代数学演習
線形代数 群 環と加群 体Galois理論 可換代数 群の表現 などの演習問題を解くスレ 〔問題〕 1/(2^{1/3}) は 2x^3 - 1 = 0 の実根である。 1/(2^{1/3}) は 2次以下の整係数多項式の根ではないことを示せ。 (略解) 1/(2^{1/3}) が axx + bx + c = 0 (a,b,c∈Z) の根となるのは a=b=c=0 の場合に限る ことを示す。 a=0, b=0 のときは成立する。 a=0, b≠0 のとき x = - c/b ∈Q となるが 2x^3 = 1 で xの分母・分子の2ベキ指数が矛盾を来たす。 a≠0 のとき b/a = b'、 c/a = c' とおく。 2x^3 - 1 を xx + b'x + c' で割ると 2x^3 - 1 = 2(xx + b'x + c')(x - b') + 2(b' ^2 - c')x + (2b'c' - 1), x = 1/(2^{1/3}) とおくと 0 = 2(b' ^2 - c')/(2^{1/3}) + (2b'c' - 1), 1/(2^{1/3}) は無理数だから (b')^2 - c' = 0, 2b'c' - 1 = 0, よって 2(b')^3 = 1, b'∈Q となるが、b'の分母・分子の2ベキ指数が矛盾を来たす。(終) ∴ 1/(2^{1/3}) の最小多項式は 2x^3 - 1. なお {1, 1/(2^{1/3}), 1/(2^{2/3})} はQ上1次独立と云うらしい。 pを素数とし、Z_pをp進整数環とする。Z加群としてのテンソル積 Z_p ⊗ Q(√-1) は? ℚ(√2 + √3)/ℚがGalois拡大であることを示し、そのGalois群を求めよ。 まず、ℚ(√2 + √3) = ℚ(√2)(√3)であることを示す。 ℚ(√2 + √3)⊂ℚ(√2)(√3)は明らか。 逆の包含を示すため、ℚと√2 + √3から有限回の四則演算で√2, √3を作れることを示す。 1/(√2 + √3) = √3 - √2より、√3 - √2∈ℚ(√2 + √3)。 よって、√3 = ((√3 + √2) + (√3 - √2))/2∈ℚ(√2 + √3)、√2 = ((√3 + √2) - (√3 - √2))/2∈ℚ(√2 + √3)。 よって、ℚ(√2 + √3)⊃ℚ(√2)(√3)。 ℚ(√2)/ℚとℚ(√3)/ℚはともにℚのGalois拡大であり、それぞれ√2, √3のℚ上の共役をすべて含むから、ℚ(√2)(√3)も√2, √3のℚ上の共役をすべて含む。 したがって、ℚ(√2)(√3)/ℚはGalois拡大である。 写像φ: Gal(ℚ(√2)(√3)/ℚ)→Gal(ℚ(√2)/ℚ) × Gal(ℚ(√3)/ℚ)を φ(σ) = (σ|ℚ(√2), σ|ℚ(√3)) で定めると、φは群準同型になる。 ℚ(√2)(√3)はℚ(√2)とℚ(√3)で生成されるから、σ|ℚ(√2)とσ|ℚ(√3)がともに恒等写像になれば、σはℚ(√2)(√3)の恒等写像である。したがって、φは単射である。 また、 [ℚ(√2)(√3):ℚ] = [ℚ(√2)(√3):ℚ(√2)][ℚ(√2):ℚ] = [ℚ(√3):ℚ][ℚ(√2):ℚ] (∵ Galois拡大の推進定理) ∴ |Gal(ℚ(√2)(√3)/ℚ)| = |Gal(ℚ(√3)/ℚ) × Gal(ℚ(√2)/ℚ)| よって、単射性と合わせて、φは同型である。 Gal(ℚ(√2)/ℚ) ≃ Gal(ℚ(√3)/ℚ) ≃ ℤ/2ℤだから、 Gal(ℚ(√2 + √3)/ℚ) ≃ ℤ/2ℤ × ℤ/2ℤ である。 ℚ(√(2 + √p))がGalois拡大となる素数pをすべて求め、その時のGalois群を求めよ。 α = √(2 + √p)とおくと、α^2 = 2 + √pだから、ℚ(α)/ℚは4次拡大で、αのℚ上の共役は √(2 + √p), -√(2 + √p), √(2 - √p), -√(2 - √p) の4つ。p≧5のときは、2 - √p < 0だから√(2 - √p)はℝに含まれない。ℚ(α)⊂ℝだから、このときℚ(α)はαの共役をすべて含まないので、ℚ(α)/ℚはGalois拡大ではない。 p = 2, 3のとき: α^2 = 2 + √pより、√p∈ℚ(α)。 √(2 - √p)√(2 + √p) = √(4 - p) = √p (p=2のとき) or 1 (p=3のとき)∈ℚ(α)。 よって、√(2 - √p)∈ℚ(α)。 したがって、このときαの共役をすべて含むのでℚ(α)/QはGalois拡大である。 ℚ(α)/ℚはGalois拡大だから、ℚ上の自己同型σで、 σ(√(2 + √p)) = -√(2 - √p) となるものが存在する。 