広岡の“信念”


“打撃の神様”川上哲治との確執、そして、信念を貫き通した自分を裏切り者扱いした巨人へのわだかまり……現役時代はもちろん、監督、ゼネラルマネージャーになっても、己の信念と反発心によって自らを突き動かしてきた姿勢は一貫して変わっていない。

 ただ野球界が政治力や駆け引きに左右されず健全に機能してほしい。選手にはプロフェッショナルとして妥協せず、常に研鑽を重ねて品位を持ってプレーしてほしい――。広岡の“信念”は現役時代から60年以上がたった今もブレずに燃え続けている。だからこそ、広岡は89歳になっても誰にも忖度せず、球界のために“正論”を吐き続けている。

【広岡達朗】
32年、広島県呉市生まれ。早稲田大学を経て’54年に巨人に入団。引退後は’76年からヤクルト、’82年から西武の監督を務め、日本一に3度輝く。その後は野球解説者として活動を続け、89歳となった今もコラム連載を多数抱える