噴火した島に戻る海鳥 小笠原諸島・西之島、生態系進化の実験場に 2017年1月18日
http://mainichi.jp/articles/20170118/ddm/013/040/028000c
http://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/01/18/20170118ddm001010002000p/9.jpg

 2013年の噴火以降、面積が22ヘクタール(噴火前)から268ヘクタールと10倍以上に拡大
した小笠原諸島・西之島。昨年10月に実施された初の上陸調査で複数の海鳥の繁殖が確認さ
れた。孤立した島独特の生態系が新たに誕生する過程が観察できる「自然の実験場」として注
目を集めている。

8種中3種確認

 噴火前に繁殖が確認されていた海鳥は8種。当時の面積は東京ドーム5個分にも満たなかっ
たが、小笠原諸島の中では最も多くの種が繁殖していた。

 「小さいが海鳥にとっては楽園のような場所」。森林総合研究所の川上和人主任研究員(鳥類
学)によると、脅威になるネズミやネコなどがおらず、巣を作りやすい環境を変えてしまうような外
来植物も入っていなかった。特にアオツラカツオドリの国内の繁殖地は他に尖閣諸島だけで、噴
火の影響が注目されていた。

 上陸調査に参加した川上さんが溶岩流を免れた場所を調べたところ、8種のうち3種の営巣が
確認できた。アオツラカツオドリは抱卵中。カツオドリの若鳥がおり、オナガミズナギドリの巣穴も
多数あった。アジサシの仲間は、繁殖は確認できていないが、島の近くを飛んでいた。