楕円関数・テータ関数・モジュラー関数
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●命題1.2 有理型関数f(u)が定数でなければ、 加群Ωは高々二つの元で生成される ■定義1.2 (楕円関数の定義) C上定義された有理型関数f(u)が、 R上1次独立な複素数ω1,ω2を周期とするとき、 f(u)は2重周期ω1,ω2を持つ楕円関数であるという □複素トーラス その1 ω1,ω2をR上1次独立な複素数とする ω1,ω2から生成されるCの加法部分群をΩで表す 加法群Cの部分群Ωに関する剰余群C/Ωを考える ■定義1.3 (周期平行四辺形の定義) [u0]={u=u0+rω1+sω2∈C|0<=r,s<=1}とおく [u0]を周期平行四辺形と呼ぶ ●命題1.3 任意の複素数uが与えられたとき、 u≣u' mod Ω となる[u0]が唯一つ存在する □複素トーラス 2 U0を周期平行四辺形の内点の集合 ~U0をU0の閉包とする 位相空間C/Ωは平行四辺形~U0の縁を 同一視することにより得られる □複素トーラス 3 位相空間C/Ωは常に🍩(円環面)と同相であるが これは位相空間であるばかりでなく 複素1次元あるいは実2次元の多様体でもある 複素1次元の複素多様体をRiemann面という C/Ωはコンパクトである コンパクトRiemann面の穴の数は種数と呼ばれ その重要な位相不変量である 🍩には穴がちょうど1個あるので、C/Ωの種数は1である すなわちC/Ωは種数1のコンパクトRiemann面である 逆に種数1のコンパクトRiemann面は すべてC/Ωの形に書けることが示せる □複素トーラス 4 種数1のコンパクトRiemann面は楕円曲線と呼ばれる 楕円関数論は種数1のRiemann面の理論である Ωを周期とする楕円関数は 複素多様体C/Ωの有理型関数に他ならない 1次元複素多様体としてC/Ωを考えるとき 複素トーラスC/Ω コンパクトRiemann面C/Ω 複素多様体C/Ω などと書くことにする □楕円関数体 ω1,ω2をR上1次独立な複素数とする ω1,ω2を固定して考える Ω=(ω1,ω2)を周期に持つ楕円関数全体をKと書くことにする Kには以下の性質がある 1)定数関数はKに属する 2)f(u),g(u)∈Kならば、f(u)±g(u)∈K 3)f(u),g(u)∈Kならば、f(u)g(u)∈K 4)f(u),g(u)∈Kで、g(u)≠0ならば、f(u)/g(u)∈K 2)〜4)により、Kが体であることが示される また1)により体Kは体Cの拡大である KをΩを周期とする楕円関数体という 5)f(u)∈Kならば、導関数f'(u)∈Kである 5)より、楕円関数体Kは微分に関して閉じている ★定理1.1 {ω1,ω2},{ω'1,ω'2}を各々R上1次独立な複素数の組とし Ω={ω1,ω2},Ω={ω'1,ω'2}とおく 次の集合の元の間に1対1対応が存在する 1){f:C/Ω→C/Ω'|fは複素多様体の全射正則写像} 2){φ:K(Ω')→K(Ω)|φは体のC-準同型写像} ☆系1.1 次の条件は同値である 1)コンパクトRiemann面C/ΩとC/Ω'は同型である 2)体K(Ω)とK(Ω')は同型である つまり両者は同値である 1)幾何学的対象である種数1のコンパクトRiemann面C/Ωを考えること 2)代数的対象である楕円関数体K(Ω)を考えること ●命題1.4 楕円関数は周期平行四辺形[u0]上で有限個の極を持つ ●命題1.5 複素平面C上で正則である楕円関数f(u)は定数に限る a_1,…,a_nを楕円関数f(u)の 周期平行四辺形[u0]上の極全体とする a_iにおける極の位数をm_iとする Σ(i=1〜n)m_i を楕円関数f(u)の位数と呼ぶ ●命題1.6 楕円関数f(u)の周期平行四辺形[u0]上の すべての極にわたる留数の総和は0である 〇系1.2 位数1の楕円関数は存在しない ●命題1.7 f(u)を位数rの楕円関数とする 任意の複素数に対して 楕円関数f(u)-cは周期平行四辺形上で ちょうどr個の零点を持つ ★定理1.2(Abel) 位数rの楕円関数f(u)の周期平行四辺形[u0]の 極を a_1,…,a_r 零点を b_1,…,b_r とすると、合同式 a_1+…+a_r≣b_1+…+b_r mod Ω が成立する ●命題1.8 位数rの楕円関数f(u)の周期平行四辺形[u0]の 極を a_1,…,a_r とする 任意の複素数©に対して、 楕円関数f(u)-cの周期平行四辺形[u0]の 零点を b_1,…,b_r とすると、合同式 a_1+…+a_r≣b_1+…+b_r mod Ω が成立する 感想 第1章は基礎なので、だいたいのことは知っていたが Abelの定理1.2(>>72 )は、今回初めて知った 今日以降 第2章を読む ☆補題2.1 無限級数 S=Σ' 1/|ω|^n はn>2なら収束し、n<=2ならば発散する (Σ'はωが集合Ω\{0}を動くときの総和) (\はバックスラッシュ) ☆補題2.2 n>=3ならば、級数 f_n(u)=Σ(ω∈Ω) 1/(u-ω)^n は絶対収束し、2重周期関数を表す ★定理2.1 P(u)=1/u^2+Σ'(1/(u-ω)^2-1/ω^2) は絶対収束し、2重周期関数を表す P(u)の定義より P'(u) =-2Σ(ω∈Ω) 1/(u-ω)^3 =-2f_3(u) 2重周期関数P(u)をWeierstrassのP関数と呼ぶ ●命題2.1 複素数cが与えられたとき、 P(u)-c=0 の解は基本周期平行四辺形上に2つ存在する それらをb1,b2とすると b1+b2 ≣ 0 mod Ω が成り立つ ●命題2.2 複素数a,bについての次の条件は同値である 1) P(a)=P(b) 2) a≣b または a≣-b が成立する ただし、a,bが共に極であるときもP(a)≣P(b)と解釈する P(u)-cの周期平行四辺形の2つの解 v1,v2が一致すれば v2≣-v1であるので、v1≣-v1 したがって2v1≣0 v1(※)は ω1/2,(ω1+ω2)/2,ω2/2 のいずれかに合同である (※箇所は本書ではv) >>75 命題2.2より P(ω1/2)=e1,P((ω1+ω2)/2)=e2,P(ω2/2)=e3 とおくと、cが各々e1,e2,e3のとき 方程式P(u)-c=0は2重解 u=ω1/2,(ω1+ω2)/2,ω2/2 を持つ したがってこの3つのuに対して P'(u)=d/du(P(u)-c)=0 である P'(u)は3位の楕円関数であるので 周期平行四辺形[0]上に3個の零点をもつ したがって ω1/2,(ω1+ω2)/2,ω2/2∈[0] はP'(u)の1位の零点である Q(u)=(P'(u)^2)/(P(u)-e1)(P(u)-e2)(P(u)-e3) は周期平行四辺形[0]上正則な2重周期関数である したがって、Q(u)は全平面で正則な2重周期関数となり、 命題1.5により定数である (計算により)Q(u)=4であり、以下の定理が証明される ★定理2.2 WeierstrassのP関数は微分方程式 P'(u)^2=4(P(u)-e1)(P(u)-e2)(P(u)-e3) を満たす 感想 WeierstrassのP関数と、それが満たす微分方程式が出てきた >>75 の命題2.1を導くのに、さっそくAbelの定理1.2>>72 を使った 竹内本は、昔誰かがtex打ちしたものがまだネットに転がっている模様。 