2 + σ(√p) = σ(√(2 + √p)^2) = 2 - √pより、σ(√p) = -√p。 σ(√(2 - √p)^2) = 2 - σ(√p) = 2 + √pより、σ(√(2 - √p)) = √(2 + √p)。 よって、 σ(√(2 + √p)) = -√(2 - √p) σσ(√(2 + √p)) = -√(2 + √p) σσσ(√(2 + √p)) = √(2 - √p) σσσσ(√(2 + √p)) = √(2 + √p) なので、σの位数は4。[ℚ(α) : ℚ] = 4だから、Gal(ℚ(α)/ℚ)は4次の巡回群である。 Kを可換体とする。 (1) K[X, Y, Z]のイデアル(Z - XY, Y^2 - XZ)は素イデアルかどうか理由をつけて述べよ。 (2) nが3以上の奇数のとき、K[X, Y]/(X^2 - Y^n)は整閉ではない整域であることを示せ。 (1) I = (Z - XY, Y^2 - XZ)とおく。 Iが素イデアルなら、 V(I) = { (x, y, z)∈K^3 | ∀f∈I, f(x, y, z) = 0 } は既約な代数的集合になるが、 V(I) = V((Y))∪Y((Y - X^2)) となるので、Iは素イデアルではない。 (2) K[X, Y]はUFDであるから、K[X, Y]/(X^2 - Y^n)が整域であることを示すには、X^2 - Y^nが既約多項式であることを示せばよい。 X^2 - Y^n = (X + f(Y))(X + g(Y)) と分解したとすると、f(Y) = -g(Y), f(Y)g(Y) = -f(Y)^2 = Y^nとなるから、nは偶数でなければならない。したがって、X^2 - Y^nは既約。 K[X, Y]/(X^2 - Y^n)が整閉ならば、極大イデアル(X, Y)による局所化も整閉である。K[X, Y]/(X^2 - Y^n)の(X, Y)による局所化は、1次元のNoether局所環だから、整閉整域ならば正則局所環になる。 しかし、X^2 - Y^nが定める曲線の原点におけるJacobi行列の階数は0なので、これは正則局所環ではない。したがって、整閉ではない。 G = ℤ/11ℤ × ℤ/11ℤとする。 (1) Gの位数11の元はいくつあるか (2) Gの位数11の部分群はいくつあるか (1) Gの任意の元gに対して、11g = 0なので、gの位数は11の約数。11は素数なので、gの位数は1か11である。 位数1の点は単位元のみなので、その他の点はすべて位数11。よって、位数11の元の個数は |G| - 1 = 120。 (2) 11は素数なので、位数11の群は巡回群。 g = (a, b) ≠ (0, 0)で生成される巡回群は(1)よりすべて位数11なので、この中で異なるものの数を求める。 <(a, b)> = <(a', b')>となるためには、n ≡ 0 (mod 11)でない整数nが存在して (a, b) ≡ (na', nb') (mod 11) となることが必要十分。 U = ℤ/11ℤの単数群とする。UのGへの作用を、n∈U, g = (a, b)∈Gに対して、 ng = (na, nb) で定めると、これはwell-defined。 Uの作用で同じ軌道に属する元は同じ部分群を生成するので、軌道の個数を求める。 g = (0, 0)でなければ、(na, nb) (n∈U)はすべて異なるので、|Ug| = |U| = 10。 Gの元は、どの軌道に属するかで類別されるので、単位元以外の起動の数をkとして、 |G| = |U0| + |Ug_1| + ... + |Ug_k| となる。|G| = 121、|U0| = 1、|Ug_i| = 10 (i = 1, ..., k)なので、k = 12。 よって、位数11の部分群の個数は12個。 この問題は楕円曲線のモジュライが元ネタです。 Γ = SL(2, ℤ)の部分群Γ_0(N), Γ_1(N)を、 Γ_0(N) = { γ∈SL(2, ℤ) | γ ≡ [[* *] [0 *]] (mod N)} Γ_1(N) = { γ∈SL(2, ℤ) | γ ≡ [[1 *] [0 1]] (mod N)} で定めます。 Γ_1(N)⊂Γ_0(N)⊂Γですから、Γが作用する集合で2点が移り合うかどうかを考えると、Γ_0の作用で移り合うのはΓの作用で移り合うよりも難しく、Γ_1ではもっと難しいことになります。 Γ = SL(2, ℤ)は、複素上半平面ℍ = { τ∈ℂ | Im(τ) > 0 }に一次分数変換 γτ = (aτ + b)/(cτ + d) (γ = [[a b] [c d]]∈Γ) で作用します。 