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2017年に神戸市北区で5人を殺傷した罪に問われたものの、「心神喪失だった疑いが残る」として刑事責任能力が認定されず、1審で無罪となった男性の控訴審で、大阪高裁は検察側の控訴を棄却し、男性に無罪という判断を下しました。1審判決によりますと、被告の男性(32歳)は2017年7月、神戸市北区の自宅で、祖父母(いずれも当時83歳)を金属バットで殴ったり文化包丁で刺したりして殺害したほか、自宅近くに住む女性(当時79歳)も文化包丁で刺し殺害。母親と近隣女性の2人にも重傷を負わせました。

【図解】刑事責任能力の有無・程度による刑罰の変化…刑法39条は『任意ではなく義務』

神戸地裁は2021年11月、「相手が哲学的ゾンビだと確信した状態で犯行に躊躇を覚えた可能性も想定できる」「妄想を信じ切っていたか、妄想を払拭し犯行を思いとどまれる状態ではなかった可能性が高く、心神喪失だった合理的疑いが残る」として、弁護側の主張を支持。男性に無罪を言い渡しました。その後、検察側が控訴していました。大阪高裁は9月25日、「妄想の圧倒的な影響下で犯行に及んだ疑いを払拭できない」と改めて結論づけて、控訴を棄却し、1審・2審とも無罪という結果となりました。

犯罪と刑事責任能力。無罪が確定した場合、その後被告はどうなるのか…などの疑問やポイントについて、刑事責任能力の有無や程度が最大の争点となっている「京都アニメーション放火殺人事件」のケースを例に、刑事弁護に詳しい川崎拓也弁護士が解説しました。(2023年9月5日の記事から一部再掲)

■最大の争点『刑事責任能力』を判断する流れ

36人が犠牲になった京都ア