彼女と親しかった数人の女子達の話で、あの日何があったのかを知った。
部活後、着替えを終えて、教室にカバンを取りに行った彼女に、下半身を露出したまま
ふらっと入ってきた池沼が抱きついて押し倒し、発情期の犬みたいに腰を振っていたと
思えば、ドバッ、と放出したのだそうだ。

怒りで目の前がチカチカした。
絶対に落とし前をつけさせてやる、と心に誓った。

そう決心すると、かえって俺は落ち着いた。
他の先生に訴えてもダメだったという。ならば、ダメ元で教育委員会だ。と思った。
でもどうやって訴えるか。考えに考えた。

そして思いついた。
年に数回、視察で教育委員会の面々が来校する日がある。
一番近く、そして一番都合がいい日、それは2月にある立志式の日だった。
うちの中学では、この日が創立記念日でもあり、大事にしている。
その日、昼食時間の校内放送は各学年代表の作文の朗読になる。

まず、学年代表にならねばならない。
俺は何度もトイレで吐きながら、
「池沼君のお世話を通して、僕らが学ばねばならないこと」
というクソみたいなタイトルの、如何にも担任が好みそうな内容の作文を書き上げた。
今思い出しても、怒りで吐き気を催すくらいだが、これまでの担任の言動を思い出し、
可能な限りそれにおもねった内容にした。