g2=60Σ'1/ω^4, g3=140Σ'1/ω^6 と置く (Σ'はωが集合Ω\{0}を動くときの総和) ★定理2.3 WeierstrassのP関数は微分方程式 P'(u)=4P^3-g2P-g3 を満たす 定理2.2及び定理2.3より 4P^3-g2P-g3=4(P(u)-e1)(P(u)-e2)(P(u)-e3) であり、e1,e2,e3は相異なるので 判別式 Δ=g2^3-27g3^2 は0でない e1+e2+e3=0 e1e2+e2e3+e3e1=-g2/4 e1e2e3=g3/4 >>79 ★定理2.4 WeierstrassのP関数のu=0におけるLaurent展開の係数cnは、 正の有理数を係数に持つg2,g3の多項式で書ける ☆系2.1 G_2n=Σ'1/ω^2n は、正の有理数を係数に持つG_4,G_6の多項式で書ける 解析写像 f~:u∈C\Ω→(P(u),P'(u))∈C^2 から、射影化により、以下の写像 f~*:C→P2 が定義できる f~*(u)=(1,P(u),P'(u)) u∈C\Ω f~*(u)=(0,0,1) u∈Ω したがって、f~*から解析写像 f:C/Ω→C*⊂P2 (C*:x0x2^2=4x1^3-g2x0^2x1-g3x0^3) が定義でき、 1.fは全単射 2.任意の点P∈C/Ωについて、 接ベクトル空間の間の線形写像df_Pは同型である したがって以下の定理が成り立つ ★定理2.5 複素トーラスC/Ωと複素射影平面P2上の3次曲線 C*:x0x2^2=4x1^3-g2x0^2x1-g3x0^3 は複素多様体として同型である (g2=60Σ'1/ω^4, g3=140Σ'1/ω^6) 感想 WeierstrassのP関数およびその導関数を使って 複素トーラスを射影平面内に埋め込みました >>78 そうすか このスレは読書日記ってことで、読んだ定理のステートメントと 個人的に重要と思った説明を書くことにします あ、でもあくまで骨だけなので肉は書きません あしからず >>79 誤りがあったので訂正 ★定理2.3 WeierstrassのP関数は微分方程式 P'^2=4P^3-g2P-g3 を満たす ★定理2.6(加法公式) u1,u2,u3∈C, u1+u2+u3=0のとき、 等式 |P(u1) P'(u1) 1| |P(u2) P'(u2) 1| |P(u3) P'(u3) 1| =0 が成り立つ ★定理2.7 u1+u2+u3=0のとき、 3次曲線 C*:x0x2^2=4x1^3-g2x0^2x1-g3x0^3 上の3点 [1,P(u1),P'(u1)] [1,P(u2),P'(u2)] [1,P(u3),P'(u3)] は同一直線上にある。 ★定理2.8 u1+u2+u3=0のとき、 次の公式が成り立つ 1)P(u1)+P(u2)+P(u3)=a^2/4 2)(P(u1)+P(u2)+P(u3))(4P(u1)P(u2)P(u3)-g3)=(P(u1)P(u2)+P(u2)P(u3)+P(u3)P(u1)+g2/4)^2 ただし a=(P'(u1)-P'(u2))/(P(u1)-P(u2)) 定理2.6より P'(u1)(P(u3)-P(u2))+P'(u2)(P(u1)-P(u3))+P'(u3)(P(u2)-P(u1))=0 したがって P'(u3)=(P'(u1)(P(u3)-P(u2))+P'(u2)(P(u1)-P(u3)))/(P(u1)-P(u2)) 定理2.8の1)から導かれる式 P(u3)=-P(u1)-P(u2)+a^2/4 をつかってP(u3)を消去すれば、以下の定理を得る ★定理2.9 P(u1+u2)=-P(u1)-P(u2)+a^2/4 P'(u1+u2)=(1/(P(u2)-P(u1))) [P'(u1){(-P(u1)-2P(u2))+(a^2/4)} +P'(u2){(2P(u1)+ P(u2))-(a^2/4)}] ☆補題2.3 f(u)をΩを周期とする2重周期関数とする f(u)が偶関数であれば、f(u)はP(u)の有理式で書ける ★定理2.10 f(u)をΩを周期とする2重周期関数とする。 このときP(u)の有理式F(P(u)),G(P(u))が存在して f(u)=F(P(u))+G(P(u))P'(u) と書ける Ωを周期とする楕円関数全体K(Ω)は楕円関数体を構成する 定理2.10は、体K(Ω)がP(u),P'(u)により、C上生成されることを示す K(Ω)=C(P(u),P'(u)) 一方微分方程式 P'^2=4P^3-g2P-g3 は体C(P(u),P'(u))がC(P(u))の二次拡大であることを示している つまり抽象体として、下記は同型である C(P(u),P'(u))≣C[x,y]/(y^2-4x^3+g2x+x) したがって楕円関数体の構造は g2=60Σ'1/ω^4, g3=140Σ'1/ω^6 によって完全に決まる ★定理2.11(Chow) W⊂Pnを複素閉部分多様体とする このとき斉次多項式f1,…,frが存在して Wは、f1,…,frの共通零点の集合となる ★定理2.12 V⊂Pnを非特異射影多様体とする このとき代数多様体V上の有理関数体C(V)は 複素多様体V上の有理型関数全体のなす体と一致する 定理2.10は、定理2.12を3次曲線 C*:x0x2^2=4x1^3-g2x0^2x1-g3x0^3 に適用した特別の場合となる この型の定理をGAGA型の定理という (GAGAとはSerreの論文 "Geometrie Algebrique et Geometrie Analytique" に由来する) 感想 P関数の加法公式 及び 楕円関数体がPおよびP'によって生成されること を示しました この後、Weierstrassのζ関数およびσ関数の話になります □Weierstrassのζ関数 ζ(u)=1/u+Σ'(1/(u-ω)+1/ω+u/ω^2) と定義する (Σ'はωが集合Ω\{0}を動くときの総和) ζ'(u)=-1/u^2+Σ'(-1/(u-ω)^2+1/ω^2) =-P(u) ζ(-u)=-ζ(u) (※) ω∈Ωとすると ζ(u+ω)-ζ(u)は定数である ζ(u+ω1)-ζ(u)=η1 ζ(u+ω2)-ζ(u)=η2 とすると、(※)より 2η(ω1/2)=η1 2η(ω2/2)=η2 一般に整数m,nに対して ζ(u+mω1+nω2)=ζ(u)+mω1+nω2 ζはΩのみで極を持ち、その位数は1、そこでの留数は1 したがって、周期平行四辺形[u0]の辺Γ上、反時計回りに積分すれば 2πi=∫Γ ζ(u)du =∫[u0 u0+ω2] (ζ(u+ω1)-ζ(u))du-∫[u0 u0+ω1] (ζ(u+ω2)-ζ(u))du =η1ω2-η2ω1 (Legendreの関係式) ●命題2.3 φ(u)を楕円関数とし、その極はすべて1位であるとする 周期平行四辺形上でのφ(u)の極を a1,…,ar そこでの留数を c1,…,cn とする このとき、複素数c0が存在して、以下が成立する φ(u)=c0+Σ(i=1〜r) ciζ(u-ai) --- なぜなら、命題1.6により、周期平行四辺形上の 留数の総和Σ(i=1〜r) ci=0であるので ψ(u)=Σ(i=1〜r) ciζ(u-ai) は楕円関数であり、またφ(u)-ψ(u)は全平面上正則であるから 命題1.5により定数 その値をc0とすればいい さて ζ(u)-1/u=Σ'(1/(u-ω)+1/ω+u/ω^2) ∫[0 u] (ζ(u)-1/u)du =∫[0 u] Σ'(1/(u-ω)+1/ω+u/ω^2)du =Σ'(1/(u-ω)+1/ω+u/ω^2) =Σ'(log(1-u/ω)+u/ω+u^2/2ω^2) exp(Σ'(log(1-u/ω)+u/ω+u^2/2ω^2)) =Π'(1-u/ω)exp(u/ω+u^2/2ω^2) >>93 □Weierstrassのσ関数 σ(u) =u exp(∫[0 u] (ζ(u)-1/u)du) =uΠ'(1-u/ω)exp(u/ω+u^2/2ω^2) と定義する exp(∫[0 u] (ζ(u)-1/u)du) =σ(u)/u 両辺のlog微分をとると ζ(u)-1/u=σ'(u)/σ(u)-1/u したがって ζ(u)=σ'(u)/σ(u) P(u)=-ζ'(u)=d^2logσ(u)/du^2=(σ'(u)^2-σ(u)σ''(u))/σ^2(u) ★命題2.4 σ(u)=u+a5u^5+a7u^7+… a_2n+1(n>=2)はg2,g3の有理数を係数とする多項式 ★命題2.5 整数m,nに対して,等式 σ(u+mω1+nω2) =(-1)^(n+n+mn) exp((mη1+nη2)(u+(mω1+nω2)/2))σ(u) f(u)=σ(u-b)/σ(u-a) ω=mω1+nω2 η=mη1+nη2 とすれば f(u+ω)=exp(η(a-b))f(u) したがって以下の定理がいえる ★定理2.6 g(u)を位数rの楕円関数、 その零点の完全代表系を b1,…,br 極の代表系を a1,…,ar とする このとき、定理1.2(Abel)より Σ(i=1〜r)ai=Σ(i=1〜r)bi+ω となり、代表系の交換により Σ(i=1〜r)ai=Σ(i=1〜r)bi とできるので 0でない定数cが存在して g(u)=c(σ(u-b1)…σ(u-br))/(σ(u-a1)…σ(u-ar)) と書ける ☆補題2.4 ωを定数とし、任意の複素数uについて、 P(u+ω)=P(u) が成り立てば、ω∈Ωである ●命題2.7 ω1,ω2およびω1',ω2'をR上1次独立な複素数の二つの組とする 次の条件は同値である 1)uの関数として P(u;ω1,ω2)=P(u;ω1',ω2') が成り立つ 2)(ω1,ω2)=(ω1',ω2') 3)行列 (a b) (c d) ∈GL2(Z)が存在して、 (ω1) (ω2) = (a b)(ω1') (c d)(ω2') GL2(Z)={ (a b) (c d) |a,b,c,d∈Z,ad-bc=±1} >>96 ●命題2.8 命題2.7の1)〜3)と以下の条件は同値である 4)uの関数として ζ(u;ω1,ω2)=ζ(u;ω1',ω2') が成り立つ 5)uの関数として σ(u;ω1,ω2)=σ(u;ω1',ω2') が成り立つ ●命題2.9 命題2.7,2.8のの1)〜5)と以下の条件は同値である 6)g2(ω1,ω2)=g2(ω1',ω2')かつ g3(ω1,ω2)=g3(ω1',ω2')が成立する 問題2.1 g2^3-27g3^2≠0となる複素数g2,g3が与えられたとき、 3次曲線 C*:x0x2^2=4x1^3-g2x0^2x1-g3x0^3 を考える、 このとき、R上1次独立な複素数ω1,ω2が存在して、写像 C/Ω→P2:u→[1,P(u;ω1,ω2),P'(u;ω1,ω2)] によってC/Ωと3次曲線C*は同型になるか? 問題2.2 g2^3-27g3^2≠0となる複素数g2,g3が与えられたとき、 g2(ω1,ω2)=g2、g3(ω1,ω2)=g3 となるR上1次独立な複素数ω1,ω2は存在するか? 答えは肯定的である >>98 ☆補題2.5 g2(e^(2πi/3),1)=0 ☆補題2.6 g3(i,1)=0 ★定理2.13 任意の複素数aに対して J(ω1,ω2) = 1728g2^3(ω1,ω2)/(g2^3(ω1,ω2)-27g3^2(ω1,ω2)) = a となるようなR上1次独立な複素数ω1,ω2が存在する 感想 >>91-95 ・Weierstrassのζ関数、σ関数を定義した (注:両方とも楕円関数ではない) ・さらにζ関数、σ関数による楕円関数の表示が 可能であることを示した (ここで、楕円関数f(u)の周期平行四辺形[u0]上の すべての極にわたる留数の総和は0であること、および Abelの定理を使う) >>96-97 ・異なるω1,ω2が、同じ格子を持つとき、そのときに限り 同じP関数、ζ関数、σ関数をもたらすことを示した >>98-99 ・3次曲線が非特異であれば、対応する格子が存在することを示した 次回から、いよいよテータ関数に入る 刮目して待て! 違う テータ関数は擬二重周期 楕円関数はテータ関数の積の比で表される ○(x)=exp(2πix) とおく (注:原文ではe(x)としているが、 e^xと紛らわしいので あえて○(x)と書き直す) Hを上半平面とする ●命題3.1 (z,τ)∈C×Hに対して、級数 θ(z,τ)=Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+nz) を考える θ(z,τ)はC×H上広義一様に絶対収束し、 θ(z,τ)はC×H上の正則関数となる テータ関数の定義式は θ(z,τ)=Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ)○(nz) と書ける ○(n(z+1))=○(nz)であるので θ(z+1,τ)=θ(z,τ)が成り立つ さらに、以下が成り立つ θ(z+τ,τ) =Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+n(z+τ)) =Σ(n∈Z) ○(1/2*(n+1)^2τ-1/2*τ+nz) =Σ(n∈Z) ○(1/2*(n+1)^2τ-1/2*τ+(n+1)z-z) =○(-1/2*τ-z)Σ(n∈Z) ○(1/2*(n+1)^2τ+(n+1)z) n+1=mとおけば =○(-1/2*τ-z)Σ(m∈Z) ○(1/2*m^2τ+mz) =○(-1/2*τ-z)θ(z,τ) つまり、以下が成り立つ θ(z+τ,τ)=○(-1/2*τ-z)θ(z,τ) 一般にm,nを整数とすれば θ(z+mτ+n,τ)=○(-1/2*m^2τ-mz)θ(z,τ) さて、a,b∈Rに対して θa,b(z,τ)=○(1/2*a^2τ+a(z+b))θ(z+aτ+b,τ) とおく θa,b(z,τ)を指標a,bのテータ関数と呼ぶ 具体的に級数で書けば θa,b(z,τ) =○(1/2*a^2τ+a(z+b))Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+n(z+aτ+b)) =Σ(n∈Z) ○(1/2*(n+a)^2τ+(n+a)(z+b)) 上記より、以下の公式が成り立つ θ0,0(z,τ)=θ(z,τ) θa,b(z+b',τ)=θa,b+b'(z,τ) ○(1/2*a'^2τ+a'z)θa,b(z+a'τ,τ)=○(-a'b)θa+a',b(z,τ) θa+p,b+q(z,τ)=○(aq)θa,b(z,τ) ここで、a,a',b,b'∈R、p,q∈Z である テータ関数ってのは何のためにあるのかな 楕円関数をテータ関数の比で表すということだけ? τ∈H、整数l>=0を固定して V_l:={f(z)|f(z)は整関数、∀m,n∈Z.f(z+lmτ+ln)=○(-1/2*l^2m^2τ-lmz)f(z)} とおく V_lはC-ベクトル空間である その基底をテータ関数を使って与えることができる ☆補題3.1 整関数f(z)に関する次の条件は同値である 1)f(z)∈V_l 2)f(z+lmτ)=○(-1/2*l^2m^2τ-lmz)f(z)およびf(z+ln)=f(z)が 任意の整数m,nについて成り立つ 