>>165の続き)

もう一首、今度は趣きが正反対のものを。

今ひとたび立ちあがりゆく村むらよ失せたるものの面影の上に

(いまひとたび たちあがりゆくむらむらよ うせたるもののおもかげのへに)

長谷川櫂氏の説明は、
「『面影』は諦めと希望の交差する言葉。母の面影といえば母はすでに
亡き人だが、どこか似ているという意味になる。この歌でも要(かなめ)
の働きをしている。大震災後、復興へ動きはじめたみちのくの村々。面影
の一語、哀しく、かつ力強い」。

(続く)