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【物語】欅坂46の小説【エロも可】
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0001名無しって、書けない?(家) (3段) (ワッチョイWW ff16-3bRD)
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2019/06/30(日) 01:15:13.00ID:6+63nAnd0
素人レベルからでも投稿できる小説スレです 
ただし投稿作品に対するすべての中傷は禁止です 

投稿者は多大な時間と労力をかけて 
作品を投稿していますのでご協力をよろしくお願いします 


あとは作家さん各々の良心に従い思うままに書いてください 

最後に、このスレの投稿される作品はすべてフィクションであり 
実在する人物や団体や建物等との関係は一切ありません 
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0250庭と呼ばれた男(家) (ワッチョイWW f516-DQXz)
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2019/08/06(火) 13:46:35.41ID:FG7wAyge0
>>249
なりきりついでに理佐ちゃんだから好きシリーズ1本書いて〜( ̄▽ ̄)ゞ
0251【贋作】許婚の理佐ちゃん・1(ガラパゴス県) (ガラプー KK2b-meqT)
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2019/08/06(火) 22:26:46.47ID:wBT7BImQK
>>250 難しすぎ(笑)
・・・・

「ふぇ〜参ったな」
体感温度50度もありそうな灼熱地獄の駅のホームでしばし途方に暮れる俺

天地開闢以来の神の最高傑作たる理佐ちゃんとめでたく許婚になった俺だが
従来の飲む打つ買う三昧の生活がたたり
理佐ちゃんと幸せな家庭を築くための先立つものが全然足りない

そこで少しでも稼ぎを良くしようと夜仕事に転職したのはいいが
慣れない仕事の疲れがたたったのか
帰りの電車で寝過ごして隣町の駅まで来てしまった俺

「次の電車が50分後ってどういうことやコラァ!」
暑さのイライラもあいまって澤部似の駅員に因縁つける俺

「そ、そう言われましてもちょうど今は特急と快速と通勤快速が…」
「旗振って止めらんねえのかよ」
「できませんよぉ…」
「こんな炎天下で待たせて熱中症になったらどうすんだ?あぁ?」
と澤部似をビビらせていたら
他の駅員が近づいてきたので

「…ってこのジジイがさっきからわめいているんでなんとかしてください」
とそばにいたボーッとしたジジイを捕まえて突き出す俺

「え?わ、わしは…」
駅員に囲まれるジジイを尻目に無事に駅を脱出成功の俺
どこか冷房の効いたところで時間をつぶさないと…

と思っていたら携帯に理佐ちゃんからの着信で反射的に固まる俺

「もしもし?今日遅くなるの?」
「あ、仕事は普通に終わったんだけど電車で寝過ごして遠くまで来ちゃって」
思わず直立不動で答える俺

「よかった〜無事で…もう帰ってる時間のはずなのに家に電話しても出ないからさ」
「家に…電話?理佐ちゃんはどこにいるの?」
「今日から私もアルバイトするって言ったじゃん」
「ああ…もうそんな時間なんだ」
アルバイトの件をすっかり忘れていたことを悟られないように時間の話に巧みにすり替える俺

「あ!本当にアルバイトの話忘れてたでしょ」
そんな俺の作戦をあっさり見破る理佐ちゃん

「そんなことないよ…覚えてるよ」
「じゃあ私が今いるバイト先はどこ?」
「あ…」
家で酒飲んで聞いてたせいでバイト先のことは本当に覚えてない俺

「人の話聞き流すんじゃねえよ」
と追い討ちでドス利かす理佐ちゃん

「ごめん…」
心底反省してしょんぼりする俺に
「“俺君と早く一緒になって幸せに暮らせるように私も働く”って言ったのも忘れちゃったのかな」
って少し照れながら言う理佐ちゃんだから好き
0252庭と呼ばれた男(家) (ワッチョイWW f516-DQXz)
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2019/08/06(火) 22:43:36.72ID:FG7wAyge0
>>251
めっちゃ良いですやんw

これは長編で楽しみたいです
0253ジムインストラクターの理佐ちゃん(大阪府) (ワッチョイ bdb7-7ShF)
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2019/08/06(火) 23:15:08.97ID:CLVz1i090
「そんな体だと誰にも振り向いてもらえないよ」
初めてジムに来たヒョロガリの俺に容赦ない言葉を浴びせるインストラクターの理佐ちゃん

「いい、私たちそう体型変わらないように見えるわよね?」
なんて言いながらベンチプレス60キロを軽々と持ち上げる理佐ちゃん

「へっ何いってんだ、そのくらい俺だって…」
バー持ち上げようとするも1ミリも動かずしょぼくれる俺
俺の頭上で全力で大笑いする理佐ちゃん

何でや!こっちは金払ってまでトレーナー雇ってるのに笑われるなんて…
なんて気づけば涙ちょちょぎれてる俺

「ちょっと、何も泣くことは…」
「泣いてない!眼にゴミが」
「はぁーそういうところから直さないとダメだね」
「ヴっ…はぃ、お願いしやす…」


なんて会話してから半年ほどで人並みの体にまでなった俺

「どうだ理佐ちゃん、見よ!」
徹底的に鍛えた上腕二頭筋に力こぶ作って自慢する俺

「おぉーすごい。もう私必要ないかもね」
「うん、そうだね。じゃあ今日はもう上がるから」
「待って!えっと…ほら、でもまた困った時は私にちゃんと相談しなさいよ」
「お、おう」


それからというもの自分で計画的にメニュー組んでトレーニングする日々が続き、気づけば理佐ちゃんと会わない日が続く
細マッチョになったことで女の子にモテ始めて調子に乗って告白したら振られてしまったぜ…

「どうしたの?」
そんな俺の暗い表情を心配して珍しく話しかけてくる理佐ちゃん

「あぁ…実は」
なんて言いかけるもこの相談事は理佐ちゃんの範疇外だと思い黙る俺
「黙ってないでいいなよ」
やっぱり優しい理佐ちゃんに全部話しちゃう俺

「ははっ!なんだそんなことか」
人の失恋にまたも大笑いする理佐ちゃん
はいはい、どうせ俺は変われませんよ

「もしよかったらだけどさ…」
急にかしこまった様子でモジモジし始める理佐ちゃん

「また、ジム来なよ」
なんて遠回しだけど少しだけ希望持たせてくれるから好き
0254名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW bdb7-Rd6d)
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2019/08/06(火) 23:20:39.83ID:CLVz1i090
だから好き選手権参戦してみました

>>247
一瞬、本気で庭さんのレスだと思いましたw

>>251
庭さんは軽さの中に深さがある感じですけど、チワンさんは真面目ベースにギャグがある感じがします
どっちも好きです
0255マンション(千葉県) (ワッチョイW 9b15-C3V+)
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2019/08/07(水) 00:06:45.87ID:UuKTErHO0
酔っ払ってわかりやすく千鳥足で帰宅する俺君。
「理佐ちゃんの美しさは世界一」と
尻から火が出るくらい恥ずかしいことを宣いてわたしに抱きつく俺君。
「ちょっと離して暑いよ」
と言いながらついつい背中に手を回しちゃうわたし。
「いつか理佐ちゃんと結婚して」
と夢みたいなことを言って眠り込んじゃう俺君。
そのの背中につい抱きついちゃうわたし。
こんなどうしようもない俺君だけど、いないと寂しいと思い始めちゃう。
思い余りキスしようして顔をよくみたら1階上の住人で驚いてビンタするわたし。
その一部始終をみてわらいながらちょっと嫉妬してそうな俺君だから好き。
0256マンション(千葉県) (ワッチョイW 9b15-C3V+)
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2019/08/07(水) 00:07:23.44ID:UuKTErHO0
酔っ払ったふりをしてずっとすきだった理佐ちゃんの部屋に入る俺。ピンポンしたら笑顔で出迎えてくれる理佐ちゃん。
意外と気づいてないみたいだ。
彼氏のふりをして、「理佐ちゃんの美しさは世界一」
と言って抱きつくとわかりやすく喜んで顔を赤くする理佐ちゃん。「暑いよ」といいながら手を回すあたりかわいいやつめとほくそ笑んでたら
彼氏が帰ってくる靴音。
あわてて「いつか理佐ちゃんと結婚して 」
と言って狸寝入りする俺。
そんな狸寝入りにだまされて本当に寝ちゃったの?と訊く理佐ちゃん。
顔の近づく気配にキスを期待していると突然のビンタに驚く俺。
「俺くんじゃない!」
と顔が引き攣る理佐ちゃんの顔をしたり顔で眺めていると双子の弟の彼氏がドアを開けて、嫉妬したような顔を見せる。
「あ、おかえり」
とプチ修羅場を誤魔化そうとして棒読みになっちゃう理佐ちゃんだから好き。
0257庭と呼ばれた男(家) (ワッチョイWW f516-DQXz)
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2019/08/07(水) 09:49:28.07ID:fpqstBSP0
チワンさんに続き大阪府さんと千葉県さんまで俺の『理佐ちゃんだから好きシリーズ』にオマージュを捧げてくれてありがとうございますm(__)m

皆さんの方が俺より完成度が高くビビっていますw
0259【贋作】許婚の理佐ちゃん・2(ガラパゴス県) (ガラプー KK2b-meqT)
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2019/08/07(水) 12:51:47.93ID:BA/Xz6wrK
理佐ちゃんとの電話を終え再び駅前をうろつく俺
しかし大都会東京ならいざ知らずこんな片田舎の町では昼間からやってる風俗もあるわけも無く…

「まあここでいいか」
仕方なく駅前のTSU〇YAに入る俺
思ったより中は広々していてエアコンもバッチリだ

夏休みの親子連れが目立つ店内をぐるりと見渡した後に
迷うことなく店の右奥を目指す俺

初めての店でも棚の配置を一瞥しただけで把握できる達人技により
入って10秒でアダルトコーナーの暖簾をくぐる早業が可能な俺

「やっぱりランキング上位は強いねえ」
フレッシュギャルズちゃん達をチェックしながらコーナー内を見渡すと先客が1人
文学全集らしい本を抱えながら着衣もののチェックに余念がない変わった青年だ
しばらくその青年の嗜好をチェックしているうちに
もう1人気になる客が

「(誰だ?覗いてるのは?)」
黒暖簾の外からこちらをちらちら覗いている視線に気づいた俺
素早い動きで暖簾から外にさっと出てみると
そこにいたのは背の低い坊ちゃん刈りの中坊だった

「おい!待てよ」
ヤバいって顔して逃げ出そうとした中坊を呼び止める俺
観念したのか中坊は真っ青な顔して足を止めて引き返してきた
素直な良い子じゃないか

「お前、中を覗いてたろ」
「はい…すいません」
「中にお父さんとかお兄さんとかいたのかい」
「…違います」
あの着衣ものマニアとは関係ないらしい
変に嘘で誤魔化さない姿勢が気に入った俺

「じゃあ純粋に中が見てみたかったんだろ?」
「…はい」
「じゃあちょっと見てみるか」
「…えっ?」
「幸い誰もこの辺に誰も居ないから俺の陰に隠れて一緒に入れ」
そう言って中坊と一緒に暖簾をくぐる俺

中では着衣マニアがギョッとした顔でこちらを見ているが気にしない気にしない
中坊は無言でコーナーを見回している
「いいか、長居はできないからよく目に焼き付けるんだぞ」