τ∈ℍとして、Λ_τをℂの格子{ m + nτ | m, n∈ℤ }とします。 ℂ/Λ_τはℂ上の楕円曲線になります。 2つの楕円曲線ℂ/Λ_τとℂ/Λ_τ'が同型となるのは、α≠0∈ℂがあって、Λ_ατとΛ_τ'が同じ格子になるときです。それは、あるγ∈Γが存在して γτ = τ' となるときです。つまり、Γ\ℍはℂ上の楕円曲線の同型類のモジュライ空間となります。 自然数Nに対して、N倍写像 ℂ/Λ_τ→ℂ/Λ_τ z → Nz の核は、ℤ/Nℤ × ℤ/Nℤです。 Γ\ℍよりもさらに精密なモジュライ空間として、 (0) ℂ/Λ_τと位数Nの巡回群<z>の組(ℂ/Λ_τ, <z>)の同型類 (1) ℂ/Λ_τと位数Nの点zの組(ℂ/Λ_τ, z)の同型類 のモジュライ空間を考えます。 ただし、(0)で(ℂ/Λ_τ, <z>)と(ℂ/Λ_τ', <z'>)が同型とは、α≠0∈ℂが存在して、Λ_ατ = Λ_τ', <αz> = <z>となるとき。 (1)で(ℂ/Λ_τ, z)と(ℂ/Λ_τ', z')が同型とは、α≠0∈ℂが存在して、Λ_ατ = Λ_τ', αz = zとなるときです。 (0)は、あるγ∈Γ_0(N)が存在して、γτ = τ'となるとき。 (1)は、あるγ∈Γ_1(N)が存在して、γτ = τ'となるときです。 したがって、(0)のモジュライ空間はΓ_0(N)\ℍ、(1)はΓ_1(N)\ℍです。 Γ_1(N)⊂Γ_0(N)⊂Γですから、(1)は(0)よりたくさんあることが分かります。 整数fに対して、 ℤ[1/f] = { n/f^k | n∈ℤ } とする。 ℚ ≃ ⊕[p: 素数] ℤ[1/p] を示せ。 間違えた。 ℚ/ℤ ≃ ⊕[p: 素数] (ℤ[1/p]/ℤ) を示せ。 Gを群とする。HをGの指数有限の部分群とする。このとき、HはGの指数有限の正規部分群を含むことを示せ。 Hによる剰余類の数をn個とする。 GのG/Hへの作用を G×G/H → G/H (g, γH) → γgH で定める。γγ'^(-1)∈Hならγg(γ'g)^(-1) = γγ^(-1)∈Hなので、これはwell-defined。 このとき、Gからn次対称群S_nへの準同型 φ: G → S_n g → (γH → γgH) が定まる。このkernelをNと置く。 NはGの正規部分群。g∈Nならば、gはeHを固定するのでg∈H。よって、N⊂H。 準同型定理より [G : N] = |Im(φ)| ≦ |S_n| < ∞。 よって、Nは求める部分群の条件を満たす。□ Gを位数nの有限群とする。もし、nの各約数dについて、Gの位数dの部分群が高々1つしか存在しないならば、Gは巡回群であることを示せ。 補題: n = Σ[d|n] Φ(d) (Φ(d)は、dと互いに素な自然数の個数。d|nは、dはnの約数の意味) 補題の証明: nの約数dに対して、C_dでZ/nZの位数dの部分群を表す(必ず一つだけある)。C_dの生成元の個数はΦ(d)である。Z/nZの各元は、いずれか1つのC_dの生成元であるから n = Σ[d|n] Φ(d)。□ 本文の証明: dをnの任意の約数とする。 Gに位数dの元xがある場合を考える。 <x> = {1, x, ..., x^(d-1)}とする。 仮定より、Gの位数dの元はすべて<x>に含まれる。それらは<x>の生成元であるから、Φ(d)個ある。 したがって、Gの位数dの元は、存在しないか、存在したとすればΦ(d)個である。 もし、あるdについて、位数dの元が存在しないとすると Gの位数 < Σ[d|n] Φ(d) = n となり矛盾する。したがって、Gには位数nの元が存在しなければならない。□ 京大の2019年度の問2は、これを覚えていれば(iii)をダイレクトに示して、(i)(ii)はその系です。 k を可換体とする.k[X, Y ] を k 上の 2 変数多項式環として,f ∈ k[X, Y ] の 零点集合 V (f) を V (f) = {(a, b) ∈ k × k | f(a, b) = 0} によって定義する.次の 2 条件は同値であることを示せ. (i) k は代数的閉体ではない. (ii) V (f) = {(0, 0)} となる f ∈ k[X, Y ] が存在する. (2018 京大) (i) ⇒ (ii) kは代数的閉体ではないので、f∈k[X]でkに根を持たないものが存在する。 fの次数をdとして、f(X/Y)Y^dが求める多項式である。 (ii) ⇒ (i) V(f)に真に含まれる代数的集合は空集合だけだから、fで生成されるイデアルは極大イデアルである。 