3)f(z+lτ)=○(-1/2*l^2τ-lz)f(z),f(z+l)=f(z)が成り立つ ☆補題3.2 整関数f(z)に関する次の条件は同値である 1)f(z)∈V_l 2)f(z)=Σ(n∈(1/l)Z) c_n○(1/2n^2τ+nZ)と展開できて さらにm-n∈lZとなるににのm,n∈(1/l)Zに対してc_m=c_nが成り立つ ベクトル空間V_lの元f(z)は f(z)=Σ(n∈(1/l)Z) c_n○(1/2n^2τ+nZ) と書け、補題3.2より係数c_iは 0<=i<=l-1/l (i∈(1/l)Z) に対して自由に選べるので 以下の命題が証明できる ●命題3.2 C-ベクトル空間V_lの次元はl^2である >>107 テータ関数を使ってベクトル空間V_lの基底を書くことができる ●命題3.3 a_i∈(1/l)Z (i=0,…,l-1) b_j∈(1/l)Z (j=0,…,l-1) を2組の((1/l)Z)/Zの完全代表系とすると θa_i,b_j(z,τ) はC-ベクトル空間V_lの基底となる Vを整関数全体のなすC-ベクトル空間とする ベクトル空間Vの自己同型全体のなす群をGL(V)で表す τ∈Hを固定しておく a,b∈Rに対して、線形写像S_b,T_aを f(z)∈Vに対して S_b f(z)=f(z+b) T_a f(z)=○(1/2*a^2τ+az)f(z+aτ) により定義すると,S_b,T_a∈GL(V)である 任意のb1,b2,a1,a2∈Rについて S_b1・S_b2=S_b1+b2 T_a1・T_a2=T_a1+a2 である S_bとT_aは可換に近いが実は異なる S_b・T_a f(z) =S_b(○(1/2*a^2τ+az)f(z+aτ)) =○(1/2*a^2τ+a(z+b))f(z+b+aτ) T_a・S_b f(z) =○(1/2*a^2τ+az)f(z+aτ+b) つまり S_b・T_a f(z) =○(ab)T_a・S_b f(z) >>109 C1~*={c∈C||c|=1}と置く 写像 ρ:C1~*×R×R→GL(V) (c,a,b)→cT_a・S_b を考えると、ρは単射で、像ImρはGL(V)の部分群 (c1T_a1・S_b1)・(c2T_a2・S_b2) =c1c2○(a,b)T_a1+a2・S_b1+b2 (cT_a・S_b)^-1=c^-1○(a,b)T_a・S_b つまり (c1,a1,b1)・(c2,a2,b2)=(c1c2○(a1,b2),a1+a2,b1+b2) (c,a,b)^-1=(c^-1○(ab),-a,-b) C1~*×R×Rの上記の群構造をGと書く GをHeisenberg群と呼ぶ ●命題3.4 1)群Gの中心はC1~*(=C1~*×{0}×{0})である 2)群Gの交換子群[G,G]はC1~*である C1~*はGの中心であるので正規部分群であり 商群G/C1~*は2次元ベクトルの加法群R×Rである つまり以下は完全列である 1→C1~*→G→R×R→0 量子力学における有名な定理 ★定理3.1(von Neumann-Stone) Gの既約ユニタリ表現 ρ:G→GL(W) で、 任意のc∈C1~*について ρ(c)=cId_W となるものが、 同型を除いて唯一つ存在する (Id_WはWの恒等写像) >>109-110 さて、テータ関数とHeisenberg群の関係について述べる (S_b・T_a)θ(z、τ) =(S_b・T_a)Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+nz) =S_b(○(1/2*a^2τ+az)Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+n(z+aτ)) =○(1/2*a^2τ+a(z+b))Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+n(z+b+aτ)) =θa,b(z,τ) Γ={(1,a,b)∈G|a,b∈Z}とおけば、ΓはGの可換部分群 さらに整数l>=0に対して lΓ={(1,a,b)∈G|a,b∈lZ}とおくと、lΓはΓの部分群で (1,l,0)及び(1,0,l)によって生成される ρ((1,l,0))=T_l,ρ((1,0,l))=S_lであるので 以下の命題を得る ●命題3.5 f(z)∈Vに関する次の条件は同値 1) f(z)はlΓ不変 つまりg∈lΓに対してg(f(z))=f(z) 2)S_l(f(z))=f(z),T_l(f(z))=f(z) S_l(f(z))=f(z+l) T_l(f(z))=○(1/2*l^2τ+lz)f(z+lτ) であるので、補題3.1より、以下の結果を得る ●命題3.6 V_l={f(z)∈V|f(z)はlΓ不変} (>>107 ) が成立する >>109-111 Mumfordのテータ関数論で大切なのは Heisenberg群の有限版である mを正整数とし μm={ζ∈C1~*|ζ^m=1} とおく さて G(l)={(c,a,b)∈G|c∈μl^2, a,b∈(1/l)Z} とおくと、G(l)はGの部分群で、lΓ⊂{G(l)の中心}である Gl=G(l)/lΓ=μl^2×((1/l)Z/lZ)×((1/l)Z/lZ) (c1,a1,b1)・(c2,a2,b2)=(c1c2○(a1,b2),a1+a2,b1+b2) [Gl,Gl]=μl^2 Glは、Heisenberg群の有限版であり、 定理3.1の類似が成り立つ ★定理3.2 Glの有限次元既約表現 ρ:Gl→GL(W)で、 任意のc∈μl^2について ρ(c)=cId_W となるものが、 同型を除いて唯一つ存在する (Id_WはWの恒等写像) この既約表現が実はV_lである (>>107 ) テータ関数が熱方程式の解であることには 何か深い意味でもあったりするの? >>113 「ユビキタス熱核」読んでスペクトル幾何調べて太鼓で形を聞き分ける絡みのネタ熱心に追ってた時期がボクにもありますた。 テータ関数の本質というか正体っていったい何なんですか? 教科書を見ると変換公式やら互いの関係式やらは書いてあり ますが、それだけでは何が何やらさっぱりわかりません・・ V_l (>>107 ) に属するテータ関数を用いて 複素トーラスC/(1,τ)の 射影空間P l^2-1への埋め込みを与える >>116 Ω(τ)=(1,τ)とおく ☆補題3.3 0≠f(z)∈V_lとすると f(z)はlΩ(τ)=(l,lτ)の基本周期四辺形の中に ちょうどl^2個の零点を持つ ただし零点は重複度を込めて数える ☆補題3.4 zの関数としてθ1/2,1/2(z,τ)は奇関数である つまり θ1/2,1/2(-z,τ)=-θ1/2,1/2(z,τ) したがって θ1/2,1/2(0,τ)=0 ●命題3.7 θ(z,τ)の零点全体のなす集合は {(p+1/2)τ+(q+1/2)|p,q∈Z} (ai,bi)∈((1/l)Z)×((1/l)Z) (0<=i<=l^2-1) を((1/l)Z)×((1/l)Z)の完全代表系とする θi(z,τ)=θai,bi(z,τ)とおく ●命題3.8 θi(z,τ)の零点全体のなす集合は {(-ai+p+1/2)τ+(-bi+q+1/2)|p,q∈Z} i≠jならば θi(z,τ)とθj(z,τ)には 共通零点が存在しない 命題3.8 (>>117 ) より、 l>=2とすると、任意のz∈Cに対して (θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)) は零ベクトルになることはないので、 射影空間P