【中村修二氏が日亜化学と裁判で争った青色LEDの404特許とは??】

◎『404特許』とは、
青色LEDにおいて、中村氏が発明した
『2フロー制御型のMOCVD』(2フロー法)と呼ばれる半導体製造装置の製法特許のことです。
 その製法で、窒化ガリウム(GaN)を単結晶膜等に成長させたりします(青色LEDを開発する上で必要な材料を作製します)。


◎物理学の専門家である同志社大の山口氏によると、
 「2 フロー法」自体は、その特許出願の 5 年前に、南加州大学のマトルービアンらによって発明されていた、とのことです。

 85年に学術論文として発表されたマトルービアンらの発明は、窒化ガリウム(GaN)結晶を中村氏と同様の方法で
成長させるもので、彼らの論文に掲載された図は、中村氏が特許に掲載した図の装置構成と同一である。
 また、半導体製造装置メーカーのアルバック社の特許と「2フロー法」の404特許の請求要件が一致している。
と指摘しています。

*これらを考えると特許審査官が、404特許の非新規性を見逃した可能性もあり、
しかも他の特許等との類似性から新規性がなく、404特許の無効審決が下される可能性もある、とも言及しています。
http://www.doshisha-u.jp/~ey/images/pdf/BlueLED_Judgment.pdf

◎知的財産に詳しい専門の弁護士も404特許は、
マトルービアン論文とアルバック特許との組み合わせ特許であり、
その場合、404特許は無効という結論になった可能性は高いと、同様に指摘しています。
http://chizai.nikkeibp.co.jp/chizai/manufacture/jinvent20040623.html


※実際に中村氏が発明した青色LEDの関連特許では、新規性がないと高裁で無効審決が下って、取り消された特許もあります。
http://www.toyoda-gosei.co.jp/news/detail/?id=55

◎同業他社の「2フロー法」の評価は、
量産には向かず、興味を持ったメーカーはいないと断じています。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060211/113219/?rt=nocnt

◎その後に日亜化学は、
中村氏の「2フロー法」は、試作レベルの歩留まりだった為に、それを大幅に改良して量産対応して、
97年5月にはこの技術を捨てて、違った製法で量産対応しました。

◎そして日亜化学は404特許訴訟の控訴審での和解後に、この404特許には、もはや価値がないとして特許権を放棄しました。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060307/114330/?rt=nocnt

◎また、ノーベル物理学賞を同時受賞した天野教授は、「404特許は青色LEDの基本特許では決してあり得ない」
という陳述書を404特許訴訟の控訴審で提出しています。

※※ちなみにGaN等をMOCVD装置で生成させる方法自体は赤崎氏が79年頃から研究を始めて採用してたものです。
そして85年に天野氏が緩衝層等を改良して、MOCVD装置では世界初の高品質なGaNの単結晶膜の生成に成功しています。

 つまり青色LEDの研究開発において、404特許自体は、中村氏が著書やインタビューや裁判等で豪語するような、
「独創的な発見」「莫大な利益の源泉」「最大のブレイクスルー」という評価や主張は、誇張とも誇大表現とも言えるし、
それは今回のノーベル賞の中村氏の功績に挙がってないことからも明らかです。

※※※ノーベル賞受賞の功績として挙がっているアニーリングによるp型化は、今でも量産技術として使われています。