Hirbertの零点定理より、kが代数的閉体ならば、k[X, Y]の極大イデアルは (X - a, Y - b) の形に限られるから、kは代数的閉体ではない。□ p は 3 以上の素数とする. SL(2, F_p) で有限体 F_p の元を成分とし行列式が 1である 2×2-行列全体がなす群を表す. このとき,A^(p−1) = 1 となるSL(2, F_p) の元 A の個数を求めよ.ここで,1 は単位行列である. (2022 京大) 行列をたくさん書かなきゃいけないので、略して書きます。 まず、Aの標準形を求めます。n乗して単位行列になることから、Aは対角化可能です。det(A) = 1なので、Aの標準形は diag(λ, 1/λ) (λ∈F_p, λ≠ 0) の形です。 SL(2, F_p)は各標準形の共役類の合併になるので、GL(2, F_p)による作用 GL(2, F_p)×SL(2, F_P)∋(P, A) → P^(-1)AP を考えます。元Aと共役な元の個数は |GL(2, F_p)|/|{P∈GL(2, F_p) ; P^(-1)AP = A}| です。GL(2, F_p)の元は、1列目は0ベクトル以外 * 2列目は1列目のスカラー倍以外なので、 |GL(2, F_p)| = (p^2 - 1)(p^2 - p) です。Aとしてはdiag(λ, 1/λ)のみ考えればいいです。具体的に成分計算すれば λ = ±1のとき、Aを固定するのはGL(2, F_p)全部 それ以外のときは、対角行列か右上左下の行列のときだけ です。λ = ±1以外の元はp - 3個あり、GL(2, F_p)の対角行列は(p - 1)^2個あるので、答えは 1 + 1 + (p - 3)(p^2 - 1)(p^2 - p)/2(p - 1)^2 = 2 + (p - 3)p(p + 1)/2 です。 p を素数,n を非負整数とする.このとき,位数 3p^n の有限群は可解群であ ることを示せ.p 群が可解群であるという事実は用いてもよい. (2020 京大) Gを位数3p^nの群とする。 p = 3のとき、位数3p^nの群はp群なので、可解群である。 p ≠ 3のとき、Sylowの定理より位数p^nの部分群Hが存在する。これは可解群である。 もし、HがGの正規部分群であれば、G/Hは位数3なので巡回群であるから、Hが可解群であることと合わせて、Gは可解群になる。 HがGの正規部分群であることを示す。 Sylowの定理より、GのSylow p-部分群の個数nは (1) n = 1 or 3 (2) n ≡ 1 (mod p) (3) n = |G : N_G(H)| (N_G(H)はHの正規化群) を満たす。|G : H| = 3は素数で、G⊃N_G(H)⊃Hなので、N_G(H)はGかHしかない。 もしN_G(H) = Gなら、HはGの正規部分群である。 (続く) ごめんなさい。 以下は、Hが正規部分群であることを示すのではなくて、Hが正規部分群にならない場合も、Gが可解になることを示します。 N_G(H) = Hとなったとする。n = 3であるから、(2)よりp = 2である。 Sylow 2部分群をH_1, H_2, H_3とすると、GのSylow 2部分群は互いに共役なので、Gの{H_1, H_2, H_3}への推移的な作用 (g, H_i) → g^(-1)H_ig がある。よって3次対称群S_3への全射準同型 φ: G → S_3 が定まる。KerφはGの正規部分群で、準同型定理より G/Kerφ 〜 S_3 Kerφの位数は、G/6 = 2^(n-1)だからKerφはp群、したがって可解である。S_3も可解なので、Gは可解である。□ 最後は、 NがGの正規部分群で、NおよびG/Nが可解ならば、Gは可解である を使いました。 φ: G → S_3が全射なのは、置換は互換で生成されるからです。 この場合、任意の2つのH_i, H_jがあるgで移りあうので、{H_1, H_2, H_3}の置換すべてがGの像になっています。 a, b, cを1以上の整数とする。X^a + Y^b + Z^c∈C[X, Y, Z]は既約であることを示せ。 (東大) Y^b + Z^c の既約因子のうち重複度1のものがあれば、それをWとする。つまり、Wは既約多項式でY^b + Z^cを割り切るが、W^2はY^b + Z^cを割り切らない。 f = X^a + Y^b + Z^cが可約なら、XをX + Wで置き換えた式 f' = X^a + aX^(a-1)W + ... + W^a + Y^b + Z^c も可約である。 ここで、C[Y, Z]はUFDでWは既約なのでC[Y, Z]の素元であり、Wはf'の最高次の項以外を割り切るが、W^2はf'の定数項を割り切らない。 