日本人の 2 型糖尿病の増加には,内臓脂肪型肥満によるインスリン抵抗性を基盤とする病態が大きく関与し ている.栄養学的な観点から,動物性脂肪の相対的な増加が原因として大きな意義をもつと考えられ,
その結 果,合併症の疾患構造が大きく変化している.糖尿病の食事療法の基本は総エネルギー摂取量の適正化によっ て
肥満を是正し,インスリン作用の面から,需要と供給のバランスを図ることを目的としている
.したがって, 個々の栄養素の摂取比率は,患者の活動度や嗜好などに応じて医学的な齟齬がない範囲で柔軟に対応してよい.
近年,炭水化物制限の体重減少効果が注目されているが,炭水化物摂取量の制限によって,総エネルギーとは
無関係に体重が減少することを示すエビデンスはない
.総エネルギーの適正化をしない極端な炭水化物制限は, その効果のみならず,長期にわたる安全性,遵守性などの面から危惧があり,これを勧めることはできない.

http://www.igaku.co.jp/pdf/1509_tonyobyo-03.pdf