数学の証明という理論がわからないです
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ある事象で正しいからそれは正しい
それって正しいの? 命題:
kを体、V, Wをk上のベクトル空間、f: V → Wを線型写像とする。
(1) fが全射 ⇔ Im(f) = W
(2) fが単射 ⇔ Ker(f) = {0} >>94
証明:
(1)は明らか。
(2)
まず、fが線型写像ならば、f(0) = 0 f(0) = 0である。
したがって、fが単射ならば、f(x) = 0となるx∈Vは0のみである。
逆に、Ker(f) = {0}とする。
x, y∈Vが、f(x) = f(y)を満たすとすると、fが線型写像であることから
f(x - y) = 0
Ker(f) = 0より、x = y。よって、fは単射である。□ 例:
kは体、V = k^n, W = k^mとする。
A = (a_i,j) ∈ M_m,n(k)
とする。>>79の記号で、f_Aは
f_A(x) = Ax
で定まる線型写像とする。
Ker(f_A)は、連立一次方程式
a_1,1 x_1 + ... + a_1,n x_n = 0
...
a_m,1 x_1 + ... + a_m,n x_n = 0
の解(x_1, ..., x_n)全体からなる集合である。 kを体、Vをk上のベクトル空間とする。
x_1, ..., x_n∈Vが一次独立であるとは、以下の条件を満たすことである。
a_1 x_1 + ... + a_n x_n = 0 (a_1, ..., a_n∈k)
⇒ a_1 = ... = a_n = 0 例:
kを体、V = k^nとする。
e_1 := (1, 0, ..., 0),
e_2 := (0, 1, ..., 0),
...,
e_n := (0, 0, ..., 1) ∈ V
は一次独立である。 例:
kは体、Vはk上のベクトル空間とする。
x_1∈Vが一次独立でない
⇔ <x_1> = <0>
x_1, x_2∈Vが一次独立でない
⇔ x_2∈<x_1>
...
x_1, ..., x_n, x_(n+1)∈Vが一次独立でない
⇔ x_(n+1)∈<x_1, ..., x_n> 例:
kは体、V = k^2。
A = ((a b), (c d))∈M_2,2(k)とする。
連立一次方程式
Ax = 0 --- (*)
を考える。
(a, b), (c, d)が一次独立 ⇔.(*)の解が(0, 0)だけ kは体、V, Wはk上のベクトル空間。f: V → Wは線型写像とする。
fが全単射のとき、同型写像という。
V, Wの間に同型写像f: V → Wが存在するとき、V, Wは同型であるという。 kは体、U, V, Wはk上のベクトル空間
f g
U→V→W
が完全であるとは、Im(f) = Ker(g)となることである。 例:
kは体、V, Wはk上のベクトル空間。f: V → Wは線型写像。
0 → Ker(f) → V → Im(f) → 0
は完全。 kは体、Vはk上のベクトル空間。
部分集合B⊂Vが、Vの基底であるとは、以下を満たすことである。
(1) Bの空でない任意の有限部分集合は一次独立。
(2) 任意のx∈Vは、有限個のb_1, ..., b_n∈Bを適当に取れば、x∈<b_1, ..., b_n>とできる。 kは体、Vはk上のベクトル空間。
あるx_1, ..., x_n∈Vが存在して
V = <x_1, ..., x_n>
となるとき、Vは有限生成であるという。
まず、ベクトル空間に>>104の意味の基底が存在することを示す。
有限生成でない場合も存在するが、実用性皆無なので、有限生成の場合のみ扱う。 >>105
定理:
kは体、Vはk上の有限生成ベクトル空間。
Vには基底が存在する。 >>106
証明:
V = <x_1, ..., x_n> --- (1)
とする。集合X = {x_1, ..., x_n}の、一次独立な元からなる部分集合には、包含関係に関する極大元が存在する。
(∵ 有限集合だから。Vが有限生成でないときはZornの補題を使う)
それをB = {b_1, ..., b_d}とする。Bは一次独立なので、
V = <b_1, ..., b_d>
を示せばよい。⊃は明らかだから、⊂を示す。 >>107
簡単のため、元の順番を入れ替えて、
b_1 = x_1, ..., b_d = x_d (d≦n)