30秒ほどの夢の時間の後、暖簾をくぐって現実の世界へ戻る中坊と俺
そんな俺たちを鬼の形相で出迎えたのはいかにも無添加が好きそうなマダム

「うちのチワ太郎に何をしたんですかぁぁ!」
店内に轟く怒り心頭のマダムの声
よりによって中坊の母親に現場を押さえられた俺万事休す

「お客さん、どうされました…あっ!」
騒ぎを聞きつけてやってきた店員がTSU〇YAの制服姿も世界一似合う理佐ちゃんだから好き
0260【贋作】許婚の理佐ちゃん・3(ガラパゴス県) (ガラプー KK2b-meqT)
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2019/08/07(水) 16:11:06.29ID:BA/Xz6wrK
「(理佐ちゃんのバイト先ってここだったのか!?)」
予想外の理佐ちゃん登場に唖然とする俺

理佐ちゃんも最初固まっていたが流石は俺の許婚だけあってすぐさま気を取り直して仕事モード発動
「何かありましたでしょうか?」
「この…この男性がうちの息子を無理やりアダルトコーナーに」
マダムの言葉を聞いて一体何てことしやがったんだこの野郎オーラを出しながら俺を睨みつける理佐ちゃん

「いや…その…この子がトイレ探してたから…初めて来たからうっかりここがトイレだと勘違いして…」
と往生際の悪い俺
しかしそんな言い訳信用されるわけもなく
「警察呼んでください!」
とまくしたてるマダム

こりゃダメだと観念しかかったところ…

「おじさんの言うことは本当です」
と俺にまさかの助け舟を出す中坊
そんなにさっきの体験が嬉しかったのか

「あの…トイレはどこですか」
まさかの展開に目を丸くするマダムと理佐ちゃんに向かってさらにダメ押しをする中坊
マダムは中坊を連れてトイレへ駆けて行った

「どうしてここにいるのよ」
2人だけになり許婚モードに切り替わる理佐ちゃん

「乗り過ごした駅前で再会なんてやはり運命の神様はいるんだな」
と緊張がほぐれ浮かれモードの俺

「呑気なこと言ってんじゃねえよ」
と周りを気にしてドス利かす理佐ちゃん

「俺君を冤罪で警察に突き出すことになっちゃったらどうしようって本当に心配したんだよ」
と俺と中坊の嘘を信じて心底心配してくれる純情な理佐ちゃんだから好き
0261庭と呼ばれた男(家) (ワッチョイWW f516-DQXz)
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2019/08/07(水) 20:41:41.21ID:fpqstBSP0
大阪府さんや千葉県さんに比べてチワンさんは時おり垣間見せる品性の下劣さが俺に近いせいか後継者の最有力候補ですわw
0262名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK2b-meqT)
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2019/08/07(水) 21:47:17.32ID:BA/Xz6wrK
>>261
その下劣さを無理して真似するのが一番大変なんすよ(笑)

そして後継者に名乗りをあげた覚えは全くない(笑)
0263庭と呼ばれた男(家) (ワッチョイWW f516-DQXz)
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2019/08/07(水) 22:23:45.74ID:fpqstBSP0
>>262
無理して真似てくれてたんですねw

万が一のためにTwitterやブログの理佐ちゃんだから好き垢を引き継いでくれる後継者を探そうかと思い立ちましてw
0264【贋作】許婚の理佐ちゃん・4(終)(ガラパゴス県) (プチプチ KK7e-AyrS)
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2019/08/08(木) 16:56:57.01ID:lLRo9sRaK0808
理佐ちゃんが仕事に戻った後
とりあえず一服するためにいったん店の外へ出た俺
目の前のガードレールにあの中坊が座っていた

「さっきは助かったわ!ありがとな」
と再び気さくに話しかける好青年な俺

「こちらこそ…」
と若干もじもじしながら礼を言う中坊の左頬が腫れているのを見逃さない俺

「お母さん…怖いのか」
「知らないおじさんについていくなって…」
「まあそりゃそうだな(笑)でもビンタしなくても」
「一発で終わりだからまだマシです…」
という中坊の発言に何やらピンときた俺

「お前、何年生だ?」
「中2です」
「学校、楽しいか?」
「…」
「そりゃイジメられてれば楽しくないわな」
「え?どうして…?」
図星をさされて目がまん丸になる中坊

「お前がイジメたくなるタイプだからだよ(笑)俺も中坊の頃は悪ガキだったからそういうのよくわかるんだわ」
とあたかも今は改心したかのようにふるまう俺

「じゃあ今は不登校なんか?」
「いえ…いちおう行ってます」
「そうか…まあそもそも学校ってのは仕方なくイヤイヤ行くところだしな(笑)行かないとあのママさんにもまた叱られるんだろ」
「はい…」
柄にもなく中坊が少しばかり気の毒になってきた俺

「だがな、高校まで行ったとしてもその学校生活はあと4年とちょっとでおしまいだ
その後にはすごいご褒美が待ってるからな」
「…何…ですか?」
「何がって…お前の憧れの黒暖簾の向こうに堂々と入れる身分になって、AVも見放題になるんだぞ」
俺の言葉を聞いて目が輝く中坊
とんでもねえスケベ野郎だ(笑)

「しかもそれだけじゃなくエロ本屋や風俗だって行き放題だ(笑)そんな世界があと4年ちょっとで来るとしたら頑張れるだろ」
「はい」
中坊はニコッと笑って一礼してどこかへ帰っていった
何なんだこいつは(笑)
悪い大人に引っかからないようにしろよ(笑)

「何話してたの?」
と店から出てきて声をかける今日はお昼で上がりの宇宙一最高に美しいTSU〇YA店員の理佐ちゃん

「中坊が今日の店員さんがものすごく美人だって感動してたから、天地開闢以来の最高傑作だぞって教えてたんだよ」
と適当にはぐらかす俺に
「恥ずかしいこと話してんじゃねえよ」
とドス利かす理佐ちゃん

「でもバイト初日ですごく緊張してたんだけど、俺君の顔を見たらなんだか安心しちゃった」
とそっと腕を組んでくる理佐ちゃんだから好き

―了―
0265名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW 89b7-9EMz)
垢版 |
2019/08/09(金) 21:31:59.43ID:pi+mOETi0
>>261
庭さんの文調に苦労していつもの3倍以上の時間がかかった俺には後継者は無理ですw

>>264
ちょっと感動するのがムカつくw
チワンさんは真面目なカメレオンだと勝手なイメージを持ってたのですが、それ以上のものがあるのでイメージ再模索中であります
0266名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK7e-AyrS)
垢版 |
2019/08/10(土) 07:10:19.80ID:NH9LOu+0K
>>265
ありがとうございます(笑)
ちなみに作中の着衣ものマニアの青年には特定のモデルは一切いません
ということで

ちなみに最初はタイトルがTSU〇YAの理佐ちゃんだったんですが
タイトルでネタバレになっちゃうことに気づきまして(笑)
0267庭と呼ばれた男(茸) (スップ Sdda-9YMZ)
垢版 |
2019/08/10(土) 10:05:06.60ID:b/AlH52Nd
>>264
贋作とは思えない仕上がりですな

300年ぐらいたったら俺の書いてる理佐ちゃんだから好きシリーズが人類史上最高美人の理佐ちゃんを描いた作品として再評価されると思うんですけど、、、

チワンさんの作品も見分けつかなくて後世には俺の作品として伝わりますねw


>>265
大阪府さんや千葉さんみたいに端正な文章やたおやかな表現を心がけている方には俺のデタラメな文章は難しいかもですなw



>>266
確かにネタバレしそうw
0268名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK7e-AyrS)
垢版 |
2019/08/11(日) 12:18:47.79ID:XXC3agSBK
ちょっと冷静に考えてみると
贋作というのは本物と見誤るほどのクオリティを持ったものがそう呼ばれるわけですから
それをわざわざ最初から自分でタイトルに付けるなんざ、おこがましいにもほどがあるわけで
深く反省した次第でございますm(_ _)m



しかしタイトルを訂正する予定はございません(笑)
という保守
0269名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK7e-AyrS)
垢版 |
2019/08/13(火) 05:59:09.77ID:PiL8nsJHK
保守


ついでにまたSTU岩田陽菜でも
http://o.5ch.net/1i557.png
0270名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW 89b7-9EMz)
垢版 |
2019/08/13(火) 20:31:06.30ID:aBUYCbhQ0
>>269
浴衣の模様が細かくて、よくそんな細かい作業が出来るなと感心いたしますw

SHOWROOM見たんですが微妙に攻めた言動が目立ちますよね
16歳であれだけものを言えるのは中々です
0271『Scuola di Atene』(前編)(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
垢版 |
2019/08/13(火) 22:06:21.18ID:aBUYCbhQ0
T.Unintentionally

薄暗い部屋に明かりを点ける。わずかに聞こえる蛍光灯のパチっとした音。やがて安定したノイズに変わる。そして未完成のカンバスが光を吸収した。

初めて美術室に入った。夕刻にしても暗い。窓には黒いカーテンが掛けられている。明かりを点けるまで、人がいたことに気が付かなかった。

その女性は、円形に並べられたカンバスの中心に、脚を組んで座っていた。茶色い毛先が肩のあたりでカールしている。彼女をモデルにするならば、モナリザよりも美しく描けそうだった。

女性はゆっくりと瞼を持ち上げ、周囲を一瞥した。眠そうな瞳で僕を確認すると、組んでいた脚をほどいた。前髪を手でどかした。椅子を回転させ、体を正対させた。

「あなたですか」と僕は聞いた。「私の名前は佐藤詩織ですが、何か」と女性は言う。
「いえ、ここへ僕を呼び出したのはあなたですか、と聞いているのです」
「そうだとしたら?」
「用件を伺ってもよろしいですか」
「いえ、実は私ではありません。多分あの子でしょう」

詩織さんと名乗る女性はそう言って入り口を指差した。僕は後ろを振り返った。人と人とを比べるべきではないのだろうが、入り口に立つ女の子は子供っぽく見えた。女性で錯覚を覚えたのは初めてだった。

「では、ごゆっくり」と言って、詩織さんは奥の部屋に消えた。入り口の女の子は足早に部屋へ入ってきて、お辞儀をした。

「お呼び立てしてすみません。あの…詩織さんとお友達なのですか?」
「いいや、今、初めて話しました。あの人のこと知ってるんですか?」
「美術部の先輩です。確か今は修士課程の2年です」
「そうですか。あ、で呼び出したのは君ですか?」
「はい、その、率直に言います。付き合って下さい」

僕の返事も待たずに、女の子は部屋から出ていった。待ち構えていたかのように奥の部屋のドアが開いた。詩織さんが口笛を吹いて歩み寄ってきた。
「もう終わった?」
0272『Scuola di Atene』(前編)(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
垢版 |
2019/08/13(火) 22:07:21.02ID:aBUYCbhQ0
U.Low bow

「聞いてましたね」
「さーて何の話かな?」
「まあいいです。今の誰ですか?名前も言わずに告白だけして去っていったんですけど」
「あの子ね、2年生の森田ひかるちゃん。こっち来て」

詩織さんは手招きをする。トラのように柔らかい足取りで歩き始めた。カンバスを半周ぐるりと回って一枚の絵の前に止まった。

「どう?ひかるちゃんの絵。上手でしょ」
「これは何の絵ですか?」
「君だよ」
「え、これ僕ですか。」
「うん。なかなか上手く描けてる。ちょっと理想が含まれすぎているけれどね」

詩織さんは作品と実際の僕とを何度か見比べて、うなずいたり首をかしげたりしていた。そのうち飽きたのか、カンバスの中心の椅子に座り、再び僕がこの部屋に入ってきた時のように目を閉じた。

「それで、どうするつもり?」
「何をですか?」
「返事だよ、ひかるちゃんへの返事」
「いや、それが、告白されたの初めてで、どうしたらいいんでしょう」
「そんなの簡単だよ。好きならOK。嫌いならごめんなさい」
「はぁ…でも何で僕なんだろう?」
「君、展覧会来てたでしょ」

