「『東日本大震災』を語り継ぐ。」という意味

東日本大震災において大きな津波被害に見舞われた東北地方では、今回の震災と津波被害を「語り継ぐ。」
ということが一つの合言葉となりました。
 「東日本大震災は1000年に一度の大災害である。」といわれることがありますが、東北地方が大地震とそ
の後の津波被害に見舞われるのは、1000年に一度のことでは決してなく、明治以降3回目のこととなります。
明治29年(1896年)6月15日の明治三陸沖地震(M8.5)、昭和8年(1933年)3月3日(M8.1)の昭和三陸沖地震と
いう二回の前例があります。明治29年から昭和8年までは37年で、昭和8年から平成23年までは78年もあります。
昭和8年の三陸沖地震の時は、両親が明治三陸沖地震について記憶していたので、津波に対する警戒が薄れて
はいなかったといわれています。昭和8年から平成23年までの78年間に両親だけではなく、祖父母までもが、
昭和8年の三陸沖地震を経験していない人たちが多くいた、ということが、今回の震災被害を「語り継ぐ。」
という思いに繋がっているといえます。
 昭和8年の三陸沖地震の後には、宮城県は、県の条例において、土地利用規制を設けたほどでした。
それくらい、津波に対しては警戒を敷いていたのでした。しかし、今回の震災において、映像などを見ていると、
特に若い人の声で、「これは夢だよな・・・」といった現実とは信じられないといった呟きが聞かれるが多くあります。
これは、津波被害地の多くで東北の沿岸部は津波被害の危険がある、ということを全く知らされていない若い世代の人が
多くいたということとそうした人が津波発生の恐れのある地域に知らずに住んでいたということを物語っています。

 東北地方の沿岸部において、津波発生の危険があるということを知らせずに住まわせてしまうという危険な状況が発生していたのです。
こうしたことを防止するためにも、今回を震災被害について「語り継ぐ。」ことは必要かと思われます。