hugetto! precure[9]

結局、プリキュアショーは微妙な空気のうちに閉幕。
他は完璧な出来栄えであるから、あの場面が原因であることは言うまでも無い。

人がはけた閉幕後の会場に残る、2人の男。
複雑な表情の男と、やたら上機嫌で頭同様輝くような笑顔の男。

樋渡「いやー実に大成功だな! 最高のショーだったじゃないか!」
小松「樋渡さん・・・本当に、これでよかったんですか?」
樋渡「ん、どうしたんだ? 収支なら最悪でもチャラだし心配いらない。
   僕の計算では、儲けこそ少ないかも知れんが決して損はしないはずだ。
   図書館の二の舞にはならんから安心していい。」
小松「ええ、分かっています。
   しかし、これでは楽しみにしてくれていた子供たちが・・・」
樋渡「何を言ってるんだ小松君。
   今回のイベントが何の目的か、君は最初から知ってるだろ。
   全ては、私のイメージ回復のためだ。
   子供達が憧れる正義の味方も僕を応援していることを、ちゃんと市民に示せた。
   これで、皆全力で僕を支持するに違いない。
   もう一回、市長からやり直すための礎だよ。
   君は黙って僕についてくればいいんだ。
   つべこべ言うゴキブリなんぞ、黙殺すればいい。
   全ては武雄活性化のためだ、わかってくれるな?」

この日のことが報道機関を通じて世に広まることは、恐らく無い。
一地方都市の着ぐるみショーに過ぎないのだから、当然と言える。
樋渡が再び行政に進出するなら、話は別かも知れないが。

私利私欲のために平気で他人を犠牲にする男、それが樋渡。
子供の夢を踏みにじろうと、他人の誇りを傷つけようと、一切知った事ではない。
そんな樋渡に、明日はあるのか――


ハゲっと!プリキュア 〜元武雄市長物語〜 
[完]