確かに、詩織さんとひかるちゃん、両者とも今日初めて話をした。ただし詩織さんの言うように以前から名前は知っていた。大学祭の展覧会でひかるちゃんの絵を見たからだ。簡単な名前だったから覚えている。

大学祭の雰囲気に疲れ、ふらっと立ち寄った展覧会で、その絵を見た。とても不思議な作品だった。絵画のことなんかひとつもわからないのに、20分くらいはその作品の前に立ち止まっていたと思う。

展覧会のスタッフ係に身長の低い人がいたことは覚えているから、おそらくそれがひかるちゃんだったのだろう。帰り際に深々とお辞儀をしてくれたから印象に残っている。

「嬉しかったんだと思うよ、ひかるちゃん。あの作品が初めての出展だったから」
0273『Scuola di Atene』(前編)(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
垢版 |
2019/08/13(火) 22:08:25.32ID:aBUYCbhQ0
V.Adviser

お菓子が何段にもわかれて積み上がっている、あのイギリス風の器具を何と呼ぶのか僕は知らない。とにかくお菓子がその器具に乗っかってでてくるような店で詩織さんとお茶を飲んだ。

高級ブランドを多く構えるビルの8階にその喫茶店はあった。シャンデリアは優しい黄金色に染まり、大理石の床は真っ白に光っていた。二人とも普段どおりの服装だった。詩織さんは場にふさわしいドレス調のワンピースだったが、僕はジーンズにパーカーだった。

詩織さんに恋のいろはを教えてもらうという名目で連れ出されていた。彼女は相当乗り気だった。

「いい?できる限り自分のことは話さないこと。その女の子の聞き役に徹するのがコツだよ。私で練習してみて」
「えっと…お名前は」
「佐藤です」
「身長は」
「161」
「じゃあ体重は」
「君は今ボケてるの?」
「えっ、ダメですか?」
「そりゃ、女の子に体重聞くのはダメだし、これじゃ尋問だよ」

詩織さんはハーブティーを一口飲んで、大きく息を吐いた。それから僕を見て、首を振った。わざとらしい演技だったが、ストレートで好感の持てる動き方だ。

「まあよくも、ひかるちゃんもこんな人を好きになったものよね。君、このままだと1日で終わっちゃうよ」

お茶代は詩織さんが全部払った。喫茶店を出ると、向かいにある服屋さんに入った。

「この人、全身コーデしてください。10万円以内で」と詩織さんは言った。その時僕は8千円しか持っていなかった。結局は全部支払ってもらったのだが、どのような魂胆で僕に服を与えたのかその時はわからなかった。
0274『Scuola di Atene』(前編)(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
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2019/08/13(火) 22:09:31.35ID:aBUYCbhQ0
W.Dry run

「じゃあデートの練習をしよう」と詩織さんは親切にも恋愛経験の少ない僕の練習相手を買って出てくれた。ただ、プランを立てるところからの練習らしいので、どこへ行くかは僕の自由だった。

当日は駅で待ち合わせをすることにした。初めて降りる駅だったから、改札を出て、どの階段を使えばいいのか迷った。メールの画面を開き、待ち合わせ場所を確認する。

「遅い」
詩織さんが目の前にいた。腰に手を当てていた。大きなサングラスをかけていたが、呆れた表情をしているのはわかった。
「十分前には来なさいよ。女の子待たしちゃダメ」

詩織さんは僕の手を引っ張って歩き始めた。とても冷たい手だった。とっさに僕は手を振り払う。
「あの、練習だから別に手は繋がなくてもいいんじゃ…」
「いやだって君、こういうの慣れてないでしょ」

「あの、恥ずかしくないんですか」
「は、何が?」

詩織さんの顔は少し上にある。身長はそう変わらないけど、彼女がヒールを履いているだけ高かった。全身のシルエットでは同じ種類の動物とは思えないほどだった。つまるところ不釣り合いだった。

「その、俺があんまりにも…」
「あのね、顔上げて周り見てみな。何でみんなこっち見てると思う?」
「詩織さんが綺麗だからですか?」
「違うね、君が下を向いているからだよ」
0275『Scuola di Atene』(前編)(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
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2019/08/13(火) 22:11:01.47ID:aBUYCbhQ0
X. To tell the truth

実を言うと、僕は前々から詩織さんを知っていた。大学内ではちょっとした有名人だからだ。あれだけスタイルがよければ嫌でも目が向いてしまう。ただもちろん、一方的に僕が知っているだけで、決して知り合いではなかった。

だから暗闇の美術室に彼女がいた時は、まるで運命めいたものを感じずにはいられなかった。あるはずもない希望的観測を、ほんの数十秒の間だけ、信じ込んだ。

そんな心持ちであるからだろう、突如舞い込んだデートの話は幻想以外の何物でもなかった。想像を遥かに上回る現実というのは、心が置きどころなく時間と空間とをさまよい続ける。

それを引き止めてくれているかのように、詩織さんは僕の手を握っていてくれていた。

「もっと堂々としてみて。それだけで分相応の男に見えるから」
「いや、でも…」
「ひかるちゃんの前でもそうするつもり?彼女、私と違って小さくて可愛いから変な人に絡まれるよ」

そう言われて、顔を上げて歩いた。
ふと、目の合う人がいた。別に変な人ではないのだが、外国人の風貌だった。その人は今どき珍しいガラケーで写メを撮っていた。
僕たちは美術館に行く途中である。
0276『Scuola di Atene』(前編)(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
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2019/08/13(火) 22:13:09.84ID:aBUYCbhQ0
Y. Souvenir

美術館に入った。予想通り寒かった。この間、服を買ってもらったお返しとまでは言わないが、入館料は僕が払った。入場券を手渡すと、詩織さんは親指を立てて、「わかってきたじゃない」と言った。

美術館では特に面白いことは起きなかった。普通に作品を見て回って、普通に時間が過ぎていった。観覧した後、館内のカフェでお茶を飲んだ。

「君は何で美術館を選んだの?」詩織さんが聞いた。
「うーんと、お互いに興味のあるところだからですかね」
「まあ別にいいんだけどね。それ、私に気を遣ってるでしょ」
「はい、多少は」
「場所はどこでもいいんだけどね、自分が楽しめるところじゃないとダメだよ。相手を楽しませるんじゃなくて、自分が楽しむことの方がよっぽど大事だから」

帰り際には、ミュージアムショップへ寄った。たくさん並んでいるポストカードの中から、詩織さんは迷いなく一枚を取っていた。
0277『Scuola di Atene』(前編)(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
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2019/08/13(火) 22:15:12.23ID:aBUYCbhQ0
Z. Fait accompli

美術館を出てすぐのところに海の見える見晴らしのいい場所があった。二人で海に向かい合うベンチに座った。しばらくの間沈黙が続いた。僕はさざ波のように弱い声で話しかけた。

「詩織さんは好きな人とかいるんですか?」
「それはどういう意味?」
「あまり浮ついた話を聞かないので。他意はないです」
「そうね。君みたいな人は好きかな。何も知らない人」

それが詩織さんの言葉であるならば、お世辞以下の言葉でも嬉しかった。自然と笑みがこぼれた。僕の心中を見透かしたかのように、詩織さんが少しだけ慌てて補足する。
「でもね、私は軽い関係が好きなの。付き合うとかはありえない」

この人は当然のことをやすやすと言う。否定されたことで勇気が出た。
「僕は詩織さんのことが好きです。付き合ってくださいとは言いませんけど」
「それは私に言うべき言葉じゃないよ」
「わかってます」
「でも嬉しい。人から好きだなんて久しぶりに言われた」

詩織さんは海を見つめている。サングラスを取った。
「あれは何だろう」と遠くを指差した。
僕は目を細めてその方向を見る。

頬にキスをされた。

僕は苦し紛れに話題を見つけ、上ずった声で聞いた。

「あっ、そう言えばさっき何のポストカードを買ってたんですか?」
「アテネの学堂」
0278名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
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2019/08/13(火) 22:16:54.20ID:aBUYCbhQ0
思ったよりも長くなりそうなので続きは後日ということで
0279名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK7e-AyrS)
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2019/08/14(水) 13:18:24.17ID:R1WxI6XoK
「おはようございます。小林由依です。よろしくお願いします」
「おお、よろしく。私が毛利小五郎だ」
「昔から大ファンだった名探偵コナンに参加できることになって本当に嬉しいです」
「こちらこそ熱心に観てくれてありがとう。ところでもう他のみんなには挨拶できたかい?」
「いえ…まだ主役のコナンくんにだけご挨拶できてなくて」
「なるほど…まだ
“会ってねぇのが工藤”
ってわけだな」

と続きを待ちながら保守
0280名無しって、書けない?(神奈川県) (ワッチョイW 9567-Dg5w)
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2019/08/14(水) 14:27:34.59ID:J7MLxSbe0
欅一性欲強そうな保乃ちゃんをネタにしてる人意外に居ないのか
0281名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK7e-AyrS)
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2019/08/14(水) 15:40:20.86ID:R1WxI6XoK
>>280
是非書いてくれると嬉しいです

自分は欅坂詳しくないのでマジで誰だかわからないレベルなんで
0282Scuola di Atene(後編)(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
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2019/08/14(水) 21:36:10.26ID:rmluuSOv0
[.Number

詩織さんからひかるちゃんの連絡先を聞いた。すぐにでも会えるだろうと思っていたのだが、キャンパス内というのは意外と広く、告白された日以来会っていなかった。当然連絡先も知らなかったから、同じ美術部の詩織さんに聞いた。

というのが昨日の話だ。今日はディスプレイに映る電話番号を眺めて午前中が過ぎていった。告白の返事からするべきか、それともデートに誘うのが先なのか迷っていた。

昼食を食べて、思案にふけっていた頃、携帯が鳴った。知らない番号からだった。

「もしもし、森田です」
「あっ、えっと、何で俺の番号を?」
「昨日、詩織さんに聞きました」
「えっ、そうなの!?」
「どうかしましたか?」
「いえ何でも…それより、ごめん。なかなか返事できなくて」
「いえ、構いませんよ。それでどうですか?」
「うん…自分でもよくわかんないんだけどさ。とりあえず俺と一緒にどこか行きませんか?」
「はい、是非」

ひかるちゃんの口調は、詩織さんのそれとは全く異なるものだった。会話やデートの練習が役に立つとは到底思えなかった。
0283Scuola di Atene(後編)(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
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2019/08/14(水) 21:37:06.46ID:rmluuSOv0
\. Control experiment

同じ時刻、同じ駅、でも待ち合わせる人物像は180度違う。

太陽みたいに明るい人という表現は在り来りだが、実はその言葉が似合う人はそう多くない。月のように美しい詩織さんに比べて、ひかるちゃんは太陽のように可愛い子だ。その構図はどれだけ年を重ねても変わらない気がする。

待ち合わせ場所に向かうと、ひかるちゃんはすでにベンチに座っていた。遠目から見ると、迷子の小学生みたいだ。ひかるちゃんは僕を見つけると大きく手を振った。

「早いね」
「はい、お待たせしちゃいけないと思って。常に15分前行動を心がけています!」
実に元気な声である。

僕は勇気を持って手のひらを差し出した。ひかるちゃんはキョトンとした顔をして、ポンと手を置いた。犬のお手である。
仕方ないから詩織さんがやったように手を引っ張る。ひかるちゃんは少しびっくりしながらも付いて来てくれた。

美術館では展示品の違いはあったものの、概ね詩織さんと行ったときと変わりはなかった。問題は帰り道だった。少し目を離したすきに隣からひかるちゃんが消えていた。

ひかるちゃんは一人の男へ向かって歩き始めていた。
0284Scuola di Atene(後編)(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
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2019/08/14(水) 21:37:59.25ID:rmluuSOv0
]. The Painter from Galapagos Islands

