0001名無しって、書けない?(京都府)
2018/04/23(月) 22:24:29.96ID:36tcvED10ぼくは夏の夜明けを抱いた。
宮殿の前ではまだ何も動いていなかった。水は死んでいた。野営した影たちは森の街道から離れていなかった。新鮮な温かい息吹を目覚めさせながら、ぼくが歩くと、宝石たちは目を見はり、翼たちは音もなく飛び立った。
最初の企ては、冷たく青白い光で満たされた小道で、ぼくに名を告げる花から始まった。
ブロンドの滝(ヴァッセルファル)にぼくが笑いかけると、滝は樅の木立の向こうで髪を振り乱した。その銀色の頂きに女神が見えた。
そこでぼくはヴェールを一枚ずつ剥いでいった。並木道で、両腕を振りながら。野原では、雄鶏に彼女のことを告げてやった。大きな街に入ると、彼女は鐘楼やドームの間を逃げまわったので、ぼくは飢えた男のように大理石の河岸を駈け、彼女を追いかけた。
街道を登りつめ、月桂樹の林の近くで、やっと集めたヴェールごと彼女を抱きしめたとき、ぼくはその大きなからだをかすかに感じた。夜明けと子どもは林の裾で倒れた。
目覚めたら正午だった。