今や国民は、一見役に立ちそうもない純粋な学問芸術が間接的に(技術を通して)自分たちの生活を豊かにすることを知っている。もう

元の原始時代には戻れない。そして人権の名を知った時から民主主義が始まったのだ。この時から権力は、支配者の手を離れて、民主主義

と言う権力になって人民の手に移ったのだ。つまり国家は人民のものになったのだ。

主権は国民にある。これからは人民は権利として「人民の人民による人民のための政治」を得たが、一方で義務が発生した。何事にも正と 反がある。

 その義務は、支配者の代わりに人民が進んで創造者の生活を保障して、安心して創造活動できる場を用意せねばならない。と言うことだ

。創造者は基本的に金にもならなくても自分の納得する作品を創ろうとする。だから生活に困窮するのは当たり前なのだ。創造者だって人

間である。それが良い訳がない。従って心ならずも、生活のために戦争屋のようなところから研究資金を得たり、よからぬ研究に身を落と

すものが出てくる。これは世間を騒がす不埒ものである。その意味で学問芸術は両刃の剣である。学者・芸術家を国民の側に置いておかな

いと危険でさえあるのだ。権力の側はそれを十分知っている。このままでは、豊かな生活を生み出す一方で、何時までも国民は争い巻き込

まれ苦難を余儀なくされる。