とする。まず、
x_(d+1), ..., x_n∈<b_1, ..., b_d>
であることを示す。
BはXの一次独立な部分集合の極大元だから、x_(d+1)以降を加えると、必ず一次独立でなくなる。したがって、
a_1 x_1 + ... + a_d x_d + c x_i = 0 (a_i, c∈k)
とすると、c = 0ならば、Bの一次独立性よりa_1 = ... = a_d = 0だから一次独立でないことに矛盾する。よって、c ≠ 0であるから
x_i = -1/c (a_1 x_1 + ... + a_d x_d)
である。(kが体であることをここで使った) >>108
x∈Vとする。(1)より
x = a_1 x_1 + ... + a_n x_n
と書ける。x_iはすべて<b_1, ..., b_d>に属するから
x∈<b_1, ..., b_d>
である。□ 定理:
kを体、Vを有限生成ベクトル空間とする。
Vの基底の濃度は、取り方によらず一定である。 >>110
証明:
B = {b_1, ..., b_d}, B' = {b'_1, ..., b'_d'}をVの基底とする。
このとき、(d', d)行列A = (a_i,j)と、(d, d')行列A' = (a'_i,j)があって、
b'_i = 納j=1 to d] a_i,j b_j(1≦i≦d')
b_i = 納j=1 to d'] a'_i,j b'_j(1≦i≦d)
を満たす。このとき、
A' A = I_d
A A' = I_d'
(I_nは、n次の単位行列。すなわち、対角成分が1、それ以外が0のn次正方行列) >>111
n次正方行列A = (a_i,j)に対して、Aのトレースを
tr(A) = 納i=1 to n] a_i,i =a_1,1 + ... + a_n,n
で定義する。
補題:
Aを(m,n)行列、Bを(n,m)行列とする。このとき、
tr(AB) = tr(BA)。
証明:
計算するだけ。□ >>111
>>112より
d = tr(A' A) = tr(A A') = d'。□ kを体、Vをk上の有限生成ベクトル空間とする。
>>110より、Vの基底の濃度は一定であるから、その値をdim(V)と書き、Vの次元という。また、dim(V) = n < ∞であるとき、Vは有限次元、特にn次元であるという。 >>104の定義では、基底は集合なので順序は関係ないが、
>>111の証明にもあるように複数の基底関で係数を変換する行列などを考えることが多いので、
以後、基底B = {b_1, ..., b_d}を
b = (b_1, ..., b_d)
のように並べ方まで考慮して書くことがある。 次の補題は、部分空間の基底を適当に延長して、全体の基底にできることを言っている。
補題:
kを体、Vをn次元ベクトル空間とする。
b = (b_1, ..., b_n)
をVの基底とする。1≦k≦nとし、{x_1, ..., x_k}⊂Vを一次独立な部分集合とする。このとき、bの適当なn - k個の元
b'_(n-k+1), ..., b'_n∈b
を取れば、
(x_1, ..., x_k, b'_(n-k+1), ..., b'_n)
をVの基底にすることができる。 >>116
証明:
n - kの帰納法で示す。
k = nのとき。
>>110より、n次元ベクトル空間のn+1個以上の元は必ず一次従属になる。よって、b_iはすべて<x_1, ..., x_k>に属する。
bはVの基底なので、<x_1, ..., x_k> = Vである。x_1, ..., x_kは一次独立なので、これは基底である。
k < nのとき。
>>110より、<x_1, ..., x_k> ≠ Vである。よって、<x_1, ..., x_k>に含まれないb_iがある。{x_1, ..., x_k, b_i}は一次独立であるから、帰納法の仮定より、bの元をさらにn-k-1個加えてVの基底にできる。□ 命題:
kを体、Vをk上の有限次元ベクトル空間、W⊂Vを部分空間とする。このとき
dim(W) ≦ dim(V)
である。 >>118
補題:
kを体、Vをk上の有限次元ベクトル空間、W⊂Vを部分空間とする。このとき、Wも有限生成である。 >>119
これはベクトル空間以外の代数構造では成り立つとは限らない。
たとえば、多項式環k[X, Y]は、k上の多元環として1, X, Yで生成されるが、
その部分環
k[X, XY, XY^2, ...]
