まず、インドの人びとの考え方の、基本の基本。

 (a)「宇宙には、真理(ダルマ)がそなわっている」

 こう、深く深く考えるのが、出発点だ。

 「真理」は、法律ではない。一神教では、神(God)がいて、法律を人間に与えるのだが、インドではそういう順番になっていない。
まず、真理がある。これは、法則性のことで、誰かが決めたのではない。人間も、動物も、そして神々も……、万物が、宇宙のすべてが、この法則に従っている。

 神々も、法則を変化させることができない。逆に、神々は、法則に支配されているのである。

 真理は、宇宙を支配するのだから、普遍的である(インド人の考え方は、世界で通用すべきだ、ということである)。

 この考え方は、4000年ほど前に、バラモン教としてインドに伝えられた。それがだんだん土着化して、ヒンドゥー教になった。仏教も、真理の考えをもっている。