聖書の成り立ちを理解する

用語の解説

写本の信頼性を説明していく前に、まずは最低限知っておくべき用語の説明をする。

原典:著者が書いたオリジナルの文書のこと。聖書の原典は、主にパピルス紙や獣皮紙など腐朽しやすい書写材料に手で書かれた。

写本:原典を書き写したコピーのこと。写本作成作業を専門的に行う人を「写字生」と言う。聖書の写本を作成した多くの写字生は、注意深くその作業を行った。

本文批評:古典作品などの原典を復元するために、伝本(写本)どうしを比較したり語学的に検討したりすること。(デジタル大辞泉)
他には、「下等批評」や「テキスト批評」などの言い方もある。聖書研究の視点からは「聖書批評学」とも言われる。

定本:本文批評によって、写本を比較・検討して誤りや脱落などを正し、その本の最初の姿に復元するように努めた書物のこと。
今日、旧約聖書の底本として多く用いられるのはドイツ聖書協会発行の「ビブリア・ヘブライカ・シュトゥットガルテンシア」であり、
新約聖書の底本として用いられるのは「ネストレ・アーラントの校定本」となっている。