したがって、Eisensteinの既約判定法より、f'はC(Y, Z)[X]で既約。よって、fもC(Y, Z)[X]で既約である。よって、Gaussの補題よりfはC[X, Y, Z]で既約である。 さて、Y^b + Z^cの因数がすべて重複度2以上のときは、どうすればいいのか……。そもそもそんな場合はあるのか。 まず、gcd(b, c) = d > 1のときは、 (Y^(b/d))^d + (Z^(c/d))^d なので1の原始d乗根をζとして (Y' - 1Z')(Y' - ζZ')...(Y' - ζ^(d-1)Z') と因数分解される(Y' = Y^(b/d), Z' = Z^(c/d))。Z'を適当に座標変換すれば、各因数はY' + Z'の形になるから、各因数が既約多項式のべき乗になっているかどうかは、gcd(b, c) = 1の場合に帰着される。 多分、gcd(b, c) = 1なら、Y^b + Z^cは既約だろう。それなら、既約因子が全部多重ってことはない。 y^2 + x^3とかなら係数比較すればいいけど、どうやって示すのだろう?そもそも成り立つのか。 pは素数とする。Rは単位元をもつ環で元の個数がp^2であるとする。 (1) Rは可換であることを示せ (2) Rはどのような環になるか。同型類を全て記述せよ。 (京大) (1) 1 + ... + 1 (p^2回) = 0であるから、1の加法群としての位数はpまたはp^2である。 1の位数がp^2ならば、Rは加法群としてZ/p^2Zに同型である。この時、Rのすべての元が1 + 1 + ... + 1の形になることから、Rの乗法も、Zから誘導されたものになる。したがってRは可換である。 1の位数がpの場合を考える。 Rの加法群としての構造は、Z/pZ×Z/pZである。したがって、Rのすべての元は、ある2元aとbの整数係数の線形結合で表される。 1 = na + mb (n, m∈{0, 1, ..., p - 1}) とすると、0, 1, ..., p - 1はすべての元と可換なので、a, bを1の左右からかけたものを比較すると、 a = na^2 + mba = na^2 + mab b = nab + mb^2 = nba + mb^2 ∴ m(ab - ba) = 0, n(ab - ba) = 0 n, mの両方が0だと1 = 0となってしまうので、ab - ba = 0。Rはa, bで生成されるから可換である。□ (2) 1の位数がp^2のとき: 上で述べた通り、環としてもZ/p^2Zと同型である。 1の位数がpのとき: RはF_pを部分環として含むとしていい。 F_pに含まれない元X∈Rを取る。Rの元の個数はp^2だから、F_p加群としてF_pX⊕F_p1に同型。よって、 X^2 + aX + b = 0(a, b∈F_p) が成り立つ。したがって、Rは剰余環 F_p[X]/(X^2 + aX + b) に同型である。 f = X^2 + aX + bとおく。Rの同型類は ・fが1次式のF_pに重根を持つとき、F_p[X]/(X^2)に同型 ・fが異なる1次式の積に分解されるとき、F_p[X]/(X(X + 1))に同型 ・fが既約のとき、F_p[X]/(X^2 + X + 1)に同型。 訂正: > ・fが1次式のF_pに重根を持つとき、 ・fがF_pに重根を持つとき、 有理数のなす加法群ℚと、有理数体の乗法群ℚ*は、Abel群として同型でないことを示せ。 q∈ℚを0でない任意の元とすると必ず2p = qとなるp∈ℚが存在する。 一方、ℚ*の元には平方根が存在するとは限らない。たとえば2。 K⊂ℂを部分体、pを素数とする。ℂに含まれる任意の有限次拡大L/Kに対し、 「L = Kでなければ、[L : K]はpで割り切れる」 と仮定する。このとき、ℂに含まれる任意の有限次拡大L/Kに対し、[L : K]はpのべき(1を含む)であることを証明せよ。 (京大) L/Kを任意の有限次拡大とする。 Lを含むKの最小のGalois拡大M/Kが存在する。仮定より、[M : K]はpで割り切れる。 |Gal(M/K)| = mp^n (mとpは互いに素)とおく。Sylowの定理よりGal(M/K)のSylow p部分群が存在する。その一つをHとすると、|H| = p^n。 Hの元で固定される部分体M^HのK上の拡大次数は、Galois理論の基本定理より、|Gal(M/K)|/|H| = mである。しかし、仮定よりこれはpのべきでなければならないから、m = 1である。 したがって、[M : K] = p^n。よって、M/Kの中間体であるLのK上の拡大次数もpのべきである。