l^2-1の点 [θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)] が定まる つまり、解析写像 Φl:C→P l^2-1 z → [θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)] が定まる V_l(>>107 )の定義より (θ0(l(z+1),τ),…,θl^2-1(l(z+1)、τ)) =(θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)) (θ0(l(z+τ),τ),…,θl^2-1(l(z+τ)、τ)) =○(-1/2l^2τ-lz)(θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)) であるので [θ0(l(z+1),τ),…,θl^2-1(l(z+1)、τ)] =[θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)] [θ0(l(z+τ),τ),…,θl^2-1(l(z+τ)、τ)] =[θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)] したがって、解析写像 φl:C/Ω(τ)→P l^2-1 z → [θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)] が定まる E_τ=C/Ω(τ)とおく ★定理3.3 l>=2ならば、解析写像 φl:E_τ→P l^2-1 は、複素トーラスE_τ=C/(1,τ)の射影空間P l^2-1への埋め込みである V_l(>>107 )はG_l(>>112 )加群であるので 準同型写像 ρ:G_l→GL(V_l) が存在する (1,a,b)∈μl^2×((1/l)Z/lZ)×((1/l)Z/lZ)に対して ρ(1,a,b)(θi)=Σ(j=0〜j^2-1) cijθj であるとする ☆補題3.5 φl(z+(aτ+b)/l,τ) =[Σ(j=0〜j^2-1) c0jθj,…,Σ(j=0〜j^2-1) cl^2-1jθj] ●命題3.9 射影平面P l^2-1において、超平面Hと像φl(E_τ)の共通部分は 重複度も込めて丁度l^2個の点からなる 一般に射影空間Pn内のd次元射影多様体Vが与えられたとき Pnの一般の位置にあるn-d次元超平面H^(n-d)とVは 有限個の点で交わることが知られている さらに交点の数|V∩H|はHのとり方によらない この数を射影多様体V⊂Pnの次数という 命題3.9はφl(E_τ)⊂P l^2-1がl^2次曲線であることを述べている l=2(>>107 )の場合 伝統的テータ関数記号(Mumford,Tata lectures on Theta)の定義 θ00(z,τ)=θ0,0(z,τ) θ01(z,τ)=θ0,1/2(z,τ) θ10(z,τ)=θ1/2,0(z,τ) θ11(z,τ)=θ1/2,1/2(z,τ) 指標付きテータ関数の定義(>>104 )より θ00(z,τ)=Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+nz) θ01(z,τ)=Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+n(z+1/2)) θ10(z,τ)=Σ(n∈Z) ○(1/2*(n+1/2)^2τ+(n+1/2)z) θ10(z,τ)=Σ(n∈Z) ○(1/2*(n+1/2)^2τ+(n+1/2)(z+1/2)) 一方、以下が成立している θ00(z,τ)=θ(z,τ) θ01(z,τ)=θ(z+1/2,τ) θ10(z,τ)=○(1/8τ+1/2z)θ(z+1/2τ,τ) θ11(z,τ)=○(1/8τ+1/2(z+1/2))θ(z+1/2τ+1/2,τ) 関数の零点(>>117 ) (p,q∈Z) θ00(z,τ) z=(p+1/2)τ+(q+1/2) θ01(z,τ) z=(p+1/2)τ+q θ10(z,τ) z=pτ+(q+1/2) θ11(z,τ) z=pτ+q θ00(-z,τ)=θ00(z,τ) 偶関数 θ01(-z,τ)=θ01(z,τ) 偶関数 θ10(-z,τ)=θ10(z,τ) 偶関数 θ11(-z,τ)=-θ11(z,τ) 奇関数 >>118 で、l=2とした場合 Φ2:C→P3 z→[θ00(2z,τ),θ01(2z,τ),θ10(2z,τ),θ11(2z,τ)] ☆補題3.6 A= (1 1 1 1) (1 1 -1 -1) (1 -1 1 -1) (1 -1 -1 1) とおくと、等式 tAA=AtA=4I4 が成立する ここでI4は4次の対称行列を表す つまり(1/2)Aは直交行列である ☆系3.1 u1,u2,u3,u4,v1,v2,v3,v4を変数とする u をu1 〜u4 による縦ベクトル u'をu1'〜u4'による縦ベクトル v をv1 〜v4 による縦ベクトル v'をv1'〜v4'による縦ベクトル とする u'=(1/2)Au v'=(1/2)Av とおく このとき等式 Σ(i=1〜4)ui'vi'=Σ(i=1〜4)uivi が成立する テータ関数の定義より θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ) =Σ(m1〜m4∈Z) ○((1/2)(Σ(i=1〜4)mi^2)τ+Σ(i=1〜4)mixi) θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ) =Σ(m1〜m4∈Z) ○((1/2)(Σ(i=1〜4)mi)+(1/2)(Σ(i=1〜4)mi^2)τ+Σ(i=1〜4)mixi) θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ) =Σ(m1〜m4∈Z) ○((1/2)(Σ(i=1〜4)(mi+1/2)^2)τ+Σ(i=1〜4)(mi+1/2)xi) θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ) =Σ(m1〜m4∈Z) ○((1/2)(Σ(i=1〜4)mi)+(1/2)(Σ(i=1〜4)(mi+1/2)^2)τ+Σ(i=1〜4)(mi+1/2)xi) 上記四個の等式を加えると θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ) +θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ) +θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ) +θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ) =2Σ'(m1〜m4∈(1/2)Z) ○((1/2)(Σ(i=1〜4)mi^2τ)+Σ(i=1〜4)mixi) ここでΣ'は条件1)または2)を満たす,すべてのm1〜m4にわたる和を表す 1)i=1〜4について、miは整数であって、Σ(i=1〜4) mi∈2Z 2)i=1〜4について、mi∈Z+1/2であって、Σ(i=1〜4) mi∈2Z さて n=n1〜n4による縦ベクトル m=m1〜m4による縦ベクトル x=x1〜x4による縦ベクトル y=y1〜y4による縦ベクトル として n=(1/2)Am y=(1/2)Ay とおくと、以下の補題が成り立つ ☆補題3.7 m1〜m4に関する次の条件は同値である i) m1〜m4はΣ'に関する>>123 の条件1)または2)を満たす ii)上に定義したn1〜n4は整数である 系3.1(>>122 )を、ui=vi=miとして適用して Σ(i=1〜4) mi^2=Σ(i=1〜4) ni^2 を得る さらにui=mi,vi=xiに適用すれば Σ(i=1〜4) mixi=Σ(i=1〜4) niyi したがって θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ) +θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ) +θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ) +θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ) =2Σ'(n1〜n4∈Z) ○((1/2)(Σ(i=1〜4)ni^2τ)+Σ(i=1〜4)niyi) よってRiemannのテータ公式を得る θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ) +θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ) +θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ) +θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ) =2θ00(y1,τ)θ00(y2,τ)θ00(y3,τ)θ00(y4,τ) ☆補題3.8 次の公式が成り立つ θ00(z+1,τ)=θ00(z,τ) θ01(z+1,τ)=θ01(z,τ) θ10(z+1,τ)=-θ10(z,τ) θ11(z+1,τ)=-θ11(z,τ) >>124 の公式で、x1にx1+1を代入して補題3.8を使うと以下の公式を得る θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ) +θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ) -θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ) -θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ) =2θ01(y1,τ)θ01(y2,τ)θ01(y3,τ)θ01(y4,τ) ☆補題3.9 次の公式が成り立つ ○(τ/2+z)θ00(z+τ,τ)=θ00(z,τ) ○(τ/2+z)θ01(z+τ,τ)=-θ01(z,τ) ○(τ/2+z)θ10(z+τ,τ)=θ10(z,τ) ○(τ/2+z)θ11(z+τ,τ)=-θ11(z,τ) >>124 の公式で、x1にx1+τを代入して両辺に○(τ/2+x1)を掛けると 補題3.9により以下の公式を得る θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ) -θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ) +θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ) -θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ) =2θ10(y1,τ)θ10(y2,τ)θ10(y3,τ)θ10(y4,τ) ☆補題3.10 次の公式が成り立つ ○(τ/2+z)θ00(z+τ+1,τ)=θ00(z,τ) ○(τ/2+z)θ01(z+τ+1,τ)=-θ01(z,τ) ○(τ/2+z)θ10(z+τ+1,τ)=-θ10(z,τ) ○(τ/2+z)θ11(z+τ+1,τ)=θ11(z,τ) >>124 の公式で、x1にx1+τ+1を代入して両辺に○(τ/2+x1)を掛けると 補題3.10より以下の公式を得る θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ) -θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ) -θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ) +θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ) =2θ11(y1,τ)θ11(y2,τ)θ11(y3,τ)θ11(y4,τ) x1,x2,x3,x4にx1+l1,x2+l2,x3+l3,x4+l4を代入することにより 20個の公式を得る l1〜l4∈(1/2,τ/2) かつ l1+l2+l3+l4∈(1,τ) である θab(x1,τ)θcd(x2,τ)θef(x3,τ)θgh(x4,τ) を [ab,cd,ef,gh] と表し θab(y1,τ)θcd(y2,τ)θef(y3,τ)θgh(y4,τ) を [ab,cd,ef,gh]' と表す 上記の記号により20個のRiemannテータを記載する 1) [00,00,00,00]+[01,01,01,01]+[10,10,10,10]+[11,11,11,11] = 2[00,00,00,00]' 2) [00,00,00,00]+[01,01,01,01]-[10,10,10,10]-[11,11,11,11] = 2[01,01,01,01]' 3) [00,00,00,00]-[01,01,01,01]+[10,10,10,10]-[11,11,11,11] = 2[10,10,10,10]' 4) [00,00,00,00]-[01,01,01,01]-[10,10,10,10]+[11,11,11,11] = 2[11,11,11,11]' 5) [00,00,01,01]+[01,01,00,00]+[10,10,11,11]+[11,11,10,10] = 2[01,01,00,00]' 6) [00,00,01,01]+[01,01,00,00]-[10,10,11,11]-[11,11,10,10] = 2[00,00,01,01]' 7) [00,00,01,01]-[01,01,00,00]+[10,10,11,11]-[11,11,10,10] =-2[11,11,10,10]' 8) [00,00,01,01]-[01,01,00,00]-[10,10,11,11]+[11,11,10,10] =-2[10,10,11,11]' 9) [00,00,10,10]+[01,01,11,11]+[10,10,00,00]+[11,11,01,01] = 2[00,00,10,10]' 10) [00,00,10,10]+[01,01,11,11]-[10,10,00,00]-[11,11,01,01] = 2[01,01,11,11]' 11) [00,00,10,10]-[01,01,11,11]+[10,10,00,00]-[11,11,01,01] = 2[10,10,00,00]' 12) [00,00,10,10]-[01,01,11,11]-[10,10,00,00]+[11,11,01,01] = 2[11,11,01,01]' 