男は首からガラケーを下げて、スケッチブックに絵を描いていた。以前、詩織さんとここを訪れたときもこの男を見たことがあった。外国人の風貌をしていたからよく覚えている。

「こんにちは」ひかるちゃんは臆することなくその男に挨拶をする。
男はにっこりと笑って、それから僕をまじまじと見つめた。
「お連れさんかい?」
「はい、そうですけど。えーと、ひかるちゃんと知り合いですか」
「この子は俺が育てたんだよ」
「育てた?」
「ああそうだよ。この子に絵を教えたのは俺だ」

ひかるちゃんの方を見ると、うんうんと頷いている。

「それよりも、君…」と男はまだ訝しげに僕を見ている。
「どこかで…ああそうだ!」

男はスケッチブックをめくり、一枚の絵をひかるちゃんに差し出した。
ひかるちゃんは次第に深刻そうな顔をして、最後には怒った様子で走り去っていった。

「何を渡したんですか」僕は男に聞く。
「君、この前他の女と歩いていただろ。その様子をスケッチしていたのさ。はっはっはー」
0285Scuola di Atene(後編)(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
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2019/08/14(水) 21:38:39.64ID:rmluuSOv0
?.Mistake

「というわけなんですが、何でひかるちゃんは怒ってるんですかね」
「よくわかった。この件に関しては私にも少し非があるわ」

詩織さんはカンバスの中心に座っている。目を閉じて、話をしていた。

「で、僕はどうすれば…」
「多分何を言っても言い訳にしか聞こえないだろうから、快く認めたほうがいいよ。『詩織さんに目が眩みました』って」
「でもひかるちゃんは怒るんじゃないですかね」
「怒るだろうね。でも好きなんだから大丈夫よ」

「さて」と言って詩織さんは椅子から立ち上がり、部屋を出ていった。



数分後、まだ詩織さんの残り香が漂う中、ひかるちゃんが部屋に入ってきた。初めて話をした時のように深くお辞儀をしていた。

「あの、この間はごめんなさい。急に帰っちゃって」
「いやいいよ、俺が悪いんだから。ひかるちゃんを傷つけちゃったしさ」
「えっ、私がですか?」
「ん、何が?」
「私は傷ついてませんよ。そうじゃなくて、詩織さんですよ」
「詩織さんがどうかしたの?」
「あの人結婚するんですよ」
0286Scuola di Atene(後編)(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
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2019/08/14(水) 21:51:23.93ID:rmluuSOv0
]U. Pretend to be blind

最後の恋愛相談をして以来、詩織さんは大学へは来なくなった。連絡するのを躊躇っているうちに、ますますどう声をかけてよいかわからなくなった。やがて悩みの対象は全くの他人事のように自分の心中から消えていった。

普段どおりに朝が来て、普段どおりに一日が始まる。少し変わったことと言えば、ひかるちゃんが舞い込んできたことくらいだ。今日もデートの約束をしていた。

ドアに取り付けられている郵便受けの中から朝刊を取った。一枚のハガキが新聞紙の間から落ちた。

アテネの学堂のポストカードだった。達筆な字でサインのように走り書きがある。

「あなたが許婚者ならどんなによかったか」

待ち構えていたかのようにチャイムが鳴った。僕はドアを開けた。

「あっ、おはようございます。今日は…えっちょっと…どうしたんですか」
「何でもないよ。ただ抱きしめたくなっただけ」

ポストカードをかばんの奥にそっと押し込んだ。

(終わり)


補足ですが『アテネの学堂』には作者ラファエロと、その愛人マルゲリータが描かれています。
ちなみに>>266に同じくして、ガラパゴス諸島出身の絵描きさんには特定のモデルはおりません。

https://imgur.com/xgfyDqU.jpg
https://imgur.com/6BgzCAh.jpg
0287名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ 89b7-X5Lh)
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2019/08/14(水) 22:01:58.69ID:rmluuSOv0
>>280
僕も二期生はまだまだ知らないことが多いので、保乃ちゃんのプロファイリングを書き込んで頂けるとありがたいです。
でもよく考えれば、プロファイリングができれば小説書けそうな気がするんですけどね

以前の庭さんのプロファイリング方法をテンプレとして残すのもありかもしれませんな
0288名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK8b-6DS1)
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2019/08/15(木) 11:33:32.90ID:rHyCCM9IK
>>286
詩織さんが主人公に渡した連絡先がどこだったのかとか
いろんな仕掛けが後編でなんとなく分かってくる(決してハッキリとは書かれない)ところが相変わらず見事ですねぇ

絵描きに特定のモデルがいないことは彼がダジャレを連発しないことから分かってました←

>>287
プロファイリングと言ってもいくつかキーワード挙げるだけでも良さそうですけどね
例えば庭先生は結局「世界一の美人」「こぼしてんじゃねーよ」の2つだけで書いてる気もするし(笑)
0289名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ 81b7-g2bq)
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2019/08/15(木) 12:56:33.66ID:hzQYh2if0
>>288
たぶんチワンさんがおっしゃっているのは、>>282の部分だと思うんですが、連絡先聞いているんだから知らない番号からな訳ないですよねw
詩織さんから聞いた番号と、突如かかって来た番号、2つは同じ番号であるという体で書いているはずなので、これは単なる僕のミスです

ちなみに僕の書いたものがミスでなかったとすると、その異なった番号は誰で、なぜ詩織さんはそんなことをしたんでしょうかね?
自分で書いたのに全然わかんないや…
0290名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK8b-6DS1)
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2019/08/15(木) 13:42:31.56ID:rHyCCM9IK
>>289
そうだったのか(笑)

詩織さんが最初に渡したのは自分の番号である。
そもそもひかるちゃんの連絡先を主人公が詩織先輩から聞いたとすれば、ひかるちゃんが2人の仲をいぶかしむのは必定であるので
これはある意味でトラップであった。
もしもノコノコと電話かけてきた場合は説教するつもりだった。
「彼女の気持ちを考えればわかるだろ。安易に人を頼らずに自分で動け」と。
…という表向きの理由以外に、詩織先輩の別の下心(恋心)があったことは後編で少しずつ輪郭を表してくるのであった

という深読みをしていた時間は帰ってこない(笑)
0291名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ 81b7-g2bq)
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2019/08/15(木) 14:48:36.73ID:hzQYh2if0
>>290
あぁなるほどー!
詩織さんの番号であることは何となくわかっていたんですが(まあ自分で書いた話なので、「わかる」というのも本来はおかしいですが)、
三角関係を含めた深読みまでは思いつきませんでしたので流石です
チワンさん解釈Verの方が面白そうなので、そちらの方ででいかせていただきますw

それとチワンさんが贋作作りの能力に長けている理由が分かった気がします。
事実に基づいて推察する探偵の能力と、柔軟な発想力が試される推理作家としての能力が、ちょうどいいバランスなんですよ
探偵の能力に長けていても発想にオリジナリティがなければ話が退屈なものになり、推察能力に乏しく発想力だけに偏っていたりすると倫理破綻が起こります
まだまだ勉強することが多いなぁなんて感じさせられる、台風に監禁を命じられている午後でございますm(_ _)m
0292名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK8b-6DS1)
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2019/08/15(木) 15:58:08.33ID:rHyCCM9IK
台風の被害が出ないことを祈りつつ
よくわからないものを書いてしまいました
・・・・・・・

「で、どうだった?電話かけたの?」

放課後の美術室でキャンバスに筆を走らせながら詩織先輩は僕に尋ねた。
昨日僕が彼女の連絡先を教えてもらった件だ。

「はい…かけましたけど…」

僕は困惑を隠せないまま答えた。

「かけたら…よくわからないなんちゃら酵素飲料を買わされました」

それを聞いて先輩は爆笑した。

「なんで本当にかけちゃったのよ(笑)彼女の電話番号がフリーダイヤルな訳ないでしょうに」
「でも先輩が嘘つく訳ないと思って…」
「そんなんだと簡単に変な大人に騙されそうだよね(笑)」
「なんで嘘を教えたんですか」
「何でって…男なら好きな相手の連絡先ぐらい自分で何とかしなさいってことよ。私に訊こうなんて安直な気持ちじゃ恋も実るわけないでしょ」
「…」
「それに美術部の後輩とは言え本人の連絡先なんか簡単に教えられないわよ。個人情報保護法だってあるし」
「じゃあ、どうすれば…」

僕の情けなさに業を煮やしたのか、詩織先輩は僕の方へ向き直って衝撃の事実を告げた。

「実は彼女のほうもあなたにゾッコンなのよ。どうしたらいいですかって相談されててね」
「えっ…?どうして早くそれを教えてくれないんですか」
「いや…大丈夫なのかどうかと思って…」
「何がですか」
「いや、別に…だから、あなたが良ければ逆にあなたの気持ちや連絡先を彼女に教えることはできるわよ」
「ぜひお願いします!」

かくして
その日の夜から僕は菜々香ちゃんからのス〇ーカーまがいの電話攻撃を連日受けることになったのであった。

―おしまい―
0293名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ 81b7-g2bq)
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2019/08/15(木) 17:14:33.13ID:hzQYh2if0
>>292
連絡先教えるのをためらっている場面に奥ゆかしさを感じてたら、本当にヤバい人だったw
やっぱり台詞回しはチワンさんの方が何枚も上手ですね
0294名無しって、書けない?(家) (ワッチョイWW a916-Lgtr)
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2019/08/15(木) 18:26:14.66ID:JtB/kiPM0
>>287
貼ろうかと思ったらどんなプロファイリングしたのか忘れてしまったw


