大乗は
何よりもまず、全ての有情、在家者のための教えである。
本来ならば、出家修行者のように
痴気に塗れた世間の有情たちから遠く離れ、僧院に籠って
修行に適した静かな環境で仏道を実践するところを
在家は世間の泥と隣り合わせの劣悪な環境で修行に取り組まねばならない。
これは考えようによっては、出家者よりも厳しい難業ともいえる。
しかも利他という目的がある。これは守旧派が何と言おうと、守旧派には無い眼目である。
他の三毒までをも空じて自他ともに救うには
まず自他差別など遥かに超越した大乗菩薩の慈悲心を生ぜずには済まぬのである