになっていったことは間違いない。
しかしながら一方で、清和会による自民党支配は自民党という大衆政党の性質を一変させた。
それまで、地方の職能団体(農協、漁協、郵便局、中小自営業者等)から支持を受け
「一票の格差」を逆手にとって衆議院で過半数を保ち続けてきた田中・竹下系の性質からがらりと一変し、
清和会は大企業、都市部の中産階級をその支持基盤として小選挙区下、一挙に大勝を重ねてきた。
それまで自民党の伝統的な支持基盤だった地方の職能を「抵抗勢力」と名付けて敵視した
小泉純一郎内閣以降、この傾向はますます揺らがない。
よって現在の清和会内閣は、かつての田中・竹下系内閣では
「聖域」とされた農業分野までその構造改革のメスを入れている。
代表的なものがTPP推進(―皮肉にもトランプ政権の意向により断念する格好となったが)だ。
現在の自民党は、地方の足腰の弱い職能団体に利益を再分配するという構造は希薄で、
大企業と都市部の中産階級さえ確保できれば政権党を維持できるという体制が出来上がっている。
ここに清算主義の根本がある。
足腰の弱い、支援なくば恐慌下で潰れてしまうような企業や人は、
田中・竹下系の内閣では重要な票田だったが、清和会内閣ではそうではない。
清和会内閣で一貫して法人税減税が行われてきたのはその派閥の性質によるところが多い。
法人税減税は中小零細企業よりも大企業にとってより便益となるからである。
多くの大企業は、コロナ禍での一時的な利益の激減すらも内部留保や大規模融資によって概ね乗り切るだろう。
それもこれも、2000年の森喜朗内閣から計15年以上も、
大企業を支持基盤とした大企業優遇政策が清和会内閣によって実行されてきたからだ。