はk上の多元環として有限生成ではない。 >>119
証明:
W = <0>ならば有限生成である。
W ≠ <0>ならば、x_1∈W\<0>が取れる。W = <x_1>ならば有限生成である。
W ≠ <x_1>ならば、x_2∈W\<x_1>が取れる。W = <x_1, x_2>ならば有限生成である。
W ≠ <x_1, x_2>ならば、x_3∈W\<x_1, x_2>が取れる。W = <x_1, x_2, x_3>ならば有限生成である。
...
これを繰り返すことで、一次独立な元の集合{x_1, ..., x_k}⊂W⊂Vが得られるが、>>110よりk≦dim(V)でなければいけない。
よって、Wは有限生成である。□ >>118
証明:
>>121よりWの基底
b = (b_1, ..., b_k)
が存在するが、>>110よりVの一次独立な元の個数はdim(V)以下なので、dim(W) = k ≦ dim(V)。□ >>110
この形で使っているようなので、証明しておく。
系:
kを体、Vをk上のベクトル空間。
W = <b_1, ..., b_k>⊂V
とする。{x_1, ..., x_l}⊂Wが一次独立とすると、
l ≦ k
である。 方針変換。
ベクトル空間の一般論を確立してから、連立一次方程式をやろうと思ったけど、先に連立一次方程式をやる
>>123
証明:
W = <b_1, ..., b_k>より、(l, k)行列A = (a_i,j)が存在して
x_1 = a_1,1 b_1 + ... + a_l,k b_k
...
x_l = a_l,1 b_1 + ... + a_l,k b_k
となる。
Aを基本変形すると階数はk以下であるから、l > kならばx_1, ..., x_lは一次従属である。□ 定理:
kを体、V, Wをk上有限次元ベクトル空間、f: V→Wを線型写像とする。このとき
dim(Im(f)) = dim(V) - dim(Ker(f))。 >>125
証明:
dim(V) = n、dim(Ker(f)) = k、(b_1, ..., b_k)をKer(f)の基底とする。
>>116より、Vの適当な元b_(k+1), ..., b_nを取ることにより、
B = (b_1, ..., b_n)
をVの基底にできる。
B' = (f(b_(k+1)), ..., f(b_n))
がIm(f)の基底であることを示す。
BがVの基底であること、b_1, ..., b_n∈Ker(f)であることから、
Im(f) = <f(b_(k+1)), ..., f(b_n)>。
a_(k+1) f(b_(k+1)) + ... + a_n f(b_n) = 0 (a_i∈k, k+1≦i≦n)
とすると、
f(a_(k+1) b_(k+1) + ... + a_n b_n) = 0
よって、a_(k+1) b_(k+1) + ... + a_n b_n∈Ker(f)。
n = dim(Ker(f)) + dim(<b_(k+1), ..., b_n>) - dim(Ker(f)∩<b_(k+1), ..., b_n>)
= k + (n-k) - dim(Ker(f)∩<b_(k+1), ..., b_n>)
なので、Ker(f)∩<b_(k+1), ..., b_n> = <0>。よって、a_(k+1) = ... = a_n = 0。
よって、f(b_(k+1)), ..., f(b_n)は一次独立。□ >>126
補題:
kを体、Vをk上のベクトル空間。
U, W⊂Vが部分空間
⇒U∩Wも部分空間 >>126
kを体、Vをk上の有限次元ベクトル空間、U, W⊂Vを部分空間とする。
>>127よりU∩WはVの部分空間であり、
dim(U⊕W) = dim(U) + dim(W) - dim(U∩W)
が成り立つ。 ようやくルベーグに進んだと思ったら結局また線形に逆戻り、か…… >>129
訂正:
> dim(U⊕W) = dim(U) + dim(W) - dim(U∩W)
dim(U + W) = dim(U) + dim(W) - dim(U∩W)
U + W := { u + w; u∈U, w∈W } 「選択公理がないと証明できない」という命題はどうやって証明するんだろな。
ハーンバナッハの定理は選択公理無しには証明できないらしい。 >>133
>ハーンバナッハの定理は選択公理無しには証明できないらしい。
というのはガセ 非数学科の学生です。
数学科の同級生に問題を出してもらったので、解きます。 問題
Xをコンパクト位相空間とする。
Xの閉部分集合はコンパクトである。 定義1.
