厚生労働省は腎機能の正常な人について、タンパク質をとる量の上限を設けることをやめました。
2015年度版の「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)では、タンパク質の過剰摂取による健康障害には十分な根拠はないとしたのです。

腎機能に障害のある人については、日本腎臓病学会はまだ「低たんぱく食を推奨する」としています。けれど、この推奨には科学的根拠があまりないことを学会自身が認めているのです。

実は、2013年10月、アメリカ糖尿病学会(ADA)は栄養療法に関する声明のなかで、「糖尿病腎症に関しては、低たんぱく質食を推奨しない」と言い切っています。

つまり、腎症であっても、タンパク質を控えることで効果はなかったと、アメリカ糖尿病学会は判断したということです。

腎機能の障害のある人には低たんぱく食という常識も変わりつつあるのです。

以上のようなことは、何も特別な話ではなく、よく勉強している医師なら誰でも知っている生理学的な事実です。
私の病院の栄養士さんや、ほかのよく勉強されている栄養士さんたちも、こうした最新知識をよく知っておられ、正しい食事指導をしています。