若返るエビデンスがあったら大騒ぎですが何か

「16時間断食」「月曜断食」。空腹時間、すなわち飢餓状態を作ると細胞内で「オートファジー(自食作用)」が起こり、細胞内のタンパク質などが分解され、再利用される。それによって効率よく減量やアンチエイジングが行えるという考え方だ。

これは2016年に「オートファジーの仕組みの解明」に対してノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典教授と結び付けて語られる。

まるでノーベル賞を取った健康法であるかのようだが、大隅教授の論文や受賞後のインタビューを調べても「ダイエットに有効である」という言葉はない。調べても調べても、エビデンスがよくわからない……。

「今話題になっているダイエット法は、簡単にいうと『欠食』です。トライして体重が減ったとしたら、欠食して単純に食べる量が減った場合です」

「これらのダイエット法では食べない時間を作ることを有効としていますが、国立健康・栄養研究所では『人間の体は、食事間隔が長くなると栄養がより吸収されやすくなるため、一日の総摂取エネルギー量が同じ場合、食事回数の少ないほうが太りやすくなります』と述べています」

「さらに日本消化器病学会は、胆石症予防のために朝からきちんと食事を取る規則正しい食生活を勧めており、過剰なダイエットは胆石の誘因となるとしています」

 日本人が胆石症にかかる割合は約10人に1人、朝食を取らない人は取る人の約3倍の胆石症発症率が報告されているという。

ほかに日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2019」でも3食取ることを推奨している。エビデンス重視の根拠ある論文では、いずれも一日3食の食生活を推奨。

つまり、話題のダイエット法は医学会の疫病予防や治療ガイドに反する異端的な存在、慎重に判断することが大切だ。