位相空間Xがコンパクトであるとは、Xの任意の開被覆
U = {U_i} s. t. X = ∪ U_i
に対して、有限個のU'_1, ..., U'_n∈Uを選んで、
X = U'_1∪ ... ∪ U'_n
とできることを言います。 また、位相空間Xの部分集合Sがコンパクトであるとは、
SにXの相対位相を入れたときにコンパクトになることを言います。 まず、任意の有限集合はコンパクトです。
なぜならば、有限集合には有限個の開集合しか存在しないからです。 Xを実直線Rとします。
Rの有界閉区間[a, b]はコンパクトです。
これは、次の方法で証明できます。 (1) まず、[a, b] = [0, 1]としてよいです。
a = bならば、>>142よりこれはコンパクトです。
そうでなければ、f: [0, 1] → [a, b]を
y = f(x) = (b - a)x + a
で定めると、これは連続全単射で、逆写像
x = g(y) = (y - a)/(b - a)
も連続であるので、fは同相写像となります。 (2) [0, 1]がコンパクトでないとして、矛盾を導きます。
I = [0, 1]とします。
Uを、Iの無限個の開集合による開被覆とします。
I = [0, 1/2] ∪ [1/2, 1]
なので、Iがコンパクトでないとすると、[0, 1/2], [1/2, 1]の少なくとも一方は、Uの有限個の開集合で被覆できません。
なぜならば、両方の区間がともにUの有限公個の開集合で被覆できると、それはIの被覆でもあるため、Iがコンパクトになるからです。
簡単のため、[0, 1/2]が、Uの有限個の開集合で被覆できないとします。 --- (*)
I_1 = [0, 1/2]
とします。
I_1 = [0, 1/4] ∪ [1/4, 1/2]
なので、上と同様の議論により、[0, 1/4]は、Uの有限個の開集合で被覆できないとしてよいです。これを繰り返して、
I_n = [0, 2^(-n)]
とすると、I_nはすべて、Uの有限個の開集合で被覆できません。そして
0 ∈ ∩[n≧0] I_n --- (**)
です。しかし、Uの開集合のうち、0を含むものを取り、それをU'とすると、十分小さな正の数rに対して、
B_0(r) := { x ∈ I | 0 ≦ x < r }
はU'に含まれます。そして、nが十分大きければ、
0 < 2^(-n) < r
とでき、
I_n ⊂ B_0(r) ⊂ U'
となり、I_nはUの有限個の開集合で被覆できることになり、矛盾します。□
(*)を厳密にするには、各I_nは実際に有限個で被覆されない方を選び、(**)で0の代わりに、それらの共通部分の元を取ります(それは存在します)。 次に、コンパクト位相空間の満たす性質を調べました。 やはり、例を続けます。
今度は、コンパクトにならない例を挙げます。 Rの開区間(0, 1)はコンパクトではありません。 X = (0, 1)
I_n = (2^(-n), 1) (n=1, 2, ...)
