・以上は「ありかた」としての法を中心として考察したのであり、今日のことばでいえば
ほぼ概念の中に含まれるところのものである。ところがわれわれはその他に法有の立場の注目すべき特徴を認める。
有部は概念のみならず判断内容すなわち命題それ自身実在することを主張した。
つくられたものども(諸行)は無常である。しかしながら「諸行は無常である」という命題自身は変易しない。
もし命題自身が変易するならば、つくられたものどもは無常である、とはいえなくなる。
故に命題自身、すなわち「句」も実有であるとされ、五位七五法の分類中の心不相応行法の中に入れられた。