13) [00,00,11,11]+[01,01,10,10]+[10,10,01,01]+[11,11,00,00] = 2[01,01,10,10]' 14) [00,00,11,11]+[01,01,10,10]-[10,10,01,01]-[11,11,00,00] = 2[00,00,11,11]' 15) [00,00,11,11]-[01,01,10,10]+[10,10,01,01]-[11,11,00,00] =-2[11,11,00,00]' 16) [00,00,11,11]-[01,01,10,10]-[10,10,01,01]+[11,11,00,00] =-2[10,10,01,01]' 17) [00,01,10,11]+[01,00,11,10]+[10,11,00,01]+[11,10,01,00] = 2[11,10,01,00]' 18) [00,01,10,11]+[01,00,11,10]-[10,11,00,01]-[11,10,01,00] =-2[10,11,00,01]' 19) [00,01,10,11]-[01,00,11,10]+[10,11,00,01]-[11,10,01,00] =-2[01,00,11,10]' 20) [00,01,10,11]-[01,00,11,10]-[10,11,00,01]+[11,10,01,00] = 2[00,01,10,11]' Riemannのテータ関係式において x1=x2、x3=x4と特殊化すると テータ関数の加法公式が得られる 例えば θ00(x1+x3)θ00(x1-x3)θ00(0)^2 =θ00(x1)^2θ00(x3)^2+θ11(x1)^2θ11(x3)^2 =θ01(x1)^2θ01(x3)^2+θ10(x1)^2θ10(x3)^2 θ11(x1+x3)θ11(x1-x3)θ00(0)^2 =θ11(x1)^2θ00(x3)^2-θ00(x1)^2θ11(x3)^2 =θ01(x1)^2θ10(x3)^2-θ10(x1)^2θ01(x3)^2 ここでさらにx3=0とすると θ00(x1)^2θ00(0)^2 =θ01(x1)^2θ01(0)^2+θ10(x1)^2θ10(0)^2 θ11(x1)^2θ00(0)^2 =θ01(x1)^2θ10(0)^2-θ10(x1)^2θ01(0)^2 φ2:Eτ=C/(1,τ)→P3 φ2(z)=[θ00(2z,τ),θ01(2z,τ),θ10(2z,τ),θ11(2z,τ)] が成り立つ さらに θ00(x1)^2θ00(0)^2-θ01(x1)^2θ01(0)^2-θ10(x1)^2θ10(0)^2=0 θ11(x1)^2θ00(0)^2-θ01(x1)^2θ10(0)^2+θ10(x1)^2θ01(0)^2=0 が成り立つ このことは、射影空間の点 [a0,a1,a2,a3]=[θ00(2z,τ),θ01(2z,τ),θ10(2z,τ),θ11(2z,τ)] が、二つの関係式 f1=θ00(0)^2 a0^2-θ01(0)^2 a1^2-θ10(0)^2 a2^2=0 f2=θ00(0)^2 a3^2-θ10(0)^2 a1^2+θ01(0)^2 a2^2=0 を満たしていることを示している つまり[a0,a1,a2,a3]∈V(f1,f2)⊂P3 φ2(Eτ)⊂V(f1,f2) であるが実は φ2(Eτ)⊃V(f1,f2) でもあるので φ2(Eτ)=V(f1,f2)である V(f1,f2)は二つの二次曲面の交わりとして定義されているので 射影空間内の4次曲線である(Bezoutの定理) つまり2次式f1,f2は、4次曲線φ2(Eτ)の定義方程式を与える ★定理3.4 ∂θ11(z,τ)/∂τ|z=0 = -πθ00(0,τ)θ01(0,τ)θ10(0,τ) ☆補題3.11 ∂^2θij(z,τ)/∂z^2=4π√(-1)θθij(z,τ)/∂τ ★定理3.5 i)無限級数Σ(n=1〜∞) |un|が収束するとき, 無限積Π(n=1〜∞) (1+un)は収束する この時Π(n=1〜∞) (1+un)は絶対収束するという。 ii)絶対収束するとき、上記の無限積は 積の順序に関係なく一定の値に収束する。 さらに分配法則にしたがって無限積を 形式的に無限級数に展開してもよい。 ★定理3.6 有界閉集合K⊂Cが存在して un(z)は、任意のnについてK上正則とする。 さらに級数Σ(n=1〜∞) |un(z)|が K上で一様収束すると仮定する このとき 無限積Π(n=1〜∞) (1+un)はK上で一様収束し、 したがって正則である ☆補題3.12 z∈C,整数mに関する次の条件は同値である i) ○((m+1/2)τ-z)=-1 ii) 整数nが存在し、2πi(z-(m+1/2)τ)=(2π+1)πiと書ける iii)整数nが存在して、z=(m+1/2)τ+(n+1/2)と書ける ★定理3.7 テータ関数θ(z,τ)は以下のように無限積に展開される θ(z,τ)=Π(m=1〜∞) (1-○(mτ)) Π(m=0〜∞) {[1+○((m+1/2)τ-z)][1+○((m+1/2)τ+z)]} ☆補題3.13 p(z,τ)=Π(m=0〜∞) {[1+○((m+1/2)τ-z)][1+○((m+1/2)τ+z)]}とおくと i) p(z+1,τ)=p(z,τ) ii)p(z+τ,τ)=○(-(1/2)τ-z)p(z,τ) >>135 定理3.7の公式は q=○((1/2)τ),w=○((1/2)z) とおくと、以下のように書ける Σ(m=-∞〜∞) q^(m^2)w^(2m) =Π(m=1〜∞) (1-q^2m)(1+q^(2m-1)w^2)(1-q^(2m-1)w^(-2)) 上記の公式はJacobiの三重積公式と呼ばれている >>137 Jacobiの三重積公式の公式で w=iq^(1/4) q=q^3/2 を代入すると、Eulerの5角数公式を得る Σ(m=-∞〜∞)(-1)^m*q^(m(3m+1)/2) =Π(m=1〜∞) (1-q^m) >>138 Eulerの5角数公式の右辺を展開すると Π(m=1〜∞) (1-q^m) =1+Σ(n=1〜∞)q^n[E(n)-U(n)] ここで E(m)は整数mを偶数個の相異なる正整数の和に表す書き方の数 U(m)は整数mを奇数個の相異なる正整数の和に表す書き方の数 ★定理3.8 正の整数mが与えられたとき、 正の整数nが存在して m=(1/2)n(3n+1) または m=(1/2)n(3n-1) と書けるならば E(m)-U(m)=(-1)^n 上記の整数nが存在しなければ E(m)-U(m)=0 ☆補題3.14 整数a,b,c,dがad-bc=1を満たすとき (1,τ)=(aτ+b,cτ+d) が成立する ☆補題3.15 τを上半平面H上の点とし、 整数a,b,c,dはad-bc=1を満たすと仮定する このとき次が成立する i) (aτ+b)/(cτ+d)∈H ii)Cの各元を(cτ+d)^(-1)倍する写像C→Cは 複素トーラスの同型 C/(1,τ)≣C/(1、(aτ+b)/(cτ+d)) を引き起こす ★定理3.9(Jacobiの変換公式) θ00(z/τ,-1/τ)=○(-1/8)τ^(1/2)○(z^2/(2τ))θ00(z,τ) ☆系3.2 θ10(z/τ,-1/τ)=○(-1/8)τ^(1/2)○(z^2/(2τ))θ01(z,τ) θ01(z/τ,-1/τ)=○(-1/8)τ^(1/2)○(z^2/(2τ))θ10(z,τ) θ11(z/τ,-1/τ)=-i*○(-1/8)τ^(1/2)○(z^2/(2τ))θ11(z,τ) ★定理3.10 