>>288
俺が「こぼしてんじゃねーよ」と「世界一の美人」の2つだけで書けるのは人類史上最高美人の理佐ちゃんを主役にしている特権です

理佐ちゃんだからこそ世界一の美人に説得力が出るわけですからw

天地開闢以来の美人理佐ちゃんの美しさに酔える平和をありがたく噛みしめる終戦記念日ですm(__)m
0295震える眼 1(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/15(木) 23:51:55.17ID:77ErHrwC0
瞼の裏が赤い。伸びをする。
そしてその拍子に拳をなんかにぶつけた。
痛みで段々と意識がはっきりとしてくる。
フローリングの床。脱ぎ散らかった服。
ベットとテーブルとテレビと本棚で一杯の部屋。
それは見慣れない風景。
わたしの隣では見たこともない人が寝ている。
いや、わたしが見たこともない人の部屋でねているのか。
頭痛だけが確かで、わたしはこれが二日酔いだと実感した。シーツをめくって自分の体を見る。
上は白のシャツ。下は何も履いていない。
隣人は。シャツに短パン。
わたしは肩を揺すって起こした。
隣人は何度か唸ってから半分ねむったような眼で、わたしを見た。
「ジーンズはそこの乾燥機のところでかわいてる。飲み物なら冷蔵庫。財布とかはテーブルに投げ出してある。では、おやすみ。」
隣人はそう言ってまた枕に顔を突っ伏して寝息を立てた。
「ちょっと…」
わたしはわけも分からずただ困惑した。
0296震える眼 2(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/15(木) 23:53:41.13ID:77ErHrwC0
わたしは乾燥機にあったジーンズとかを履き、テーブルでこれからの来し方を考えた。
同時に昨夜なにがあったのかも思い出した。
「まだいたのか」
隣人は唇を噛み、肩を落としている。
眼差しはわたしを見下ろし、なんの情もない。あんなことしたのに。
「まだ居たのかって酷い。色々したのに。」
「一体何をしたんだ」
「覚えとらんの?もう」
頬を膨らませてベランダを見る。
「僕は君がコンビニで大量にコーラとスナックを買って、しかも僕のお金で!その上フローリングとデニムに思いっきりこぼして挙句その汚れたデニムを押し付けて僕のベットで勝手に寝込んだ事しか覚えていないね。」
昨日のことが走馬灯のように駆け巡る。
わりとありとあらゆる記憶を改竄していたようだ。
「でっ、でも起きた時わたしの隣に。」
「コーラ臭い生乾きの床で寝る趣味は僕にないからね。」
「あっ、そっかあ。」
「一人で納得するな。わかったらとっとと出てけ」
「冷たいな、お持ち帰りしたくせに」
「ご丁寧に君が僕の腕へ抱きつきながら熟睡していたから仕方なくこの西八王子のアパートとまで連れてきたわけだ。」
「それを世間ではお持ち帰りというんじゃない?」
「お持ち帰りではない押し売りだ。君がぐでんぐでんに酔っ払って僕の電話にでてくれたおかげで彼女との仲は戦後最悪だ。」
「へぇ〜そうなんだ。 なんかごめん。」
「他人事みたいに言いやがって」
「だって他人事だもん。」
「しかも明日は田舎に帰らなきゃ行けない。そんなタイミングでよくも険悪な仲にしてくれやがって。最悪別れるかもしれない。」
「わかれたらわたしが付き合ってあげる」
「戯言は夢の中で言え。」
「戯言じゃないもん。てか、めっちゃどきっとしたんやで?君が隣に居たとき。」
「あっ、こんな気持ち悪いやつが隣にってか」
「そうそう、オタク面の男があほ面でって違う。」
咳をして気を取り直す。
「実はずっとすきだったの。気づかんかったやろ。」
「月9の見過ぎで頭がトレンディドラマになってるぞ。」
「男女7人夏物語面白かったなぁ」
「此処は令和元年だ。時代設定を間違えるな。」
「そういえば彼女って初耳なんだけど。」
「え、言ってなかったっけ」
隣人は一瞬怯んだ。
「言ってないよぉ」
「高校の頃から付き合ってるのよ」
「へぇ、なかいいんだ」
「まぁね」
「気になる?」
「話したいなら聞いてあげないこともない」
0297震える眼 3(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/15(木) 23:55:04.49ID:77ErHrwC0
彼女はいつもスカートの裾を折って、
ブレザーとシャツを捲っていた。
そしてわけの分からない音楽をイヤホンで
音漏れするくらいのボリュームできいていた。
最寄り駅も小中高も同じ。
幼なじみではないが親同士が何故か仲が良かったというまぁそんな関係で、
世間的には幼なじみみたいなものなのだろ。
だから小学校の頃もランドセルふたつ並べて登校していたし、中学はそれほどでもないけど、自然と同じ高校を目指すようになった。
高校は中の中。私立だ。互いに真似するなよって言い合っていた。彼女の名前は平手友梨奈。
どう思っていたか。それは勿論好きだった。
しかし恋ではない。なんというかただ取られたくない。さずっと他愛もない話をしていたい。そんな感じだった。
彼女は仲の良い友達が何人かいた。
そのなかの3人とは僕もあったことがある。
1人は芽実といって生花店の子で、東京にある日突然引っ越した。
一人はねるといって県内トップの高校にいってそれっきり。そしてもう1人が愛佳でこの愛佳が中学も高校も同じだった。
愛佳とは音楽の趣味も合うみたいで彼女はよくフェスに行ってたみたいだった。
これはあとから愛佳から聞いた事だ。彼女は、平手は自分のことをあまり話さない。
聞かれれば答えたかもしれないけど。こっちもあまり尋ねなかった。
「留学したいなって思うんだよね。どう?」
ある日僕の部屋にある本棚をじっと見つめながら言った。夏の終わりだったか。宿題は白紙のまま手付かず。焦りはなかった。徒に本の背だけ撫でて、
僕のベットに座り込んだ。
悩みなんて聞いたこともなかったから僕は只只驚いた。
「どうって。行きたかったら行けば?」
「そう…だよね。」
「うん 」
「行かない方が後悔するから」
平手は独り言みたいに呟いていた。
その背中が妙に小さく寂しく見える。
0298震える眼 4(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/15(木) 23:56:10.36ID:77ErHrwC0
平手は用意周到で雪が降る頃には留学の手続きを完了していた。行動力あるんだよ。昔から。
高校もそうだよ。僕が受験校を決めた翌日にまったく同じ高校にしてた。留学もどうやら春先あたりからパンフレットとか取り寄せていたみたいで、僕はまったく知らなかった。
そんな冬の日だよ。たしか、12月の中頃。
珍しく愛佳と同じ電車だったんだよ。2人。
バレー部だから愛佳とは基本時間違うのさ。
平手と僕が16:00くらいの、愛佳がたしか18:00くらいのだったかな。
話を戻すとさ、こう言われたの。
「ねぇ、留学しちゃうけどいいの?」
って。
ガタガタ揺れるから隣同士肩とかがぶつかって。シャンプーと香水が鼻腔に入り込んで。
「いいのって?南アルプス市?」
「そっちじゃないし。逆になんでそっちだと思ったよ。」
「良いのって、ただ送り出すだけで・・・ってこと」
「そういうこと」
「ううん。」
「告白とかさすればいいじゃん。いい加減さ、てちとあんた見てるとムズムズするのよ。はやく付き合えよと。」
「へぇ。」
「無関心かよ 」
「でも平手が僕のことどう思ってるのか分からないじゃん」
「いやいや。」
愛佳は目を丸くして僕をじっと、見た。
「あんたの話しょっちゅうしてるからね」
「だからなに」
「つまりそれだけ好きってことでしょ。てちからあんた以外の男の話聞いたことないからさ。」
「へぇ」
「他人事かよ」
「まぁ他人だし」
愛佳は呆れたようにため息をついた。
「言うなって言われてたけどさ」
愛佳はあたりを見回して切り出す。
車内は泥のついたネギを束で抱えた婆さんしかいない。
「前さ。こんなことあったのよ」
0299震える眼 5(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/15(木) 23:57:26.84ID:77ErHrwC0
「どんなこと」
「それをいまから話すんでしょうが」
愛佳はリュックを抱き直して少し小声になる。
「半年くらい前にさ。てちとわたしがロッキンに行ったことがあったじゃん。ロッキン?後で調べてよ。
つーかそんなこともしらないのかよ。
で、その帰り道にさ、電車のなかでなんとなくいま好きな人のこと聞いたのよ。
なんでその話になったかって?
説明めんどいから省略。で、その時、わたしが好きな人のこと話したあとでてちにも聞いたの。
そしたらぼそっと、あんたの名前出したの。
それで、なんで告白しないのか聞いたら、あんたがどう思ってるか分からないからって。
そういうこと。え?わたしの好きな人、横山剣だよ。ハイスタの。どうでもいいでしょ、
そんなこと。」
「ちょいちょい話端折ったな」
「うるっさい」
ガンを飛ばす愛佳はそこらへんの不良が縮み上がるほど怖い。
「だからさ、てちに言わないと、ね」
「でももう留学で離れ離れだし、」
「なに及び腰になってんのだっさい。」
「やっぱり決め手は大吟醸だよね」
「獺祭じゃねーよ。」
気がつけば愛佳は消えていた。
いや、幽霊とかじゃなくてそのあとずっと考え事してて愛佳が降りたことにすら気づかなかったのよ。
その翌週に珍しく平手が部屋に来た。
放課後、制服姿で。
一緒に帰ってきたんだけどその日も。
珍しく「家、行っていい?」って
言われたの。




「ほうフラグやん」
わたしはそう言った。
「いま僕のiphone充電中だよ」
「プラグとちゃうわ」
0300震える眼 6(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/15(木) 23:58:28.42ID:77ErHrwC0
ベットに隣り合わせで座って、
その日はベットの重みがいつもと違った。
平凡な日常がそのうちなくなると思うとさ、
ほんとに存在感というか、そういうものが
もっと重くなるんだよ。
離したくないんだけど。自分では言い出せない。
そのうち距離だけ出来てしまう。
「ねぇ、好きなんだけど」
ふっ、と独り言みたいに口にした。
聞こえなかったらそれでいいと思った。
いや聞こえて欲しくないと思った。
だけど聞こえるんだよな。こういう時だけ。
「へっ?」
平手は吃驚したように僕の顔をキョロキョロ見て、
「いまなんて言った?」って言った。
「だから好きなんだよ」
「誰?愛佳が?」
僕は心底驚いた。自分に対して言われたって
思ってないのさ。
「違うよ。」
僕は黙って平手を指さした。
もう名前を口にすることすら恥ずかしかった。
自分のことぶん殴りたいくらい。
「えっ?わたし、うーん、そっか、でも 」
平手は一人でなんか迷ってるみたいだった。
「わたしは嫌いだよあんたのこと」
平手はびっくりするほど優しい口調で言った。
「優柔不断でよわいし、頭良さそうな顔して実はそんな良くないし、嫌いだよ」
平手は俯いてスカートの裾を握っていた。
手の甲の骨ばったところが白くなるくらい。
「嫌いなんだ」
「嫌いだよ」
そう言う平手のスカートの裾がシミになっていた。
そして前髪で瞳を隠して、咳をする。
その後で突然僕の肩に寄っかかって
「もっと早く言ってよ」
そう呟いて黙り込んだ。
僕はそれを聞いてつい、平手に向き直って抱きしめた。すると、「なに?」と小さく呟きながら背中に手を回してきた。そのとき背中を指で小さくつつかれた。
「あんたのこと嫌いだから。そういうことにしといて。向こうに行くまでは。」
そのあとはしばらく抱きしめあっていた。
結局付き合うことはなかったんだ。
そのまま平手はカナダへ留学にいった。
ちょうどどっか街へ出かけるみたいに。
だけど、その前に平手からこんなことを聞いたんだ。
0301震える眼 7(茸) (スッップ Sd33-R5Tf)
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2019/08/16(金) 00:03:41.87ID:H2/CWl7Vd
あれは出発の前の日。駅前のスターバックスもどき。
「言おうかどうか迷ったんだけど」って前置きしながら。夏フェスに行った時のことを話題にしたら。
「実はさ、あのとき話した事ね、ちょっと違う。あれは多分、愛佳が色々端折って変えただけなの。ほんとうは帰りの電車でこう言われたの。」
平手は珈琲のカップを置いて、僕を真っ直ぐ見た。
「あんたのことどう思ってるのって?」
「それで、なんて答えたの?」
「秘密。」
「教えてよ。」
「カナダから帰ったらお土産代わりに教えてあげる」
「それで」
「で、わたしあいつのこと好きなんだけどっていったの。すごい小声で。しかも秘密にしてくれって言いつつ。」
「ひとの秘密はベラベラ喋るのに自分の秘密はしゃべらないのか。素晴らしい性格だ。」
「珈琲、頭から味わいたい?」
平手はカップを持ち上げて刺すように僕を見た。
「やめておくよ」
「それで、その時、あんたが告らないならうちが告るからね」
「そう言ったの?志田が?」
「そう。」
平手は何度も頷く。
「その時の顔がめっちゃ女子なの。」
「ほう」
「興味持ってんじゃねーよ。いいけど。」
「でもさ。なんで志田は僕に告白しろってけしかけたんだろうね」
「なにそれ?」
「いや、なんでもない。」
「ふうん。ともかくさ。愛佳はわたしが保証するからさ。それにあんたとお似合いだよ。」
「何様やねん」
そう言うと平手はカラカラと笑った。
「愛佳の方がいいよ、わたしなんかより」
「ほんとにそうかな」
「しかもわたし戻ってこないかもしれないし」
「予定じゃ3年じゃないの?」
「そうだけど、そのまま住むかもしれないし。正直付き合ってんのに会えないんじゃ意味ないじゃん。耐えらんない。」
「付き合うつもりあったのかよ」
「あんたととは言ってないし。しかも嫌いなんだから。一応。」
平手は舌を出してくしゃっと笑った。
「まぁだから愛佳が告白してきたら黙って受け入れなよ。」
「ああ、うん。」
それが平手とちゃんと会話した最後だった。
空港では愛佳とかほかのクラスメイトもいて
話す機会がなかった。そのうえ、カナダに行ってから音信不通なんだよ。