□ 体K = ℚ(√N, √(1 + i))がℚ上のGalois拡大となるような最小の正の整数Nと、そのときのGalois群Gal(K/ℚ)を求めよ。 (京大) √(i + 1)のℚ上の共役は √(i + 1), -√(i + 1), √(-i + 1), -√(-i + 1)。 √(i + 1)√(-i + 1) = √2なので、√2が含まれれば、Kに√(i + 1)の共役がすべて含まれる。 N = 1のときはGalois拡大にならないので、N = 2が最小。 M = ℚ(√2, i)とおく。 KはMの2次拡大で、Mはℚの4次拡大だから、#Gal(K/ℚ) = 8。 σ∈Gal(M/ℚ)を、σ(i) = -iで定まるものとすると、 σ(√(i + 1)^2) = - i + 1 だから、Gal(K/ℚ)の元としては σ(√(i + 1)) = √(-i + 1) σ(√(-i + 1)) = √(i + 1) で、位数は2。 τ∈Gal(M/ℚ)を、τ(√2) = -√2で定まるものとすると、 τ(√(i + 1)√(-i + 1)) = -√2 だから、これをKに延長したものは τ'(√(i + 1)) = -√(i + 1) τ''(√-i + 1)) = -√(-i + 1) で定まるものの2つがある。どちらも位数は2。 以上から、Gal(K/ℚ)は位数2の元3つで生成されるので、 Gal(K/ℚ)〜ℤ/2ℤ × ℤ/2ℤ × ℤ/2ℤ。 おかしいな Abel拡大になるはずない > KはMの2次拡大で、 ここが違うか もしAbel拡大なら、Galois群の部分群はすべて正規部分群だから、Q(√(i + 1))を固定する部分群も正規部分群になる。よって、Q(√(i + 1))/Qが正規拡大となり矛盾。 8次拡大はあってて、非Abel的だから位数8の二面体群になる。 断捨離してたら加藤和也の授業の演習プリントが出てきた 桂利行と川又雄二郎の授業の演習プリントはまだ持ってる K = ℂ(t)を変数tに関する複素数係数の1変数有理関数体とする。uを0でない複素数とし、Lを多項式f(X) = X^4 + 2utX^2 + t∈K[X]のK上の最小分解体とする。 (1) 拡大次数[L : K]を求めよ (2) ガロア群Gal(L/K)はアーベル群であるか?理由をつけて答えよ。 (京大) (1) f(X) = 0を解くと、 X = ±√(-ut + √(u^2t^2 - t)), ±√(-ut - √(u^2t^2 - t)) α = √(-ut + √(u^2t^2 - t)) β = √(-ut - √(u^2t^2 - t)) とおくと、 αβ = √-t。 K(α^2)/Kは2次拡大(u≠0なので) K(√-t)/Kは2次拡大 よって、K(√-t, α^2)/Kは4次拡大 L/K(√-t, α^2)は2次拡大 なので、L/Kは8次拡大。 (2) Gal(L/K)がAbel群なら、すべての部分群は正規部分群なので、すべての中間拡大はGalois拡大になる。 しかし、L/Kの中間拡大K(α)/KはGalois拡大ではない。なぜなら、これがGalois拡大ならαの共役βがK(α)に属さなければならなければいけないが、αβ = √-t∉K(α)なので。 よって、Gal(L/K)はAbel群ではない。 なぜ京大ばかりなのか ・私が受けるから ・東大はネット上では過去3年しか問題が公開されていないから ・東大の問題が難しくて解けないから Bを可換環、Aをその部分環(乗法の単位元1を共有する)とする。 BはA加群として有限生成であるとし、PをAの素イデアルとする。このとき、Aの元aが、 a = Σ[i=1, n] b_i p_i (b_i∈B, p_i∈P) と表されるならば、a∈Pであることを示せ。 >>56 BはAの整拡大だから、Bの素イデアルQで Q∩A = P となるものが存在する(lying-over theorem)。a∈PB⊂Qであるから、 a∈Q∩A = P。□ lying-overの証明も美しいよね。 定理: A⊂Bを環の整拡大、PをAの素イデアルとする。このときBの素イデアルQで Q∩A = P を満たすものが存在する。 証明: M = A\Pとする。A_M, B_MをAおよびBのMによる局所化とする。 PはA_MのA_Mの極大イデアルP'の自然な写像i: A → A_Mによる引き戻しである。また、もしB_Mの素イデアルQ'で、Q'∩A_M = P'となるものがあれば、j: B → B_Mを自然な写像として、 P = i^(-1)(P') = i^(-1)(Q'∩A_M) = j^(-1)(Q') ∩ A となる。よって、A, BをA_M, B_Mに置き換えることで、Aは局所環、PはAの唯一の極大イデアルとしてよい。 