ソヴィエト連邦のオパーリンは1920年代に化学進化説を発表した。
これは原始の海は有機物のスープであり、生物が誕生する以前から
原始地球を構成する無機物の化学反応により有機物が地球上に満ち溢れていたという説である。
そして、その有機物が数億年かけて進化することで原始生命体になったという。
シカゴ大学のミラーは1953年にユーリー・ミラーの実験を行い、
原始地球はメタンやアンモニアを主成分とする還元性の環境であったという仮定のもと、
擬似的な落雷によって生物に不可欠の物質であるアミノ酸が生成される過程を検証した。
ドイツのヴェヒタースホイザーは1988年に原始生命体は鉱物の表面で誕生したという説を発表した。
硫黄を中心とする酸素を伴わない代謝系の存在を指摘し、ブラックスモーカーに注目する科学者の支持を受けた。

オパーリンは現代科学のパラダイムの中で生命の起源を思弁的に論じた科学者、
ミラーは生命の起源について初めて実証実験を行った科学者として評価されている。