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『世界初の臨床研究で実証!末期がん患者さんの病勢コントロール率 83%』

多くのメディアでも華々しく取り上げられました。
しかし、この本に書かれているデータを見て、ケトン食のがん治療効果を実証できたと結論づけてしまうのはかなり問題です。

古川氏は昨年の日本病態栄養学会(横浜)において、「ステージW進行再発大腸癌、乳癌に対し蛋白質とEPAを強化した糖質制限食によるQOL改善に関する臨床研究」という題で結果を発表されたようです。
しかし抄録を見ると、大きながん関連学会での採用は難しい印象を持ちました。
臨床研究と仰々しくは言っても、あくまでもQOLについて「自身の興味のあることを調べてみたら結果はこうだった、だからこういう事が示唆される」程度のもの。
もともと抗がん剤がよく効く大腸がんと乳がん患者を都合よく選択して、
標準治療とケトン食を併用した、わずか十数例ほどの症例報告を綴っているだけです。

冒頭に戻ります。古川氏の研究では、標準治療も一緒に行われていたのに、一体なぜケトン食の効果だと言えるのでしょうか。そして、主たるQOLについて調べられた研究であり、
かつ生存成績も一切示さないで、なぜケトン食ががん患者に有効だと唱えることができるのでしょうか。要するに「世界初の実証」と宣言するための体をまったく成していないわけです。

最後に、
この医師のふるまいでさらに問題なのは、とあるエセ免疫療法クリニックの専任アドバイザーを務め、ケトン食セミナー (受講料: 6万4,800円) を開催しながら、
エセ免疫細胞療法、高濃度ビタミンC点滴療法、がんワクチン、水素療法といった、得体の知れない詐欺的ビジネスに加担していることでしょう。
この本のおわりにセミナー資料請求先が掲載されているのでくれぐれもご注意ください。