とおきます。I = {I_n}はXの開被覆です。
実際、任意のx∈Xに対して、十分大きなnを取れば、2^(-n) < xとできるからです。
しかし、Iのいかなる有限個の開集合を選んでも、Xを被覆することはできません。
I_nをどのように有限個選んでも、添字nの最大値Nが存在します。そして、0 < x < 2^(-N)となるx∈Xが存在し、それは今選んだどのI_nにも含まれないからです。 X = Z = { ... -2, -1, 0, 1, 2, ... }
とします。Zに離散位相を入れたものはコンパクトではありません。
明らかに、開被覆{{n}}_{n∈Z}から有限個を選んでX全体を被覆することはできません。 >>143と同様に、ユークリッド空間では、有界閉集合はコンパクトです。
ここで、有界閉集合がコンパクトでない例を挙げます。 実数列{a_n}で、
(a_n)^2 < ∞
を満たすもの全体の集合をXとする。 a = {a_n}, b = {b_n}∈X
に対して、成分ごとの和と実数倍を定めます。つまり、
a + b = {a_n + b_n}
ca = {c a_n}
です。三角不等式により、これらもXの元になります。 aとbの距離を
d(a, b) = √||a - b||
で定めます。ただし、a = {a_n}に対し、
||a|| = (a_n)^2
です。 Xの部分集合Sを、1つの成分が1、その他が全部0の元全体とする。つまり、
S = {(1, 0, 0, ...), (0, 1, 0, ..., ), (0, 0, 1, 0, ...), ...} Sは閉集合。
∵
x = {x_n} ∈ X\Sを取る。
x_nは収束するから、十分大きなNを取れば、
|x_N| < 1/2
とできる。だから、a∈Sで、N番目以降が1のものに対して、
d(x, a) ≧ |x_(aが1の添字) - a_(aが1の添字)| > 1/2
だから、r = min{1/2, d'}とおく。ただし、
d' = min{d(x, 1番目が1), d(x, 2番目が1), ..., d(x, N番目が1)}
とすれば、
x ∈ B_x(r) ⊂ X\S。 Xがコンパクトでないこと。
Xの異なる2元間の距離は√2だから、各点を中心とする半径√2/2の開球を無限個でXを被覆すれば、これらの1つでも欠けたらXを被覆できない。 まず、コンパクト空間の連続写像による像はコンパクトである。 X, Yは位相空間、Xはコンパクト、f: X→Yは連続写像とする。
U = {U_i}
をf(X)の開被覆とすると、
V = {V_i = f^(-1)(U_i)}
は、Xの開被覆である。Xはコンパクトだから、そのうち有限個
V_(i_1), ..., V_(i_n)
でXを被覆できる。よって、
U_(i_1), ..., U_(i_n)
でf(Y)を被覆できる。 Xをコンパクト位相空間、f: X → Rを連続写像とする。
fには最大値・最小値が存在する。 最小値の存在を示す。
fに最小値が存在しないとして矛盾を導く。
任意のa∈Xに対して、
U_a = { x∈X | f(x) > f(a) } = f^(-1)((f(a), ∞))
はXの開集合である。fには最小値が存在しないので、任意のx∈Xに対して、適当なa∈Xを取れば、
x ∈ U_a
とできる。つまり、{U_a}はXの開被覆である。Xはコンパクトなので、有限個のU_aで被覆できる。その内f(a)が最小となるU_aを取ると、U_aの定義から
U_a' = U_a ∀a'
∴ X = U_a
である。ところが、aはU_aに含まれないので矛盾である。 Xはコンパクト空間、Yはハウスドルフ空間とする。任意の連続写像f: X → Yは閉写像である。 F⊂Xを閉集合とする。f(F)が閉集合であることを示す。
y ∈ Y\f(F)を任意に取る。
Yはハウスドルフ空間なので、次のようなf(F)の開被覆が取れる。
任意の点f(x)∈F(X)に対して、2つの開集合f(x)∈U_x、y∈V_xで、U_x ∩ V_x = ∅となるものが存在する。
U = {U_x}
とする。 Fがコンパクトであることを示す。
Fの開被覆V = {V_x}を取る。
X\Fは開集合なので、任意の点x∈X\Fに対して、
x ∈ W_x ⊂ X\F
となる開集合W_xが存在する。W = {W_x}はX\Fの開被覆である。
V∪WはXの開被覆で、Xはコンパクトだから、この内有限個の開集合でXを被覆できる。