「話、まだ続くん?」
わたしは欠伸をして、鼻をすする。
「飽きた?」
「いや、お腹空いた」
「じゃあなんか食べに行きますか」
「うん」
0302名無しって、書けない?(茸) (スッップ Sd33-R5Tf)
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2019/08/16(金) 00:05:28.29ID:H2/CWl7Vd
続きは後日。連投すみません。
0303名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW 81b7-05Gw)
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2019/08/16(金) 08:30:39.76ID:5CXR0pnq0
>>294
ずっとその言葉を使い続けることが難しいんだと思いますよ
第一、普通の人はその対象自体に飽きてしまうことが多いですから

>>301
いい!
2019小説スレ大賞in欅坂板(正式名称忘れた)に早くもノミネートはもちろんですが、決定してもいい出来ですな

一夜を共にした相手が何となく誰だかわかった気がしますがそれはお楽しみということで
冒頭の、…「拳を"なんかに"ぶつけた。」はとか凄く彼女らしい表現です
0304名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW 81b7-05Gw)
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2019/08/17(土) 18:28:08.35ID:kTA+RUu10
続きを待ちながら保守
0305名無しって、書けない?(東京都) (アウアウウー 106.130.54.157)
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2019/08/17(土) 20:31:05.33ID:X6R+UT8ia
もんもーん
0306名無しって、書けない?(東京都) (アウアウウー Sa5d-jwVm)
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2019/08/17(土) 20:31:44.59ID:X6R+UT8ia
もんもーん
0310名無しって、書けない?(家) (ワッチョイWW a916-Lgtr)
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2019/08/18(日) 01:06:11.33ID:wf1h8FJc0
>>302
続き楽しみ

>>303
俺の場合は小説書くとうより理佐ちゃんと妄想したいだけだから理佐ちゃんに飽きたら終了ですわw
0311名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK8b-6DS1)
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2019/08/19(月) 00:33:09.44ID:E7zd0lstK
私は生涯てんとうむChu!推しなわけですが
先日出先でリサイクルショップを覗いたところ
てんとうむChu!の冠番組のDVDボックスセットがセールで定価の9割引の本体価格1450円で売られてまして
買おうかどうか20分ぐらい悩んだんですが結局買う踏ん切りがつきませんでした…


やっぱり元々持ってるやつをもう1つ買うのってかなり勇気が要りますねという保守
0312夢で逢えたら 第15話 前編(家) (ワッチョイWW a916-Lgtr)
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2019/08/19(月) 06:13:01.74ID:RmGbCd1t0
「いたたたた〜」

ついに我が夢の中の美女理佐ちゃんと新婚設定という都合良すぎる夢を見ることに成功した俺

頬に感じる痛みに

「これが甘い新婚生活の実感なのか〜」
なんて理佐ちゃんにつねられる痛みに幸せってやつを感じ始める俺


「もうなに寝惚けてんのよ」

ドS理佐ちゃんにMの幸せに目覚めさせられつつある俺に突如浴びせられる年下の幼なじみ葵の怒声

うん?葵は電車に乗って会社に行ったはず・・・

夢の中では俺と新婚であり共働きのためにOLさんな葵

「たしかに幼妻でありOLの葵もかなり好きだが今は理佐ちゃんから与えられる痛みに酔っていたんや〜」
なんて絶叫する夢の中とはいえアホな俺

「なんでわたしが幼妻でありOLなのよ!」

俺の絶叫を遮るような葵の怒声とさらに深まる頬の痛みに布団を蹴りあげる俺

「きゃ〜」
なんて布団と共に床に転がる年下の幼なじみ葵

しまった!

夢から覚めてしまった!?
0313夢で逢えたら 第15話 後編(家) (ワッチョイWW a916-Lgtr)
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2019/08/19(月) 06:13:30.41ID:RmGbCd1t0
「理佐ちゃんは俺の嫁!理佐ちゃんは俺の嫁!」
慌てて理佐ちゃんと新婚の夢よ再びとばかりに布団に潜り込み夢見術の呪文を唱える俺

「ちょっと!ほっぺつねったぐらいで蹴り飛ばすことないでしょ!」
なんて俺の理想の夢の邪魔したのも知らずに怒る葵

「やかましい〜!怒りたいのはこっちじゃボケ〜!」
怒る葵より遥かに怒髪天を衝く俺

天地開闢以来の美人理佐ちゃんが与えてくれてる恵みだと思ってた頬の痛みが葵のイタズラと知って怒りでワナワナな俺なのである




「ねぇ反省したから機嫌直してよ」

いまだ怒り収まらずに早足で学校に向かう俺を小走りに追いかけてくる葵

言葉とは裏腹にまったく反省してないのは明らかな笑顔である・・・

「別に機嫌悪くないですよ!」
葵を調子づかせては厄介と不機嫌を装う俺

「ねぇねぇ、夢ってその人の願望が現れるって知ってた?」
不機嫌な演技虚しく俺の気も知らないではしゃぐ葵

「俺が普段から世界一の美人に逢いたいって思ってたから夢に理佐ちゃんが出てきたのか!?」
俺の夢に世界一の美人理佐ちゃんが登場した訳を知り感動な俺

「もう!私が言ってんのはそっちじゃなくて〜!」
頬を膨らます葵

「なんや!俺の願望理佐ちゃんしかあり得んやろ!」
食い気味に葵を一喝する夢の中の美人理佐ちゃん至上主義者な俺

「なんでよ〜、私も夢に出て来てるじゃん」
なんてヤキモチ妬く葵

新学期そうそう騒がしい奴だ...



つづく
0314名無しって、書けない?(家) (ワッチョイWW a916-Lgtr)
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2019/08/19(月) 06:16:42.24ID:RmGbCd1t0
>>311
確かに写真集なら複数冊欲しいけどDVDボックスは悩みますなw
0315名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK8b-6DS1)
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2019/08/19(月) 10:10:54.99ID:E7zd0lstK
>>314
ですよね〜
てんとうむChu!の曲やドキュメント映像の入ってるCDなら全て2枚以上は持ってるけど←
0316名無しって、書けない?(家) (ワッチョイWW a916-Lgtr)
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2019/08/19(月) 12:58:23.93ID:RmGbCd1t0
>>315
2枚以上とは筋金入りのてんとうむchu!オタですな(-o-;)
0317震える眼 8(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/20(火) 02:33:23.11ID:Af83cYcj0
ジョン・コルトレーンが流れている。窓は薄い琥珀色でそれは煙草によって汚れたらしい。
僕と小池の間にはサイコロステーキの鉄板が湯気を上げる。
「それで」
小池はナイフを置いて紙ナプキンで口の端を拭って目配せをした。何かを期待するみたいに。
「さっき話したのは高校2年生の時だ。」
「3年生じゃなくって?」
パンをちぎって口に放り込む。
そのパンは驚くほど硬い。
まるで墓石に齧り付いているようだ。
僕は小さなカップに注がれたコンソメスープをすする。
「2年だ。」
墓石が喉を嫌そうに通過する。
「あれから僕が愛佳と付き合うまで1年掛かった。つまり付き合いだしたのは3年だ。」
「へぇ、長いなぁ」
ブロッコリーの頭をガーリックソース塗れに
しながら小池は言う。
こんだけブロッコリーをびしょ濡れにして、
一体ブロッコリーになんの恨みがあるのだろう。
「平手がカナダに行ったあと、愛佳がバレー部を辞めた。理由は分からない。ただ、バレーが好きだったから、辞めたのはよっぽど理由があったんだろ。
そのあとから僕らは同じ時間に帰るようになった。
それはごく自然な流れだ。
放課後、教室の前で愛佳が待っている。
言い忘れたけどこの時、僕と平手が同じクラスで、
愛佳は別のクラス。
愛佳のほうがいつも早く終わって水道のすぐよこ、
黒く擦ったような汚れが目立つ柱によっかかってた。足をクロスさせて、携帯を気だるそうに
眺めて。一緒に帰ろうなんて言わない。
黙って隣り合わせで歩いて、そのうち
話し出す。誰からともなく。
僕から話すこともあるし、愛佳からのこともある。
そんなことが何ヶ月と続いた。
そう何ヶ月と進展がなかったのさ。
0318震える眼 9(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/20(火) 02:34:18.28ID:Af83cYcj0
6月になった。祝日でもない。春でも夏でもない。
実に中途半端な月じゃないか。
そんなときふと、平手の話になった。
切り出したのはたしか僕だ。
無言の空間が嫌で無理やり引き出した話題
の1つだったと思う。
「そういえばさ、平手とロッキン行った話したじゃん」
住宅街を抜けて駅へと近づいてゆく。
「あれね、ほんとは」
「よっ、」
愛佳の肩を叩くチャバネゴキブリみたいな髪の人間。
愛佳は少し居心地悪そうに、返事をする。
「誰?」
ゴキブリは金八先生だと後ろの席にいるような人間で行事のときだけ張り切る類だった。
俗に言うと不良だ。
「同じ委員会の」
「あっそ」
その会話がものすごく他人行儀に感じる。
いや、他人だけどさ。
「これからいつものとこいかね。」
「お金ないわ」
「いや奢り奢り」
男はスマートに愛佳をかっさらってった。
僕は中途半端にネオンが残る横断歩道の前に、
残されたんだ。思わず足元を見た。
リーボックの黒いスニーカーが汚れている。
僕は小石を蹴飛ばしてそのあと寄り道をして帰った。愛佳とはその日からあまり会わなくなる。
あの男と付き合いはじめたって噂に聞いたからさ。
0319震える眼 10(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/20(火) 02:35:27.42ID:Af83cYcj0
夏が来た。といっても海には行く予定がなく
僕はただ店先でぼんやりしてた。
それは知り合いがやってる古本屋で、
バイトしてたんだ、長い休みの時だけ。
蝉が幾重にも鳴き立て、青空はずっと青が濃く、
飛行機雲が真ん中を突っ切る。
視線を戻して時計の針が幾つか歩き回って。
突然声が頁に振り落ちる。
開いていたのは芥川龍之介の侏儒の言葉。
日に焼けすぎて売れ残ったのを貰って読んでいた。
「あっ、」
顔を上げて息をとめた。
深緑に染めたショートヘアが埃臭い風に揺れる。
黒のTシャツと白のショートパンツで
サンダルを履いていた。
いつもよりずっと遠い人に見える。
なんとなく全てがわかった気がしたんだ。
「付き合って、わたしと」
深緑が近付く。目を細めてカウンターに身を乗り出す。Tシャツの隙間が黒い。
夏の声が黙り込む。
「嫌とは言わせないから」
ぼそぼそ呟いた。

「おい愛佳」
店先でまた声がする。
あの男だ。
0320震える眼 11(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/20(火) 02:36:08.44ID:Af83cYcj0
男は額から顎から汗を垂らして
膝を曲げている。どうやら愛佳を追いかけていたみたいだ。
「さっきは悪かった、だから」
店先で男は怒鳴る。
本を求めに来た訳では無いようだ。
僕はカウンターの下にある市場で仕入れて
売れずにゴミへ出す予定のA4変形版
世界の名画 第5巻「サルバドール・ダリ」
の角を撫でた。
「わたし付き合ってるから、」
カウンターの前で愛佳は叫ぶ。
夏目漱石全集の上にあったホコリがパラパラ
落ちる。
「なに?」
山から降りた猿みたいに荒い足取りで
男がカウンターの前に来る。
「誰と。」
制汗剤が香った。
愛佳は黙って僕を指さす。
「はぁ!?」
男は愛佳の肩を掴んで問いかける。
「お前正気か?」
「正気じゃなかったら何?」
「もっとほかにいいのがいるだろ…俺じゃなくても、ほら、茅野とか小渕沢とか岡谷とか、俺とか」
「あんなの一緒にしないでよ」
「でもこんなのかよ?もうちょいセンスあるかとおもったわ」
あんなのこんなのと代名詞が飛び交う。
「松本には関係ない」
男は松本というらしい。
「お前愛佳になにを吹き込んだんだよ」
「知らんがな」
僕はそう答えて世界の名画を左手で掴んだ。
「それに気安くわたしの名前呼ばないでくれない?」
「悪い」
「わかったらさっさと消えて 」
「でもほんとに付き合ってんのか?」
男がそう言うと愛佳は僕に目配せをする。
何が何だか分からないけど何となく頷く。
愛佳がシャツの襟を引っ張って自分に近づけた。
そして、その瞬間。無抵抗なまま、
唇が柔らかな感触を捉えた。
感触は長く続く。
なぜか目が泳いでる愛佳を見ている。
「もういいよ」
男は背後で悲しげに言う。
「消えて」
サンダルの音が重たくゆっくりとアスファルトへ向かう。
僕は唇が離れたとこに気づかずに居た。
0321震える眼 12(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/20(火) 02:37:01.28ID:Af83cYcj0
愛佳はだまってその場に立ち尽くした。
それから「悪いやつじゃないんだけど」と呟いた。
「大丈夫」
僕はようやくそう訊ねた。
「あーあ。初めてだったのに」
何が?とは聞けなかった。
僕は己の唇を指でなぞった。
「さすがにそれはしたことあるし」
愛佳はサンダルに目を落として言う。
指先には赤いネイルが塗ってある。
「ほんとに?」
愛佳はなにも答えなかった。
「付き合うってほんとに?」
「ほんと」
ぶっきらぼうに愛佳は答える。
「じゃ、よろしく」
そう言い残して立ち去った。
僕は呆気にとられてただ蝉の声に耳をすませている…

「それをきっかけに付き合ったってこと?」
気がつけば小池のサイコロステーキは空になっている。あの頃鳴いていた蝉はどこへいったのか。
黄昏のなかで黙り込む。
「そういうこと」
僕は随分長い間追憶に浸っていた様で、
傍らのアイスコーヒーは氷が溶けていた。
「ふうん、じゃ自分から告白したんじゃなかったんだ」
「しなかったね」
「そう言う度胸ないもんなぁ」
「五月蝿いな」
「はいはい」
「それで彼女との仲がいま最悪なわけだ」
なぜか嬉しそうに顔をほころばせる。
「あんなことしたからな」
小池は頬杖をついて茜空に眼をうつろわせる。
「コーラこぼしてポテチばらまいただけだろうに」
「ほんとにそれだけやと思ってる?」
「えっ?」
僕は小池の油断ならぬ言動に背中が凍えた。
「ほんまに覚えてないんやな」
小池は片頬を膨らませる。
「なんかした?」
「なんかした」
語気を強めて小池は反復する。
「なにを?」
「酔っ払った君に愛佳ちゃんと勘違いしてちゅーされた」
「嘘だろ」
「嘘とちゃうし」
「まじかよ」
「まぁ良いけど」
そのあとで小池はぼそぼそ何かを言う。
しかし聞き取れない。
「でも羨ましいな」
それだけ聞き取れた。
0322震える眼 13(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/20(火) 02:39:23.60ID:Af83cYcj0
「じゃ、ごちそうさん」
小池はそう言って駅の方へ去った。
僕は夏休み最後の日みたいな寂しさが残っている。
僕は愛佳に電話することにした。
歩きながら。呼出音が二三回して、
「もしもし」と低い声が聞こえた。
「調子どう」僕は恐る恐る訊ねる。
「ねぇ、いつの電車で帰ってくるの」
「どうして?」
「なんでもない」
「早めに帰るよ。」
「ほんとはいますぐそっちに行きたいくらいなんだから」
「寂しいの?」
電話口で鼻をすする音。
「ともかく帰ってきたら色々話したいことがあるから、分かってるよね」
首筋に刃物を当てられたような気がした。
愛佳が静かに怒るタイプで、正直それが怖い。
通話が終わって画面が暗くなってしばらくその場に立ち尽くしていた。
そしてまた画面が明るくなる。
愛佳だろうか。僕は画面を見る。
息を止めた。手汗でベゼルが滑る。
もう一度落ち着いて画面を見る。
間違いではない。
たしかに、電話をかけてきたのは平手だ。
0323名無しって、書けない?(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/20(火) 02:40:42.67ID:Af83cYcj0
>>303
>>310
ありがとうございます。
お待たせしました。
0324名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW 81b7-05Gw)
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2019/08/20(火) 07:48:11.13ID:zF7jNhR70
>>323
楽しみに待ってましたよ

3人が入れ代わり立ち代わり登場しますが、まだ主人公の前で女性は同時に2人以上存在していないんですよね
特にてっちゃんの温存の仕方が星稜高校の奥川君のようで、そこに居ないはずなのに存在感で影響を与えていますねw
千葉県先生お得意の修羅場が待っているのか、それとも誰かは思い出として消え去るのか
気になるところです
0325名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW 81b7-05Gw)
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2019/08/20(火) 08:06:56.05ID:zF7jNhR70
>>314
>>315
お二人とも同じもの2つも買ってどう使うんですか?w
0326名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK8b-6DS1)
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2019/08/20(火) 09:05:30.07ID:/zDdMfkfK
>>325
写真集とクリアファイルの使い道は庭先生にお任せして←

CDはいわゆるバックアップ用ですよ
将来何かの不具合が出て聴いたり見たりできなくなるのが嫌なんで
幸いAKBのCDはリサイクルショップに行けばほぼ新品でも二束三文なんで躊躇せず買えます
だから逆に2枚までと歯止めをかけてる感じです←
0327名無しって、書けない?(家) (ワッチョイWW a916-Lgtr)
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2019/08/20(火) 14:58:42.63ID:bYRBUj2t0
>>325
>>326
チワンさんから任されたので我々の使い道を答えませう

保存用、鑑賞用、飾っとく用、お出かけ用、家宝として子孫に遺す用

以上がスタンダードな使い道ですな

応援スレの変態はこれに夜のお供用を加えますが神聖にして侵すべからずな存在の理佐ちゃんに対して恐れ多いことですわ(-o-;)
0328名無しって、書けない?(千葉県) (ワッチョイW fb15-R5Tf)
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2019/08/21(水) 14:33:58.84ID:mLbSahBw0
>>324
ありがとうございます〜
0329震える眼 14(茸) (スプッッ Sde2-HyJw)
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2019/08/23(金) 02:27:39.90ID:RWHPIj7Ud
サングラスを少しさげてロビーを見渡す。
懐かしい湿った空気が染み渡る。
間延びした日本語のアナウンス。
m&mを乾いた口に一粒放りこんで噛み砕く。
スーツケースが慌ただしくそれぞれの目的地へ向かって転がる。手首の時計は機内で時間を合わせてきた。時間は14:00。スニーカーの踵を指先で直す。
人差し指が赤くなる。いつの間にか踵を履き潰す癖があらわれだした。
「成田空港の第3ターミナル14:00」
とそれだけ告げ切ってしまったのは話す事が渋滞したからで決して嫌いなわけではない。
しかしなぜわたしは自分に言い訳しているのだろうか。
彼は相変わず遅い。中学2年で高校見学をしたときも10分遅れで来たし、高校の時だっていつも。
みじかい思い出の走馬燈を見ていたら肩を叩かれた。
「あっ、」
わたしは振り向いてスーツケースを己の足にぶつける。
「お久しぶり」
白のTシャツに黒のパンツ。
手にはスーツケース。どうして?
「どっか行くの?」
わたしは久しぶりの再会を喜ぶことをわすれ、
訊ねた。
「これから帰るんだよ長岡に」
「そぉーなんだ、じゃ私も」
「一緒に行く?」
「行く。」
同じ色のスーツケースが二つ同じ軌道で
ホームへとむかう。
わたしは新幹線の切符はどうやって買うんだっけ。
と、それだけを気にしていた。
0330震える眼 15(茸) (スプッッ Sde2-HyJw)
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2019/08/23(金) 02:28:33.86ID:RWHPIj7Ud
長岡までの間色々なことを話した。
3年か4年の空白を1つ1つ、たった2時間で。
それでも足りないくらい。
まず愛佳と付き合っていること、そして酔っ払って他の子を愛佳と間違えてキスしたこと、わたしが一緒に帰って来ることを愛佳にはふせていること。
そんなことを訊いた。
「そっちは?」
雑に聞かれた。わたしはなにを話そうか迷って、
唸る。
そして出発前の出来事について話した。
「なにそれ?出発前」
「そう、飛行機乗る前にね」
「ふうん」
耳に違和感。スピードが上がっているらしい。
「ずっとあるアパートに暮らしてたんだけど」
ろくに景色も楽しめない汚ったない街中。
ベットとテレビとラックとそれからバスルームとトイレ。ちいさな台所は使い勝手が悪い。
まな板はずっと乾きっぱなし。
そんなアパートだった。
アパートは錆びた鉄のような外壁に、薄黒い窓が五六個浮かんでいるそんな感じで
階段はやたら靴音が反響する。
わたしは1階の奥で暮らしていた。
出発前、直前まで準備をサボっていたから時間に追われ焦っていた。飛行機乗り逃したら、一巻の終わり。打ち切り。買い直すお金はない。
だからこうして長岡までのお金も出してもらった。
そんなときにベルの音が響く。
面倒事は避けたかったから無視したけど、2度鳴らされたから仕方なく出た。郵便配達かなって思いながら。そして変にどきっとしながらね。だってベルが鳴るなんて滅多にないから。
戸口に立っていたのはナナミさんで、わたしは安心したけどまたどきっとした。
ナナミさんは顔見知りも顔見知り。
だって同じカレッジだから。
それにこのアパート紹介してくれたのナナミさんだし。
0331震える眼 16(茸) (スプッッ Sde2-HyJw)
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2019/08/23(金) 02:29:30.57ID:RWHPIj7Ud
どきっとした理由?
ナナミさん、滅多にうちに来ないの。
来る時は余程理由がある時。
「日本に帰るんでしょ?送ろうか。」
ブラウンの髪が微笑んで揺れた。
雪みたいに肌が白くてそれが街のなかに
とってもよく溶け込んだ。
「ありがとうございます」
そう答えると、
「じゃ、さっさと準備しちゃいな」
ほら、そう言いながらわたしを急かした。
わたしはこうしてまた時間に追いかけられることになるんだけど、不思議と焦りはなくなっている。
ナナミさんがいるから。たぶんそれが理由。
ナナミさんの背中にある言いようもない孤独や今にも消えてしまいそうな雰囲気がわたしと同じだったからだと思う。
何時だっけ。ナナミさんもそんなことを言っていた気がする。
「なんか昔の自分を見ているみたい」って。
アパートを振り返って過ごした日々を思い起こしながらそんなことをふと考えたの。
アパートの思い出は色々ある。
だけどそれはまたいつか。話すのめんどくさいの。


「そういえばあの子どうしたの?」
ナナミさんはクラクションを鳴らしながらハンドルを切る。
「連絡まだしてないや」
「連絡してあげなよ」
「うん」
クラクション、雑踏。騒がしい街。
車窓から見える。
「そういえば、わたしの好きな人の話したっけ?」
信号が赤になった時ナナミさんがふと、そんな話を切り出した。
「えっ?聞いたことないです。 」
「そっか…あのね。いややっぱやめた」
「なんで気になる」
「あんまりいい結末じゃないの」
「…そうなんですか。」
「生きてるからね一応。なんか死んじゃったトーンではなしてるけど」
「よかった。」
0332震える眼 17(茸) (スプッッ Sde2-HyJw)
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2019/08/23(金) 02:31:25.75ID:RWHPIj7Ud
「わたし高校生の頃入院してたの。
原因?ヘルニアの手術。
それでね大部屋でたまたま同じ部屋だった人、大学生の人だったんだけど。
その人のことすきになったの。
だけどわたしが手術して病室から戻ってきたらもう居なくて。連絡先も交換してないから、
会えることも叶わなくて。それでその人が写真家志望でいつかニューヨークで個展を開きたいって言ってたの。だからわたしもニューヨークにいればいつか会えるかなって」
だからニューヨークにいるの。ナナミさんは
そう言って車を止めた。
「ほら、ついたよ」
「ありがとうございます」
「会えるうちに伝えなきゃ」
喧騒のなかでナナミさんとそう会話して別れた。

話し終えて隣を見る。彼は寝ていた。
おそらく話の大部分を聞いていなかったのだろう。
でもそれでいいのかもしれない。
列車はまもなく長岡に着く。
車内で人々が荷物をおろしたり、デッキに向かっている。
「おーい、起きろ」
わたしの肩にもたれて睡る彼の額を人差し指で突く。
「あれついた」
伸びをしながら車窓とわたしの顔を見る。
「話聞いてなかったでしょ?」
「なんか話してたの?」
「うわひっど」
そんなやりとりをしていたら列車が減速を始めた。
0333震える眼 18(茸) (スプッッ Sde2-HyJw)
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2019/08/23(金) 02:32:34.69ID:RWHPIj7Ud
「ほんとなんも変わらないんだね」
ベットに座って部屋を見渡す。
「なんでうちにいるの」
かれはスーツケースをひらきながらそう言う。
「来ていいって言ったじゃん」
「そうだけど」
「あ、愛佳は」
「うちに来るってよ」
「そーなんだ、じゃ隠れてよ」
立ち上がって部屋を見渡す。
「うちに隠れるとこなんてないけどね」
「そーだった」
階下で玄関の開く音がした。
「来たんじゃない?」
彼は部屋を出てさっさと下へ向かう。
追いつこうとしたけど、もうすでに玄関の開く音がしたから、あきらめてわざとゆっくり階段を降りる。そして降りきって左手に見えてくる大人2人分位の玄関で、彼と愛佳が抱き合っているのを見た。
それは恋人同士のごくありふれた行為ーそれにわたしが少し違和感を覚えたのは二人が恋人であった時季を知らないためかも知れない。
彼の背中に手を回していた愛佳と視線がぶつかる。
わたしは片手を至極軽く上げてご挨拶。
愛佳はそれを目撃した途端、彼の背中から
手を離して、
「なんでいるの?!」
と棒読みで叫んだ。愛佳の眼は幽霊を目撃した時のようで黒目が小さくなっている。
その上まばたきを忙しなく二三度した。
「おかえり」
愛佳は一拍間を置いてそう呟く。
「うん。」
わたしは階段をおりてすぐの所で答える。
彼はわたしと愛佳の対角線上で、
行き場をなくしたようにぼおっとしていた。
「とりあえず部屋あがる?」
ぼおっとしていた彼は呟く。
「うん」
わたしはそう答えてまた階段に足をかけ、背後では靴を脱ぐ音がした。
0334震える眼 19(茸) (スプッッ Sde2-HyJw)
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2019/08/23(金) 02:33:36.05ID:RWHPIj7Ud
部屋に戻ってわたしは彼のデスクに座る。
デスクは部屋の左端にあり、椅子の角度を変えると教室の中央にある教卓みたいに室内がよく見えた。
愛佳は美術館に来たみたいにキョロキョロしながらベットに座った。彼は当たり前に愛佳の隣に座った。愛佳は手のひらを浮かせ隙間をあけた。
手は持て余したのか、太腿のすぐ横に置かれている。
「ねぇ、わたしと平手どっちが好きなの?」
愛佳は彼に突然そう言った。
無言の部屋には晴天の下に落雷が落ちたかのような衝撃が這いずり回っている。
それはさきほどまでの呟きとは違いはっきりと
発声されていて、わたしは愛佳をじっと見つめる。
愛佳の眼は細く険しい。
彼はわたしと愛佳を交互にゆっくり見てから、
「愛佳」とだけ答えた。
「そう」
愛佳は表情をまったくうごかさぬまま、
あくまで感情を悟られまいとしているかのように唇を結ぶ。
しかし手は彼の手と重ね合わせていた。
そして愛佳はこの空間に居心地の悪さを覚えたのか
「なんか食べに行こうよ」
そう切り出す。
0335名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW 99b7-fLM7)
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2019/08/24(土) 08:57:22.54ID:wuMnEV0a0
>>334
何とも言えぬ緊張感がたまりませんね

あちらのナナミさんですかw
ナナミさんに関しては両者とも卒業してその後どうなっているんだろうと心配になることもありますが、どちらもしっかりしてそうなので多分大丈夫でしょう
顔見知りにナナミさんがいたら、それがどちらでも相当頼もしいです
0336名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW 99b7-fLM7)
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2019/08/25(日) 17:56:15.39ID:lHExxEkh0
プラダのコートに魅せられてGQ買ったら6ページしか割かれてなかったのですが、それが全ていい写真でしたという報告と保守
https://i.imgur.com/78Zdahy.jpg
0337名無しって、書けない?(家) (ワッチョイWW 0d16-Bqoa)
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2019/08/26(月) 02:32:21.18ID:3RiIze300
>>334
ピリピリした空気感が堪らんw
0338名無しって、書けない?(千葉県) (ワッチョイW d609-HyJw)
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2019/08/27(火) 16:39:58.40ID:9cNqfEGx0
>>335
>>337
今後の展開に悩み中です
0339名無しって、書けない?(千葉県) (ワッチョイW 1b15-pUS/)
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2019/08/29(木) 00:27:20.20ID:nYYksjEb0
保守
0340名無しって、書けない?(家) (ニククエWW e116-j4O3)
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2019/08/29(木) 13:48:31.81ID:FG7wAyge0NIKU
>>338
頑張ってください
0341夢で逢えたら 第16話(家) (ニククエWW e116-j4O3)
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2019/08/29(木) 22:00:27.62ID:FG7wAyge0NIKU
「頑張ってな〜」

受験に赴く年下の幼なじみ葵に手を振り学校に向かう俺

「ありがとう、俺君も学校頑張ってね」
人影の多い駅前だからかいつもより澄まし顔で軽く手を振る葵

俺とは違い成績優秀な葵ゆえ何の問題も無く志望校への進学を果たしてしまうのだろう


そして学校に着き授業開始と共に

「理佐ちゃんは俺の嫁!理佐ちゃんは俺の嫁!」
なんて夢の中の理佐ちゃんに逢いに行こうと夢見術の呪文唱えて寝に入る俺

「俺君寝るの早いよ」
そんな俺にちょっかい出してくる親友澤部

「うるせえ三等兵は黙ってろ!」
なんて澤部を一喝して

「理佐ちゃんは俺の嫁!理佐ちゃんは俺の嫁・・・zzz」
呪文唱え直して愛しの理佐ちゃんが待つ夢の中へな俺





「ちょっと!早く起きなさいよ!」

寝ぼけ眼な俺にややきつめな感じの声

頬に感じる教室の机とは違う枕な感触と嫁におこされてる事に我夢の世界に突入せりを喜ぶ俺

夢の世界にしか存在しない天地開闢以来の美人理佐ちゃんを嫁に出来てる俺に夢見術のありがたさを感謝する毎日や

なんて感謝な俺の目に飛び込んでくる超絶ブス!?

「なんで澤部が嫁なんや〜」
天地開闢以来の美人嫁理佐ちゃんと目の前に居る女装した嫁澤部の落差に悲鳴上げる俺

「朝から悲鳴上げてないで早く朝ご飯食べなさいよ!」
あくまで嫁としての役柄に忠実な夢の中の澤部

寝に入る直前に澤部にちょっかい出されたからか・・・

絵に描いたような悪夢から貴重な教訓を得た俺はベッドから起き上がり顔を洗いに行くわけだ...


顔を洗いテーブルに着くと焼き魚と玉子焼きにお味噌汁なんて澤部のくせにちゃんとした朝ご飯が並んでて複雑な気分に俺をさせるわけだ...



つづく
0342名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KKab-4Phj)
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2019/09/01(日) 12:43:28.82ID:dJ3REbRHK
おなじみのSTUメンの絵で保守
http://o.5ch.net/1j0l6.png
0343夢で逢えたら 第17話(家) (ワッチョイWW e116-j4O3)
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2019/09/02(月) 13:18:29.78ID:bQ2o7CRJ0
目の前に並ぶ美味しそうな朝ご飯にもかかわらずなんだか食欲が湧かずない俺

キッチンに立つ坊主頭の澤部が嫁なんて不愉快にしてキモい夢から逃れようとテレビつける俺

「朝からアイドルグループが告知かい」
なんてつまらなそうに呟く俺

「ちっ、どうせなら乃木坂のまいやんとなぁちゃん呼ばんかい」
乃木坂オタな俺の夢なのに欅坂なんて乃木坂をパクったような名前のアイドルがゲストなめざましテレビに文句言う俺

「うん!?」
文句言いながらも欅坂なるアイドルの中に理佐ちゃんを発見して我が目を疑う俺

「理佐ちゃんがアイドルになっとるw」
嫁としての登場は叶わなかったけどめざましテレビのゲストなんて形で俺の夢に出てきてくれた理佐ちゃんに運命のシンクロときめきを感じて喜ぶ俺

「こんなささいなな事に幸せ感じてんじゃねーよ」
なんてドス効かせながらテレビ消しちゃう嫁澤部

「あのさ、男だったらもっと高いとこに幸せ設定しなさいよ!」
澤部のくせに嫁気どりの澤部

「うるせ〜!俺の夢を汚しやがって!」

理佐ちゃんの代わりに嫁面する女装澤部に襲いかかる俺




「いてててて、、、」
襲いかかるも嫁澤部の反撃にあい家を追い出された俺

夢とはいえ理不尽な突飛さに憤りながら会社に向かう俺なのであった、、、



つづく
0344名無しって、書けない?(家) (ワッチョイWW e116-j4O3)
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2019/09/04(水) 10:17:05.67ID:0s+qJ1Xf0
あげ
0345名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KKab-4Phj)
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2019/09/04(水) 17:30:59.05ID:hRyX35bMK
今日はねるちゃんとTAKAHIRO先生の誕生日だと先ほど知って
http://o.5ch.net/1j3g8.png
0346名無しって、書けない?(千葉県) (ワッチョイW 2e09-zQco)
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2019/09/05(木) 17:34:35.85ID:NQop98+V0
保守
0347名無しって、書けない?(家) (ワッチョイWW 8916-2rfG)
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2019/09/07(土) 12:36:24.11ID:Ug3Qz/0O0
あげとく
0348名無しって、書けない?(家) (ワッチョイWW 8916-2rfG)
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2019/09/08(日) 08:08:51.99ID:4o2ZiNh50
本能寺の変勃発やな...
0349名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KKd6-wvQi)
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2019/09/08(日) 08:45:34.92ID:FwlIgoX8K
彼女は本能で滅ぶのかってか
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