θ11(z,τ+1)=○(1/8)θ11(z,τ) ☆系3.3 θ00(z,τ+1)=θ01(z,τ) θ01(z,τ+1)=θ00(z,τ) θ10(z,τ+1)=○(1/8)θ10(z,τ) ★定理3.11 a,b,c,d∈Z,ad-bc=1,c>=0とする θ00(z/(cτ+d),(aτ+b)/(cτ+d)) =○(-1/8)(cτ+d)^(1/2)○(cz^2/(2(cτ+d))θ00(z,τ) ★定理3.12 θ01(2z,2τ)/θ00(z,τ)θ01(z,τ)=θ01(0,2τ)/θ00(0,τ)θ01(0,τ) θ11(2z,2τ)/θ10(z,τ)θ11(z,τ)=θ01(0,2τ)/θ00(0,τ)θ01(0,τ) ☆補題3.16〜3.17 定数aが存在して θ00(2z,2τ)=a(θ00(z,τ)^2+θ01(z,τ)^2) ★定理3.13 2θ00(0,2τ)θ00(2z,2τ)=θ00(z,τ)^2+θ01(z,τ)^2 2θ00(0,2τ)θ10(2z,2τ)=θ10(z,τ)^2-θ11(z,τ)^2 ●命題3.10 θ00(0,2τ)^2=(θ00(z,τ)^2+θ01(z,τ)^2)/2 θ01(0,2τ)^2=θ00(z,τ)θ01(z,τ)^2 つまり θ00(0,2τ)^2はθ00(z,τ)^2とθ01(z,τ)^2の算術平均 θ01(0,2τ)^2はθ00(z,τ)^2とθ01(z,τ)^2の幾何平均 Weierstrassのσ関数とテータ関数の関係 σ(z)=exp((1/2)ω1η1z^2)(ω1/θ’11(0,τ))θ11(z,τ) これでテータ関数は終わり 次から「Jacobiの楕円関数」について 刮目して待て! 定義 u:=zπθ00^2(0) sn u:=(-θ00(0)/θ10(0))(θ11(z)/θ01(z)) cn u:=( θ01(0)/θ10(0))(θ10(z)/θ01(z)) dn u:=( θ01(0)/θ00(0))(θ00(z)/θ01(z)) κ :=θ10^2(0)/θ00^2(0) κ':=θ01^2(0)/θ00^2(0) sn 0=0 cn 0=1 dn 0=1 >>147 κ^2+κ'^2=(θ10^4+θ01^4)/θ00^4=1 θ10^2(0,-1/τ)/θ00^2(0,-1/τ) =θ01^2(0,-1/τ)/θ00^2(0,-1/τ) =κ' sn^2 u+cn^2 u =(θ00^2(0)θ11^2(z)+θ01^2(0)θ10^2(z))/(θ10^2(0)θ01^2(z)) =1 dn^2 u+κ^2sn^2 u =(θ01^2(0)θ00^2(z)+θ10^2(0)θ11^2(z))/(θ00^2(0)θ01^2(z)) =1 >>147-148 θ00(0),θ01(0),θ10(0)をθ00,θ01,θ10と書く d(θ11(z)/θ01(z))/dz =-πθ01^2(θ00(z)/θ01(z))(θ10(z)/θ01(z)) d(sn u)/du =(dz/du)(d((-θ00/θ10)(θ11(z)/θ01(z)))/dz) =(-1/πθ00^2)(θ00/θ10)(d(θ11(z)/θ01(z))/dz) =(θ01^2/θ00θ10)(θ00(z)/θ01(z))(θ10(z)/θ01(z)) = cn u dn u d(sn^2 u+cn^2 u)/du =2sn u d(sn u)/du+2cn u d(cn u)/du =2sn u cn u dn u+2cn u d(cn u)/du =0 ゆえに d(cn u)/du=-dn u sn u d(dn^2 u+κ^2 sn^2 u)/du =2dn u d(dn u)/du+2κ^2 sn u d(sn u)/du =2dn u d(dn u)/du+2κ^2 sn u cn u dn u =0 ゆえに d(dn u)/du=-κ^2sn u cn u >>147-149 (d(sn u)/du)^2 =(1-sn^2 u)(1-κ^2sn u) (d(cn u)/du)^2 =(1-cn^2 u)(1-κ^2sn u) =(1-cn^2 u)(κ'^2-κ^2cn u) (d(dn u)/du)^2 =κ^4(1-sn^2 u)(1-cn^2 u) =-(1-dn^2 u)(κ'^2-dn^2 u) u:=∫[0,v] (1/√(1-x^2)(1-κ^2x^2))dx とおく sn 0=0,sn' 0=1であるので sが0の近傍にあるとき x=sn s と変数変換できる dx=d sn s=√(1-x^2)(1-κ^2x^2)ds したがって u =∫[0,v] (1/√(1-x^2)(1-κ^2x^2))dx =∫[0,sn^(-1) v] ds =sn^(-1) v つまり v(s)=sn u ω :=(π/2)θ00^2 ω':=(π/2)θ00^2τ とする 周期 sn u:4ω, 2ω' cn u:4ω, 2ω+2ω' dn u:2ω, 4ω' 零点(基本平行四辺形上) sn u: 0,2ω cn u:ω,3ω dn u:ω+ω',ω+3ω' 極(基本平行四辺形上) sn u:ω',2ω+ω' cn u:2ω+ω’,4ω+ω' dn u:ω',3ω' アフィン4次曲線 C:y^2=(1-x^2)(1-κ^2x^2) を考える Cのコンパクト化C~を 2枚のアフィン平面WとW'の貼り合わせで実現する (x,y)∈Wと(x',y')∈W'を次の条件を満たすとき同一視する 1)xx'=1 2)y=y'/x'^2 C ={(x ,y )∈W |y^2=(1-x^2)(1-κ^2x^2)} C'={(x',y')∈W'|y'^2=(x'^2-1)(x'^2-κ^2)} CとC'はW∩W'上で一致し代数曲線C~を得る cn^2 u dn^2 u=(1-sn^2 u)(1-κ^2 sn^2 u) sn' u=cn u dn u 上記より C→C: u→(sn u,cn u dn u)=(sn u,sn' u) は正則写像 φ:C→C~=C∪C' を定義する したがってφは同型写像 φ~:C/(4ω,2ω')→C~ を与える ★定理4.1(Jacobiの公式) ∫[0,1] (1/√((1-x^2)(1-κ^2x^2)))dx =(π/2)θ00^2 (κ=θ10^2/θ00^2) ☆補題4.1 ∫[0,1] (1/√((1-x^2)(1-κ'^2x^2)))dx =∫[1,1/κ] (1/√((s^2-1)(1-κ^2s^2)))ds (κ'= θ01^2/θ00^2 κ^2+κ'^2=1) ここで、右辺の平方根はs=0でiをとるRiemann面R上の枝 また、Riemann面R上の積分路は、1と1/τを結ぶ線分上の縁μ+にとる ★定理4.2 ∫[0,1] (1/√((1-x^2)(1-κ'^2x^2)))dx =-i(π/2)θ00^2τ a,b,c∈Cとして、2階線型微分方程式 u(1-u)d^2f/du^2+(c-(a+b+1)u)df/du-abf=0 を超幾何微分方程式と呼ぶ 無限級数 F(a,b,c;u) =1+(ab/1*c)u+(a(a+1)b(b+1)/1*2*c(c+1))u^2 +(a(a+1)(a+2)b(b+1)(b+2)/(1*2*3c(c+1)(c+2))u^3+… を超幾何級数という ●命題4.1 超幾何級数F(a,b,c;u)は超幾何微分方程式を満たす ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
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