JRの利用者らはどう感じているのか。新橋、新宿、渋谷の各駅前で聞いてみた。金融会社役員の男性(53)
は「利用者が少ないのに電車を走らせるのは無駄だ。繰り上げには賛成」とした上で、「飲みに行く人が多い
金曜だけ終電を遅らせてもいいのでは」と提案する。会社員時代は週1回程度、飲み会で終電に乗っていた
という主婦(42)は「終電まで飲むのは昔のやり方。夫も今はそんな飲み方はしないし、時代が違う」。
新型コロナの感染拡大前は仕事や遊びで終電を使っていたという男性会社員(36)も「帰宅時間をむしろ
終電に合わせていたところはある」と繰り上げに理解を示す。広告関係会社に勤める女性(36)は
「終電が早くなれば働き方や社会も変わるかも」と期待した。

一方、士業をしている男性(36)は「JRも商売。保守点検のためと言うが、もうからないから繰り上げるよう
にしか見えない」と指摘する。旅行会社事務員の女性(28)は「終電を繰り上げて、密が発生しないか心配。
郊外に住んでいるので、終電繰り上げは厳しい。JRの都合だけで決められるのは困る」と話した。

JR東は10月中に路線ごとの繰り上げ時間を発表する方針だ。【山本佳孝】

◇影響、事前に把握すべきだ

中央大の後藤孝夫教授(交通経済学)の話 JR東日本は、繰り上げで乗客にどの程度影響が出るかを事前に
しっかり把握すべきだ。たとえば、終電間際の利用客にバスやタクシーといった代わりの足があるかどうか
は考えないといけないだろう。公共交通機関という使命がある以上、大規模なイベントがある際は臨時便
を走らせるなど、ニーズに合わせた柔軟な対応が必要だ。