Wに属する開集合はFと交わらないので、このとき、FはVに属する有限個の開集合で被覆される。
つまり、Fはコンパクト。 よって、>>161より、f(F)はコンパクトである。
よって、>>166のUのうち有限個の開集合でf(F)は被覆できる。それらを
U_(i_1), ..., U_(i_n) ∈ U
とすれば、>>166の記号で
V_(i_1) ∩ ... ∩ V_(i_n)
はyを含む開集合で、f(F)と交わらない。
よって、f(F)は閉集合である。 >>165を包含写像に適用すれば、
ハウスドルフ空間のコンパクト集合が閉集合であることが言えます。 >>170
これは直接示すことも簡単です。
Xをハウスドルフ空間、K⊂Xをコンパクト部分集合とすると、Kは閉集合。 x∈X\Kを任意に取る。
Xはハウスドルフ空間なので、Kの開被覆が以下のように取れる。
任意の点y∈Kに対して、2つの開集合y∈U_y、x∈V_yで、U_y ∩ V_y = ∅となるものが存在する。
U = {U_y}
はKの開被覆である。Kはコンパクトなので、有限個のU_(i_1), ..., U_(i_n)で被覆できる。このとき、
V_(i_1) ∩ ... ∩ V_(i_n)
はyを含む開集合で、Kと交わらない。よって、Kは閉集合である。 逆に>>171を使うと>>165は次のように証明できます。 FをXの閉集合とする。
>>167より、Fはコンパクト。
>>161より、f(F)はコンパクト。
>>171より、f(F)は閉集合。□ 実際、異なる2点x, yを取ると
d = d(x, y) > 0
なので、半系d/2の開球で分離できます。 位相空間Xが連結であるとは、互いに交わらない空でない2つの開集合の和で書けないことです。 連結な位相空間Xの開集合かつ閉集合である部分集合は
∅, X
だけです。 UをXの開集合かつ閉集合とします。
UがX or ∅なら正しいので、Xでも∅でもないとします。
UはXと異なる閉集合なので、F = X\Uは空ではない開集合です。
よって、
X = U ∪ F
これはXが連結でないことを意味します。 開写像というのは、連続性と同じく局所的な性質です。 f: X→ Yが開写像
⇔ ∀x∈X、∀開集合x∈U、 f(U)は開集合
⇔ ∀x∈X、∀開集合x∈U、∃開集合x∈B⊂U s.t f(B)は開集合
⇒は全部自明
3つ目から1つ目を示す U⊂Xを開集合とする。
f(x)∈f(U)を任意に取る。
開集合Bで
x∈B⊂U、f(B)⊂f(U)が開集合
が存在。 コンパクト空間の積空間はコンパクトです。
証明は知りません Xがコンパクト
⇔任意の位相空間Yに対して、X×Y→Yが閉写像 Xがハウスドルフ
⇔X→X×X、x→(x, x)の像は閉集合 Δ: X → X×X
Δ(x) = (x, x)
とする。
(x, y)∈X×X\Δ(X)を任意に取ると、x≠y。
Xがハウスドルフならば、Xの開集合x∈U、y∈Vで、U∩V = ∅となるものが存在。
(x, y) ∈ U × V ⊂ X×X\Δ(X)。
逆に、Δ(X)が閉集合なら、任意の(x, y)∈X×X\Δ(X)に対して
(x, y) ∈ W ⊂ X×X\Δ(X)
となる開集合Wが存在。積位相の定義より、Xの開集合x∈U、y∈Vが存在して
U × V ⊂ W
となる。U×VはΔ(X)と交わらないので、U, Vはx, yを分離する近傍になる。 f: X → Yが連続写像
Yがハウスドルフならば、
Γ: X→X×Y x → (x, f(x))の像は閉集合
f: X → S
g: Y → S
を連続写像
Sがハウスドルフならば、
ker(f, g) = { (x, y)∈X × Y | f(x) = g(y) }
は閉集合 原点が2重になった直線は、すべての点がハウスドルフな近傍を持ちますが、2つの原点を分離する近傍はありません。 R^nの開集合Uは
任意のp∈Uに対して、ある正の数r > 0が存在して
B_r(p) := { x∈R^N | |x - p| < r}
x ∈ B_r(p) ⊂ U
となることです。 この
B_r(p)
の形の開集合全体は、一般の位相空間では基本近傍系という概念に一般化されます。 集合に対し、基本近傍系を定めれば、上の定義と同様にして位相が定まります ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています