萌えキャラが自衛隊勧誘…「違和感ある」の声も
http://www.yomiuri.co.jp/national/20141111-OYT1T50111.html
読売新聞 2014年11月12日 12時18分

自衛隊が隊員募集のポスターに美少女などの「萌(も)えキャラ」を使うケ ースが相次いでいる。
「若者に関心を持ってもらいたい」という新しい広報戦略だが、自衛隊の屈
強で武骨なイメージとは対極にあるだけに、隊員からも驚きの声が上がっている。
自衛隊の茨城地方協力本部は今年4月、隊員募集と隊のPRのため、陸海空
の自衛官をイメージした3人娘のポスターを独自に制作した。イラストレータ
ーの「飯田ぽち。」さんが陸上自衛官の「小梅」、海自の「のばら」、空自の
「ひばり」をデザイン。3400枚を県内の役所や学校に貼り出したところ、
口コミで人気が広がり、同本部は9月、インターネット上で「総選挙」まで実 施した。
同本部の担当者は、「『ポスターが欲しい』という電話もかかって来る。自
衛隊に対する心理的なハードルを下げることができた」と説明する。
隊員の募集は各都道府県にある地方協力本部が担当しており、福島、香川、
山口などの各本部でも、それぞれ「萌えキャラ」によるPRを展開している。

 コラムニストの辛酸なめ子さんは、「ピュアでかわいい萌えキャラは、『守
ってあげたい』という気持ちを呼び覚ます。そこに国民を守る自衛隊のイメー
ジがつながり、人気が出ているのでは」と分析する。
こうした背景には、毎年、多くの隊員を確保する必要に迫られていることが
ある。昨年度の採用者数は計約1万4400人に上るが、幹部によると、全国
に転勤する可能性があるため、「警察や消防などに比べて、人気が劣る」という。
ただ、実際の仕事は過酷だ。地震や土砂災害の現場では、危険を顧みず被災 者の救出にあたる。自衛隊と萌えキャラというギャップに、現役の幹部自衛官からも、
「美少女キャラでの勧誘は、あまりに軽く、違和感がある」との声も上がる。
元陸上自衛隊北部方面総監の志方俊之・帝京大教授は、「自衛隊は募集に力
を入れるばかりでなく、一人前の隊員に育てるため、教育や訓練の方法も工夫
する必要がある」と指摘している。
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↑茨城のポスター。小梅(右下)、のばら(左)、ひばり(右上)の3人娘
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↑香川のポスター(ホームページより)