QをBの任意の極大イデアルとすると、Q∩A = Pとなることを示す。可換図式 B → B/Q ↑ ↑ A→A/(Q∩A) を考えると、B/QはA/(Q∩A)上整。B/Qは体なので、以下のlemmaより、A/(Q∩A)も体。よって、Q∩AはAの極大イデアル。□ lemma: A⊂Bを整拡大とする。Bが体ならば、Aも体である。 (Aが整域ならば、「Aが体ならばBも体」も成り立つ) lemmaの証明: 1/a∈A⊂Bを0でない元とすると、Bは体なので、1/a∈B。1/aはA上整なので、 (1/a)^n + a_1(1/a)^(n-1) + ... + a_n = 0 (∃a_1, ..., a_n∈A) となる。よって、a^(n-1)を掛ければ 1/a = a_1 + ... + a_n a^(n-1)∈A。□ 〔オイラーの定理〕 aがnと素ならば a^φ(n) ≡ 1 (mod n) φ(n) はオイラー関数 1≦a<n のうち nと素なもの (正則元) の個数。 ・素数pについて φ(p^e) = (p-1)・p^(e-1) ・n = Πp^e のとき φ(n) = Πφ(p^e) … 乗法的 aがnと素 ⇒ a^m ≡ 1 (mod n) となる最小の自然数m をλ(n) とかく。 λ(n) は φ(n) の約数。 nが素数p, p^2 のときはオイラー関数 φ(n) と一致する。 カーマイケル関数λ(n) pが奇素数 または e≦2 のとき λ(p^e) = (p-1)・p^(e-1) p=2 かつ e≧3 のとき λ(2^e) = 2^(e-2), n = Π p^e のとき λ(n) = LCM{λ(p^e)}, 〔Wilsonの定理〕 (n-1)! ≡ -1 (mod n) (nは素数) (n-1)! ≡ 2 (mod n) (n=4) (n-1)! ≡ 0 (mod n) (nは合成数(>4)) A = { m | 1≦m<n, mとnは互いに素} の元を 正則元 とよぶ。 〔土岡の定理〕 3以上の自然数nに対して (1) Π[1≦m<n, (m,n)=1] m ≡ ±1 (mod n) (2) -1 となるのは n=4, n=p^e, n=2p^e のときである。 (pは奇素数で e≧1) 数学セミナー, vol.39, no.3, 通巻462号 (2000/Mar) p.69-70 NOTE (x^5 + x + 1)/(x^5 + x^4 + 1) を約分せよ。 (略解) x^5 + x + 1, x^5 + x^4 + 1 は x=ω, x=ω' のとき 0, 因数定理より (x-ω)(x-ω') = xx+x+1 で割り切れる。 x^5 + x + 1 = (xx+x+1)(x^3 -xx +1), x^5 + x^4 + 1 = (xx+x+1)(x^3 -x +1), ∴ (与式) = (x^3 -xx +1)/(x^3 -x +1) MathLABO 東大・医 (?) http://www.youtube.com/watch?v=E4Lv6kerh78 09:30 〔問題472〕 mを自然数とする。因数分解せよ。 2^{2m+7} + 3^{2m} + 6^{m+2}, 2^{2m+3} + 3^{2m} + 6^{m+1}, 2^{2m-2} + 3^{2m} + 6^m, 2^{2m-2} + 3^{2m+1} + 6^{m+1}, [面白スレ39.472] 〔問題481〕 2^a + 2^b + 2^c + 2^d + 2^e = n! の自然数解 (a≦b≦c≦d≦e; n) は何個あるか? [面白スレ39.481] f(x) = (x^100 +1)^100 + (x^2 +1)^100 + 1 は x^3 -1 で割り切れるか。 2003年京大前期(?)、改作 [高校数学の質問スレPart414.427] f(x) = (x^100 +1)^100 - (x^2 +1)^100 + x^100 - x^2 は x^3 -1 で割り切れるか。 3次対称群S_3の自己同型群Aut(S_3)はS_3と同型であることを示せ。 >>71 G = S_3とする φ: G → Aut(G)を φ(g) = (x → gxg^(-1)) で定義する。 @ φは準同型である。 φ(gh) = (x → g(hxh^-1)g^(-1)) = φ(g)○φ(h) Aφは単射である。 φ(g) = id_Gとする。このときすべての元xについて、 gx = xg が成り立つ。もし、g ≠ e(単位元)とすると、i ≠ g(i)となるi∈{1, 2, 3}が存在する。n∈{1, 2, 3} \ {i, g(i)}を取る。