「長かった。投げられないのがストレスだった」。1月15日の検査で右肘に軽度の炎症が発覚。
ノースロー調整を強いられる日々で、ある思いが奥川を支えていた。

「卒業式で帰るときに、2人と一緒に金沢のおいしい料理を食べに行きたい。そのために貯金しています」。
2人とは星稜高の同級生で、記録員だった浜塚光希さんと打撃投手を務めた芳賀大樹さん。プライベートでも心を許す親友との食事を、キャンプ中の励みにしている。

別メニュー調整で、トレーナーら周囲に支えられていることを再認識。「スタッフの方の気遣いは本当にすごい」。
そこで「2人もメンバーのことを考えて行動してくれていました」と思い出した。
両親にもらっている小遣いは自身の食事代だけにあて、残りは貯金。恩返しに備えている。
 
23日の体の状態に問題がなければ、24日に再びブルペン入りする予定。4月上旬の実戦デビューを目指す。

「仕上げていくことに関しては、そんなに焦っていない。もう少し落ち着いてできるんじゃないかなと思います」

不安を一掃する圧巻の投球。背番号11はこのキャンプで一番、晴れやかな表情だった。