人間の便の色は、通常時の場合は黄土色から茶色のあいだで、
これは胆汁によるものである。
人の大便の茶色のもとは胆汁中のビリルビンが腸内細菌により最終的に代謝され
生成されたステルコビリンによるものである。
摂取した食物の種類、体調などにより、色調の濃淡に変化を起こす。
食生活も関係しており、一般に肉食など動物性タンパク質のものを多く食すると
褐色がかり、反対に穀物、豆類、野菜類を多く食するとpHの関係で黄色がかる。

黒色の便(特にタール状のもの)は上部消化管(胃 - 十二指腸)での出血を示唆し、
出血性潰瘍もしくは癌を疑うべき所見である。
肉眼的に赤い血液が確認できる便(血便)は
下部消化管(大腸以下)での出血によるものであることが多い。
胆道閉塞の結果として胆汁の分泌量が少ないと、
白っぽい便が出ることもある(その前に黄疸等の症状が出ることも多いが)。
この場合は胆汁の脂肪親和作用が得られないため脂肪便となることが多い。
また、ロタウイルスなどの感染症では白色の下痢が特徴である。

臭い
一般に大便の臭いは食物の残滓が腐敗して発すると思われがちだが、
一緒になって放出される細菌類の排泄物によって臭いが放たれる。
臭いの原因としては、インドール、スカトール、硫化水素などがあげられる。

一般的に、草食獣などの弱い動物ほど糞の臭いは少なく、逆に肉食獣の糞は臭気が強い。
これは弱い動物が臭い糞をすると、天敵を集めてしまう危険が高くなるために、
臭い糞をする草食獣は淘汰された結果だともといわれているが、
逆に肉食獣などの糞は、脂質やタンパク質を消化するために
さまざまな消化分泌系が発達し、より臭いが強い傾向がある。
人間の場合、健康な便からは露骨な悪臭は発せず、発酵臭に似た臭いが放出される。
これは一般に善玉といわれるビフィズス菌や乳酸菌の代謝によって排泄される臭いである。
反面、ウェルシュ菌などの悪玉菌はスカトール、メルカプタン、硫化水素など
毒性のある臭いを放つ。

口臭が腸内ガス由来の場合がある。
これは便秘している腸からガスが吸収され血管内を運ばれ、
肺から放出され口腔に至るためである。