#7 石川雄洋 「1つ1つチームが勝っていけるように」 12年目の執念

口火を切ったのは、この男のバットだった。
8月26日、横浜スタジアム。相手は2位・巨人。マウンド上には、前回対戦時に7回3安打2得点に抑えられた内海哲也が立っていた。なんとか…いや、絶対に先制点がほしい試合だった。
前日、順位を争う阪神を相手に3連敗を喫していた。その前の中日戦から含めて4戦連続で先制点を奪われ敗れている??。だからこそ、先取点が絶対にほしかったのだ。

そういう場面で、結果を残すのがこの男だ。先頭の桑原が打ち取られ、自身も2球で追い込まれた。
しかし、終わらない。そこから5球粘りをみせての8球目??。真ん中低めのスライダーにうまくバットを合わせると、打球はセンター前へ。
のちにビックイニングを生むことになる、“らしい”ヒットが、はじき出されたのだった。

石川雄洋、背番号7。横浜高校からプロ入りし、もう12年目のシーズンを送っている。プロ2年目に一軍初出場。以降、着々と出場を重ねてきたチームの顔のひとりも、もう30歳になった。
一昨年まではキャプテンを務めたが、「口で引っ張るタイプではない」のはいまも変わらない。“結果を残すことでチームの力になる”ことを追い求めるタイプだ。

「1つ1つチームが勝っていくために、自分のやるべきことをしっかりやるだけ」

思いは強く持ち続けていた。言葉には出さずとも、求められることはわかっている。
前述の場面は、相手が左腕でも上位で使ってもらったことに対する答えを、石川が結果で示してみせた“らしい”瞬間だった。

簡潔に、飾らずに、いまの心境を石川はこう語る。
「12球団でCSにでていないのは、うちだけ。最低でも“そこ”です」

余計なことは、言わない。シーズンは残りわずか。ファンも選手も含め、誰もが願うゴールへ向け、背番号7も心を燃やしている。

(取材・原稿 ベースボール・タイムズ)
http://www.baystars.co.jp/story/2016/0829.php?p=top

かっこ良すぎワロタ