このとき、 x(i) = i x(g(i)) = n となるx∈S_3が存在して、 g(x(i)) = g(i) ≠ n = x(g(i)) となるから、gx = xgとならない。よって、g = eである。 B |Aut(G)|≦6(= |G|)である。 Gは互換(1, 2), (2, 3), (3, 1)で生成されるから、f∈Aut(G)はf((1, 2)), f((2, 3)), f((3, 1))で決まる。 fは互換は互換に写す。 ∵ gを互換として、nをf(g)の位数とする。G = S_3なので、nは1, 2, 3のどれか。G = S_3なので、2のときは互換である。 n = 1のとき、f(n) = eなので、fの単射性に反する。 n = 3のとき、f(gg) = e ≠ f(g)f(g) よって、n = 2でなければならない。 よって、fの取り方は3 * 2 * 1 = 6以下。 @、A、Bより、φは同型。□ Aはn = 2のときに成り立たない。 Bの「互換は五感に」の証明がn≧4のときに使えない。 あと、n = 2, 6のときにS_n 〜 Aut(S_n)は成り立たない。 K を X^5 - 2 の Q上の最小分解体とする。 Gal(K/Q)と、K/Qの中間体の個数を求めよ。 位数7の有限体F_7上の一般線形群GL(2, F_7)は可解ではないことを示せ。 部分群SL(2,F_7)の剰余群PSL(2,F_7)は交代群に同型ではない最小の非可換単純群だからな Gを非可換群で以下の性質(*)を満たすものとする。 (*) N_1, N_2がGの相異なる非自明な正規部分群(すなわち{e}とG自身以外のもの)ならば、N_1⊂N_2でない。 (1) N_1, N_2がGの相異なる非自明な正規部分群ならば、G = N_1 × N_2であることを示せ。 (2) Gの自明でない正規部分群の個数は、高々2個であることを示せ。 (京大 2015) C(t)をC上の1変数有理関数体とする。aを複素数とし、s = t^3 + 3t^2 +at∈C(t)とおく。C上sで生成されたC(t)の部分体をC(s)とするとき、以下の問に答えよ。 (1) 拡大次数[C(t) : C(s)]を求めよ。 (2) C(t)/C(s)がガロア拡大となる複素数aをすべて求めよ。 (2015年 京大) (1) 多項式F(X)∈C[s][X]を F(X) = X^3 + 3X^2 + aX - s と定義する。FがtのC(s)上の最小多項式であることを示す。 明らかにF(t) = 0である。 FはC[s][X]で既約である。仮にFが既約でないとすれば、1次式と2次式の積に分解するが、1次の因数は(X ± 1)か(X ± s)でないといけない。しかし、係数を比較すれば、そのような分解は不可能であることが分かる。 C[s][X]はUFDなので、FはC(s)[X]でも既約である。 したがって、FはtのC(s)の最小多項式であり、よって[C(t) : C(s)] = [C(s)(t) : C(s)] = 3。 (2) X + 1 = Yとおくと F = (X + 1)^3 + (a - 3)X - s - 1 = Y^3 + (a - 3)Y - s - a + 2 Fの根の差積をΔとおくと、一般にFの分解体はC(t)(Δ)なので、C(t)がGalois拡大となるのはΔ∈C(t)のときである。 Δ = √(-4(a - 3)^3 - 27(-s - a + 2)^2) = -4a^3 + 12a^2 - 12a + 4*27 -27( ... まあ、a = 3のときだと思うよ Fを位数7以上の体とするとき、 PSL(2, F) = SL(2, F)/{I, -I} は単純群であることを示せ。 nを正の整数とする。C[[t]]の部分環Aと極大イデアルmの組(A, m)で以下の条件をみたすものをひとつ求めなさい。 (1) AはCを含む (2) C[[t]]/Aの、Cベクトル空間としての次元は有限 (3) Aの商体における整閉包はC[[t]] (4) m/m^2 のCベクトル空間としての次元はn >>83 A = C[[t^n, t^(n+1), ..., t^(2n-1)]] m = (t^n, t^(n+1), ..., t^(2n-1)) (1) OK (2) t^n以降全部消えるのでOK (4) (2)よりOK (3) t = t^(n+1)/t^nなので、Aの商体はC[[t]]を含む C[[t]]は正則局所環だから商体内で整閉 よってAの商体内での整閉包はC[[t]] read.cgi ver 07.5.1 2024/04/28 Walang Kapalit ★ | Donguri System Team 5ちゃんねる