2.「宗教が政治に関わるな!」は他の条項と矛盾する
もし「宗教が政治に関わってはいけない」という解釈が正しければ、憲法が定める「結社の自由」と矛盾することになる。憲法学から言えば、他の条項と矛盾する解釈が成り立つことはない。

信仰者も、国民の当然の権利として、言論・出版の自由、職業選択の自由、政治参加の自由が認められている。


3.「宗教団体の政治活動を排除していない」という政府見解
内閣法制局も、「政教分離」について以下の主旨の答弁を行っている(1999年の大森内閣法制局長官の国会答弁)。
憲法の政教分離の原則とは、信教の自由の保障を実質的なものとする。
そのため、国およびその機関が国権行使の場面において宗教に介入し、または関与することを排除する趣旨である。
宗教団体が政治的活動をすることをも排除している趣旨ではない。

4.憲法を押し付けたアメリカは「国教を禁じる」意味
では、現行憲法を押し付けたアメリカの考えはどうか。

アメリカにおける「政教分離」は、「政治と宗教の分離(Separation of Politics and Religion)」ではなく、「国家と教会の分離(Separation of Church and State)」となっている。つまり、特定のキリスト教宗派を国教にしないという意味だ。

そのため、大統領が聖書を持って宣誓しても、憲法違反にはならない。日本は、アメリカのGHQが提示した草案をもとに憲法をまとめた。そのアメリカから見ても、「宗教が政治に関わってはいけない」という意味ではない。