いや辛かったのは茨木芳雄塾という強制収容所の時代と、そしてまあ筑波時代ですかね。
云わば「アレもダメ、コレもダメ、ソレもダメ」みたいな、所謂「飼い犬状態」でした。

でも大学院時代は『愛情を以て論理で砕く荒木先生』からとても大切にして頂きました
ので、併せて佐藤師であるとか柏原さんとか、そういう超人数学者と同じ釜の飯を喰う
機会を与えられ、とても感謝しています。荒木先生は正に『私の救いの親』ですね。
素朴な考え方を大切にして、そして『自分を絶対に騙さない恭司さん』からも多くを学
びました。恭司さんも正に「数学者の鑑」だと思いますね。こんな幸せな大学院時代な
んて、そうはないと思います。

そしてConnesとの出会いは猛烈に重要な大事件であり、最初に会ったカナダの国際会議
での折には、その帰りに立ち寄ったUCLA(当時は竹崎教授が居られた)でショックから
発熱し、その後はConnes教の信者として猛進する機会になりました。その翌年には英国
で修論の結果を発表した際に、有り難くもConnes師御本人に『ズタボロに砕いて貰った
という貴重な体験』をさせて戴きました。この時以来、彼は私の学問上の保護者となり、
現在の私があるのは正に『Connes師のお陰』以外の何物でもありません。Connesさんか
らはかなり頻繁にIHESでの貴重な時間を与えて戴き、あの『天国のような時間』こそが
数学の糧となりました。IHESでの研究環境は、正に心の拠り所そのものですわ。

彼は私に取っては友人であり兄であり、そして親の様な、そして最後が指導教官とでも
言うんでしょうか、私に取っては最も尊敬するべき師なのです。