咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019より

CVAとはどのような疾患か
喘鳴や呼吸困難を伴わない慢性咳嗽が唯一の症状、呼吸機能ほぼ正常、気道過敏性軽度亢進、気管支拡張薬が有効で定義される喘息の亜型(席だけを症状とする喘息)である。
成人の狭義の慢性咳嗽の原因疾患として欧米では後鼻漏/副鼻腔炎やGERDと並んで頻度が高く、わが国ではほとんどの報告でもっとも頻度が高い。

CVAの臨床像は
咳嗽は、就寝時、深夜あるいは早朝に悪化しやすいが、昼間にのみ咳を認める患者も存在する。
症状の季節性がしばしば認められる。
喀痰を伴わないことが多いが、湿性咳嗽の場合も少なくない(痰は少量で非膿性)。
喘鳴は自・他覚的に認めず、強制呼出時にも聴取されない(わずかでも喘鳴を認める症例は「咳優位型喘息」と呼ぶ)。
小児では男児にやや多いが、成人では女性に多い。
上気道炎、冷気、運動、受動喫煙を含む喫煙、雨天、湿度の上昇、花粉や黄砂の飛散などが増悪因子である。

咳喘息(CVA)の診断基準
下記1〜2のすべてを満たす
1、喘鳴を伴わない咳嗽が8週間以上持続
聴診上もwheezesを認めない
2、気管支拡張薬(β2刺激薬など)が有効
※3〜8週間の遷延性咳嗽であっても診断できるが、3週間未満の急性咳嗽では原則として確定診断しない。

参考所見
(1)末梢血・喀痰好酸球増多、FeNO濃度高値を認めることがある(特に後2者は有用)
(2)気道過敏性が亢進している
(3)咳症状にはしばしば季節性や日差があり、夜間〜早朝優位のことが多い