取り調べ中にトイレ行かせてもらえず失禁、尊厳損ない「違法」…自白調書の証拠能力否定 2022/03/15 07:13

 覚醒剤取締法違反などに問われた男性被告の事件で、福岡地裁は14日、取り調べ中の被告をトイレに行かせず失禁させて尊厳を損なったとして、福岡県警の対応を違法とする判決を出した。事件については懲役2年10月(求刑・懲役3年6月)の有罪とした。

判決によると、被告(30)は昨年8月、覚醒剤を使用し、福岡市東区で住民を暴行するなどした。

 公判で弁護側は、逮捕後の警察署での取り調べで、被告が取調官に訴えたもののトイレに行かせてもらえず失禁したとして、違法性を主張。これに対し取調官は「訴えは取り調べを拒む口実と考え、失禁の事実もなかった」と証言していた。

 判決は、着替えの状況などから、取り調べ開始から約30分の間に取調官が訴えを聞き入れず被告が失禁したと認定。伊藤寛樹裁判官は「尊厳を損なうことがないよう取り計らう義務に違反する」と判断し、自白調書の証拠能力を否定した。一方、他の証拠から有罪を認定できると結論付けた。

 県警は「判決内容を精査し、適切に対処する」としている。