>>78 追加
https://www2.tsuda.ac.jp/suukeiken/math/suugakushi/sympo20/
第20回数学史シンポジウム 2009
https://www2.tsuda.ac.jp/suukeiken/math/suugakushi/sympo20/20_15takase.pdf
高瀬正仁 フーリエとコーシー 初期の実解析の諸相 2009
(九州大学,日本オイラー研究所}
(抜粋)
目次
1.はじめに
2.解析概論の系譜
3.コーシー以後のフーリエ解析
4.解析学の厳密化をめぐって
5.関数の連続性
6.微積分のテキストについて

オイラーの無限解析の
世界には「連続関数j という概念は存在しないのではないかという一事である,
これに連動して、解析学におけるコーシーの構想の真意の所在について
も反省を迫られる,コーシーのねらいは解析学の厳密化にあったと言われる
ことが多いが,実擦の姿はそうではないのではないかと思う,オイラーはオ
イラーで十分に厳密であった,コーシーはオイラーの世界を厳密化したので
はなく,関数概念を一般化し,オイラーに範例を求めてオイラーの世界を拡
大したのである.
コーシーの解析学にはフーリエの熱の理論に見られるような動的なおもしろさはないが,
さながら「曠野に杭を打つかのような力強さが充満している,
本稿ではそのあたりの消息をいくぶん詳しく語りたいと思う.

リーマンの1854年の論文
「三角級数による関数の表示可能性ついてj(1990 年版の
『リーマン全集』, 227-271頁)
に継承された,リーマンは数学的意図をディリクレと共有しているが,対象
として設定される関数の範疇が異なっている.すなわち,ディリクレは連続
関数の範囲内でフーリエ級数の収束性などを論じたのに対し,リーマンは守
備範囲をもっと拡大して有界関数を考察したのである.これでフーリエ解析
の根底が確立された.

つづく