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だがAGIの「ふるさと」がスイス南部の都市ルガノになる可能性もないわけではない。

だがシュミットフーバーはしぶとい。自分には人類の未来がよく見えると彼は自信を持っている。
グーグルや百度(バイドゥ)、アマゾン・ドットコムがAGI研究に潤沢な資金や人材を投じていても気にはならない。

「AGIを作るなら、うちみたいな小さいチームで十分だと私は考えている」と彼は言う。「基本的なパズルのピーズはすでにたくさん集まっている」

シュミットフーバーがAGIを夢見るようになったのは、故郷のドイツ南部バイエルンにいた頃だ。両親は建築士と教師という中流家庭に育った彼は子供時代、アインシュタインに憧れ、さらにその上を行きたいと考えた。

「ティーンエージャーの頃、私は人間にできる一番すごいことは、人間より賢くなれる何かを作ることだと悟った」と彼はカフェラテを飲みながら言った。

「物理学はまさに基本だ。なぜなら世界の本質と、世界が機能するやり方に関する学問だからだ。だが、まだできることが1つある。それはさらに優れた物理学者を作り出すことだ」

シュミットフーバーは40年間、この目標に取り憑かれてきた。弟のクリストフは、自動車に乗り家族でアルプスを訪ねた時のことを今も良く覚えている。
兄は後部座席に座り、哲学的思考にふけっていた。「兄は人間より賢い知的ロボットを作ることは可能だと言った」とクリストフは言う。

「脳を原子のレベルで再構築することも可能だと兄は言った。低速なニューロンの代わりに銅線を接続に使うのだと。
私は直感的に、人造の脳は人間の感情や自由意志まで模倣できるという考えに反論した。だが結局のところ、私は兄が正しいことを理解した」